警官殺害事件の捜査と殺人容疑で逮捕された弟の無実を信じる女性の行動を描く、監督アンソニー・マン、主演ジョン・アイアランド、シーラ・ライアン、ヒュー・ボーモント、ジェーン・ランドルフ他共演のフィルム・ノワール。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:アンソニー・マン
製作:チャールズ・レイズナー
原案:ガートルード・ウォーカー
脚本:ジョン・C・ヒギンズ
撮影:ガイ・ロー
編集:ルイス・サッキン
音楽:アルヴィン・レヴィン
出演
デューク・マーティン:ジョン・アイアランド
スティーヴ・ライアン:エド・ケリー
ロージー・ライアン:シーラ・ライアン
ミッキー・ファーガソン:ヒュー・ボーモント
クララ・カルフーン:ジェーン・ランドルフ
マクタガート警部:チャールズ・D・ブラウン
ジム・チャブ刑事:クランシー・クーパー
マリー・ウェストン:ペギー・コンバース
ライアン夫人:ハーミーヌ・スターラー
カウィー・コワルスキー:キーフ・ブラッセル
ジャックランド・エインズワース:ロイ・ゴードン
アメリカ 映画
配給 Eagle-Lion Films
1947年製作 72分
公開
北米:1947年9月25日
日本:未公開
製作費 $500,000
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
美容院を経営するクララ・カルフーン(ジェーン・ランドルフ)は、裏でブックメーカー(賭け屋)に関わっていた。
ある夜、クララは閉店後に外にいた者に合図する。
2人の覆面の男は銃を構えて店に入り、クララとアシスタントのマリー・ウェストン(ペギー・コンバース)を脅して現金5000ドルを奪う。
そこに、巡回中の警察官オハラが現れ、マリーの叫び声を聴いて店に入ろうとする。
発砲した犯人のカウィー・コワルスキー(キーフ・ブラッセル)が撃たれ、もう1人のデューク・マーティン(ジョン・アイアランド)がオハラを射殺する。
デュークは、撃たれたカウィーを連れてクリーニング会社のバンで逃亡し、クララはその様子を見守る。
その後デュークは、カウィーを医師の家に連れて行き、バンの持ち主は”スティーヴ・ライアン”であり、余計なことは話すなと伝えて、彼を残してその場を去る。
クララとマリーは、警察署でマクタガート警部(チャールズ・D・ブラウン)とミッキー・ファーガソン刑事(ヒュー・ボーモント)から事件のことを訊かれる。
犯人2人が黒髪だったと言うマリーに対し、クララは、警官を撃った男の髪は灰色がかっていたと話す。
そこに、医師の家で容疑者の1人が逮捕されたという無線が入る。
クララとマリーを帰したマクタガートは、犯人が使用した”S.S.R”というイニシャルがついた海軍のスカーフをミッキーに渡し、ジム・チャブ刑事(クランシー・クーパー)と共に捜査を始めさせる。
事件の黒幕であるクラブ経営者のジャックランド・エインズワース(ロイ・ゴードン)は、部下のデュークと恋人のクララを呼び、今後のことを考えて警戒させる。
ミッキーは、カウィーが話したかつて隣人だったスティーヴ・ライアン(エド・ケリー)の家を訪ね、彼の姉ロージー(シーラ・ライアン)と再会する。
令状があると言うミッキーはジムを呼び、スティーヴに今夜の行動を訊く。
クリーニング店で働くスティーヴが、犯行に使われた車とスカーフを自分のものと認めたため、ミッキーとジムは彼に警官殺害事件のことを話す。
ミッキーとジムはスティーヴを署に連行しようとするが、ロージーと母親(ハーミーヌ・スターラー)はスティーヴの無実を信じる。
そしてミッキーとジムは、職務を果たすために、スティーヴと共に警察署に向かうのだが・・・。
1932年に実際に起きた殺人事件”Majczek and Marcinkiewicz”にインスピレーションを得た作品であり、翌年公開された、ヘンリー・ハサウェイ監督、ジェームズ・ステュアート主演の「出獄」(1948)も同じ事件に基づいて製作された。
名匠アンソニー・マンが監督し、主演はジョン・アイアランド、シーラ・ライアン、ヒュー・ボーモント、ジェーン・ランドルフなどが共演している。
警官殺害事件の捜査と、殺人容疑で逮捕された弟の無実を信じる女性の行動を描くフィルム・ノワールの秀作。
主演はしたたかな犯人をいい雰囲気で好演するジョン・アイアランドなのだが、物語は、事件を担当する刑事ヒュー・ボーモントの捜査と、弟の犯行と決めつけられた姉シーラ・ライアンが、命懸けで無実を証明しようとする姿が描かれている。
その刑事と女性がかつて隣人であり、再会した2人は、物語の進行と共に惹かれ合う仲になるというロマンスとしても描かれ、緊迫感の中に、人間の強さや弱さなど、その本質を繊細に描く、アンソニー・マンの演出手腕が見どころの作品でもある。
事件に関わる犯人の恋人で、罪の意識から精神的に苦悩する女を好演するジェーン・ランドルフ、事件を指揮する警部のチャールズ・D・ブラウン、その部下クランシー・クーパー、クララ(ジェーン・ランドルフ)のアシスタント、ペギー・コンバース、犯人により殺人犯に仕立て上げられる青年エド・ケリー、その母親ハーミーヌ・スターラー、死亡する犯人キーフ・ブラッセル、事件の黒幕であるクラブ経営者で賭け屋のロイ・ゴードンなどが共演している。