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007/ムーンレイカー Moonraker (1979)

007シリーズ第11作。
1955年に発表された、イアン・フレミング原作のシリーズ第3作”Moonraker”を基に製作された作品。
選ばれた人間だけの新たな世界を創ろうとする大富豪の地球滅亡計画を阻止しようとするMI6諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描く、製作アルバート・R・ブロッコリ、監督ルイス・ギルバートロジャー・ムーアマイケル・ロンズデールロイス・チャイルズ他共演のスパイ・アクション。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


007

007 / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ルイス・ギルバート

製作総指揮:マイケル・G・ウィルソン
製作:アルバート・R・ブロッコリ
原作:イアン・フレミングMoonraker
脚本
クリストファー・ウッド

リチャード・メイボーム
撮影:ジャン・トゥルニエ
編集:ジョン・グレン
視覚効果:デレク・メディングス
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
音楽
ジョン・バリー

モンティ・ノーマン:ジェームズ・ボンドのテーマ
主題歌:シャーリー・バッシーMoonraker

出演
ジェームズ・ボンド:ロジャー・ムーア

ホリー・グッドヘッド博士:ロイス・チャイルズ
サー・ヒューゴ・ドラックス:マイケル・ロンズデール
ジョーズ:リチャード・キール
コリンヌ・ダフォー:コリンヌ・クレリー
M:バーナード・リー
Q:デスモンド・リュウェリン
フレデリック・グレイ国防相:ジョフリー・キーン
マネーペニー:ロイス・マクスウェル
チャン:トシロー・スガ
マニュエラ:エミリー・ボルトン
ドリー:ブランシュ・ラヴェレック
アナトール・ゴーゴル将軍:ウォルター・ゴテル

イギリス/フランス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1979年製作 126分
公開
イギリス:1979年6月26日
北米:1979年6月29日
日本:1979年12月8日
製作費 $34,000,000
北米興行収入 $70,308,100
世界 $210,308,100


アカデミー賞
第52回アカデミー賞
・ノミネート
視覚効果賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
イギリスへ空輸中のスペース・シャトル“ムーンレイカー”が、何者かに奪われる。

イギリス諜報員ジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は、アフリカで活動中に航空機から突き落とされる。

敵からパラシュートを奪ったボンドだったが、殺し屋ジョーズ(リチャード・キール)が襲い掛かる。

ボンドは、パラシュートを開いてジョーズから離れる。

パラシュートのレバーを引きちぎってしまったジョーズは、サーカスのテントに落下してしまう。

ロンドンMI6本部。
ボンドは、M(バーナード・リー)、Q(デスモンド・リュウェリン)そしてフレデリック・グレイ国防大臣(ジョフリー・キーン)の元に向かう。

ムーンレイカーが消息を絶ったことを知らされたボンドは、アメリカに宇宙施設を建設し、NASAと共同でムーンレイカーを開発した人物、サー・ヒューゴ・ドラックス(マイケル・ロンズデール)の身辺を探る命令を受ける。
...全てを見る(結末あり)

Qから、ダーツに似たブレスレットタイプの兵器を支給されたボンドは、早速アメリカのカリフォルニアに向けて飛び立つ。

現地に到着したボンドは、ヘリコプター・パイロットのコリンヌ・ダフォー(コリンヌ・クレリー)の出迎えを受け、ドラックス所有の研究所上空を通過し、彼の大邸宅へ向かう。

ドラックスと対面したボンドは、基地内施設を視察することになり、NASAから派遣されている女性科学者兼宇宙飛行士ホリー・グッドヘッド(ロイス・チャイルズ)と出会う。

ボンドは、ホリーに重力訓練装置の体験を勧められ、ドラックスの部下であろ殺し屋チャン(トシロー・スガ)に命を狙われる。

重力訓練装置の速度が上がり、止めることができないボンドは、Qに支給された武器で計器を破壊して停止させる。

難を逃れたボンドは、コリンヌに接近してベッドを共にしながら情報をつかみ、ドラックスの書斎に侵入する。

秘密の金庫を開けたボンドは、その中にあった関係資料の写真を撮る。

翌日、狩りをしていたドラックスは、現れたボンドを狙撃手に殺させようとする。

木の上で自分を狙う男に気づいたボンドは、獲物は外すものの彼を射殺する。

ドラッグスは、ボンドに協力した裏切り者コリンヌを殺す。

写真に写っていたガラス工房を手がかりに、ベニスに向かったボンドは、工房見学後にホリーを見かける。

ホリーに話しかけたボンドは、彼女と別れた後に、運河で殺し屋に襲われる。

敵をかわしたボンドは、その夜、ガラス工房奥に隠されていた研究室に侵入し、人間だけを殺傷する薬品を見つける。

その場から逃れたボンドは、殺し屋チャンに襲われるものの彼を倒す。

ホリーの元に向かったボンドは、彼女がCIAの情報員であることに気づき、協力し合うことで一応、同意する。

Mとグレイ国防大臣もベニスに到着し、ボンドは、2人と共にガラス工房の研究室を調べようとする。

既に研究室は跡形もなく消えてしまい、ドラックスが悠然と待ちかまえていた。

グレイ国防大臣は憤慨し、ボンドの解任をMに指示する。

Mから休暇をとるよう指示されたボンドは、研究所にあったリオデジャネイロからの貨物を頼りに現地に飛ぶ。

ドラックスは、殺されたチャンの代わりとして、ジョーズをリオデジャネイロに送り込む。

現地連絡員マニュエラ(エミリー・ボルトン)と接触したボンドは、その夜、ドラックスの関連会社を探る。

その夜、カーニバルが行われている脇の路地でボンドを待っていたマニュエラは、ジョーズに襲われるもののボンドに救われる。

翌日ボンドは、シュガーロー山でホリーに出くわし、2人はロープウェイでジョーズに襲われる。

抵抗したボンドとホリーは、ジョーズをゴンドラに閉じ込めて、鎖をワイヤーにかけて下り、地上に着地する。

停止できなくなったゴンドラは到着駅に激突し、その場にいたドリー(ブランシュ・ラヴェレック)に助けられ、2人は恋に落ちる。

その後、ボンドとホリーは、ドラックスの手下に捕らえられるものの、ボンドだけが逃れる。

情報部の支部に呼び出されたボンドは、現地に来ていたMの秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)に迎えられる。

そこでボンドは、例の薬品がアマゾン川上流に生息する、珍種の蘭を原料とする神経ガスであることを、QとMから知らされる。

アマゾン川を下り欄の生息地に向かったボンドは、再びジョーズらに襲われる。

ボンドは、滝を目前にしてハンググライダーを使い追跡を逃れ、ジョーズらは滝に転落する。

水辺に現れた女性の後を追ったボンドは、古代遺跡にたどり着く。

大蛇に殺されそうになったボンドはそれを倒し、そこにジョーズとトラックスが現れる。

ボンドは、その場所に隠されている基地から、ムーンレイカーが次々と発射する様子を見せられる。

奪われたムーンレイカーは、ドラックスの乗るシャトルから欠陥が見つかったために、その代用品として使われたのだった。

ボンドは、捕らえられていたホリーの元に連れて行かれ、シャトル発射台のエンジン噴射口の真下に監禁される。

ドラックスはムーンレイカーに搭乗して宇宙に飛び立つ。

その寸前に、ボンドは腕時計に隠された爆薬を使い脱出する。

ボンドと宇宙飛行訓練を受けていたホリーはシャトルに侵入し、次の発射で飛び立ちドラックスを追う。

ムーンレイカーの積荷が、何十組もの男女だと知ったボンドは、シャトルが”ノアの方舟”だと気づく。

レーダー妨害装置により、誰にも知られていない宇宙都市に到着した各シャトルはドッキングする。

宇宙都市を作動させて重力を与えた後、シャトルから多数の男女が乗り移る。

ドラックスは、新しい世界を築く考えをジョーズやドリーを含めた全員に伝える。

ホリーが地球に宇宙都市の位置を知らせ、アメリカは、ソ連のアナトール・ゴーゴル将軍(ウォルター・ゴテル)に攻撃部隊の派遣を伝える。

そしてドラックスは、地球に向けて毒ガスカプセルを発射させる。

ジョーズに捕らえられたボンドとホリーは、ドラックスの元に連れて行かれる。

ドラックスは、人類を神経ガスカプセルで滅ぼし、その後に自分たちが地球に帰還し、新しい世界を創ることを伝える。

ボンドは、ハンデがあり醜い者はいずれ排除されることを話し、それを聞いたジョーズは改心して考えを変える。

重力維持装置を停止させたボンドは、地球から派遣された部隊への攻撃を回避する。

攻撃部隊は到着して激しい戦いを繰り広げ、ジョーズを味方にしたボンドは敵を倒し、ドラックスを追い詰める。

ボンドはドラックスを宇宙空間に放出し、部隊を宇宙都市から退避させる。

宇宙都市の爆発を前に、ボンドはホリーとムーンレイカーに乗り込み、ガスカプセルを追おうとするものの機体が切り離せない。

その時ボンドは、恋人のドリーと宇宙都市に残っていたジョーズに気づき、機体を内部から切り離してもらう。

そして、脱出したジョーズとドリーも助かり、宇宙都市は爆発する。

ムーンレイカーで大気圏に突入しながら、ガスカプセルを全て打ち落としたボンドとホリーは、人類を滅亡の危機から救う。

作戦成功を知ったMやグレイ国防大臣らは、ボンドの映像を待つ。

無重力状態で抱き合うボンドとホリーが映し出され、Mとグレイは呆れてしまう。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
イギリスへ空輸中のスペース・シャトル“ムーンレイカー”が、何者かに奪われる。
MI6の諜報員ジェームズ・ボンドは、上司Mとグレイ国防相から、その件を知らされ、アメリカに宇宙基地を建設して、NASAと共同でムーンレイカーを開発したドラックスの身辺を探る命令を受け、Qから装備兵器を渡されてカリフォルニアへ向かう。
現地に到着したボンドは、ドラックスの大邸宅に向かい、基地内の施設を視察し、NASAから派遣されている科学者兼宇宙飛行士ホリーと出会う。
その後ボンドは、ドラックスの書斎に侵入して情報を入手するのだが・・・。
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前作の「私を愛したスパイ」(1977)のエンドロールには「ユア・アイズ・オンリー」(1981)と次回作が予告されたのだが、「スター・ウォーズ」(1977)の大ヒットでSF映画ブームとなり、スペースシャトルの初飛行(1981年4月12日)も迫ったために、急遽、本作が製作され。

そして、前作の2倍以上の製作費3400万ドルをかけた超大作として公開された本作は、シリーズ初となる世界興行で2億ドルを超す大ヒットとなった。
北米興行収入 $70,308,100

第52回アカデミー賞では、視覚効果賞にノミネートされた。

ボンドが、ついに宇宙に飛び立つストーリーが話題になったものの、宇宙飛行をあまりにも単純に描き過ぎた内容は批判も受けた。
しかし、上記のように初のスペースシャトル打ち上げも迫り、宇宙旅行を身近に感じさせる意味では、多くの支持も受けた。

前作に続くルイス・ギルバート監督作品で、相変わらず、彼らしい”荒唐無稽”な大スペクタクル作品でもある。

また、ヒットすれば何でもありという、エスカレートし過ぎた内容にも批判が集まり、次回作「ユア・アイズ・オンリー」(1981)では一転、本来のスパイ劇が復活し、それでも本作に迫る興行収入を上げたのだから皮肉な話だ。

主題歌”Moonraker”は、「ゴールドフィンガー」(1964)、「ダイヤモンドは永遠に」(1971)に続き3度目となるシャーリー・バッシーが歌っている。

主演のロジャー・ムーアは50歳を過ぎ、体を張ったアクションは減ってきたものの、表情や仕草に円熟味が増し、その魅力はファンの心を捉えたと言える。

ジャッカルの日」(1973)の犯人を追い詰める実務派の警官役の印象が強いため、悪者に思えないマイケル・ロンズデールは、凄みに欠けるものの、無難に役をこなしている。

美しい、NASAの科学者兼CIAの情報員ロイス・チャイルズ、裏切り者とみなされ呆気なく殺されてしまうコリンヌ・クレリー、次回作前に亡くなり、本作が遺作となったシリーズの顔Mのバーナード・リー、秘密兵器調達の他、薬物分析も任されるQのデスモンド・リュウェリン、本作でも前作同様にロングショットでしか登場しない、マネーペニーのロイス・マクスウェルKGB長官、お馴染みゴーゴル将軍のウォルター・ゴテル、国防相ジョフリー・キーン、そして、シリーズ初となる、同人物の殺し屋として2作連続出演のリチャード・キールと、その恋人ブランシュ・ラヴェレック、また、剣道着姿でボンドに襲い掛かる姿が滑稽な殺し屋トシロー・スガも登場する。
*ジョーズと恋人の物語は”フランケンシュタイン”のパロディだ。


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