アメリカ南部の殺人事件に遭遇した優秀な黒人警官と偏見と事件の解決責任の狭間で苦悩する警察署長の葛藤と友情を描く、監督ノーマン・ジュイソン、主演シドニー・ポワティエ、ロッド・スタイガー、ウォーレン・オーツ、リー・グラント共演による社会派サスペンスの傑作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ノーマン・ジュイソン
製作:ウォルター・ミリッシュ
原作:ジョン・ボール
脚本:スターリング・シリファント
撮影:ハスケル・ウェクスラー
編集:ハル・アシュビー
音楽:クインシー・ジョーンズ
主題歌:レイ・チャールズ
出演
ヴァージル・ティッブス:シドニー・ポワティエ
ビル・ギレスピー:ロッド・スタイガー
サム・ウッド:ウォーレン・オーツ
レズリー・コルバート:リー・グラント
エリック・エンディコット:ラリー・ゲイツ
ママ・カリーバ:ビア・リチャーズ
ラルフ・ヘンショー:アンソニー・ジェイムス
ジョージ・コートニー:ピーター・ホイットニー
ロイド・パーディ:ジェームズ・パターソン
ウェッブ・スクーバート町長:ウィリアム・スカーレット
ハーヴェイ・オバースト:スコット・ウィルソン
デロレス・パーディ:クエンティン・ディーン
パッキー・ハリソン:マット・クラーク
アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1967年製作 109分
公開
北米:1967年8月2日
日本:1967年10月
製作費 $2,000,000
■ アカデミー賞 ■
第40回アカデミー賞
・受賞
作品
主演男優(ロッド・スタイガー)
脚色・編集・録音賞
・ノミネート
監督・音響編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ミシシッピ州、スパルタ。
暑い夏の夜、地元警察のサム・ウッド(ウォーレン・オーツ)は、夜のパトロール中、町の実業家フィリップ・コルバートの死体を発見する。
サムの連絡で、署長のビル・ギレスピー(ロッド・スタイガー)は、早速、捜査を始める。
ギレスピーの指示で駅に向かったサムは、乗り継ぎのため、たまたま列車待ちをしていたヴァージル・ティッブス(シドニー・ポワティエ)という、身なりが良く大金を持っていた黒人男性を見つけ、警察署に連行してしまう。
警察署では、ギレスピーを含めティッブスを偏見の目で見て、彼が犯人と決め付けてしまう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
南部の田舎町で実業家が殺害される事件が起きる。
その町の駅に、たまたま居合わせた警官ヴァージル・ティッブスは、黒人で大金を持っていたという理由だけで逮捕されてしまう。
その後、警察署長のビル・ギレスピーは、連行されたティッブスが、優秀な警官だということを知る。
殺人事件の経験もないギレスピーは、一応ティッブスの経歴などを認めた上で捜査協力を要請する。
仕方なくそれに応じたティッブスは、検死結果や新たな容疑者の逮捕を、ことごとく見当違いだと指摘する。
更にギレスピーは、被害者の夫人レズリーから、警察の無能さも指摘されて、明らかに優秀なティッブスを、捜査担当にするよう強要されてしまう・・・。
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本作の成功を受けて、主人公のみが登場する続編、「続・夜の大捜査線」(1970)と「夜の大捜査線 霧のストレンジャー」(1971)が製作された。
公民権運動で国中が揺れ動く中、人種差別がはびこる南部の町という舞台設定で、当時の世情と雰囲気を鋭く描いた、監督ノーマン・ジュイソンの切れのいい演出は見応え十分。
警察を仕切る暴君のような署長が、実は家族もなく孤独な人物と分かる終盤から、人間味溢れる彼が、友情を得た満足感で見せる笑顔は忘れ難く、その心を打つ人間描写も見事だ。
クインシー・ジョーンズの音楽とレイ・チャールズの主題歌も、ドラマを大いに盛り上げる。
2002年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
第40回アカデミー賞では、作品、主演男優(ロッド・スタイガー)、脚色、編集、録音賞を受賞した。
・ノミネート
監督・音響編集賞
*シドニー・ポワティエがノミネートすらされなかったことは疑問だ。
うだるような、南部の暑い夏が舞台の本作の撮影は、実は1966年9月からイリノイ州などで始まった。
よくあることだが、半袖の俳優の吐く白い息などに気づいた方はいるだろうか?
2人の主役、粗野だが人情味もある警察署長ロッド・スタイガーと、非の打ち所のないエリート刑事シドニー・ポワティエの演技のぶつかり合いや、ラストの男同士の友情は爽やかな感動を与えてくれる。
プライドだけでエリート刑事に対抗し、徐々に偏見をなくしていくロッド・スタイガーは、見事にアカデミー主演賞を受賞した。
共演陣も豪華であり、無能な警官のウォーレン・オーツ、ティッブス(S・ポワティエ)に信頼を置く被害者夫人リー・グラント、犯人アンソニー・ジェイムス、 町の大物で差別主義者のラリー・ゲイツ、殺人容疑者スコット・ウィルソン、町長ウィリアム・スカーレット、同じ年に「招かれざる客」(1967)でもシドニー・ポワティエの母親役を演じ、その演技でアカデミー助演賞の候補になるビア・リチャーズ、犯人の逮捕のきっかけとなる少女クエンティン・ディーン、その兄ジェームズ・パターソンなども共演している。