”Broadway Melody”シリーズの第3作。 ブロードウェイのプロデューサーと主演に抜擢されたダンサーとの恋を描く、監督ロイ・デル・ルース、主演ロバート・テイラー、エレノア・パウエル、ジュディ・ガーランド、バディ・イブセン、ソフィー・タッカー、ジョージ・マーフィー、ビニー・バーンズ他共演のミュージカル。 |
・ジュディ・ガーランド / Judy Garland / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロイ・デル・ルース
製作:ジャック・カミングス
原作
ジャック・マッゴーワン
シド・シルヴァース
脚本:ジャック・マッゴーワン
撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ
編集:ブランチ・シューウェル
音楽
ナシオ・ハーブ・ブラウン(作曲)
アーサー・フリード(作詞)
ジョージ・ストール
出演
スティーヴ・ローリー:ロバート・テイラー
サリー・リー:エレノア・パウエル
ベティ・クレイトン:ジュディ・ガーランド
ピーター・トロット:バディ・イブセン
アリス・クレイトン:ソフィー・タッカー
ソニー・レッドフォード:ジョージ・マーフィー
キャロライン・ウィップル:ビニー・バーンズ
ハーマン・J・ウィップル:レイモンド・ウォルバーン
ダフィー:ロバート・ベンチリー
給仕を手伝う役者:ウィリー・ハワード
ジェームズ・K・ブレイクリー:チャーリー・グレープウィン
ジョージ・パパロパス:ビリー・ギルバート
ニッキ:イゴール・ゴーリン
くしゃみする男性:ロバート・ジョン・ワイルドハック
アメリカ 映画
配給 MGM
1937年製作 110分
公開
北米:1937年8月20日
日本:1938年1月
製作費 $1,588,000
北米興行収入 $4,118,000
世界 $6,204,300
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ジョッキーのピーター・トロット(バディ・イブセン)と調教師のソニー・レッドフォード(ジョージ・マーフィー)は、富豪のハーマン・J・ウィップル(レイモンド・ウォルバーン)と結婚したコーラス・ガールのキャロライン(ビニー・バーンズ)が、競馬に夢中になり愛馬スターの調教師を探していることを知る。
ピーターとソニーは、旅費を工面するために床屋のジョージ・パパロパス(ビリー・ギルバート)と甥のエッキ(イゴール・ゴーリン)に、競馬で800ドル稼げると言って20ドル賭けさせる。
ハーマンと過ごしていたキャロラインは、彼が支援するブロードウェイのプロデューサー、スティーヴ・ローリー(ロバート・テイラー)が訪ねて来たために挨拶する。
ショーに出資していることをキャロラインに反対されていたハーマンは、契約書を持ってきたスティーヴに、今回の話はなかったことにしてほしいと伝える。
スティーヴが気に入ったキャロラインは反対したことを否定し、ハーマンは契約書にサインする。
ハーマンとキャロルは競走馬スターが出走することをスティーヴに話し、彼を競馬場に誘う。
競馬場でスターに賭けてスッてしまったピーターとソニーは、20ドルは旅費に使ったために頭を抱える。
一方、800ドルを勝ち馬に儲けたと思っているジョージとニッキは、喜び興奮する。
負けたスターが脚を痛めていたことが分かり、キャロラインに雇われていたソニーは治療をする。
かつて父と共にスターを育てたサリー・リー(エレノア・パウエル)は、ソニーに治療方法について意見するものの、相手にしてもらえない。 ソニーがその場を離れた間にスターに適切な処置をしたサリーは、戻って来た彼を納得させる。 そこに現れたハーマンとキャロラインは、ソニーからスターの脚の具合がよくないことを知らされる。 キャロラインは、責任者のジェームズ・K・ブレイクリー(チャーリー・グレープウィン)からも、スターは数か月はレースは無理だと言われ、治らなければ売却することも考える。 列車に忍び込んだサリーは、ニューヨークに移送されるスターのことを気遣う。 ピーターとソニーに見つかったサリーは、スターのことを気にする理由を訊かれ、父の牧場で生まれ自分が育てが、仕方なく手放したと2人に伝える。 2人と意気投合したサリーは、彼らがかつてショービジネスで活躍したことを知り、共に踊り楽しい時間を過ごす。 サリーの華麗なステップを見て感心したスティーヴは、自分に気づき隠れた彼女に、ハーマンと間違えられる。 そこに現れたキャロラインはソニーと話し、ピーターのことを尋ね、ブレイクリーが雇った助手だと知らされる。 サリーがピーターの妹だと知ったキャロラインは、一応、納得してその場を去る。 スティーヴはサリーに惹かれ、ブロードウェイで仕事を探すと言う彼女にブラウン俳優斡旋所紹介し、そこを知っているソニーに後を任せてキャロラインの元に向かう。 その後、ピアノを弾いていたスティーヴは、様子を見に来たサリーと共に曲を仕上げる。 ニューヨーク、ブラウン俳優斡旋所。 スティーヴは、ブラウンと広報担当のダフィー(ロバート・ベンチリー)と共にショーの配役について話し合い、サリーを推薦するものの、無名の新人だということで反対さる。 ブラウンには会えないものの、芸を見せることを許可されたアリスは、その場でベティに歌わせて、居合わせた人々を驚かせる。 そこにサリーも現れ、ブラウンに会えないため待とうとした彼女は、部屋から出てきたスティーヴに気づき話をする。 スティーヴから住まいを訊かれたサリーは、アリスが経営する役者のための下宿を紹介される。 外でサリーを待っていたピーターとソニーは、ジョージとニッキに見つかってしまい、その場から逃げる。 サリーは、ピーターとソニーの姿が見えないため、スティーヴと共に下宿に向かう。 下宿では、食卓を囲むアリスが、役者たちにプロデューサーのスティーヴがショーの配役を決めていたことを話す。 給仕をする役者(ウィリー・ハワード)は、部屋代が溜まっていることをアリスに責められ、各種のクシャミの仕方を研究する役者(ロバート・ジョン・ワイルドハック)の話を聞く。 そこにスティーヴとサリーが現れ、対応したアリスは、サリーから斡旋所で会ったと言われ、スティーヴに気づき驚く。 アリスから2人を紹介された役者たちは、有名人であるスティーヴを歓迎して握手を求める。 スティーヴとサリーは屋上に向かい、ブロードウェイを眺めながら話をする。 サリーは、新作の主役に抜擢すると言われて戸惑うものの、互いに惹かれ合っていることを確認しながらスティーヴとキスする。 翌日、リハーサル会場に向かったアリスはスティーヴと話し、自分が舞台で活躍したことを知る彼から、カムバックを勧められる。 過去は大切にしまっておきたいと言うアリスは、スティーヴらの前で歌ってみせる。 その後、スターがオークションにかけられ、手に入れようとするサリーは、無理して競り落とそうとする。 それを見ていたスティーヴは心配になり、ハーマンと話をして、ショーの報酬を前借りしてサリーに渡そうとする。 キャロラインは、スターを1750ドルでサリーに売って困らせようと考え、ブレイクリーにそれを指示する。 ソニーを呼んだスティーヴは、馬の代金を払えないサリーのために資金提供することを伝えて、自分からは渡せないと言って1250ドルを預ける。 クジで当たったことにするようにと言われたソニーは、スティーヴが自分と同じくサリーに惹かれていることに気づく。 サリーに現金を渡し感謝されたソニーは、現金は競馬で当てたと言って、自分が調教することを伝える。 ソニーは、スターをチャンピオン馬にする意欲を語る。 脚が完治したスターを手に入れたサリーは、ソニーとピーターに協力してもらい、エサなどを手に入れる。 そこにジョージとニッキが現れ、サリーは、彼らがソニーとピーターに騙されたことを知り事情を訊く。 預かった金を勝ち馬に賭けなかったことを話したソニーは、20ドルを返そうとするものの、ジョージは800ドルでなければ納得しなかった。 サリーは、スターに投資することをジョージに提案して納得させ、サラトガで賞金2万5000ドルの障害レースに出走することを伝える。 しかしジョージは、スターが障害を飛べないことを知り投資をやめようとする。 そこに有名なプロデューサーのスティーヴが現れたために、ジョージは態度を一変して、歌の才能があるニッキを彼に売り込む。 ピーターは、ジョッキーの自分が大柄であるためにスターが飛べないと思い、減量しようとする。 その頃ベティは、憧れの”クラーク・ゲイブル”のこと想いながら、彼にラブレターを書く。 リハーサルを続けるスティーヴは、サリーとの関係も深める。 それを気にするキャロラインは、ハーマンにショーを中止させようとする。 新人を使うのが気に入らないキャロラインは、恋愛までは認めないと言って、サリーを降ろさなければ出資しないことにしてハーマンを納得させる。 自分でショーをやると言うスティーヴだったが、報酬分の1250ドルを前借りしていることを指摘される。 別のスポンサーを探そうとしたスティーヴは、無名の田舎娘のためにショーを諦めることはないと、ダフィーに意見される。 サリーは2人の話を聞いてショックを受け、その場を去ろうとする。 サリーを呼び止めたスティーヴは、役を降りるつもりの彼女から、自分にはスターと善意で資金を提供してくれたソニーがいると言われ、引き止めることができなかった。 その後スティーヴは、出資者を探すものの見つからない。 ショーガールをしていたサリーは、スティーヴから誘われるものの、自分がいなければショーは開けると考え、彼を避ける。 スターのために厩舎からエサを盗んだピーターは、ブレイクリーに見つかりクビになる。 レースのためのスターの調整は順調だったが、ソニーは、サリーとスティーヴの関係がこじれていることを気にする。 ソニーは、レースの賞金2万5000ドルでスティーヴのショーが開けるとサリーに伝える。 ソニーへの報酬が払えないことを気にするサリーは、スターを買う資金を提供したのがスティーヴだったことを知る。 ジョージとニッキにも話をしてあると言われたサリーは、ソニーに感謝する。 ジョージは、ニッキがショーに出られる可能性があるので協力するとサリーに伝える。 そこにピーターが現れ、レースにキャロラインの馬デュボネが出走することをサリーらに知らせる。 レース当日、サリーはジョッキーのピーターとスターに期待する。 出走の直後にスターは出遅れるが、ニッキーの歌で激走して一気に追いつき、デュボネをかわして優勝する。 ブロードウェイ。 主演のサリーは、ソニーと共に華麗に踊る。 ピーターとベティもコミカルな演技を見せ、登場したアリスが歌う。 サリーが主役を務めたショーは成功し、彼女とスティーヴは愛を確かめる。
...全てを見る(結末あり)
かつて舞台に立ったことがあるアリス・クレイトン(ソフィー・タッカー)は、娘のベティ(ジュディ・ガーランド)をスターにしようとしてブラウンとの面会を求める。
スティーヴがプロデュースしてサリーが主演する”ブロードウェイ・メロディ”は初日を迎える。
参考:”Broadway Melody”シリーズ
・「ブロードウェイ・メロディー」(1929)
・「踊るブロードウェイ」(1935)
・「踊る不夜城」(1937)
・「踊るニュウ・ヨーク」(1940)
*(簡略ストーリー)
ブロードウェイのプロデューサーであるスティーヴ・ローリーは、出資者ハーマンの妻キャロラインに気に入られてショーの準備を始める。
キャロラインの競走馬スターを、かつて父と育て仕方なく手放したサリーは、得意のダンスでブロードウェイで仕事を見つけ、スターを買い戻すことを考える。
スターの調教師ソニーと友人ピートに出会ったサリーは、彼らと意気投合する。
サリーのダンスの才能に目をつけたスティーヴは、彼女に惹かれつつ、ショーの主演にしようとするのだが・・・。
__________
”Broadway Melody”シリーズの第3作。
ブロードウェイのプロデューサーと、主演に抜擢されたダンサーとの恋を描くミュージカル。
ロイ・デル・ルースが、「踊るブロードウェイ」(1935)に続き、ロバート・テイラーとエレノア・パウエルと組んだ作品。
ショービジネスの世界に生きる男女の恋と、競走馬をめぐる騒動が並行て展開し、MGM映画らしい大掛かりなセットを使った見事なミュージカル・パフォーマンスと共に、大いに楽しめる内容に仕上がっている。
ブロードウェイのプロデューサーを演ずる主演のロバート・テイラーよりも、圧巻のパフォーマンスでスクリーンを支配するヒロイン役のエレノア・パウエルの方が重要な役柄として描かれている。
特に14分間に及ぶクライマックスのレビューと、ラスト5分間の彼女の見事なタップは、映画史に残るシーンと言っても過言ではない。
また、スターを目指す少女役を演ずるデビュー2作目のジュディ・ガーランドが、MGM作品初出演ということもあり、期待され特別扱いされているため、非常に印象に残る役柄で登場しているのも注目だ。
190cmを超える長身であるにも拘らず競走馬のジョッキーとして活躍し、ダンスも披露してくれるバディ・イブセン、その友人である調教師で、ヒロインに惹かれながら協力し彼女とのパフォーマンスも見せてくれるジョージ・マーフィー、かつて舞台経験もある、役者専用の下宿を経営するソフィー・タッカー、主人公に惹かれヒロインの成功を妨害しようとする富豪夫人ビニー・バーンズ、その夫である富豪で、主人公のショーの出資者レイモンド・ウォルバーン、ショーの広報担当ロバート・ベンチリー、下宿で給仕を手伝う役者のウィリー・ハワード、富豪の競走馬の責任者チャーリー・グレープウィン、床屋のビリー・ギルバート、その甥イゴール・ゴーリン、くしゃみを研究する役者ロバート・ジョン・ワイルドハックなどが共演している。