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007/私を愛したスパイ The Spy Who Loved Me (1977)

007シリーズ第10作。
1962年に発表された、イアン・フレミング原作のシリーズ第9作”The Spy Who Loved Me”を基に製作された作品。
米ソ冷戦下、地中海の海底に基地を持つ海運王の世界征服を阻止しようとするMI6諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描く、製作アルバート・R・ブロッコリ、監督ルイス・ギルバートロジャー・ムーアバーバラ・バッククルト・ユルゲンスリチャード・キール他共演のスパイ・アクション。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


007
007 / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ルイス・ギルバート
製作
アルバート・R・ブロッコリ

原作:イアン・フレミングThe Spy Who Loved Me
脚本
クリストファー・ウッド

リチャード・メイボーム
撮影:クロード・ルノワール
編集:ジョン・グレン
美術:ピーター・ラモント
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー

音楽
マーヴィン・ハムリッシュ

モンティ・ノーマン:ジェームズ・ボンドのテーマ
主題歌”Nobody Does It Better
作詞:キャロル・ベイヤー・セイガー

作曲:マーヴィン・ハムリッシュ
唄:カーリー・サイモンNobody Does It Better

出演
ジェームズ・ボンド:ロジャー・ムーア

アニヤ・アマソヴァ:バーバラ・バック
カール・ストロンバーグ:クルト・ユルゲンス
ジョーズ:リチャード・キール
ナオミ:キャロライン・マンロー
M:バーナード・リー
Q:デスモンド・リュウェリン
マネーペニー:ロイス・マクスウェル
フレデリック・グレイ国防相:ジョフリー・キーン
フセイン:エドワード・デ・スーザ
ベンソン大佐:ジョージ・ベイカー
アナトール・ゴーゴル将軍:ウォルター・ゴテル
マックス・カルバ:ヴァーノン・ドブチェフ

セルゲイ・バルソフ:マイケル・ビリントン
カーター艦長:シェーン・リマー
リパラス号艦長:シドニー・タフラー
ハーグリーブズ海軍中将:ロバート・ブラウン

イギリス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1977年製作 125分
公開
イギリス:1977年7月7日
北米:1977年7月13日
日本:1977年12月24日
製作費 $14,000,000
北米興行収入 $46,838,680
世界 $185,400,000


アカデミー賞
第50回アカデミー賞

・ノミネート
美術・作曲
歌曲賞”Nobody Does It Better


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
弾道ミサイルを搭載したイギリスソ連の原子力潜水艦が姿を消す。

一方、オーストリア山中にいたイギリス諜報員ジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は、MI6の上司M(バーナード・リー)から呼び戻される。

KGBの”トリプルX”ことアニヤ・アマソヴァ少佐(バーバラ・バック)は、恋人である工作員セルゲイ・バルソフ(マイケル・ビリントン)と過ごしていたが、アナトール・ゴーゴル将軍(ウォルター・ゴテル)に呼び出される。

スキーで下山するボンドは、バルゾフらに追われるものの、彼らを殺して逃亡する。

モスクワKGB本部に出頭したアマソヴァは、ゴーゴル将軍から、行方不明になった原潜の捜索を命ぜられる。

アマソヴァは、恋人のバルゾフが、アルプスでの任務中にイギリス諜報員に殺されたことを知る。
...全てを見る(結末あり)

ボンドは、フレデリック・グレイ国防相(ジョフリー・キーン)、ハーグリーブズ海軍中将(ロバート・ブラウン)に迎えられ、ベンソン大佐(ジョージ・ベイカー)から、原潜追跡システムを開発した者が現れたことを知らされる。

ボンドは、その追跡システムを売ろうとした者を探すために、カイロに向かうことになる。

原潜追跡システムを開発したのは、地中海の海底に秘密基地を構える海運王カール・ストロンバーグ(クルト・ユルゲンス)だった。

ストロンバーグは、その設計図(マイクロフィルム)を手に入れて大国に売ろうとしている者を抹殺するため、殺し屋ジョーズ(リチャード・キール)らをカイロに派遣する。

砂漠を渡ってエジプト入りしたボンドは、学友でもある部族の族長フセイン(エドワード・デ・スーザ)のキャンプを訪れて情報を得る。

カイロに着いたボンドは、ストロンバーグの手下に襲われるものの、相手を倒してギザに向かう。

ジョーズは、三大ピラミッドのナイトショーで、アマソヴァと裏切り者が接触するのを確認し、その男を殺す。

その現場に現れたボンドはジョーズを目撃するが、彼が姿を消した後、手がかりを見つける。

その後、アマソヴァとその部下に襲われたボンドだったが、それをかわしてその場を去る。

クラブで再びアマソヴァに会ったボンドは、店のオーナー、マックス・カルバ(ヴァーノン・ドブチェフ)に会い、マイクロ・フィルムを確認する。

しかし、ジョーズがカルバを呼び出して殺害し、マイクロ・フィルムを手に入れる。

マイクロ・フィルムを奪われたボンドとアマソヴァは、ジョーズの車に乗り込む。

カルナック神殿
ボンドを襲ったジョーズに銃を向けたアマソヴァは、マイクロ・フィルムを奪う。

ジョーズは崩壊した遺跡の下敷きになり、アマソヴァは車で逃げようとする。

キーはボンドが持っていたため、アマソヴァは仕方なく彼と共に逃げようとする。

しかし、再びジョーズに襲われた2人は何とかそれを逃れ、その場から脱出する。

車が壊れ、徒歩でナイル川にたどり着いたボンドとアマソヴァは、船でカイロに向かう。

ボンドはマイクロ・フィルムをコピーするが、アマソヴァに眠らされえしまい、彼女はマイクロ・フィルムと共に姿を消す。

その後ボンドは、”アブ・シンベル神殿”の地下秘密司令部に向かい、Mの秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)に迎えられる。

しかし、そこで待っていたのは、KGBのゴーゴル将軍とアマソヴァだった。

Mも現れ、イギリスソ連の両政府は協力して原潜を捜すことになったことをボンドに伝える。

ボンドは、マイクロ・フィルムが完全でなかったことをMに報告し、Q(デスモンド・リュウェリン)に意見を求めることになる。

Qの協力で、マイクロ・フィルムの細部を分析したボンドらは、ストロンバーグとの関連を見つける。

そして、ボンドとアマソヴァは共同で行動し、原潜を捜す手掛かりを探ることになる。

ボンドとアマソヴァは列車でサルデーニャに向かうが、2人はジョーズに襲われてしまう。

格闘になったボンドは、列車の窓からジョーズを突き落とす。

アマソヴァは傷を負ったボンドを気遣い、そして2人は愛し合う。

その後ボンドは、Qから”ロータス・エスプリ”を支給され、海洋生物学者夫妻に扮して、ストロンバーグの海洋研究所に向かおうとする。

ボンドとアマソヴァは、ストロンバーグの指示で現われたナオミ(キャロライン・マンロー)の出迎えを受ける。

研究所に着いたボンドを歓迎して探りを入れたストロンバーグは、2人の正体に気づいていたために、ジョーズに彼らの抹殺を命ずる。

島に戻ったボンドとアマソヴァは、ジョーズやナオミに襲われるものの、2人を対抗する。

ボンドは、水陸両用のロータス・エスプリで海に逃れ、ナオミや追っ手を倒して陸に戻る。

ホテルに戻ったボンドは、オーストリアで殺したソ連の工作員バルソフがアマソヴァの恋人だったことを知り、仕方なく彼を殺したことを正直に伝える。

アマソヴァは、任務終了後に殺すとボンドに伝える。

その後、ボンドとアマソヴァが乗り込んだアメリカの原潜が、ストロンバーグの巨大タンカー”リパラス”に飲み込まれてしまう。

ストロンバーグは、原潜のカーター艦長(シェーン・リマー)を脅迫して、艦内の乗組員を監禁する。

ストロンバーグは、ボンドとアマソヴァを捕らえて、原潜に核ミサイルを搭載させる。

それでニューヨークモスクワを攻撃し、世界を壊滅させて海底都市を造る計画を、ストロンバーグはボンドらに伝える。

アマソヴァはストロンバーグに連れ去られ、タンカーから研究所に向かう。

ボンドは隙を見てその場を逃れ、捕らえられていた各国兵士を解放し、ストロンバーグの兵士と戦いほぼ制圧する。

司令室が固く防御されていたため、ボンドは核弾頭の起爆装置を利用して、壁を爆破して内部に侵入する。

既に原潜は攻撃準備に入り、ボンドは二隻の原潜の攻撃目標を変更して相打ちさせようとする。

タンカーも爆発し始め、ボンドらはアメリカ原潜に乗り移り、船首を魚雷で爆破して脱出する。

ストロンバーグの研究所爆破の命令を受けたボンドは、アマソヴァの命を救うために、カーター艦長を説得してその場に向かう。

ボンドは、ストロンバーグと相対して射殺する。

ジョーズに襲われたボンドは、格闘になる。

ジョーズをサメの水槽に突き落としたボンドは、アマソヴァを捜し出して救出する。

カーター艦長は研究所の攻撃を開始し、ボンドとアマソヴァは、沈みかけている研究所から、救命ポッドで脱出する。

アマソヴァは、恋人の復讐を果たすためにボンドに銃を向けるが、彼に誘われて抱き合う。

命拾いしたジョーズも脱出し、ボンドとアマソヴァは軍艦に回収され、2人が抱き合っている姿に、Mやゴーゴルは呆れてしまう。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
弾道ミサイルを搭載したイギリスソ連の原子力潜水艦が姿を消したため、イギリス諜報員のジェームズ・ボンドは、MI6本部のMに呼び出される。
モスクワKGB本部に出頭したアマソヴァ少佐は、ゴーゴル将軍から、行方不明になった原潜の捜索を命ぜられる。
MI6本部、グレイ国防相、ハーグリーブズ海軍中将に迎えられたボンドは、原潜の追跡システムを開発した者が現れたことを知らされ、それを売ろうとしている者を探すためにカイロに向かう。
そのシステムの開発者は、地中海の海底に秘密基地を構える、海運王カール・ストロンバーグだった。
ストロンバーグは、その設計図を手に入れて、大国に売ろうとしている者を抹殺するため、殺し屋ジョーズをカイロに派遣する。
エジプト入りして情報を得たボンドは、ジョーズに殺された男から設計図のマイクロ・フィルムを受け取ったアマソヴァと接触するのだが・・。
__________

原作はどぎつい性描写などで非常に評判が悪く、映画は原題以外、原作とは全く違った内容となっている。

シリーズ10作目を記念して、かなり派手な内容となっている。
巨大改造タンカーや研究所(海底要塞)などのセットは、「007は二度死ぬ」(1967)のルイス・ギルバートが監督だけに、前作ほどではないものの、やや荒唐無稽な感じもする。

しかし、エジプトギザ三大ピラミッドスフィンクスカルナック神殿や諜報部の司令部がある設定のアブ・シンベル神殿、そして、水陸両用ボンド・カー、ロータス・エスプリの活躍、サルデーニャの風光明媚な美しいロケなど見所は多くある。

前作「黄金銃を持つ男」(1974)で落ち込んだ興行収入は、何と2倍近くに達し(世界)、驚異的な数字を上げ大ヒットとなった。

製作費 $14,000,000
北米興行収入 $46,838,680
世界 $185,400,000

第50回アカデミー賞では、美術、作曲、歌曲賞にノミネートされた。

カーリー・サイモンの歌う”Nobody Does It Better”は、シリーズの中、屈指の人気を誇る名曲となった。

ユニオンジャックのパラシュートが女性の手の中に納まるオープニングも、なかなか洒落ている。

3作目のロジャー・ムーアは益々快調にボンド役を演じ、50歳にして若々しさは相変わらずだ。

ヒロインのバーバラ・バックは、ソ連KGB女スパイを演じているが、国籍不明的なエキゾチックな魅力が漂う女優だ。
(実際はアメリカ人)

彼女はその後、元ビートルズリンゴ・スターと結婚して現在に至っている。

名優クルト・ユルゲンスの悪役ぶりは凄みがあり、大富豪が企む世界制覇の壮大なスケール感を持つ人物として、作品を大いに盛り上げている。

注目は、金属の歯を持つ殺し屋ジョーズに扮するリチャード・キールで、シリーズ中でも5本の指に入る程インパクトのあるキャラクターであり、あまりの人気に次回作「ムーンレイカー」(1979)にも同じ役で登場することになる。

今回は登場場面が少ないMのバーナード・リー、水陸両用ロータス・エスプリを恐る恐るボンドに渡すQのデスモンド・リュウェリン、ロングショットでしか登場しないのが残念なマネーペニーのロイス・マクスウェルKGBのゴーゴル将軍のウォルター・ゴテルなどレギュラーに加え、国防相ジョフリー・キーン、海軍中将のロバート・ブラウン、大佐ジョージ・ベイカー、妖艶な殺し屋のキャロライン・マンロー、アメリカ原潜艦長シェーン・リマーも、KGBのアマソヴァ(バーバラ・バック)の恋人である工作員マイケル・ビリントンなど出演している。


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