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裏窓 Rear Window (1954)

1942年に発表された、コーネル・ウールリッチの短編”It Had to Be Murder”を基に製作された作品。
怪我のために身動きができない主人公が目撃する殺人事件を描く、製作、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演ジェームズ・ステュアートグレース・ケリーウェンデル・コーリイレイモンド・バーセルマ・リッター他共演によるサスペンスの傑作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)

アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧
アルフレッド・ヒッチコック / Alfred Hitchcock / Pinterest
ジェームズ・スチュアート / James Stewart / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:アルフレッド・ヒッチコック

製作:アルフレッド・ヒッチコック
原作:コーネル・ウールリッチ”It Had to Be Murder”
脚本:ジョン・マイケル・ヘイズ
撮影:ロバート・バークス
編集:ジョージ・タマシーニ
衣装デザイン:イデス・ヘッド
音楽:フランツ・ワックスマン

出演
L・B・ジェフリーズ:ジェームズ・ステュアート
リザ・キャロル・フリーモント:グレース・ケリー
トーマス・J・ドイル:ウェンデル・コーリイ
ラーズ・ソーウォルド:レイモンド・バー
ステラ:セルマ・リッター
アンナ・ソーンウォルド:イリーナ・ウィンストン
”ミス・ロンリーハーツ”:ジョディス・エヴリン
作曲家:ロス・バグダサリアン
ソーウォルドの階上の夫婦:サラ・バーナー/フランク・キャディ

アメリカ映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1954年製作 112分
公開
北米:1954年8月1日
日本:1955年1月14日
製作費 $1,000,000
北米興行収入 $36,764,310


アカデミー賞
第27回アカデミー賞

・ノミネート
監督・脚本・録音・撮影賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューヨークグリニッチ・ヴィレッジ
うだるような猛暑が続く中、7週間前に足を骨折し、ギブスをはめているために歩くこともできない、カメラマンのL・B・ジェフリーズ(ジェームズ・ステュアート)は、退屈しのぎに向かいのアパートの住民を観察していた。

そんなジェフリーズを、看護人のステラ(セルマ・リッター)は”覗き”だと言ってからかう。

裕福で若いソーシャライトの恋人リザ・キャロル・フリーモント(グレース・ケリー)を、理想の女性ではあるが、自分とは生きる世界が違うと言うジェフリーズだったが、ステラは彼女と結婚すべきだと発破をかける。

その夜、向かいのアパートで、独り恋人とのひと時を夢見る、ジェフリーズが名付けた”ミス・ロンリーハーツ”(ジョディス・エヴリン)、作曲家(ロス・バグダサリアン)やダンサーの若い女性、それに新婚夫婦の行動などを、彼は新作のドレスに身を包み、食事を持参したリザと観察する。

二階に住むセールスマンのラーズ・ソーウォルド(レイモンド・バー)は、寝たきりの妻アンナ(イリーナ・ウィンストン)の世話をしていたが、ジェフリーズは、何となくしっくり行っていない雰囲気の二人の関係が気になる。
...全てを見る(結末あり)


解説 評価 感想

★ヒッチコック登場場面
上映から約25分後、作曲家(ロス・バグダサリアン)の傍らで、時計のネジを巻いている男性がヒッチコック
余所見をしていると見逃してしまうが、今回は非常に分かり易い。

*(簡略ストー リー)
足を骨折して、自宅療養中のカメラマンL・B・ジェフリーズは、暇を持て余していたため、向かいのアパートの住民を観察する。
そんな時、二階の住人ソーウォルドの、寝たきりの妻の姿が見えなくなり、やがて、彼の不審な行動にジェフリーズは、ある推理を巡らせる。
大きなカバンを持っての外出、荷物の搬送、花壇を気にするソーウォルドの素振り、そして、ナイフやノコギリ・・・。
ジェフリーズには、そんなソーウォルドの行動全てが、どうしても殺人と結びつくのだった。
ジェフリーズは、それを恋人リザに話すものの、妄想だと思い込む彼女は、ソーウォルドの行動を実際に目にして、彼の犯行を確信する。
そして、プロの目から見た意見を、友人の警部補をドイルに求めたジェフリーズは、半信半疑で協力を始めた彼と、リザや看護人ステラの助けを借りて、犯罪を暴こうとする・・・。
___________

結末自体は、主人公の思っていた通りの犯行だったという、やや単純な終わり方をする物語なのだが、動くことのできないハンデを背負った主人公の目線と、その彼が、部屋から一歩も出ない展開でドラマを成立させるという、奇抜というより、画期的な手法で仕上げられた、異色のサスペンス作品。
主人公はただ一度だけ、クライマックスで犯人に窓から落とされて、地面に落下し部屋を出る。

殺人が行われている現場周辺で起きるショートカットで見せる様々な人間模様や、序盤美しさばかりを強調させて、飾り物のように登場させるグレース・ケリーを、中盤からは主人公の手足のようにして活躍させる。
また、気丈な中年女性セルマ・リッターを、彼女の”相棒”のように描写して安心感を与え、男としての、勇気や逞しさを見せることのできない主人公を見事にサポートさせるという、計算し尽くされた、ヒッチコックの巧みな演出は圧巻だ。

第27回アカデミー賞では、監督、脚本、録音、撮影賞にノミネートされた。

1997年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

ひ弱に見えるジェームズ・ステュアートは、動けない主人公の役柄に打って付けで、その割りに、過酷なカメラマン生活を、盛んに強調するところなども実に面白い。
一際目を引く細身の長身が彼のトレードマークでありながら、座らせたままで全編を通すというアイデアには脱帽だ。

主人公自身が語るように、あのロケーションに”不釣合い”なグレース・ケリーの美しさは際立ち、また、極めつけの、イデス・ヘッドの衣装も注目だ。
グレース・ケリーは同年、同じヒッチコック作品「ダイヤルMを廻せ!」(1954)が直前に公開され、そして、「喝采」(1954)でアカデミー主演賞を受賞する。

主人公の推理を信じないままに、友人として協力する警部補のウェンデル・コーリイ、殆どが遠景ショットでの演技となる殺人犯レイモンド・バー、主人公二人を圧倒する個性を見せる看護人役のセルマ・リッター、犯人に殺される妻イリーナ・ウィンストン、アパートの住人役のジョディス・エヴリン、最後に彼女と親しくなる作曲家ロス・バグダサリアン、殺人犯の上の階の夫婦サラ・バーナーフランク・キャディなどが共演している。


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