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スケアクロウ Scarecrow (1973)

粗暴で神経質な刑期を終えたばかりの男と陽気で気さくな青年の友情を描く、監督ジェリー・シャッツバーグ、主演ジーン・ハックマンアル・パチーノアイリーン・ブレナンアン・ウェッジワースリチャード・リンチ共演によるロードムービー・タッチの秀作ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

アル・パチーノ / Al Pacino / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ジェリー・シャッツバーグ
製作:ロバート・M・シャーマン
脚本:ギャリー・マイケル・ホワイト
撮影:ヴィルモス・スィグモンド
編集:エヴァン・A・ロットマン

音楽:フレッド・マイロー

出演
ジーン・ハックマン:マックス・ミラン
アル・パチーノ:フランシス・ライオネル”ライオン”デルブッキ
アイリーン・ブレナン:ダーリーン
ドロシー・トリスタン:コーリー
アン・ウェッジワース:フレンチー
リチャード・リンチ:ジャック・ライリー
ペネロープ・アレン:アニー・グリーソン
リチャード・ハックマン:ミッキー・グレンウッド
アル・シンゴラーニ:スキッパー
ルターニャ・アルダ:キャンピングカーの女性

アメリカ 映画
ワーナー・ブラザーズ
1973年製作 112分
公開
北米:1973年4月11日
日本:1973年9月
北米興行収入 $9,000,000


受賞
第26回カンヌ国際映画祭
パルム・ドール
国際カトリック映画事務局賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
カリフォルニア
元囚人で放浪者のマックス・ミラン(ジーン・ハックマン)は、街道でフランシス・ライオネル・デルブッキ(アル・パチーノ)から声をかけられるものの、彼を無視してヒッチハイクをしようとする。

妻を捨てて船乗りをしていたフランシスは、生まれているはずの子供に会うためにデトロイトに向かう途中だった。

フランシスは、車を止められずに苛立つマックスの様子を観察する。

日が暮れて、ライターの火が付かないマックスは、マッチを貸してくれてフランシスと共に、トラックの荷台に乗せてもらい移動する。

トラックを降りた二人はダイナーに向かい、マックスは、フランシスをビジネスに誘う。
...全てを見る(結末あり)

それを実行に移すためにピッツバーグに向かうと言うマックスは、フランシスがデトロイトに行きたいことを知る。

マックスは、妹コーリー(ドロシー・トリスタン)に会いにデンバーに向かう途中だった。

フランシスを”ライオン”と呼ぶことにしたマックスは、ビジネスの内容を訊かれて”洗車”だと答え、彼と共同経営をする約束をする。

マックスは、5年間船員だったと言うライオンに、6年間服役していたことを話す。

デトロイトに向かう理由を訊かれたライオンは、男か女かも分からない子供に渡すプレゼントのスタンドをマックスに見せる。

その場にいた客に、ビジネスの話を盗み聞きされたと思ったマックスは苛立ち、ライオンには裏切るなと忠告する。

その後、少し稼ごうとしたマックスとライオンは、レストランの厨房で働くものの、直ぐに追い出されそうになる。

粗暴で喧嘩っ早いマックスは暴れ始め、ライオンが彼を落ち着かせる。

ライオンは、性格に似合わず計画のために細かい計算をして、意味不明な重ね着をするマックスが気に入る。

ヒッチハイクで車を乗り継いだ二人はある街に着き、バーに向かう。

マックスは、その場にいた客のダーリーン(アイリーン・ブレナン)に絡まれて揉めるものの、結局は彼女と意気投合し、ライオンと三人でホテルに向かう。

酔ったマックスとダーリーンは愛し合う。

その後、やや計画とは違う展開になったマックスは苛立ち、置き去りにした妻アニー(ペネロープ・アレン)に電話をしようとしないライオンに、その理由を訊く。

拒まれたら子供に会えなくなると言うライオンの気持ちを察したマックスは、彼と共に貨物列車に飛び乗る。

バイトで小銭を稼ぎながら旅をつづけたマックスとライオンは、デンバーのコーリーの家にたどり着く。

再会を喜ぶコーリーに歓迎されたマックスは、ビジネスパートナーだと言ってライオンを紹介する。

コーリーが廃品回収業をしていることを知ったマックスは、彼女の仕事を手伝うフレンチー(アン・ウェッジワース)に一目惚れしてしまう。

フレンチーもマックスに惹かれ、食事を作ると言って張り切った彼女だったがそれに失敗してしまい、4人はフライドチキンで夕食を済ませる。

マックスは、フレンチーと共に彼女の家に向かう。

コーリーに子供のことなどを話したライオンは、彼女と心通わせる。

マックスはどこか抜けていると言うコーリーは、ピッツバーグではなくこの街でビジネスをするべきだとライオンに伝える。

ライオンは、マックスと戻ってくるとコーリーに伝える。

翌日、マックスと街に出かけたライオンは、この街でビジネスする提案をする。

ピッツバーグに預金があるマックスは、その場でビジネスをすることにこだわる。

ある店に入ったマックスは、コーリーのためにバッグを盗もうとして、ライオンに定員の気を引かせようとする。

ライオンが店内を走り回って店を出たため、呆れたマックスは諦める。

その夜、マックスとライオンは、送別会ということでコーリーとフレンチーと共に食事をする。

フレンチーと踊ったマックスは、彼女に声をかけた男と揉めるものの、その場にいた警官がそれを鎮める。

その後、マックスらは客たちと盛り上がるが、納得いかない男たちと喧嘩になる。

マックスとライオンは逮捕され、1ヶ月、刑務所に入ることになってしまう。

それをライオンのせいにするマックスは、彼を無視する。

囚人の世話係ジャック・ライリー(リチャード・リンチ)が二人に声をかけるものの、マックスは相手にしなかった。

ジャックに気に入られたライオンは、酪農場にいる所長の義理の息子ミッキー・グレンウッド(リチャード・ハックマン)を紹介され、洗車係になる。

マックスが気になるライオンは、彼に声をかけるものの無視される。

ゲイだったジャックは、ライオンの体が目的で彼をそばに置いていたのだった。

ジャックを拒んだライオンは痛めつけられ、それを知ったマックスはジャックを叩きのめす。

その後、出所したマックスとライオンは、デトロイトに向かう。

ある街に着いた二人はダイナーに寄り、マックスが再び客と揉めて騒ぎを起こしたため、呆れたライオンは、彼を見限り去ろうとする。

突然、道化のようにおどけるマックスは、重ね着していた服を脱ぎストリップを始める。

客たちは大いに盛り上がり、仕方なくライオンはマックスを許す。

旅をつづけた二人はデトロイトに到着し、身なりを整えたライオンは、カトリック教会に向かい心を落ち着かせる。

家に着いたライオンは、アニーに電話をすることにする。

アニーは、ライオンからの突然の電話に驚く。

結婚したと伝えたアニーは、冗談を言うフランシスに苛立つ。

数年前に結婚したと言うアニーは、送金してくていたフランシスに感謝し、店の開店資金に使ったことを伝える。

涙しながら自分を捨てたことを責めるアニーは、来たいと言うフランシスを拒み、雪の日に階段で転び、子供はお腹の中で死んだという嘘をついてしまう。

アニーは、洗礼も受けられずに死んだ子供は男の子で、あなたのせいで地獄に送られたとまでフランシスに言ってしまう。

カトリック教徒のライオンはショックを受けるが、マックスには男の子だったと言って陽気に振る舞い、アニーが再婚したので会いにはいかないことを彼に伝える。

喜ぶマックスとその場を去るライオンは、子供へのプレゼントを置き忘れる。

その後マックスは、公園の噴水で子供たちを相手におどけるライオンが気になる。

一人の子供を抱き上げて水に入ったライオンに気づいたマックスは、彼から子供を引き離して母親に渡す。

様子がおかしいライオンを落ちすかせたマックスは、彼を病院に連れて行く。

精神科病院に移送されることを医師から知らされたマックスは、話しかけても何も答えないライオンに、アニーに何を言われたかを問う。

一人ではビジネスができないと言うマックスは興奮し、医師らに制止される。

マックスは、もはや離れることのできないライオンのために開業資金を使う決心をする。

ピッツバーグまでの往復切符を買おうとしたマックスは、手持ちでは足りなかったために、靴のかかとに隠していた金を取り出して支払う。

チケット係の視線も気にしないマックスは、靴のかかとを戻すためにカウンターで叩く。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
カリフォルニア
6年間服役していた放浪者のマックス・ミランと船乗りだったフランシス・ライオネル・デルブキは街道で出会う。
マックスはフランシスを”ライオン”と呼び、”洗車”ビジネスに誘う。
マックスは妹コーリーの元に向かい、ライオンは、捨てた妻アニーと生まれているはずの子供に会う予定だった。
粗暴で喧嘩っ早いマックスはライオンと意気投合して、ヒッチハイクや列車を乗り継ぎコーリーの家にたどり着くのだが・・・。
__________

第26回カンヌ国際映画祭では、グランプリの”パルム・ドール”と国際カトリック映画事務局賞を受賞した作品。

長い下積み生活の末に「フレンチ・コネクション」(1971)、「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)と立て続けに話題作に出演し、一躍ハリウッドのトップ・スターになったジーン・ハックマンと、「ゴッドファーザー」(1972)で大役を掴み、若手のホープとして最も注目されていたアル・パチーノが、持ち味を生かし実力派らしい見事な演技を見せてくれる。

監督は、前作「哀しみの街かど」(1971)でもアル・パチーノと組んだジェリー・シャッツバーグ

腕っ節が強く逞しいが、神経質でどこか抜けている感じの主人公マックスが、あれほど執着する開業資金を、精神を病んでしまった友のために惜しみなく使おうとするラストは感動的だ。

マックス(ジーン・ハックマン)の妹ドロシー・トリスタン、その協力者でマックスと関係を持つアン・ウェッジワース、端役であるのが残念だが、マックスに絡む勝気な酒場の女役を印象的に演ずるアイリーン・ブレナン、刑務所の囚人でライオン(アル・パチーノ)に近寄るゲイのリチャード・リンチ、ライオンの妻ペネロープ・アレン、刑務所長の義理の息子リチャード・ハックマン(ジーン・ハックマンの兄)、マックスとライオンを乗せるキャンピングカーの女性ルターニャ・アルダなどが共演している。


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