007シリーズ第4作。 1961年に発表された、イアン・フレミング原作のシリーズ第8作”Thunderball”を基に製作された作品。 NATOの核弾頭を奪った国際犯罪組織スペクターに立ち向MI6諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描く、製作ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ、監督テレンス・ヤング、主演ショーン・コネリー、クローディーヌ・オージェ、アドルフォ・チェリ、バーナード・リー他共演のスパイ・アクション。 |
・ショーン・コネリー / Sean Connery 作品一覧
監督:テレンス・ヤング
製作
ケビン・マクローリー
アルバート・R・ブロッコリ
ハリー・サルツマン
原作:イアン・フレミング”Thunderball”
原案
ケビン・マクローリー
ジャック・ウィッティンガム
脚色
リチャード・メイボーム
ジャック・ウィッティンガム
ジョン・ホプキンス
撮影:テッド・ムーア
編集:ピーター・ハント
特殊効果:ジョン・ステアーズ
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
音楽:ジョン・バリー
主題歌:トム・ジョーンズ”Thunderball”
出演
ジェームズ・ボンド:ショーン・コネリー
ドミノ・デヴァール:クローディーヌ・オージェ
エミリオ・ラルゴ(スペクターNo.2):アドルフォ・チェリ
フィオナ・ヴォルペ:ルチアナ・パルッツィ
リッピ伯爵:ガイ・ドールマン
フェリクス・ライター:リク・ヴァン・ヌッター
パトリシア・フィアリング:モリー・ピーターズ
ポーラ・キャプラン:マルティーヌ・ベズウィック
M:バーナード・リー
Q:デスモンド・リュウェリン
マネーペニー:ロイス・マクスウェル
内務大臣:ローランド・カルヴァー
ピンダー:アール・キャメロン
フランソワ・デヴァール/アンジェロ・パラッツィ:ポール・スタッシノ
ヴァルガス:フィリップ・ロック
アーネスト・スタヴロ・ブロフェルド:アンソニー・ドーソン
アーネスト・スタヴロ・ブロフェルド(声):エリック・ポールマン
イギリス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1965年製作 130分
公開
イギリス:1965年12月29日
北米:1965年12月21日
日本:1965年12月25日
製作費 $9,000,000
北米興行収入 $63,595,660
世界 $141,200,000
■ アカデミー賞 ■
第38回アカデミー賞
・受賞
視覚効果賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
イギリスの諜報員ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)は、2人の仲間を殺したスペクターの一員、ブヴァール大佐の葬儀に姿を現す。
ボンドは、ブヴァールが生存して夫人に扮していることを見破り、屋敷に侵入して彼を殺害する。
そしてボンドは、用意しておいたジェット・パックでその場を脱出し、”アストンマーチン・DB5”で逃亡する。
パリ。 イギリス南部。 その保養所に休暇で居合わせたボンドは、リッピ伯爵の腕の刺青を見て、マカオの秘密結社”トング”のものだと気づく。 ボンドは、その件をM(バーナード・リー)の秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)に報告する。 リッピ伯爵の留守中に部屋を調べたボンドは、交通事故に遭った隣部屋のアンジェロ・パラッツィ(ポール・スタッシノ)が忍び込む様子を目撃する。 ボンドに気づいていたアンジェロは、部屋を出た彼を確認する。 その後ボンドは、脊椎牽引機を利用している最中に何者かに操作され、危ういところをマッサージ師のパトリシア・フィアリング(モリー・ピーターズ)に助けられる。 それが、リッピ伯爵の仕業と知ったボンドは、彼に仕返しをして、パトリシアとの時間を楽しむ。 リッピ伯爵と仲間のフィオナ・ヴォルペ(ルチアナ・パルッツィ)は、NATOのヴァルカン爆撃機のパイロット、フランソワ・デヴァール少佐(ポール・スタッシノ)を殺す。 少佐と同じ顔に手術されたアンジェロも現れ、フィオナに報酬の増額を要求して基地に向かう。 殺したデヴァール少佐を保養所に運んだリッピ伯爵だったが、ボンドがそれに気づき、少佐の顔を確認し、侵入者を叩きのめす。 核爆弾を装備したアンジェロが搭乗したヴァルカン爆撃機は基地を飛び立ち、彼は他の操縦士を殺害して、機をバハマ沖に着水させる。 アンジェロは、現場で待ち構えていたラルゴに殺され、核爆弾2基はスペクターに奪われてしまう。 保養所を出たボンドをリッピ伯爵が追うが、計画を狂わせた責任を取らされ、彼はフィオナに殺害される。 ロンドン。 イギリスとアメリカ政府は、核爆弾を落とすという脅迫に屈して要求をのむ方針を固めたが、イギリス諜報部は、極秘任務として”サンダーボール”作戦を開始する。 作戦の資料の写真から、保養所の死体がデヴァール少佐だと知ったボンドは、少佐の妹ドミノ(クローディーヌ・オージェ)が滞在しているバハマのナッソーに向かう。 バハマに到着したボンドは、ラルゴの愛人となっていたドミノに接近する。 カジノでラルゴに探りを入れたボンドは、彼の屋敷の昼食に招待される。 翌日、外出先から部屋に戻ったボンドは、ラルゴの手下が侵入していることに気づく。 ボンドは相手を痛めつけて脅し、ラルゴの元に戻った男は殺される。 その後ボンドは、CIAのフェリクス・ライター(リク・ヴァン・ヌッター)と助手のポーラ・キャプラン(マルティーヌ・ベズウィック)、そして、現地に派遣されたQ(デスモンド・リュウェリン)と合流する。 Qから、”ガイガー・カウンター”付き水中カメラなどの装備品を受け取ったボンドは、ラルゴのクルーザーに向かう。 気づかれたボンドは、攻撃を受けながらもクルーザーの船底を調べる。 海岸に泳ぎ着いたボンドは、車で通りがかったフィオナに拾われてホテルに向かうが、彼女がスペクターの一員であることに気づく。 ラルゴのクルーザーの写真から、船底に仕掛けがあると考えたボンドは、爆撃機が海底に沈んでいることに気づき、ライターと捜索を始める。 ラルゴの屋敷に向かったボンドは、ドミノと町のパレードに向かうことになる。 その頃、ボンドの助手ポーラが、フィオナに捕らえられて姿を消す。 ライターからその報せを受けたボンドは、島中を停電させてラルゴの屋敷に侵入する。 ポーラは服毒自殺し、それを知ったボンドは屋敷を抜け出してホテルに戻る。 ボンドは、隣部屋にいたフィオナに気づき、彼女と愛し合う。 押し入ってきたラルゴの手下とフィオナに銃を向けられたボンドは、パレード会場に向かう。 隙を見て逃れたボンドは、パレードに紛れて身を隠すが、フィオナに見つかってしまう。 しかし、ボンドを狙った銃弾がフィオナに命中し、彼女は命を落とす。 その頃ロンドンでは、スペクターの脅迫に屈服するしか手立てがなくなり、既にボンドへの期待が薄れていた。 尚も爆撃機捜索を続けるボンドは、カモフラージュをして海底に沈むヴァルカン爆撃機を見つける。 ボンドは、操縦していたアンジェロも発見し、彼が身につけていたデヴァール少佐の認識票をドミノに見せる。 ラルゴを倒すためにドミノの協力を得たボンドは、核爆弾をクルーザーに運び込もうとする、ラルゴ一味の1人に扮して海中に向かう。 ボンドは爆弾の隠し場所を見つけるが、珊瑚礁の洞窟に取り残されてしまう。 裏切ったドミノはラルゴに監禁され、ボンドとの企みを聞かれて拷問を受ける。 飲み込んでいた発信機カプセルでライターに救われたボンドは、攻撃目標がマイアミだということを彼に知らせる。 直ちにアメリカ沿岸警備隊が派遣され、ラルゴ一味と水中で対決することになる。 ボンドは、クルーザーで逃げようとするラルゴを追う。 ドミノはラルゴを水中銃で撃ち抜き、兄デヴァール少佐の仇を討つ。
スペクターの報告会議の席上、ブロフェルド(アンソニー・ドーソン/エリック・ポールマン:声)に指名されたNo.2エミリオ・ラルゴ(アドルフォ・チェリ)は、NATOを脅迫して2億8000万ドルを手にするという計画を発表する。
...全てを見る(結末あり)
NATO空軍基地近郊の保養所では、スペクターの情報員リッピ伯爵(ガイ・ドールマン)が潜伏し、既に情報収集を始めていた。
MI6本部に戻ったボンドは、ヴァルカン爆撃機の核爆弾を奪ったスペクターからの、1億ポンドを要求する脅迫テープの内容を確認する。
*(簡略ストー リー)
国際犯罪組織スペクターのNo.2ラルゴは、NATOの核爆弾を奪い脅迫して、2億8000万ドルを手にするという計画をブロフェルドに提案する。
イギリス南部の保養所では、スペクターの情報員リッピ伯爵が潜伏し、既に情報収集を始めていた。
休暇でその場に居合わせたイギリス諜報員ジェームズ・ボンドは、リッピの行動を不審に思う。
その報告を受けたMはボンドを呼び寄せ、スペクターの脅迫に対抗する”サンダーボール”作戦を開始させるのだが・・・。
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製作者ケビン・マクローリーが映画化権を取得した関係もあり、本作が第1作になるはずだったが、「ドクター・ノオ」(1962)に変更されたという経緯がある。
後にケビン・マクローリーが唯一のリメイク版を考え、ボンド役から降りていたショーン・コネリーを起用して製作したのが「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(1983)。
新作ごとにヒットを続けた第4作目は製作費も跳ね上がり(900万ドル)、大型クルーザーの追撃シーンや、水中での集団対決など斬新な映像も楽しめる。
装備品、秘密兵器も充実して効果的に使われ、興行的にも大成功した。
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北米興行収入 $63,595,660
世界 $141,200,000
第38回アカデミー賞では、視覚効果賞を受賞している。
シリーズで3作目の監督となるテレンス・ヤングは、純粋なスパイ劇からアクション重視になったところが気になるものの、娯楽作品として見応えある作品に仕上がっている。
*テレンス・ヤング監督作品
「ドクター・ノオ」(1962)
「ロシアより愛をこめて」(1963)
圧巻は、トム・ジョーンズの歌うパワフルな主題曲で、公開寸前に作られたとは思えない見事な曲は、シリーズを代表するものになった。
装備・秘密兵器としては、アストンマーチン・DB5、「ドクター・ノオ」(1962)に比べ格段に小型化されたガイガーカウンター付カメラ、最新鋭の潜水具なども興味深い。
主演のショーン・コネリーは、そろそろマンネリ気分になってきたのか、細かい仕草や表情にいつもの冴えがないようにも思える。
35歳にしては貫禄があり過ぎるようにも見える。
また、休暇の保養所で”脊椎を伸ばす装置”を操作され、その苦痛に「助けてくれ!」と叫び、弱音を吐く珍しいシーンもある。
(演技に見えず本当に苦しそうだ)
ラルゴの情婦にして、兄の復讐に燃える美しいボンドガールのクローディーヌ・オージェ、アイパッチが凄みがあるスペクターNo.2のアドルフォ・チェリ、こちらも美しい女殺人鬼ルチアナ・パルッツィ、CIAのフェリックス・ライター役リク・ヴァン・ヌッターらに加え、レギュラー、今回は結構ボンドを立てるMのバーナード・リー、バハマに出張するQのデスモンド・リュウェリン、そして、マネーペニーのロイス・マクスウェルらレギュラーももちろん登場する。
また顔の見えないブロフェルドのアンソニー・ドーソンとその声のエリック・ポールマンも、「ロシアより愛をこめて」(1962)に続いての出演となる。
スペクターの工作員リッピ伯爵ガイ・ドールマン、工作員と爆撃機パオロットのポール・スタッシノ、保養所のマッサージ師モリー・ピーターズ、内務大臣のローランド・カルヴァー、ボンドに協力するバハマの工作員アール・キャメロンなどが共演している。