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奇跡の人 The Miracle Worker (1962)

三重苦を背負いながらも努力の末に教育福祉事業に尽くしたヘレン・ケラーと恩師アニー・サリヴァンの交流を描いたウィリアム・ギブソンの戯曲の映画化。
監督アーサー・ペン、出演アン・バンクロフトパティ・デューク他共演。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■
監督:アーサー・ペン

製作:フレッド・コー
戯曲:ウィリアム・ギブソン
脚本:ウィリアム・ギブソン
撮影:アーネスト・カバロス
編集:アーラム・アヴァキアン

音楽:ローレンス・ローゼンタール

出演
アン・バンクロフトアン”アニー”サリヴァン

パティ・デュークヘレン・ケラー
ヴィクター・ジョリイ:アーサー・ケラー
インガー・スヴェンソン:ケイト・ケラー
アンドリュー・プライン:ジェームズ・ケラー
ビア・リチャーズ:ヴァイニー

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1962年製作 106分
公開
北米:1962年5月23日
日本:1963年10月12日
製作費 $500,000


アカデミー賞 ■
第35回アカデミー賞

・受賞
主演女優賞(アン・バンクロフト
助演女優賞(パティ・デューク
・ノミネート
作品・監督・脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
アラバマ州、タスカンビア
生後19ヶ月で、猩紅熱にかかったヘレン・ケラー(パティ・デューク)は、それ以来、目が見えず、耳も聞こえなくなり、口もきけず三重苦の不具になってしまう。

父親のアーサー・ケラー大尉(ヴィクター・ジョリイ)と母親ケイト(インガー・スヴェンソン)は嘆き苦しむ。

アーサーは、ヘレンを施設に預けることをも考えるのだが、ケイトは反対し、誰かを派遣してもらうことにする。

そして、アン”アニー”サリヴァン(アン・バンクロフト)という、ボストンの聾唖学校の教師が、7歳になったヘレンの教育係として雇われる。

駅に着いたアニーを、アーサーの前妻の子であるジェームズ(アンドリュー・プライン)が迎え、ケイトが彼女を馬車で自宅に案内する。
...全てを見る(結末あり)


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
生後19ヶ月で猩紅熱にかかったヘレン・ケラーは、目、耳、口が不自由な三重苦の不具になってしまう。
やがて少女に成長したヘレンは、家族の手には負えなくなっていた。
ヘレンを施設に預けることも望まない両親はアニー・サリヴァンという聾唖学校の教師を呼び寄せる。
妥協を許さないアニーは、家族に遠慮せずヘレンに厳しく接する。
ヘレンが利発な子だと気づいたアニーは、家族が彼女をペットのように扱い、正しい躾をしようとしないことに問題があると考える。
家族と衝突しながらも、頑固なアニーは、ヘレンをあえて両親から離して生活させて、自分一人で躾けることを提案する。
そしてアニーは、沈黙と暗黒の世界で野獣のように育ったヘレンとの、二人だけの闘いを始める・・・。
__________

三重苦を背負いながら努力の末にハーバード大学で学び、身体障害者の教育福祉事業に尽くしたヘレン・ケラー女史(1880-1968)が、恩師である教師アニー・サリヴァン(1866-1936)と出会い、彼女の献身的な努力が奇跡を起こすまでを描く感動の物語であるウィリアム・ギブソンの戯曲の映画化。

原題が”The Miracle Worker”(奇跡の人)であるため、それを指すのは、ヘレン・ケラーではなく、アニー・サリヴァンのことである。

ウィリアム・ギブソンによる1959年の舞台劇の映画化である、主人公の二人を演ずるアン・バンクロフトパティ・デュークは舞台のオリジナル・キャストで、両者は、見事にアカデミー主演、助演賞に輝いた。

アン・バンクロフトは舞台でもトニー賞を受賞したにも拘らず、 製作者側は知名度の高い女優起用を考え、500万ドルの予算を組み、当時、既に大女優であったエリザベス・テイラーが候補に上がった。
しかし、監督アーサー・ペンアン・バンクロフトの出演を譲らなかったという裏話がある。

実話の持つ物語の力強さと、舞台の雰囲気を残した、異様なほど、緊張感のあるアーサー・ペンの演出は素晴しく、感動を呼ぶクライマックスと共に、出演者の迫力ある演技も見応え十分だ。

第35回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(アン・バンクロフト
助演女優賞(パティ・デューク
・ノミネート
作品・監督・脚色賞

ハリウッドでなく、東海岸のニューヨークなどで製作された本作自体の作風も、少々異質な感じがする。

アニー・サリヴァンが度々悩まされる悪夢のシーンは、実話に基づくリアリズム映画である反面、幻想的でもあり、それまでのアメリカ映画になかった新たな手法を用いている。
*「ジェニーの肖像」(1948)でこれにやや近い手法が使われていた。

感動を盛上げる、ローレンス・ローゼンタールの音楽も素晴しい。

主演のアン・バンクロフトは、暗い過去を克服しきれないものの、一貫して強く生きようとする主人公役を、鬼気迫る熱演で見事に演じ切り、不幸な弟の悪夢からも解放されたような、ラストの笑顔は忘れられない。

撮影当時まだ15歳のパティ・デュークだが、さすがにヘレン役を舞台で700回以上も演じているだけあり、その凄まじい演技はアン・バンクロフトと比べても見劣りしない。

目も不自由という設定なので、うつろな目で遠方見ながら涙を流す、彼女の演技は感動を呼ぶ。
また、彼女は1979年のリメイク版では、師のアニー・サリヴァン役を演じている。
*「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで活躍したショーン・アスティンは彼女の息子。

教育方針でアニーと対立する父親ヴィクター・ジョリイヘレンを溺愛し過ぎて甘やかしてしまう母親インガー・スヴェンソン、傍観者のようだが、最後にはアニーに同調する父親の連れ子アンドリュー・プライン、また、使用人役でビア・リチャーズなども出演している。


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