悪魔にとり憑かれた少女を守ろうとする母親と悪魔祓いの儀式を行う神父たちを描く、監督ウィリアム・フリードキン、エレン・バースティン、リンダ・ブレア、ジェイソン・ミラー、マックス・フォン・シドー、リー・J・コッブ共演、1970年代のオカルト映画ブームの火付け役となり社会現象にまでなった作品。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ウィリアム・フリードキン
製作: ウィリアム・ピーター・ブラッティ
製作総指揮: ノエル・マーシャル
原作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
脚本:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
撮影:オーウェン・ロイズマン
編集
ノーマン・ゲイ
エヴァン・A・ロットマン
美術・装置
ビル・モーレイ
ジェリー・ワダーリッチ
音楽
マイク・オールドフィールド ”Tubular Bells”
ジャック・ニッチェ
出演
クリス・マクニール:エレン・バースティン
リーガン・マクニール:リンダ・ブレア
デミアン・カラス神父:ジェイソン・ミラー
ランカスター・メリン神父:マックス・フォン・シドー
ウィリアム・F・キンダーマン警部補:リー・J・コッブ
ジョー・ダイアー神父:イエズス会・ウィリアム・オマリー神父
シャロン・スペンサー:キティ・ウィン
バーク・デニングス:ジャック・マッゴーラン
カラス神父の母:バシリキ・マリアロス
パズズ(声):マーセデス・マッケンブリッジ
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1973年製作 122分
公開
北米:1973年12月26日
日本:1974年7月6日
製作費 $10,497,440
北米興行収入 $232,671,010
世界 $441,071,010
■ アカデミー賞 ■
第46回アカデミー賞
・受賞
脚色・録音賞
・ノミネート
作品・監督
主演女優(エレン・バースティン)
助演男優(ジェイソン・ミラー)
助演女優(リンダ・ブレア)
編集・撮影・美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
イラク北部、古代都市ニネヴェ近郊、ハトラ遺跡。
神学者のアメリカ人神父ランカスター・メリン(マックス・フォン・シドー)は、悪霊パズズの像を発見する。
メリン神父は、かつての死闘を思い起こしながら、再び、この宿敵と戦う不吉な予感を感じ、帰国する決意をする。
ワシントンD.C.、ジョージタウン。
女優のクリス・マクニール(エレン・バースティン)は、ロケのために、その地に滞在していた。
ある日、クリスは、借家の屋根裏の物音が気になり、12歳の娘リーガン(リンダ・ブレア)の部屋に行くと、窓が開き冷気が漂っていた。
イエズス会創設のジョージタウン大学の神父で、精神科医でもあるデミアン・カラス神父(ジェイソン・ミラー)は、独り住まいの母親(バシリキ・マリアロス)を気遣い、信仰についての悩みもあり辞職を考える。 その頃、ジョージタウン大学内の教会で、聖母マリアの像が汚される事件が起きる。 その後カラスは、母親が精神病院に入れられたことを知り見舞いに行くが、彼女にそれを責められて苦悩する。 リーガンの誕生パーティーの夜、クリスは、街角でよく見かけて気になっていた、カラス神父のことを、彼の友人で来客のジョー・ダイアー神父(ウィリアム・オマリー)に尋ねる。 クリスは、カラスの母親が、昨夜亡くなったということをダイアー神父から知らされる。 パーティーも終わり、クリスは、アシスタントのシャロン・スペンサー(キティ・ウィン)と、残った来客の相手をしようとしていたが、眠っていたリーガンが突然現れる。 そしてリーガンは、その場にいた宇宙飛行士の死を予告し、その場で放尿してしまう。 その後、リーガンの異変に気づきながらも、クリスは彼女を寝かしつける。 しかし、悲鳴を聞いたクリスは、リーガンのベッドが大きく揺れ動いているのに気づき、それを止めようとする。 ただ事ではないと感じたクリスは、リーガンに、最先端の医療検査を受けさせ、医師に脳障害の疑いを指摘される。 その後もリーガンの検査は続き、結局は、脳は正常と診断されるが、症状は悪化し、医師達も、彼女の異常な行動を確認する。 人格障害を指摘するクリスに対し、医師達は肉体的欠陥がある可能性から、再び脳の検査をすることを提案する。 そして、全ての検査を終えたクリスは、リーガンが医学的には正常だということを告げられ、精神科医に頼るべきだと医師に助言される。 帰宅したクリスは、主演する映画の監督バーク・デニングス(ジャック・マッゴーラン)が、シャロンに留守を頼まれていた間に、奇怪な死を遂げたことを知らされる。 その後、催眠術治療を受けたリーガンは、獣のような形相になり、医師を痛めつけてしまう。 やがて、ウィリアム・F・キンダーマン警部補(リー・J・コッブ)が、デニングスの事件の捜査を始める。 キンダーマンはカラス神父を訪ね、首が真後ろにねじれていたデニングスの変死と、構内の教会での聖像を汚した事件などの関係を含め、聖職者に異常者はいないかなどについて彼に意見を求める。 やがてリーガンを診察した医師団は、対策もなくヒステリックになるクリスに、カトリックの儀式の“悪魔祓い”を勧める。 デニングスが転落死した路地の階段を調べたキンダーマンは、その脇にあるクリスの家を訪ねる。 キンダーマンは、クリスの家にいたデニングスが、力の強い男にでも殺され、リーガンの部屋から突き落とされたという推測をするが、それは、とても信じられる話ではなかった。 だとすると、部屋にはリーガンしかいなかった訳で、疑問を投げかけるキンダーマンは、路地の階段の脇で見つけた粘土細と同じものを、家の中で見つける。 キンダーマンが帰った直後、リーガンの叫び声が聞こえ、クリスは彼女の部屋に向かう。 リーガンは醜い悪魔の顔となり、神を冒涜する卑猥な言葉を放ち、クリスを殴り倒す。 そしてリーガンの首は背中にねじれ、彼女にのり移ったデニングスが、自分の殺され方をクリスに伝える。 クリスは、デニングスを殺したのも、リーガンにのり移った悪魔だと知る。 クリスはカラス神父と会い、“悪魔祓い”を依頼し、彼はそれを断るものの、娘を思う、母親の悲痛な思いに心を動かされる。 リーガンに会い、本人の様子と悪魔に探りを入れたカラスは、”悪魔祓い”を行う、教会の許可を得るために、悪魔がとり憑いている確たる証拠を得ようとする。 もう一度、病院での長期療養を勧めたカラスだったが、クリスの意思は固かった。 リーガンが、母の死を知っていたことで、カラスはその後も彼女の観察を続ける。 慎重にことを運ぼうとしたカラス彼は、リーガンの声をテープに録音して調べようとする。 その後カラスは、リーガンが、デニングスを窓から突き落として殺したと、クリスから知らされる。 リーガンの言葉を解析したカラスは、”メリン神父に警戒しろ”と発する悪魔の声を聞く。 さらにカラスは、リーガンの腹部に浮かび上がった“助けて”という文字を見て、“悪魔祓い”を行なうことを決意する。 教会の許可を得たカラスは、12年前に、アフリカで”悪魔祓い”を経験している、メリン神父の助手を務めることになる。 メリンはクリスの家に現われ、経験をもとにカラスに助言した後、彼女に見守られながらリーガンの部屋に向かう。 リーガンに憑いた悪霊が、パズズだと確信したメリンは、全精力を傾け壮絶な闘いを始める。 そして、リーガンが一旦落ち着いたため、休息をとった二人だったが、彼女の様子を見に行ったカラスは、パズズに母親の声で語り掛けられて動揺してしまう。 母を病院送りにして、死に目にも会えなかったカラスは、自分を責め、それを見たメリンは一人で儀式を続ける。 しかし、老いたメリンは心臓発作を起こして息絶え、後を受け継いだカラスが、リーガンの身代わりとなり、悪霊を自分に憑かせ、窓から身を投げて転落する。 そしてリーガンは正気を取り戻し、クリスとその場に現れたキンダーマンは、メリンの死と、カラスが転落したことを確認する。 駆けつけたダイアー神父は、瀕死のカラスに駆け寄り、彼の懺悔を受け入れる。 クリスは、何も覚えていないリーガンを連れて家を離れることになり、同行する気にはなれないシャロンに別れを告げる。 そこに、ダイアー神父が姿を現し、クリスは彼に連絡することを告げる。 リーガンは、ダイアーが神父だと知らされ、彼に感謝するようにキスする。 クリスは、リーガンの部屋に落ちていたペンダントを神父に渡して、トラウマを抱えながらその場を立ち去る。 そして、ダイアーは、カラスが転落死した路地の階段を見ながらたたずむ。
...全てを見る(結末あり)
参考:
・「エクソシスト」(1973)
・「エクソシスト2」(1977)
・「エクソシスト3」(1990)
・「エクソシスト ビギニング」(2004)
・「ドミニオン」(2005)
・「エクソシスト 信じる者」(2023)
*(簡略ストー リー)
人気映画女優クリス・マクニールの娘リーガンが体調に異変が起きる。
あらゆる医療検査で、異常が見られないリーガンだったが、超常現象のような出来事や、彼女が関係しているとも思われる、映画監督の奇怪な死亡事故も起き、医師団は、クリスに”悪魔祓い”を勧める。
クリスは、地元のイエズス会の神父カラスにそれを相談するが、彼は教会の許可が必要なために慎重になる。
その後、リーガンに、悪魔がとり憑いていることを確信したカラスに、”悪魔祓い”の許可が下りる。
そしてカラスは、その経験者であるメリン神父の助手として、リーガンに憑いた悪魔との闘いに挑む・・・。
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1971年に発表された、ウィリアム・ピーター・ブラッティの同名小説を基に製作された作品。
実際にあった、メリーランド悪魔憑依事件を基にした物語で、ウィリアム・ピーター・ブラッティは、製作、脚本も手がけ、作品中、映画製作者役で出演もしている。
前年「ゴッドファーザー」(1972)が打ち立てた興行収入記録を、あっさり破ってしまった世界的大ヒット作品。
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製作費 $10,497,440
北米興行収入 $232,671,010
世界 $441,071,010
後に、続編、関連作品など3作が製作される。
2010年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
第46回アカデミー賞では、作品賞以下10部門にノミネートされ、脚色、録音賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
主演女優(エレン・バースティン)
助演男優(ジェイソン・ミラー)
助演女優(リンダ・ブレア)
編集・撮影・美術賞
監督は、「フレンチ・コネクション」(1971)でアカデミー賞を受賞した直後のウィリアム・フリードキン。
彼は、残念ながらこの後、ほとんど評価される作品を手がけていないのは残念だ。
本作でウィリアム・フリードキンは、悪魔に憑かれる少女を守ろうとする母親と、仕事への挫折や母の死に直面する神父、両者の苦悩を、平行して繊細なタッチで描いている。
マイク・オールドフィールドの、印象的な主題曲”Tubular Bells”やジャック・ニッチェの音楽他、サブリミナル効果が恐怖感を煽る。
翌年「アリスの恋」(1974)でアカデミー主演賞を受賞するエレン・バースティンは、娘に襲い掛かる非現実的な現象に困惑し、ヒステリックにもなる映画女優役を好演している。
カラス神父役のジェイソン・ミラーは、主演と言っていいほどの熱演で、落ち着き払った、重厚な演技を見せてくれる。
当時まだ33歳の彼はこの年、自身の戯曲である”That Championship Season”で、 早くもピューリッツァー賞を受賞することになる。
彼の息子は俳優のジェイソン・パトリックで、最初の妻は名優ジャッキー・グリースンの娘である。
こちらも撮影当時実はまだ43歳のマックス・フォン・シドーの老け役も素晴しい。
冒頭とクライマックスだけの登場となり、出演時間は短いが存在感を見せる。
そのメイクには、毎日何時間も費やしたと言われている。
映画史上に残る役、”悪魔にとり憑かれる少女”を演じたリンダ・ブレアの、”平常時”の自然で健康的な可愛らしさと、今観ると、それほどショッキングではないが、悪魔のメイク時とのギャップには当時、驚かされたものだ。
大ベテランで演技派の、リー・J・コッブを刑事役に起用し、ドラマにさらに重みが加わっている。
主人公が俳優で、映画の撮影現場が登場したり、刑事や神父も映画好きだったりするシーンが、随所に見られるのが興味深い。
ドラマの中で奇怪な死を遂げる、映画監督役のジャック・マッゴーランと、同じく死亡する、カラス神父(J・ミラー)の母バシリキ・マリアロスは、本作の公開前に他界している。
実際にイエズス会の神父でもある、カラスの友人である神父ウィリアム・オマリー、主人公のアシスタントのキティ・ウィンなどが共演している。