脚本も兼ねたアンドレス・ハインツの原案を基に、”白鳥の湖”の主役となったバレリーナが”ブラック・スワン”と”ホワイト”の対照的な役を演ずるプレッシャーにより精神的に追い詰められていく姿を描く、監督ダーレン・アロノフスキー、主演は見事にオスカーを受賞したナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー他共演による衝撃のサイコ・スリラー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ダーレン・アロノフスキー
製作総指揮
ジョン・アヴネット
ブラッド・フィッシャー
ピーター・フラックマン
アリ・ハンデル
ジェニファー・ロス
リック・シュウォルツ
タイラー・トンプソン
デヴィッド・スウェイツ
製作
スコット・フランクリン
マイク・メダヴォイ
アーノルド・メッサー
ブライアン・オリヴァー
原案:アンドレス・ハインツ
脚本
マーク・ヘイマン
アンドレス・ハインツ
ジョン・J・マクローリン
撮影:マシュー・リバティーク
編集:アンドリュー・ワイスブラム
音楽
クリント・マンセル
ピョートル・チャイコフスキー”白鳥の湖”
出演
ニナ・セイヤーズ:ナタリー・ポートマン
トマ・ルロワ:ヴァンサン・カッセル
リリー:ミラ・クニス
エリカ・セイヤーズ:バーバラ・ハーシー
ベス・マッキンタイア:ウィノナ・ライダー
デヴィッド・モレー:ベンジャミン・ミルピエ
ヴェロニカ:クセニア・ソロ
ガリナ:クリスティーナ・アナパウ
アンドリュー:セバスチャン・スタン
トム:トビー・ヘミングウェイ
アメリカ 映画
配給 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
2010年製作 108分
公開
北米:2010年12月3日
日本:2011年5月13日
製作費 $13,000,000
北米興行収入 $106,954,680
世界 $329,398,050
■ アカデミー賞 ■
第83回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(ナタリー・ポートマン)
・ノミネート
作品・監督・撮影・編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク・シティ・バレエ団に所属するニナ・セイヤーズ(ナタリー・ポートマン)は、背中にできた傷を気にすることもなく、今日も母エリカ(バーバラ・ハーシー)に送り出される。
フランス人演出家トマ・ルロワ(ヴァンサン・カッセル)は、今シーズンを、”白鳥の湖”でスタートさせることを告げ、ニナは”スワン・クイーン”の候補に選ばれる。
その後ニナは、楽屋で荒れているベテランのプリマドンナ、ベス・マッキンタイア(ウィノナ・ライダー)が、主役を下ろされたことを知る。
オーディションは始まり、トマは、生真面目で気弱なニナが、邪悪な”ブラック・スワン”を演じられるかを試すものの満足いかない。
それにショックを受けるニナは、サンフランシスコから来たリリー(ミラ・クニス)の存在を気にしながらの帰り道、すれ違った女性が自分に見える。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク・シティ・バレエ団に所属するニナ・セイヤーズは、自分の夢が果たせずに、それの実現のため娘を溺愛する母エリカと暮らしていた。
新シーズンを迎え、オープニングが”白鳥の湖”と決まり、衰えが隠せないベテランのプリマドンナ、ベスに代わる”スワン・クイーン”の選考が始まる。
演出家トマは、才能はあるが気弱で感情表現に乏しいニナを主役にするかを迷う。
トマは、ニナの不足した面を補おうと巧みに牽制し、そして彼女を”スワン・クイーン”に選ぶ。
しかしニナは、その大役のプレッシャーと新たに加入したリリーの存在を気にしながら、不安を抱えて稽古を続ける。
そんなニナは、必要以上に自分に期待をかける、母エリカとの関係などにも悩み追い詰めら、幻覚や妄想に襲われ、精神的限界に達してしまう・・・。
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バレリーナが怯える恐怖が、殺人鬼などの外的な攻撃に対してでなはく、役に対する自分の才能の欠陥によるプレッシャー、ライバルへの不信感が原因だったという、文字で書くと平凡に思える物語が、予想もしないショットの連続により観る者を恐怖に陥れ画面に引き込まれていく。
脚本よりも、細かなカットでその展開を巧みに映し出す編集が素晴らしく、ダーレン・アロノフスキーの、バレエのストーリーと主人公の運命が一体化するクライマックスの演出などは圧巻だ。
室内撮影が殆どの中で、本物を映し出す丁寧なカメラワークも素晴らしい。
第83回アカデミー賞では、主演女優賞(ナタリー・
ポートマン)を受賞した。
・ノミネート
作品・監督・撮影・編集賞
1300万ドルの製作費で、興行収入は北米のみで1億ドルを突破し、全世界では約3億2900万ドルの大ヒットとなり、観客、批評家などから高い評価を受けた。
ダンス・ダブルの論争で話題にもなった、主演のナタリー・ポートマンは、1年の集中トレーニングを受けて挑んだ役者魂を感じる意欲作でもある。
1年で、トップダンサーになれないことは言うまでもないが、そんなことをとやかくいう議論が必要ではないことを証明した彼女の演技は秀逸だ。
ラストでの”感じる・・・、完璧だと”というセリフを、誰しもが彼女自身の演技に対して返したいと思ったであろう見事な演技だった。
主人公を誘惑しているように見せかけ、その才能を見事に引き出し、一流の演出家としての存在を示すヴァンサン・カッセル、魔性の女的な雰囲気にも描かれている、主人公とは対照的である奔放な性格のダンサー、ミラ・クニス、主人公である娘を溺愛する母親を、実力派らしく見事に演ずるバーバラ・ハーシー、ベテランのプリマドンナ役のウィノナ・ライダー、バレエで”プリンス”を演ずるベンジャミン・ミルピエ、群舞のダンサー、クセニア・ソロ、クリスティーナ・アナパウ等が共演している。