2000年に発表され、全世界で4000万部の大ベストセラーとなった、ダン・ブラウンの同名小説の映画化であり、大ヒットした「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)の続編。 ローマ教皇選挙(コンクラーヴェ)の最中のヴァチカンを舞台に、教皇庁と秘密結社”イルミナティ”の400年に渡る対立の中で起きる陰謀に立ち向かう宗教象徴学者ロバート・ラングドンの活躍を描く、製作ブライアン・グレイザー、監督ロン・ハワード、主演トム・ハンクス、アイェレット・ゾラー、ユアン・マクレガー、ステラン・スカルスガルド、アーミン・ミューラー=スタール他共演のサスペン超大作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロン・ハワード
製作総指揮
トッド・ハロウェル
ダン・ブラウン
製作
ブライアン・グレイザー
ジョン・コーリー
原作:ダン・ブラウン
脚本
アキヴァ・ゴールズマン
デヴィッド・コープ
撮影:サルヴァトーレ・トチノ
編集
ダニエル・P・ハン
マイク・ヒル
音楽:ハンス・ジマー
出演
ロバート・ラングドン:トム・ハンクス
ビットリア・ヴェトラ:アイェレット・ゾラー
カメルレンゴ/パトリック・マッケナ:ユアン・マクレガー
マクシミリアン・リクター:ステラン・スカルスガルド
シュトラウス枢機卿:アーミン・ミューラー=スタール
アーネストロ・オリヴェッティ:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
シャルトラン:トゥーレ・リントハート
暗殺者:ニコライ・リー・カース
バッジア枢機卿:マルコ・フィオリーニ
ベック枢機卿:ランス・ハワード
ペトロフ枢機卿:エリヤ・バスキン
コルバート枢機卿:スティーヴ・フランケン
クラウディオ・ヴィンチェンツィ:デヴィッド・パスクエジ
シメオン神父:コシモ・ファスコ
シルヴァーノ・ベンティヴォリオ神父:カーメン・アルジェンツィアノ
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2009年製作 138分
公開
北米:2009年5月15日
日本:2009年5月15日
製作費 $150,000,000
北米興行収入 $133,375,850
世界 $485,930,820
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
カトリック教会の総本山、ヴァチカンでローマ教皇の逝去が発表される。
その頃、スイスのジュネーブのCERN(ヨーロッパ原子核研究機構)では、大型ハドロン衝突型加速器で、驚くべきエネルギーを持つ”反物質”生成に成功する。
実験チームの生物物理学者ビットリア・ヴェトラ(アイェレット・ゾラー)は、その瞬間を見守っていた科学者であるシルヴァーノ・ベンティヴォリオ神父(カーメン・アルジェンツィアノ)が殺害され、”反物質”が盗みだされたことを知る。
ハーバード大学の宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は、訪れたヴァチカン警察の警官クラウディオ・ヴィンチェンツィ(デヴィッド・パスクエジ)から、アンビグラム(対称形)にデザインされた”イルミナティ”のトレードマークを見せられ、協力を求められる。 秘密結社”イルミナティ”は、 4人の教皇有力候補を拉致し、順番に殺していくとの犯行予告声明を送りつけてきていたのだった。 延期されていた教皇選挙”コンクラーヴェ”が始まろうとしていた頃、ラングドンはヴァチカンに到着し、ヴァチカン警察のアーネストロ・オリヴェッティ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)の元に案内される。 スイス衛兵隊本部。 ヴェトラがヴァチカンに呼ばれた理由は、”イルミナティ”からの新たな脅迫で、反物質を使ったヴァチカン爆破予告が届いていたからだった。 大惨事になる危険性をリクターに説明するヴェトラの話と犯行予告声明を聞いたラングドンは、見解を語り始める。 ”イルミナティ”は、”土、空気、火、水”の科学の四大元素をデザインした印を胸に焼き付ける儀式後に、4人の枢機卿を夜の8時から1時間ごとに殺害して、その後に、ヴァチカン自体を強力な破壊力を持つ反物質で爆破消滅させようとしていたのだ。 17世紀、カトリック教会の総本山ヴァチカンは、神の存在を脅かす科学者達を弾圧したため、ガリレオ・ガリレイを中心とする科学者達は、秘密結社”イルミナティ”を結成して密かに活動したのだった。 ラングドンは、”イルミナティ”が400年の沈黙を破り、ヴァチカンへの復讐を開始しようとしていることなどをリクターらに説明する。 4人の枢機卿が、別々の場所で殺害されるだろうと考えるラングドンは、その入り口を探すために記録保管所に入ろうとする。 しかし、それには複雑な許可が必要で、ラングドンらはそれを得るために、教皇空席の場合の代理となる秘書長”カメルレンゴ”/パトリック・マッケナ(ユアン・マクレガー)の元に向かう。 ”カメルレンゴ”マッケナとの面会で許可を得たラングドンは、反物質の捜査が始まる中、ヴェトラと共にオリヴェッティに連れられ記録保管所に入る。 ”イルミナティ”の爆破脅迫を受けて、マッケナは枢機卿達のヴァチカンからの退避を提案する。 しかし、シュトラウス枢機卿(アーミン・ミューラー=スタール)はコンクラーヴェを優先させることを主張し、システィーナ礼拝堂に枢機卿達を招集する。 シュトラウス枢機卿の指示に従ったマッケナは、システィーナ礼拝堂のドアを封印する。 ● PM:7時25分。 スイス衛兵隊のシャルトラン(トゥーレ・リントハート)の監視下で、ヴェトラと共に保管所に入ったラングドンは、謎を解く鍵となるガリレオの裁判記録を探す。 ”真実の図表”という書籍を見つけた二人だったが、最初の犯行時刻が迫る。 ヴェトラはラングドンが気にするページを破り取り、二人は保管所を出て目的地の解明を急ぐ。 二人が保管所の書籍のページを破り奪ったことを知ったオリヴェッティは驚き、ラングドンは、最初の導きが”ラファエロの墓”だと気づく。 オリヴェッティが墓のあるパンテオン付近に急行すると、そこにリクターらも到着する。 パンテオンの内部を調べたラングドンとヴェトラは、ラファエロの墓がそこに移されたのが、”真実の図表”の書かれた1世紀後の1759年だと気づく。 目的地が、ラファエロが作った墓だと気づいたラングドンは、”ポポロ広場”にある”聖マリア・デル・ポポロ教会”、”キージ礼拝堂”に向かう。 8時丁度に現場に着いたラングドンらは、”キージ礼拝堂”の地下で、”土”の焼印を付けられた枢機卿の遺体を発見する。 次の場所が、”ベルニーニ”の彫刻”ハバククと天使”が指差す、南西方向の教会だとラングドンは気づくものの、その方向の”サン・ピエトロ大聖堂”まで教会はなかった。 ベルニーニが”サン・ピエトロ広場”を建設したことに気づいたラングドンらは、最初のコンクラーヴェが流れマスコミや民衆が押し寄せている現場に向かう。 ● PM:8時58分、サン・ピエトロ広場。 到着したラングドンとヴェトラは、”空気”を表現する彫刻を探し始める。 そして、ラングドンが床面に彫られた手掛かりの彫刻を見つけて、時刻が9時となったと同時に、”空気”の焼印が押された二人目の枢機卿が、群集の中で血まみれで発見される。 息のあった枢機卿に、人工呼吸をしたヴェトラだったが、彼の肺は穿刺されていて、ラングドンは噴出した鮮血を浴びてしまう。 枢機卿の傍から、教皇は自分達の手で暗殺したという声明文が発見される。 それを発表させて混乱を巻き起こそうとするのが目的かと考えるマッケナだったが、シュトラウス枢機卿が全てを隠すよう指示を出していたことを知る。 二度目の選挙でも教皇は決まらず、ラングドンはシャルトランに監視されながら再び保管所に向かい、美術品を調べるために”ヴァチカン銀行”内に入る。 ● PM:9時30分、 カメルレンゴ執務室。 CERNで殺された科学者シルヴァーノ神父の日記を調べていたヴェトラは、”ヘパリン”を注射器で投与していた教皇が、それを過剰摂取させられていた可能性が考えるマッケナと共に、ある場所に向かう。 その頃ラングドンは、酸素濃度を調整している保管所の中で、シャルトランの協力を得て、文献の”火”の関する記述を調べる。 その時、電源が切られたためにシャルトランと共に閉じ込められ、内部の酸素濃度が低下してしまう。 カトリックの大司教のアイルランド訪問に反対するテロで両親を亡くしたマッケナは、責任を感じた大司教に養子として育てられたことをヴェトラに話す。 聖職と共に兵役に就きたいという希望があったマッケナは、空軍に入隊してヘリコプターを操縦して負傷者を病院に運んだことも語る。 マッケナは、偉大であった”父”(教皇)は14日前に亡くなったと話す。 書棚を倒したラングドンは、意識を失ったシャルトランの拳銃でガラスを銃撃する。 ひびが入ったガラスは割れてラングトンは脱出し、その瞬間に電力が回復する。 ● PM:9時37分、 ヴァチカン地下墓。 外部から教皇に近づくことは不可能であり、暗殺されたのならば内部の者の犯行の可能性が高まってくる。 ヴェトラを案内したマッケナは教皇の棺の前で祈りを捧げ、遺体を確認する。 マッケナは、ヴェトラが指摘した通りの症状を見て、”ヘパリン”の過剰摂取が教皇の死因であることを確信する。 三人目の枢機卿が”聖マリア・デッラ・ヴィットリア教会”にいることを知ったラングドンは、オリヴェッティらと共に現場に向かう。 衛兵隊は部分的にヴァチカンの電源を切っていたのだが、保管所の電源の件を偶然だとは思わないラングドンは、”イルミナティ”が衛兵隊に潜入していると考える。 カメルレンゴの執務室に戻ったヴェトラは、シルヴァーノの日記が盗まれたことに気づく。 規約を破りコンクラーヴェが行われているシスティーナ礼拝堂に入ったマッケナは、枢機卿達に緊急事態を伝える。 ”イルミナティ”が、”戦争”を仕掛けてきたことを伝えたマッケナは、内部の者が教皇を殺害したことを伝える。 更にマッケナは、宗教と科学について、そして秘密主義を排除しなくてはならないことを説く。 そしてマッケナは、コンクラーヴェを中止し、世界中に今回のことを発表することを枢機卿達に要望する。 ● PM:9時58分、 聖マリア・デッラ・ヴィットリア教会。 炎の上に宙吊りにされた枢機卿を救おうとしたラングドンらを、待ち構えていた暗殺者(ニコライ・リー・カース)が襲い、警察官らは次々と射殺されてオリヴェッティも殺害される。 枢機卿を救えなかったラングドンは、襲い掛かる暗殺者から身を隠す。 コンクラーヴェを続けることをマッケナに伝えたシュトラウス枢機卿は、”反物質”の発見に全力を尽くすよう指示する。 しかし、4人の枢機卿がいないままコンクラーヴェを続けても、教皇を決めることが出来ないのは明らかであり、シュトラウスは、自分が大選皇枢機卿を降りた場合には教皇になる可能性があるとシメオン神父(コシモ・ファスコ)から言われる。 それが神の考えであるなら従うことを、シュトラウスはシメオンに伝える。 リクターが手に入れたシルヴァーノの日記を、ヴェトラは取り戻そうとする。 しかし、リクターは、事件の証拠物件として、それを押収する権利を主張する。 教会の地下に逃れ救出されていたラングドンは、ベルニーニの”聖テレジアの法悦”の彫刻を手掛かりに、”ナヴォーナ広場”の噴水が4番目の犯行現場だと気づく。 リクターからヴァチカンに戻るようにという連絡を受けたラングドンだったが、それを無視した彼は、警官を説得して現場に向かう。 ● PM:10時55分、 ナヴォーナ広場、”四大河の噴水”。 広場に着いたラングドンは、その前にバンが止まったことを確認して、車は入れない場所であったため、警官は不審に思う。 バンに近づいてきた警官を、周囲に気づかれないまま暗殺者が殺害する。 離れてその様子を見ていたラングドンは、暗殺者が噴水にバッジア枢機卿(マルコ・フィオリーニ)を投げ入れるのを目撃する。 バンは走り去り、噴水に向かったラングドンは、周囲の人々の協力を得て、重りを付けられたバッジア枢機卿を水中から救い出すことに成功する。 ラングドンは、枢機卿が捕らえられていたのが”カステル・サンタンジェロ”だということを知る。 ● PM:11時19分、 カステル・サンタンジェロ。 ラングドンと合流したヴェトラは、日記帳を返さないリクターが何かを隠していることを伝える。 城は400年前に”イルミナティ”の密会所であり、ヴァチカンはそこを避難所と牢獄に使っていた。 彫刻の天使の矢が指す場所をたどると、そこには”四大河の噴水”に止まっていたバンがあった。 ラングドンとヴェトラは、枢機卿達が囚われていた場所とヴァチカンまでの脱出通路を見つける。 啓示の教会にたどり着き”反物質”の容器を探し出そうとする二人だったが、5人目の犠牲者がいることが分かり、それがマッケナであることを知る。 そこに、一連の犯行の報酬の入金をメールで確認した暗殺者が現れ、二人に銃口を向ける。 ラングドンらの抹殺は依頼されていなかった暗殺者は、そのままその場を立ち去る。 コンクラーヴェを中止させて枢機卿達を強制的に避難させる指示を出すマッケナだったが、リクターがそれを阻止しようとする。 その頃、ラングドンとヴェトラは、秘密の通路を抜けて”サン・ピエトロ大聖堂”に向かう。 用意された車に乗りローマを脱出しようとする暗殺者は、爆殺される。 ”サン・ピエトロ大聖堂”に着いたラングドンとヴェトラは、シャルトランにカメルレンゴの命が危ないことを伝える。 カメルレンゴの執務室に押し入った衛兵隊員は、リヒターが犯人だと言うマッケナの声で彼を銃撃する。 そこに押し入ってきたシメオン神父に襲われたマッケナは、彼が”イルミナティ”だと言って叫ぶ。 シメオンは衛兵隊員に射殺される。 瀕死のリヒターは、握っていた鍵をラングドンに渡しながら息を引き取る。 ラングドンは鍵を受け取り、マッケナの胸に焼き付けられていた5番目の刻印から、初代教皇とみなされているペテロの墓の上に立つ、サン・ピエトロ大聖堂の地下に”反物質”が隠されていることを確信する。 ● PM:11時51分、 ネクロポリス。 マッケナの案内で”反物質”を見つけたラングドンとヴェトラだったが、寒さのためにバッテリーの消耗が激しく、爆破の残り時間が短縮されたかもしれないことに気づく。 それを知ったマッケナは、”反物質”を手にしてその場から走り去る。 ● PM:11時57分、 サン・ピエトロ広場。 自ら操縦するヘリコプターで上空に上昇したマッケナは、安全な高度で”反物質”を爆破させる。 凄まじい閃光と爆風がサン・ピエトロ広場の民衆を襲い、やがて、脱出したカメルレンゴがパラシュートで降下してくる。 民衆は、奇跡を起こしたマッケナに歓喜して彼を称える。 行き詰っていたコンクラーヴェの席では、マッケナを教皇に選ぼうとする異例の措置が検討される。 シュトラウス枢機卿はそれに反対するのだが、既に大選皇枢機卿を降りていた彼に投票の主導権はなく、枢機卿達はマッケナをシスティーナ礼拝堂に呼び寄せる。 ラングドンとヴェトラは事件は解決としたと考えるが、彼女がリヒターのオフィスの机から日記を取り出すと、机の中からモニターが現れる。 殺害されたことが判明していた教皇の執務室には、新たに監視カメラが設置されていて、リクターが射殺されていた時に握っていた鍵は、監視モニターを見るためのものだった。 ビデオを再生したラングドンとヴェトラは、前教皇を殺害し”イルミナティ”の復活を装い、自らの手で刻印を胸に焼き付ける黒幕マッケナの策略を知る。 それに気づいたリヒターは日記をシメオン神父に見せて、マッケナを追求している時に、押し入ってきた衛兵隊員に神父と共に射殺されたのだった。 ラングドンは、そのビデオをシュトラウス枢機卿に見せる。 システィーナ礼拝堂に呼ばれたマッケナは、教皇に選出される期待を胸に礼拝堂に入る。 枢機卿達や衛兵隊員の眼差しで、全てが明らかになったことを察したマッケナはその場を去る。 自ら油を浴びたマッケナはロウソクの火を点け、炎に包まれて命を絶つ。 翌日、システィーナ礼拝堂から白い煙が上がり、新教皇が決まったことが全世界に知らされる。 一連の事件の詳細は公には伏せられ、カメルレンゴのマッケナは、脱出時の内臓損傷で死亡したと伝えられる。 ラングドンは、宗教や人間は、自分も含め不完全だと言うシュトラウス枢機卿から、遺書に返還することを記述するという条件で、保管所でヴェトラがページを破ってしまった”真実の図表”を渡される。 ラングドンが、”四大河の噴水”で助けたバッジア枢機卿が新教皇に選出され、科学と宗教を融合したとも言える医師でもあった”ルカ”の名前をとって命名される。 シュトラウス枢機卿はラングドンに、神が遣わしてくれたと言って彼に感謝を述べる。 信心深くないラングドンはそれを否定するが、シュトラウス枢機卿は、神の御業だと伝える。
...全てを見る(結末あり)
ラングドンは、先に到着していたヴェトラ博士と共に、司令官マクシミリアン・リクター(ステラン・スカルスガルド)と面会する。
参考:
・「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)
・「天使と悪魔」(2009)
・「インフェルノ」(2016)
*(簡略ストー リー)
ヴァチカンで、ローマ教皇の逝去が発表される。
同じ頃、ジュネーブのCERN(ヨーロッパ原子核研究機構)では、驚くべきエネルギーを持つ”反物質”が何者かに盗まれる。
ハーバード大学の宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授は、4人の教皇有力候補を拉致して順番に殺すという、秘密結社”イルミナティ”の犯行予告声明を受けていたヴァチカン警察から協力を要請される。
過去のヴァチカンとの関係から、それを躊躇したラングドンだったが、重大事件ということでそれを受け入れる。
ラングドンは、”反物質”の実験チームの科学者ヴェトラ博士、スイス衛兵隊司令官のリクターらと共に、”イルミナティ”のヴァチカン爆破計画も絡んだ拉致事件を解決しようとするのだが・・・。
__________
同じ原作で、世界中で大きな物議を呼んだ「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)の続編ではあるが、時代設定はそれ以前に戻っている。
監督ロン・ハワードを含めて、スタッフの殆どが前作から引き続き担当している。
しかし、興行的には期待を裏切り、前作を大きく下回る結果に終わった。
北米 $133,375,850 世界 $485,930,820
*「ダ・ヴィンチ・コード」(2006)世界 $758,239,850
前作の「ダ・ヴィンチ・コード」では、主人公のラングドンの”うんちく”の連続に頭がついていけない感じがあった。
今回は、舞台はヴァチカンとローマ市内に限定されるものの、カトリック信者10億人の総本山ヴァチカンの威厳が壮大なスケールで迫る。
コンクラーヴェなどを含め、普段あまり知られないヴァチカンの様子や仕組みなどが、緻密に描写されているところが実に興味深い。
荒唐無稽と言えばそれまでだが、娯楽に徹する終盤のスピード感とどんでん返し、更にはドラマチックな新教皇誕生までの展開は、前作を凌ぐ見応え十分な内容で、リアリズムを追求しつつも娯楽に徹する、人々の心を捉えるロン・ハワードの演出手腕は相変わらず冴えている。
怪しい人物のオンパレードでドラマを盛り上げる、ご都合主義もここまで徹底すれば許せるかというところもあるが、いくら軍務暦があるとはいえ、教皇の側近がヘリコプターを操縦し、天使のように真っ白なパラシュートで脱出するとは・・・
と思いつつも、見入ってしまう巧みな演出も楽しめる。
ハンス・ジマーの音楽は、挿入曲がやや多過ぎるような気はするものの、お馴染みのテーマ曲がドラマを大いに盛り上げる。
ローマ市内の名所巡りのような謎解きも面白味があり、特撮を駆使したサン・ピエトロ広場及びサン・ピエトロ大聖堂、また、システィーナ礼拝堂等の映像やセットなどの出来栄えも見事だ。
主演のトム・ハンクスは意図的に押さえ気味なのか、大スターの貫禄を前面に出しているだけという印象で、どうも最近の作品を含め、深みを感じないところが気になる。
「ミュンヘン」(2005)で主人公の妻を好演したアイェレット・ゾラーは、行動力あるエリート科学者を熱演し、終盤で一気にドラマの中心人物になる”カメルレンゴ”のユアン・マクレガーの存在は興味深いキャラクターだ。
ヴァチカンのスイス衛兵隊指揮官のステラン・スカルスガルド、枢機卿のリーダー、アーミン・ミューラー=スタール、ヴァチカン警察のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、スイス衛兵隊員のトゥーレ・リントハート、問答無用の暗殺者ニコライ・リー・カース、拉致されるものの主人公に救出されて新教皇となる枢機卿のマルコ・フィオリーニ、枢機卿のランス・ハワード、エリヤ・バスキン、スティーヴ・フランケン、ヴァチカン警察の警官デヴィッド・パスクエジ、陰謀を知る神父コシモ・ファスコ、冒頭で殺害されるCERN(ヨーロッパ原子核研究機構)の化学者である神父カーメン・アルジェンツィアノなどが共演している。