不治の病に侵された女性と献身的な医師との愛を描く、監督エドマンド・グールディング、主演ベティ・デイヴィス、ジョージ・ブレント、ハンフリー・ボガート、ジェラルディン・フィッツジェラルド、ロナルド・レーガン、ヘンリー・トラヴァース他共演のメロドラマ。 |
・ベティ・デイヴィス / Bette Davis / Pinterest
・ハンフリー・ボガート / Humphrey Bogart / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:エドマンド・グールディング
製作総指揮:ハル・B・ウォリス
原作
”Dark Victory”(戯曲)
ジョージ・エマーソン・ブリューワーJr.
バートラム・ブロック
脚本:ケイシー・ロビンソン
撮影:アーネスト・ホーラー
編集:ウィリアム・ホームズ
音楽:マックス・スタイナー
出演
ジュディス・トラハーン:ベティ・デイヴィス
フレデリック・スティール:ジョージ・ブレント
マイケル・オリアリー:ハンフリー・ボガート
アン・キング:ジェラルディン・フィッツジェラルド
アレック・ハム:ロナルド・レーガン
パーソンズ医師:ヘンリー・トラヴァース
キャリー・スポッツウッド:コーラ・ウィザースプーン
ウェインライト:ドロシー・ピーターソン
マーサ:ヴァージニア・ブリサック
マントル大佐:チャールズ・リッチマン
カーター医師:ハーバート・ローリンソン
ドリスコル医師:レオナルド・ムディエ
ドッド:フェイ・ヘルム
ルーシー:ロッティ・ウィリアムズ
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1939年製作 104分
公開
北米:1939年4月22日
日本:1948年6月8日
製作費 $1,000,000
■ アカデミー賞 ■
第12回アカデミー賞
・ノミネート
作品
主演女優(ベティ・デイヴィス)
作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロングアイランド。
父の遺産を継いだ富豪令嬢のジュディス・トラハーン(ベティ・デイヴィス)は、何不自由なく暮らしていた。
ある朝、厩務員のマイケル・オリアリー(ハンフリー・ボガート)に起こされたジュディスは、愛馬チャレンジャーを買いたい者がいると言われるものの、売る気はなかった。
ジュディスは、秘書で親友のアン・キング(ジェラルディン・フィッツジェラルド)と共に乗馬クラブに向かう。
親友のアレック・ハム(ロナルド・レーガン)と話したジュディスは、友人のキャリー・スポッツウッド(コーラ・ウィザースプーン)にチャレンジャーを売る話になる。 売る気はないジュディスは、今からチャレンジャーに乗りたいとマイケルに伝える。 気分が悪くなったジュディスは、心配するアンに大丈夫だと伝えて、マイケルが用意したチャレンジャーに乗る。 皆が見守る中、障害を飛び越えようとしたジュディスは、めまいがして落馬してしまう。 幸い無事だったジュディスは屋敷に戻り、アンに、2度発作が起きたのでわざと転んだと伝える。 ジュディスは、主治医のパーソンズ医師(ヘンリー・トラヴァース)に診てもらうべきだと言うアンの意見を聞こうとしない。 そこに、既にアンが呼んでいたパーソンズが現れるが、ジュディスは出かけてしまう。 階段を下りようとしたジュディスは、再び発作が起きて転倒してしまう。 脳外科のフレデリック・スティール医師(ジョージ・ブレント)は、ニューヨークの診療所を閉鎖しようとしていた。 スティールは、友人であるパーソンズからの手紙を受け取っていた。 カーター医師(ハーバート・ローリンソン)が来ていることを知ったスティールは、診療を続けるべきだと言う彼に、最後の患者を救えなかった話をする。 スティールは、バーモント州のブラトルボロに移り、政府の援助で脳細胞の研究に専念する予定だった。 パーソンズが来たことを知ったスティールは、カーターを見送る。 パーソンズからジュディスの症状を聞いたスティールは、診察を頼まれて説得されるものの、それを断る。 待合室にいたジュディスに挨拶したスティールは、右手の火傷のことを尋ね、彼女がそれに気づいていなかったために診察室に案内する。 スティールは、ジュディスの家族のことや世間話をしながら監察し、彼女が、常に不安でいるのを認めたくないことに気づく。 この1か月、頭痛が酷くなり、視力のことや右手の違和感と麻痺も気にしているはずだと言われたジュディスは、それを認める。 スティールは、看護師のウェンライト(ドロシー・ピーターソン)を呼び検査を始める。 頭痛や目の異常がいつからかジュディスに尋ねたスティールは、ウェインライトから列車の時刻だと言われ、ジュディスの治療のためにバーモント行きを中止する。 スティールに感謝したジュディスは病状を尋ね、レントゲン撮影を勧められる。 スティールは、普通の生活をしてもいいが、自分と会うことが必要だとジュディスに伝えて、彼女を安心させる。 専門家の意見を聞いたスティールは、ジュディスに脳の手術をすることを勧めるものの、彼女はそれを拒む。 そのことをアンに話したジュディスは、他の医師の診断も受けるべきだと言われるものの、スティールは、同じ結果になると2人に伝える。 その後ジュディスは入院し、精密検査をしたドリスコル医師(レオナルド・ムディエ)は、再発の可能性があり、やがて失明するとスティールとパーソンズに伝える。 スティールは心配するアンに、手術をすれば治ると言って安心させる。 手術が成功したジュディスは、頭痛やめまいがなくなり、アンと共に快気祝いをする。 それに招かれたスティールは、ジュディスに感謝される。 アンは、表情が暗いスティールが気になり、2人だけで話をする。 スティールは、自分ではジュディスを救うことはできないと言って、死を覚悟するしかないとアンに伝える。 外見は健康に見えるものの、静かに安らかな死が訪れると、スティールはアンに伝える。 視力が落ちて失明すると言うスティールは、余命のこともアンに話す。 スティールは、現れたジュディスからカフスボタンをプレゼントされる。 スティールとアンは、今日は自分の誕生日だと言うジュディスと楽しむことにする。 その後アンは、スティールに惹かれているジュディスが、結婚も考えていることを知り、彼に電話をして訪ねる。 アンは、ジュディスの気持ちをスティールに伝えて、何としても助けたいと考える彼から、他の専門家も治る見込みがないという意見だったことを知らされる。 ジュディスのことが頭から離れなくなっていたスティールは、彼女から電話を受ける。 来てほしいとスティールに伝えて電話を切ったジュディスは、家政婦のマーサ(ヴァージニア・ブリサック)から、アンが彼に電話をかけていたことを知らされる。 戻ったアンに行き先などを訊いたジュディスは、スティールも現れたために彼女のことを疑う。 ジュディスから愛していると言われたスティールは、自分もだと伝えて、複雑な気持ちで彼女を抱きしめる。 その後ジュディスは、スティールが留守中のオフィスで、専門医の意見が書かれている書類を見つけて、”再発は免れない、予後は否定的”という内容を確認する。 そのすべてが同じ意見だったために、”予後は否定的”の意味をウェインライトに尋ねたジュディスは、病気の見通しとして見込みがないことだと言われ、ショックを受けてその場を去る。 スティールと昼食の約束をしていたジュディスは、カクテルを飲み続ける。 現れたスティールとアンは、様子がおかしいジュディスのことが気になる。 スティールに”予後は否定的”のことを追及したジュディスは、自分に隠し事をして同情し、結婚することにしたと言って彼を責め、憤慨して席を立つ。 アレックと共にクラブに向かったジュディスは、2人で酔い気分を晴らそうとする。 その後、乗馬クラブの馬の祭典に出場したジュディスは、その場でスティールに会うものの、今後は世話にはならないと言って、彼とは話す気にはならなかった。 厩舎に向かったジュディスは、自分のことを愛していたことをマイケルから告白される。 キスされたジュディスは、数か月後には死ぬだろうが、受け入れるしかないとマイケルに伝えてその場を去る。 酔って屋敷に戻ったジュディスは、スティールに電話をするものの留守だった。 ジュディスを気遣うアンは、今すぐ死ぬのは悪いことかと訊かれ、悲しくなり涙する。 アレックと話していたスティールは、現れたジュディスから謝罪され、自分しかいないと言う彼女に愛を告げる。 結婚してバーモントに行くことをスティールに提案されたジュディスは、それに同意する。 バーモント。 3ヵ月後、訪ねて来たアンをジュディスとスティールは歓迎する。 研究室でアンと話したスティールは、ジュディスに刺激を与えるようなことはしないようにと伝える。 春になり、訪ねて来たマイケルと楽しい時間を過ごしたジュディスは、彼を見送った後で、アンと共に庭に球根を植えようとする。 晴天にも拘らず、嵐になりそうだと言うジュディスの異変に気づいたアンは驚く。 球根を温かく感じたジュディスは、手の感覚がおかしいことに気づき動揺し、アンは彼女を抱きしめて泣き崩れる。 スティールに呼ばれたジュディスは、彼には黙っていてほしいとアンに伝える。 スティールは、評価された研究をニューヨークの学会で発表することになったと、ジュディスとアンに知らせる。 ジュディスは、旅立つ支度をするスティールを引き止めるべきだと言うアンに、それはできないと伝えて庭に戻るよう指示する。 同行しないと言うジュディスに、スティールは、一時も離れたくないと伝える。 ジュディスは、今の自分たちの生活を壊すことはできない、それが私たちの”暗闇”に対する勝利だと、スティールに伝えて説得する。 スティールは、、アンに後を任せて出発する。 視力が低下したジュディスは、アンの助けを借りて庭に球根を植える。 ジュディスからスティールのことを頼まれたアンは、涙しながらそれを約束する。 言い残したことはないか考えたジュディスは、チャレンジャーや友人たちのことも忘れないでほしいとアンに話し、家の入口に連れて行ってもらう。 あとは独りでいたいとアンに伝えたジュディスは、彼女をスティールの元に向かわせる。 家に入ったジュディスは、事情を知り気遣うマーサに上で休むことを伝え、愛犬のダフィとドンに別れを告げて2階の部屋に向かう。 様子を見に行ったマーサは、ジュディスから独りになりたいと言われ、彼女をベッドに寝かせて部屋を出る。 横たわるジュディスの意識は薄れる。
...全てを見る(結末あり)
研究に没頭するスティールを支えようとするジュディスは、充実した日々を過ごしていた。
*(簡略ストーリー)
ロングアイランド。
父の遺産を継いだ富豪令嬢のジュディス・トラハーンは、何不自由なく暮らしていた。
そんなジュディスは、頭痛やめまいに悩み、親友であり秘書のアンは彼女のことを心配する。
主治医のパーソンズは、バーモントに移る予定だった友人である脳外科医スティールを説得し、ジュディスを診察してもらう。
ジュディスのことが気になるスティールは、留まる決意をして献身的に治療を始めるのだが・・・。
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1934年に上演された、ジョージ・エマーソン・ブリューワーJr.とバートラム・ブロックの戯曲”Dark Victory”を基に製作された作品。
不治の病に侵された女性と、彼女のために献身的に尽くす医師との愛を描くメロドラマ。
ハル・B・ウォリスが製作総指揮を担当し、「グランド・ホテル」(1932)などで知られるエドマンド・グールディングが監督した作品。
1935年にデヴィッド・O・セルズニックが、「グランド・ホテル」でエドマンド・グールディングと組んだグレタ・ガルボと、相手役にフレドリック・マーチを起用して製作を企画したが、ガルボが「アンナ・カレニナ」(1935)の出演を選んだために実現しなかった。
1963年のスーザン・ヘイワード主演作「愛の勝利/Stolen Hours」は、本作のリメイク。
第12回アカデミー賞では、作品、主演女優(ベティ・デイヴィス)、作曲賞にノミネートされた。
主人公が死を覚悟する痛々しい雰囲気で終わるドラマなのだが、ヒロインを演ずるベティ・デイヴィスが圧倒的な存在感且つ強烈なイメージでそれを演じ、エドマンド・グールディングの力強い演出が見どころの作品でもある。
また、ベティ・デイヴィスと主人公に惹かれながらを献身的に治療する脳外科医を好演するジョージ・ブレントにとっては、前年の「黒蘭の女」(1938)に続く8作目の共演作である。
*2人は11作で共演した。
主人公に雇われる厩務員で彼女に惹かれる役柄を、彼にしては地味に演ずるハンフリー・ボガート、主人公を支える友人である秘書を好演するジェラルディン・フィッツジェラルド、主人公の親友ロナルド・レーガン、主人公の主治医ヘンリー・トラヴァース、主人公の愛馬を買おうとする友人コーラ・ウィザースプーン、スティール(ジョージ・ブレント)のアシスタント役ドロシー・ピーターソン、主人公の屋敷の家政婦ヴァージニア・ブリサック、主人公の友人チャールズ・リッチマン、スティールの友人である医師のハーバート・ローリンソン、主人公を検査する医師のレオナルド・ムディエ、主人公の友人ロッティ・ウィリアムズ、看護師のフェイ・ヘルムなどが共演している。