ハリー・カーニッツとマルセル・アシャールの戯曲の映画化で、同年公開された「ピンクの豹」(1964)で準主役として登場して好評だったキャラクター”ジャック・クルーゾー警部”を主役にしたコメディ。 パリ警視庁のジャック・クルーゾー警部が巻き起こす騒動を描く、製作、監督、脚本ブレイク・エドワーズ、主演ピーター・セラーズ、エルケ・ソマー、ジョージ・サンダース、ハーバート・ロム他共演のコメディ。 |
・コメディ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ブレイク・エドワーズ
製作:ブレイク・エドワーズ
原作
ハリー・カーニッツ
マルセル・アシャール
脚本
ブレイク・エドワーズ
ウィリアム・ピーター・ブラッティ
撮影:クリストファー・チャリス
編集
ラルフ・E・ウィンターズ
バート・ベイツ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演
ジャック・クルーゾー警部:ピーター・セラーズ
マリア・ガンブレリ:エルケ・ソマー
ベンジャミン・バロン:ジョージ・サンダース
シャルル・ドレフュス警視:ハーバート・ロム
カトー:バート・クウォーク
エルキュール刑事:グレアム・スターク
ドミニク・バロン:トーレーシー・リード
フランソワ刑事:アンドレ・マランヌ
アンリ・ラファージュ:ダグラス・ウィルマー
ジョルジュ:デヴィッド・ロッジ
イギリス/アメリカ 映画
配給
ユナイテッド・アーティスツ
The Mirisch Company
1964年製作 102分
公開
北米:1964年6月23日
日本:1965年2月13日
北米興行収入 $12,368,230
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
パリ。
富豪ベンジャミン・バロン(ジョージ・サンダース)邸で、運転手の銃殺事件が起きる。
パリ警視庁。
シャルル・ドレフュス警視(ハーバート・ロム)は、その現場、にジャック・クルーゾー警部(ピーター・セラーズ)を手違いで派遣してしまったことを知り天を仰ぐ。
助手のエルキュール刑事(グレアム・スターク)を連れ、現場に向かったクルーゾーは、バロンに挨拶して、早速、執事頭アンリ(ダグラス・ウィルマー)の案内で死体のある部屋に向かう。
使用人の証言で、被害者が死亡した際、一緒に部屋にいたメイドのマリア・ガンブレリ(エルケ・ソマー)が疑われていた。
しかし、マリアの美しさに魅了されたクルーゾーは、彼女をかばってしまう。 マリアに近づく口実のような尋問を始めたクルーゾーは、彼女を落ち着かせようとタバコを差し出し、火の点いたままのライターをコートにしまい、それが燃え始めて慌ててしまう。 クルーゾーは、そこに現れたドレフュスがドアを開けた反動で、ベランダから落ちてしまう。 そしてクルーゾーは担当を外され、ドレフュスが後を引き継ぐが、バロンはそれを知り残念に思う。 その後、上層部の支持で、ドレフュスはクルーゾーを事件捜査に復帰させることになる。 マリアが、運転手を殺したに違いないというエルキュールの意見に対し、クルーゾーは、彼女が誰かをかばっていると主張する。 そしてクルーゾーは、緊張しながらマリアを取り調べる準備を始め、知らぬ間に自分のオフィスに現れた彼女に驚いてしまう。 ドジを踏みながら、マリアを尋問したクルーゾーは、彼女を釈放して泳がせ、かばっている人物を突き止めようとする。 事件の夜、バロンがマリアの部屋から出てきたのを目撃した庭師ジョルジュ(デヴィッド・ロッジ)がバロンを強請る。 メイドに復帰していた、マリアを監視していたクルーゾーだったが、彼女が温室で庭師の死体の横に、血だらけの鋏を持って立っているのを見つける。 それでもクルーゾーは、完璧にアリバイのある屋敷の人間の中に犯人がいると言い張り、誰が見てもマリアが犯人だと言う意見を退けてしまう。 再び逮捕されたマリアを、またしてもクルーゾーが釈放してしまったことを知ったドレフュスは呆れてしまう。 バロンを訪ねたクルーゾーは、外出するバロン夫人ドミニク(トーレーシー・リード)をエルキュールに尾行させて、バロンが運転手殺しの犯人だという仮説を本人に伝える。 エルキュールから連絡を受けたクルーゾーは、ドミニクに会おうとするが、彼女は音楽会に出席していただけで、会場に押し入ろうとしたクルーゾーは、池に転落してしまう。 屋敷内のバロンやマリアを監視するも、その度に侵入者と間違われて連行されてしまうクルーゾーに、ドレフュスは頭を痛める。 マリアを追い、キャンプ場に向かったクルーゾーだったが、そこがヌーディスト村だと知り、仕方なく服を脱ぎ彼女を捜す。 ドレフュスは、キャンプ場で殺人があったという連絡を受けて急行するが、殺されたのがクルーゾーであるように願ってしまう。 クルーゾーはマリアを見つけるが、またもや彼女の前でバロン邸の使用人が死んでいることを知り、彼女を連れて逃走する。 バロン邸に向かったドレフュスは、執事頭のアンリが殺されているのを発見する。 市内の渋滞に巻き込まれた全裸のクルーゾーとマリアは、警察に連行されてしまい、クルーゾーは捜査から外され左遷されてしまう。 クルーゾーを捜査の担当者にさせた大物はバロンで、マリアと関係していたため、彼女の犯した罪が知られないように、わざと無能なクルーゾーに捜査をさせたのだとドレフュスは推理する。 しかし、ドレフュスの助手のフランソワ刑事(アンドレ・マランヌ)は、クルーゾーが正しければ、バロン自身が犯人の可能性があり、そうなると、ドレフュスの身の破滅にもつながることを指摘する。 精神科にかかるほどの状態になりながら、ドレフュスは、仕方なくクルーゾーを現場に復帰させ、そして、彼は再びマリアを釈放させてしまう。 マリアと食事などを楽しむクルーゾーは、何者かに命を狙われるが、その銃弾は、ことごとく彼を外れてしまう。 親密になったクルーゾーとマリアは、彼の部屋で一夜を過ごそうとするが、クルーゾーは、玄関に届けられた爆弾を時計と間違えマリアのいるベッドに戻る。 使用人のカトー(バート・クウォーク)に、空手のトレーニングのつもりで襲われてしまったクルーゾーは彼を倒すが、その時、爆弾が爆発する。 クルーゾーは助かるが、その爆発で犠牲者が出て、バロン邸と合わせ8人の死者となってしまう。 怒り狂うドレフュスだったが、クルーゾーはその夜、確実に犯人を捕まえる秘策を考えていた。 そして、バロンの屋敷の全員を集めたクルーゾーは、ドジを繰り返しながら自分の推理を語り始める。 やがて、その場にいた者達が、各々の浮気や殺人の罪を暴露し始めて大騒動になる。 クルーゾーのせいで、精神錯乱状態のドレフュスは、彼を抹殺しようと車に爆弾を仕掛ける。 クルーゾーに指示されたとおり、屋敷の電気を消したエルキュールだったが、屋敷内の人々は取り乱して、その場を去ってしまう。 爆弾は爆発し、またもや6人もの犠牲者を出してしまったドレフュスは、異常者のようにクルーゾーに言い寄る。 クルーゾーは、5人の殺人犯と1人の脅迫犯が犠牲になったのだとドレフュスを説得する。 そして、屋敷からはマリアが現れクルーゾーに歩み寄るが、その2人にカトーが襲い掛かる。
...全てを見る(結末あり)
参考:
・「ピンクの豹」(1963)
・「暗闇でドッキリ」(1964)
・「ピンク・パンサー2」(1975)
・「ピンク・パンサー3」(1976)
・「ピンク・パンサー4」(1978)
・「ピンク・パンサーX」(1982)
・「ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ」(1983)
・「ピンク・パンサーの息子」(1993)
・「ピンクパンサー」(2006)
・「ピンク・パンサー2」(2009)
*(簡略ストー リー)
パリ。
富豪バロン邸で、運転手の銃殺事件が起きる。
パリ警視庁のドレフュス警視は、手違いでジャック・クルーゾー警部を派遣してしまう。
バロンに挨拶したクルーゾーは、被害者の死亡時に一緒に部屋にいた、メイドのマリアが疑われていたことを知ったクルーゾーだったが、彼女のあまりの美しさに魅了されてしまう。
現場に現れたドレフュスは、直ちにクルーゾーを担当から外すが、上層部の要請で、再び彼は捜査に復帰する。
その後クルーゾーは、マリアが誰かをかばっていると考え捜査を進める。
そんな時、マリアが温室で、庭師の死体の横に血だらけの鋏を持って立っている現場を見てしまう。
誰もが見ても、マリアが犯人であるという状況下で、それでもクルーゾーは、逮捕された彼女を釈放してしまう・・・。
__________
クルーゾー以外の登場人物に、前作とのつながりはなく、続編とは言えない作品でもある。
実際には、1975年に「ピンク・パンサー2」が登場して、ピンクパンサーのシリーズが誕生したと言った方が正しい。
当然、ヘンリー・マンシーニの”ピンク・パンサーのテーマ”も登場しないが、本作の彼のテーマ曲も、なかなか魅力的だ。
どこまでも、クルーゾーにドジを踏ませようとする、笑いのツボを押さえた、ブレイク・エドワーズの軽快な演出は冴え渡る。
「ピンクの豹」(1964)でクルーゾー役を予定していた、ピーター・ユスティノフの撮影直前の交番で得た役を、生涯の当たり役にしたピーター・セラーズの抱腹絶倒の名演は出色で、脂の乗り切っているこの時代に、シリーズ化されなかったのがやや残念だ。
キュートな魅力が印象的な、事件の容疑者エルケ・ソマー、「ピンクの豹」のデヴィッド・ニーヴン同様、深みのある演技でドラマを引き締める、貫禄のジョージ・サンダース、クルーゾーの行動に頭を痛め、殺意まで抱く上司ハーバート・ロム、クルーゾーの使用人にして謎の東洋人バート・クウォーク、クルーゾーに呆れながらも協力する助手役のグレアム・スターク、バロン夫人トーレーシー・リードなどが共演している。