黒澤明監督による「七人の侍」(1954)を基にしたハリウッド映画「荒野の七人」(1960)のリメイク。 町を奪おうとする悪党を倒すために開拓民に雇われた7人の男達の戦いを描く、製作総指揮、監督アントワーン・フークア、主演デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、ヴィンセント・ドノフリオ、イ・ビョンホン、ヘイリー・ベネット、ピーター・サースガード他共演の西部劇。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:アントワーン・フークア
製作
ロジャー・バーンボーム
トッド・ブラック
製作総指揮
ブルース・バーマン
アントワーン・フークア
ウォルター・ミリッシュ
ベン・ウェイスブレン
原作
”七人の侍”
黒澤明
橋本忍
小国英雄
脚本
ニック・ピゾラット
リチャード・ウェンク
撮影:マウロ・フィオーレ
編集:ジョン・ルフーア
音楽
ジェームズ・ホーナー
サイモン・フラングレン
出演
サム・チザム:デンゼル・ワシントン
ジョシュ・ファラデー:クリス・プラット
グッドナイト・ロビショー:イーサン・ホーク
ジャック・ホーン:ヴィンセント・ドノフリオ
ビリー・ロックス:イ・ビョンホン
ヴァスケス:マヌエル・ガルシア=ルルフォ
レッド・ハーヴェスト:マーティン・センズメアー
エマ・カレン:ヘイリー・ベネット
バーソロミュー・ボーグ:ピーター・サースガード
テディQ:ルーク・グライムス
マシュー・カレン:マット・ボマー
デナリ:ジョナサン・ジョス
マッキャン:キャム・ギガンデット
ファニング:ショーン・ブリジャース
ジョシア:ビリー・スローター
アメリカ 映画
配給
MGM
コロンビア・ピクチャーズ
2016年製作 133分
公開
北米:2016年9月23日
日本:2017年1月27日
製作費 $90,000,000
北米興行収入 $93,432,660
世界 $162,360,640
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1879年、ローズ・クリーク。
”泥棒男爵”と呼ばれる金鉱の所有者バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)は、開拓民の町の人々を追い出そうとする。
教会で集会を開いた人々は、ボーグが人を雇っていることを知り、対策を考える。
エマ・カレン(ヘイリー・ベネット)の夫マシューは法律が守ってくれると考え、戦おうとするものに対しジョシア(ビリー・スローター)はそれを拒み、牧師は神が守ってくれると信じ、商人は金で解決すると言い出し、話はまとまらない。
ジョシアは家族のために町を出ることを提案するが、マシューは開拓した土地を手放す気にはならない。
そこに手下を連れたボーグが現れ、持参した瓶の中身をジョシアの息子アンソニーに確かめさせる。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1879年、ローズ・クリーク。
”泥棒男爵”と呼ばれる金鉱の所有者ボーグは、土地を奪うために開拓民を追い出そうとする。
ボーグに歯向かい夫を殺されたエマは、友人のテディQと共にガンマンを探し、委任執行官で賞金稼ぎのサム・チザムに町の現状を話して雇おうとする。
全財産を見せられたチザムは、相手が因縁のあるボーグだと知り仕事を引き受けて、腕の立つギャンブラーのファラデーを仲間にする。
その後チザムは、南北戦争時代の伝説の狙撃兵ロビショーと相棒であるナイフの名手のビリー、賞金首のメキシコ人ヴァスケス、豪傑ホーン、そして先住民の戦士レッド・ハーヴェストを仲間にする。
ローズ・クリークに着いた7人は、戦う方法を知らない人々と共に、攻撃を仕掛けてくるボーグに対抗するために準備を始めるのだが・・・。
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黒澤明の傑作「七人の侍」(1954)を基にした、ハリウッド映画である西部劇の名作「荒野の七人」(1960)の56年ぶりのリメイクということで、大いに話題になった作品。
西部劇が廃れて久しい時代だからこそ、製作することに意義があると言える、ファン待望の一作。
オリジナルである「荒野の七人」(1960)の製作総指揮を担当したウォルター・ミリッシュが、本作でも製作総指揮に参加していることに注目したい。
時代設定が西部劇とはいうものの、半世紀以上の時代の流れがあり、旧作と比較し過ぎるのは邪道で、本作単体で考えて観ればまずまず楽しめる。
純粋な正統派西部劇ファンからすると、厳しく言えば、なかなか雰囲気を出して作ってはいるが、キャラクターに深みがなく、旧作のポイントである、割の合わない仕事であることがあまり印象深く描かれていない点なども気になる。
最も盛り上がるのが、エンドロールでエルマー・バーンスタインのオリジナル作のテーマ曲が流れる場面では、ファンとしては納得できないのが正直なところだ。
北米興行収入は約9300万ドルで、全世界では1億6300万ドルのヒットとなった。
9000万ドルの製作費をかけているだけあり、セットなども確り作られている。
決まり過ぎているようにも思えるコスチュームはいまいちだが、薄汚い顔のメイクなど細かい部分も当時をうまく再現している。
オリジナル作との類似点はあるが、舞台はメキシコの寒村ではなく開拓民の町で、ガンマンのキャラクターもそのままの設定ではなく、複数を合わせ持つ役柄などとして工夫が凝らされている。
盟友とも言えるアントワーン・フークア作品だけに、やはり、ガンマンのリーダーである主役はデンゼル・ワシントンというのは納得で、彼が演ずるような役でないようにも思えるが、流石に圧倒的な存在感を発揮している。
デンゼル・ワシントン以外で特に印象に残ったのは、伝説の狙撃兵でありながら、多くの死を見過ぎたために怯える日々を送るイーサン・ホークの深い演技で、社会問題化する現代の”心的外傷後ストレス障害”的な描き方が興味深い。
最も気になるのが、東洋人が登場する設定で、原点が日本映画の傑作「七人の侍」(1954)にも拘らず、日本人が起用されない情けなさだ。
イ・ビョンホンがナイフの名手をそれなりに演じているだけに、よけい残念だ。
勇敢に戦って命を落とす流れ者のギャンブラー、クリス・プラット、クロウ族を300人も殺した伝説の豪傑ヴィンセント・ドノフリオ、メキシコ人のお尋ね者マヌエル・ガルシア=ルルフォ、コマンチの戦士マーティン・センズメアー、夫(マット・ボマー)を殺され、7人と共に戦う開拓民の女性ヘイリー・ベネット、人々を苦しめる悪党のリーダー、ピーター・サースガード、その手下ジョナサン・ジョス、キャム・ギガンデット、開拓民のルーク・グライムス、ショーン・ブリジャース、ビリー・スローターなどが共演している。