ヴァージニア・ケロッグの原案を基にしてアイヴァン・ゴフとベン・ロバーツが脚色した、監督ラオール・ウォルシュ、主演ジェームズ・キャグニー、ヴァージニア・メイヨ、エドモンド・オブライエン共演による犯罪映画の傑作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ラオール・ウォルシュ
製作:ルイス・F・エデルマン
原作:ヴァージニア・ケロッグ
脚本
アイヴァン・ゴフ
ベン・ロバーツ
撮影:シドニー・ヒコック
編集:オーウェン・マークス
音楽:マックス・スタイナー
出演
コーディ・ジャレット:ジェームズ・キャグニー
ヴァーナ・ジャレット:ヴァージニア・メイヨ
ハンク・ファロン/ヴィクター・パード:エドモンド・オブライエン
ジャレット夫人:マーガレット・ワイチャリー
“ビッグ・エド”ソマーズ:スティーヴ・コクラン
フィリップ・エヴァンス:ジョン・アーチャー
ボー・クリール:イアン・マクドナルド
”ザ・トラーダー”ウィンストン:フレッド・クラーク
コットン・ヴァレッティ:ウォリー・キャッセル
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1949年製作 113分
公開
北米:1949念9月2日
日本:1952年12月25日
■ アカデミー賞 ■
第22回アカデミー賞
・ノミネート
原作賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
カリフォルニア州境。
凶悪犯コーディ・ジャレット(ジェームズ・キャグニー)一味は、郵便列車を襲い、公金30万ドルの現金奪う。
隠れ家の山小屋に、妻ヴァーナ(ヴァージニア・メイヨ)や母親(マーガレット・ワイチャリー)、そして仲間達と潜んでいたジャレットだった。
しかし、1週間以上も動きが取れないことに、ジャレットの手下“ビッグ・エド”ソマーズ(スティーヴ・コクラン)は苛立ちを見せ始める。
時折、持病の発作が起きてしまうジャレットだったが、母は、仲間達に弱味を見せないよう彼に忠告する。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
凶悪犯罪を繰り返す一味のリーダー、コーディ・ジャレットは、誰よりも母親を愛し、彼女と共に犯行と逃亡生活を続けていた。
郵便列車の公金、30万ドルを奪ったジャレット一味は、財務省の捜査官であるエヴァンスに追われる。
ジャレットはそれを逃れるために、アリバイ作りとして、他の軽犯罪を犯したことにして自首し、刑務所に入れられる。
それに気づいたエヴァンスは、潜入捜査官のファロンを、ジャレットと同じ監房に送り込み、300万ドルの行方を探ろうとする。
その頃、ジャレットの妻ヴァーナと、彼の右腕ビッグ・エドが関係を持ち、母親を殺害してしまう。
ヴァーナらの裏切りに気づいていたジャレットは、ファロンと共に脱獄を計画するが、母親が死んだことを知り半狂乱となる・・・。
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戦前からの、No.1ギャングスターとも言えるジェームズ・キャグニーの、迫真の演技が話題になった作品。
凶悪犯達の無慈悲な犯行の残虐性、捜査官達の綿密な計画、ドキュメンタリー映画のようなリアルな捜査体制の描写など、スピーディで柔軟性のあるラオール・ウォルシュ演出は秀逸だ。
ありがちな、悪党ヒーロー列伝のように終わらない、”異常者”と化した、主人公の狂気の行動が炸裂するクライマックスは、圧巻と言うより痛快さも感じてしまう。
第22回アカデミー賞では原作賞にノミネートされている。
2003年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
当時としては最先端と思われる、発信機探知技術や、主人公が凄絶な死を遂げるラストに象徴される凄まじいアクションなど、その時代の作品の中では群を抜いた、画期的でもある仕上がりを見せている。
ドラマに重みを加える、マックス・スタイナーの音楽も素晴らしい。
また、ジェームズ・キャグニー自身が提案したと言われる、極悪人でありながらマザコンだという主人公の異常性、母親の死を知り発狂する彼の演技は、映画史上に残る演技としても有名である。
キャグニーは本作で燃え尽きたのか、その後、この手のギャング映画にはほとんど出演していない。
不貞な悪党の妻という派手な役柄を演ずるヴァージニア・メイヨではあるが、実は彼女自身は生真面目な性格で、離婚歴のない数少ない女優でもある。
エドモンド・オブライエンは、綿密に練られた捜査側の計画と、悪党、犯人達の両方の立場で、見事に任務を遂行する、ベテランの潜入捜査官を熱演している。
犯罪集団をまとめ、息子を溺愛する主人公の母親マーガレット・ワイチャリー、主人公の右腕でもあるが、彼を裏切るスティーヴ・コクラン、堅実な捜査官ジョン・アーチャー、一味の仲間ウォリー・キャッセル、それに加わるイアン・マクドナルド、故買屋フレッド・クラークなどが共演している。