アフリカの差別社会の中で生きる理想主義を貫くイギリス人少年の成長を描く、監督ジョン・G・アヴィルドセン、主演スティーヴン・ドーフ、アーミン・ミューラー=スタール、モーガン・フリーマン、ジョン・ギールグッド、ダニエル・クレイグ他共演のドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・G・アヴィルドセン
製作:アーノン・ミルチャン
製作総指揮
スティーヴン・ルーサー
グレアム・バーク
グレッグ・クート
原作:ブライス・コートネイ”The Power of One”
脚本:ロバート・マーク・ケイメン
撮影:ディーン・セムラー
編集
ジョン・G・アヴィルドセン
トレヴァー・ジョリー
音楽:ハンス・ジマー
出演
ピーター・フィリップ・ケネス・キース/PK:スティーヴン・ドーフ
ピーター・フィリップ・ケネス・キース/PK(7歳):ガイ・ウィッチャー
ピーター・フィリップ・ケネス・キース/PK(12歳):サイモン・フェントン
カール”ドク”フォン・フォレンスタイン:アーミン・ミューラー=スタール
ヒール・ピート:モーガン・フリーマン
セント・ジョン学長:ジョン・ギールグッド
マリア・マレー:フェイ・マスターソン
ホッピー・グルネウォルド:イアン・ロバーツ
モリー・ギルバート:ドミニク・ウォーカー
ブライテン大佐:ブライアン・オショーネシー
ヤピー・ボータ軍曹:ダニエル・クレイグ
ヤピー・ボータ(少年期):ロビー・ブロック
ダニエル・マレー:マリウス・ワイヤーズ
ボルマン軍曹:クライヴ・ラッセル
エリアス:ウィンストン・ヌシュナ
ギデオン・デュマ:アロイス・モヨ
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1992年製作 127分
公開
北米:1992年3月27日
日本:1993年4月10日
北米興行収入 $2,827,110
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1680年、宗教弾圧によりヨーロッパから逃れアフリカに移住した人々アフリカーナは、以後250年間、近郊や黒人の支配をめぐって大英帝国と戦った。
1948年、アフリカーナの国民党が政権を樹立し、人種隔離政策”アパルトヘイト”を本格化させた。
1930年代、南アフリカ、ナタール州。
イギリス人の農場の息子として生まれた7歳のピーター・フィリップ・ケネス・キース/PK(ガイ・ウィッチャー)は、母からイングランドを乳母からはアフリカのことを学んだ。
亡くなった父のような農場経営ができなかったPKの母は、牛を疫病で失い、気力をなくして病弱になり静養が必要になる。 寄宿学校に預けられることになったPKは、母から父のブレスレットを渡され、家を離れることになる。 アフリカーナの学校に入学したPKは、土地を奪ったイギリス人の子ということで孤立し、年上のヤピー・ボータ(ロビー・ブロック)にいじめられた。 母が亡くなったことを知ったPKは、家に残り看病するべきだったと考えて後悔する。 葬儀を済ませたPKは、乳母にいじめのことなどを話し、彼女が呼んでくれた呪い師に恐怖心を取り除いてもらう。 勇敢な鶏が勇気を探す旅に導き、ズールー族の戦士の魂が宿ったと呪い師から言われたPKは、鶏と共に学校に戻る。 ヨーロッパで戦争が始まり、ナチスの攻勢は子供達にも影響を与え、ヤピーは、アフリカからイギリス人を排除しようとするヒトラーの考えを支持して、PKに裁きを下そうとする。 PKの鶏を殺したヤピーは、抵抗するPKも吊るして痛めつけるが、校長に制止される。 その後、祖父と共にバーバートンで暮らすことになったPKは、ある日、自分に会いに来た、祖父の友人であるドイツ人の音楽家カール”ドク”フォン・フォレンスタイン(アーミン・ミューラー=スタール)と話し、彼と親交を深めるようになる。 ドクからピアノを習い、様々なことを教わったPKは、精神的にも逞しくなる。 その後ドクは、外国人登録を怠った罪で、英独間の戦争が終結するまで刑務所に収容されることになる。 アフリカーナの所長は、ドクを文化の手本として手厚くもてなし、趣味のサボテン栽培やピアノを運び込むことを許可した。 PKの刑務所への出入りも許可され、ドクは彼にボクシングを習わせようとする。 40年間刑務所にいるズールー族のヒール・ピート(モーガン・フリーマン)からボクシングを習うことになったPKは、彼と友達になる。 ピートから”8パンチ”という技を教えてもらったPKは、ドクにも励まされる。 サボテンのバケツに入っているタバコの葉を欲しがるピートは、その件をドクに話す。 巨漢看守ボルマン軍曹(クライヴ・ラッセル)は、ピートを目の敵にして痛めつけ、常に見張っていると警告する。 ボクシングを教えることに専念しようとしたピートは、PKから、ドクにピアノを習っている間にバケツを”掃除”してほしいと言われる。 その後もピートとトレーニングを続けたPK(サイモン・フェントン)は12歳になり、終戦も近づく時期に行われたボクシング大会で優勝した。 ズールー語も話せるようになったPKは、黒人達が自分に雨乞いの歌を歌うことを不思議に思う。 PKは、”日照りは争うから起きる、雨をもたらす男が鎮めて平和をもたらす”という言い伝えがあることを、ピートから教えてもらう。 ピートから、自分が”雨をもたらす男”だと言われたPKは、皆が歌で敬意を払っていることを知らされる。 ボルマンの視線を気にするピートは、ドクから受け取ったバケツをすり替える。 バケツの中身を捨てろと言われたピートは、入っていた水を捨てる。 納得いかないボルマンは、その場にあったサボテンの肥料用の糞を食べるようピートに指示する。 それに従ったピートを蹴り倒したボルマンは、彼を侮辱して脅しその場を去る。 その様子を見ていたPKとドクはピートに駆け寄り、タバコの件がバレれば全員殴られた仲間達をピートが守ったことを知る。 終戦が近づき、帰国できることを喜ぶドクだったが、彼と会えなくなるPKは悲しむ。 監督官の訪問時にコンサートを催したいという所長の考えを聞いたドクは、ピートがそれを望んでいることを知り承諾する。 その考えに反対だったドクは、ピートから、自分達のためにコンサートを開き、歌わせてほしいと言われる。 多部族をまとめることは難しいが、”雨をもたらす男”がいれば可能だと言われたドクとピートは、それぞれが作曲と作詞を始める。 看守達が臆病者だという歌詞の内容をPKから知らされたドクは、納得して囚人達に歌わせる練習を始める。 コンサートの夜、ピートの姿が見えないPKは心配するものの、ドクから必ず来ると言われる。 PKは所長の言葉を通訳するが、囚人達に警告する内容は、歓迎と団結の言葉に言い換えられてしまう。 ドクの演奏とPKの指揮により囚人達の歌が始まり、その場に向かおうとしたピートは、ボルマンに痛めつけられ、歌の内容を教えるよう強要される。 自分達が侮辱されていることを知ったボルマンは、ピートを更に痛めつける。 それに気づいたPKはピートの元に駆け寄り、感謝しながら息を引き取った彼が、ようやく自由になったことを悟る。 1948年、ヨハネスブルグ。 レポートの発表にあった、ピートを殺した軍曹への正義は下されたのかとPKに尋ねたセント・ジョンは、縛り首にされた軍曹の死体が、ピートの房で発見されたことを知る。 ボクシング大会の試合中に、観客席のマリア・マレー(フェイ・マスターソン)に見とれてしまったPKは、油断した隙にダウンを奪われる。 ゴングに救われたPKは、彼女が誰かを調べるようマレーに指示し、現れたズールー族の歌を聴きながら次のラウンドで相手を倒す。 モリーから、マリアがダニエル・マレー教授(マリウス・ワイヤーズ)の娘だと知らされたPKは、彼は国民党のアフリカーナなので殺されると忠告される。 それを無視してマリアがいる寄宿舎に侵入したPKは彼女に会い、二人は互いの気持ちを確かめ合う。 アフリカーナのホッピー・グルネウォルド(イアン・ロバーツ)のボクシングジムに向かったPKは、モリーから彼を紹介されるものの、子供扱いされる。 コーチ料を半年分前払いされたホッピーは、試しにリングに上がったPKの実力を認める。 異人種がリングに上がっていることをホッピーに尋ねたPKは、この場では黒人も対等に扱うと言われる。 マレーに会ったPKは、自分の考える理想主義を率直に語るが、マリアと会うことは許可されなかった。 帰ろうとしたPKは、理想主義は、今の学校に入る前にドイツ人から教わったとマレーに伝えてその場を去る。 ジムに向かったPKは、黒人居住区のプロモーターであるエリアス(ウィンストン・ヌシュナ)に会い、彼らの代表であるボクサーのギデオン・デュマ(アロイス・モヨ)との対戦を提案される。 異人種間の試合は違法だが、ホッピーは興味があるとPKに伝える。 エリアスが高校の試合に来ていたことを覚えていたPKは、歌を知っていた理由を尋ねるものの、答えてもらえなかった。 試合を断ったPKは、その場に来ていたマリアとモリーと共に外に出る。 PKは、追ってきたエリアスから、歌った理由は”雨をもたらす男”と知っていたからだと言われる。 刑務所に居たと言うエリアスがピートを知っていたため、PKは、伝説が間違いだったことは理解しているはずだと伝える。 その場にいたデュマは、未来を切り開くために戦い、君を倒して仲間達の目を覚ませるとPKに伝える。 その逆の結果になれば、伝説の男を称え士気が高まると言うデュマだったが、そこに警官が現れる。 エリアスらを使用人だと言うPKは、警官を信用させて彼らを救う。 父に逆らってでも人種間の問題を知ろうとするマリアの考えに、PKは感心する。 その頃マレーは、PKを監視することを、警官隊のブライテン大佐(ブライアン・オショーネシー)とヤピー・ボータ軍曹(ダニエル・クレイグ)に指示する。 ホッピー、モリー、そしてマリアと共に黒人居住区に向かったPKは、デュマと対戦する。 劣勢のPKは、かつて呪い師から勇気を授けられたことを思い出し、反撃してデュマを倒す。 デュマに伝説の”雨をもたらす男”と称えられたPKは、人々に称えられる。 試合後、マリアから、今夜のことは一生忘れないと言われて感謝されたPKは、彼女から卒業のダンス・パーティーに誘われる。 父には話してみると言うマリアに、PKはエスコートすることを約束する。 その様子を、ヤピーが監視していた。 黒人居住区で歓迎される存在となったPKは、デュマと共にトレーニングを始める。 居住区の劣悪な生活環境や、虐げられる人々の実情を知ったPKは、デュマと共に未来を語り、皆に英語と読み書きを教えることを頼まれる。 それを断ったPKだったが、デュマの熱意を知り心が動く。 モリーと共にセント・ジョンに会ったPKは、授業のことで彼に協力を求める。 マリアにその件を話したPKは、理想だけを追い、パーティーの約束を守ろうとしないことを非難される。 夕食の席で、大学を去り入閣することを発表したマレーは、黒人を非難する話に意見するマリアがPKに会っていることを知り口論になる。 マレーに頬を殴られたマリアは、自分は人を差別はしないと言って泣きながら、雨の中、家を出る。 モリーと共に学校の教室でデュマ達に英語の教え方を伝授しようとしたPKは、マリアが手伝いに来てくれてために嬉しく思う。 それを監視していたヤピーの報告を受けたブライテン大佐は、セント・ジョンの元に向かい、その件について話をする。 モリーと共にその場に呼ばれたPKは、軍曹が、寄宿学校で自分をいじめたヤピーだと気づく。 ブライテンに強要されたセント・ジョンは、仕方なく授業を取りやめることをPKに伝える。 早急に変化が必要だと考えるPKは、焦らずに待つようにと言うセント・ジョンに説得される。 失意のPKだったが、モリーと共にオックスフォード大学への入学が認められたことを知らされる。 授業の件に納得できないPKは、牧師であるモリーのおじに協力を求めようとする。 ジムに押し入ったPKを憎むヤピーは、彼に復讐するためその場を閉鎖しようとする。 抵抗するデュマやPKを痛めつけたヤピーは、ホッピーらを脅し、マリアのことも口にしてその場を去る。 マリアに危険が及ぶことを心配するPKは、彼女の元に向かい、一緒にオックスフォードに行くことを提案する。 おばの家に行くことになっているマリアに、卒業したら必ず迎えに行くことを伝えたPKは、母のブレスレットを彼女に渡す。 脅しに動じないホッピーとPKだったが、ジムは警官隊に襲われる。 抵抗するホッピーを痛めつけて連行するヤピーは、PKの前でジムに火を放つ。 モリーのおじの教会で授業をすることになったPKは、片目を失明したデュマに、自分のせいだと言って謝罪する。 気にする必要はないと言われたPKは、おばの家に行ったはずのマリアが来てくれたために喜ぶ。 ところが、ブライテン率いる警官隊がその場に押し入り、抵抗したマリアはヤピーに殴り殺されてしまう。 マリアの葬儀が行われ、その様子を見守るPKに襲い掛かろうとしたマレーは、友人達に制止される。 その場に現れたズールーの人々は、マリアのために歌う。 マリアの死で気力を失ったPKは、デュマに別れを告げようとするが、彼らの学ぼうとする姿を見て、自分の行いが間違っていなかったと思う。 デュマに誘われたPKは、マリアの遺志を継いで、人々に学ぶことを教える旅に出る決意をする。 PKを捕らえようとするヤピーは黒人居住区を襲い、デュマに発砲して脚に怪我を負わせる。 人々を容赦なく射殺するブライテンは、槍で刺されて死亡する。 エリアスを殺そうとしたヤピーに立ち向かったPKは、彼を叩きのめす。 銃を拾いPKを射殺しようとしたヤピーは、デュマに殴り殺される。 その後PKは、母、乳母、ドク、呪い師、ピート、マリアのことを想いながら、未来を切り開くためにデュマと共に旅立つ。
...全てを見る(結末あり)
終戦後にドクはドイツに帰国し、イギリスの高校に通うPK(スティーヴン・ドーフ)と友人のモリー・ギルバート(ドミニク・ウォーカー)は、セント・ジョン学長(ジョン・ギールグッド)の推薦でオックスフォード大学の入学候補生となる。
■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
1930年代、南アフリカ、ナタール州。
イギリス人の農夫の息子として生まれたピーター・フィリップ・ケネス・キース/PKは両親を亡くし、預けられた寄宿学校でアフリカーナからのいじめを受ける。
祖父に引き取られたPKは、祖父の友人であるドイツ人の音楽家ドクとの親交を深め、様々なことを学ぶ。
ヨーロッパの戦争の影響で刑務所に入れられたドクは、アフリカーナの所長から手厚くもてなされ、PKの出入りも許される。
そこで、ズールー族の囚人ピートからボクシングを習うことになったPKは、彼とも友達になり、人種差別による社会の不公平さなどを学ぶのだが・・・。
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1989年に発表された、ブライス・コートネイの小説”The Power of One”を基に製作された作品。
「ロッキー」(1976)や「ベスト・キッド」シリーズなどで知られるジョン・G・アヴィルドセンが監督したことで話題になった作品。
南アフリカによる人種隔離政策/アパルトヘイトが、法制として確立される前の人種差別問題を描く社会派ドラマでもある。
主人公のイギリス人少年が、白人でありながらアフリカーナの社会で迫害を受け、周囲の人々や異人種との交流を通して成長していく姿を描く人間ドラマでもある。
一般には受けた感動のドラマではあるが、正義やヒューマニズムの押しつけのようなご都合主義的な脚本や演出は、批評家には全く受け入れられなかった。
厳しい生活環境の中で成長しながら逞しく生き、世の中を変える理想に燃える主人公を好演するスティーヴン・ドーフ、7歳の主人公を演ずるガイ・ウィッチャー、12歳のサイモン・フェントン、主人公に音楽や様々なことを教える人生の師を深く演ずるアーミン・ミューラー=スタール、主人公にボクシングを教える、彼にしてはいつもの自然さがないモーガン・フリーマン、主人公が通う高校の学長ジョン・ギールグッド、主人公と愛し合う少女フェイ・マスターソン、その父親である教授のマリウス・ワイヤーズ、主人公と共に偏見と闘うボクシングジムのオーナー、イアン・ロバーツ、主人公の親友ドミニク・ウォーカー、警察隊の指揮官ブライアン・オショーネシー、その部下で、子供時代から主人公を憎む、本作がデビュー作のダニエル・クレイグ、その少年期ロビー・ブロック、刑務所の看守クライヴ・ラッセル、ズールー族のボクシング・プロモーターのウィンストン・ヌシュナ、主人公と親交を深めるズールー族のボクサー、アロイス・モヨなどが共演している。