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モーリス Maurice (1987)

1913年に発表された、E・M・フォースターの同名小説の映画化。
同性愛が犯罪だった20世紀初頭のイギリスを舞台に、愛し合うようになった2人の男性の苦悩を描く、監督、脚本ジェームズ・アイヴォリー、主演ジェームズ・ウィルビーヒュー・グラントルパート・グレイヴスデンホルム・エリオットベン・キングズレー他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト ■
監督:ジェームズ・アイヴォリー

製作:イスマイル・マーチャント
原作:E・M・フォースター
脚本
ジェームズ・アイヴォリー
キット・ヘスケス=ハーヴェイ
撮影:ピエール・ロム
衣装
ジェニー・ビーヴァン
ジョン・ブライト
ウィリアム・ピアース
編集:キャサリン・ウェニング
音楽:リチャード・ロビンズ

出演
ジェームズ・ウィルビー:モーリス・ホール
ヒュー・グラント:クライヴ・ダーラム
ルパート・グレイヴス:アレック・スカダー
デンホルム・エリオット:バリー医師
ベン・キングズレー:ラスカー・ジョーンズ
フェビー・ニコルズ:アン・ダーラム/ウッズ
ビリー・ホワイトロー:ホール夫人
ヘレナ・ミッチェル:エイダ・ホール
サイモン・キャロウ:デュシー
マーク・タンディー:リズリー
ヘレナ・ボナム=カーター:クリケット場の女性

イギリス 映画
配給 Cinecom Picture
1987年製作 140分
公開
北米:1987年9月18日
日本:1988年1月30日
製作費 $2,600,000
北米興行収入 $3,130,592


アカデミー賞 ■
第60回アカデミー賞

・ノミネート
衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1909年、秋、ケンブリッジ大学
モーリス・ホール(ジェームズ・ウィルビー)は同期生に会うために訪れた部屋で、気さくな学生クライヴ・ダーラム(ヒュー・グラント)に出会い意気投合する。

1910年、春の学期。
男性の肉体美への憧れ、精神と知識欲の美をギリシャの古典に見出していたクライヴは、前年の秋、モーリスに愛の告白をしていた。

モーリスも初めからクライヴを愛していたことを告げ、2人は親密な関係になる。

その後、大学の講義をサボったモーリスは休学処分となり、家族は彼が大学に戻るよう望むが、知人である医師のバリー(デンホルム・エリオット)は、復学する気のないモーリスの考えを理解する。
...全てを見る(結末あり)

ペンダースレー・パーク。
クライヴの別荘に招かれたモーリスは、彼の家族や周囲の目を盗みながら、彼との関係を続ける。

1911年、ロンドン
父の後を継ぎ、株の仲買人になったモーリスは、弁護士となったクライヴと関係を続けていたが、そんな時、大学の同期生のリズリー(マーク・タンディー)が、風俗壊乱罪で逮捕されてしまう。

リズリーは社会的地位を失い、有罪となり重労働と懲役刑を科せられてしまう。

動揺したクライヴは、モーリスの家で食事中に倒れてしまい、モーリスは思わずクライヴにキスして、看病までしようとする。

1912年、春。
単身でギリシャに旅立ったクライヴは、モーリスに頼りも出さぬまま、気ままな時を過ごし、やがて帰国する。

モーリスに再会したクライヴは、全てを失う危険を冒している2人の関係を変え、他の幸せを探す提案をする。

女性に興味があるかのように思えるクライヴを見て、モーリスは取り乱してしまう。

モーリスは、クライヴが口にした妹のエイダ(ヘレナ・ミッチェル)と彼の仲を疑い彼女を追求する。

1913年、バーモンシー
ボクシングを始めていたモーリスは、シャワー室ではしゃぐ裸の男達を見て刺激を受けてしまう。

モーリスは、クライヴがアン・ウッズ(フェビー・ニコルズ)という女性と婚約したことを知り、エイダに謝罪する。

クライヴから連絡のあったモーリスは、彼から結婚式の介添人を頼まれる。

バリー医師に自分が同性愛者だと打ち明けたモーリスは、若い女性と付き合えば正常になると助言される。

そしてクライヴは、アンと結婚式を挙げる。

1913年、秋、ペンダースレー。
クライヴの自宅に招かれたモーリスだったが、幸せな家庭を築き、政治家に転身しようと、忙しく活動をする彼にもはや好意を抱くことはなく、淡々と休日を過ごしていた。

クライヴとアンは、ロンドンに戻るというモーリスに恋人ができたものと勘違いして見送る。

精神科医のラスカー・ジョーンズ(ベン・キングズレー)のセラピーを受けたモーリスは、ペンダースレーに戻る。

クライブは選挙運動で外出し、モーリスは、猟場番のアレック・スカダー(ルパート・グレイヴス)が、自分に好意を持っていることに気づく。

その日の夜、モーリスは夜中に彼の部屋に忍び込んできたアレックに身を任せてしまう。

アルゼンチンに移住を予定しているアレックは、どうしても、もう一度モーリスと一夜を共にしたいと思い、ボートハウスに彼を誘う。

その思いが果たせないアレックは、ロンドンのモーリスの職場に現れ、クライヴのことも承知だと伝え、脅迫まがいの態度にでたため、モーリスは仕方なく彼に付き合う。

モーリスは、アレックの頼みを聞き入れて一夜を共にし、彼との別れを惜しみ、アルゼンチン行きを止めさせようとする。

しかし、身の破滅を招くその提案をアレックは断り、家族と共に船で旅立とうとする。

アレックが旅立つ日、港に彼を見送りに行ったモーリスだったが、そこに彼は現れなかった。

クライヴを訪ねたモーリスは、アレックとの関係を彼に話し、クライヴはそれを聞いて呆れてしまう。

そしてモーリスは、全てを捨てて自分を選んだアレックスの待つボートハウスに向かう。

アレックを見つけたモーリスは、彼を固く抱きしめる。

クライヴは、学生時代のモーリスを思い出しながら、寄り添うアンに微笑みかける。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1909年、秋、ケンブリッジ大学
モーリス・ホールは、知性ある気さくな学生クライヴに出会い、意気投合する。
男性の肉体美への憧れ、精神と知識欲の美をギリシャの古典に見出していたクライヴは、モーリスに愛の告白をし、翌年春頃から親密な関係になる。
その後も関係を続け、大学を卒業した2人は、モーリスは株の仲買人になり、クライヴは弁護士となる。
その後、同期生が、風俗壊乱罪で有罪となり懲役になったために、クライヴは動揺してしまい、ギリシャに旅立ってしまう。
そして、帰国したクライヴは、モーリスとの関係に全てを失う危険性を感じ、他の幸せを探そうと、アンという女性との結婚する決意をするのだが・・・。
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前年の「眺めのいい部屋」(1986)や「ハワーズ・エンド」(1992)などで、E・M・フォースターの原作を映画化しているジェームズ・アイヴォリーが、私生活での同性愛のパートナーでもある製作者イスマイル・マーチャントと組んだ文芸作品。

第60回アカデミー賞では、衣装デザイン賞にノミネートされた。

原作で描かれている階級社会の崩壊や人間の本質の追求よりも、芸術作品のような映像美や、”美青年”の視覚的美しさが強調された作品で、その部分が女性ファンを中心に大いに話題にもなった。

リチャード・ロビンズの優美な音楽も心に残る。

身分を捨てて、友人の使用人との愛を選ぶ青年ジェームズ・ウィルビー、デビュー間もない、注目の”美青年”ヒュー・グラント、ストレートな愛が主人公の心を動かすルパート・グレイヴス、やや無責任な主人公の主治医デンホルム・エリオットやセラピスト、ベン・キングズレー、そして、J・アイヴォリー作品の常連サイモン・キャロウ、ケメオ出演でヘレナ・ボナム=カーターも、クリケットの試合の見物人で登場する。
*因みに、デンホルム・エリオットバイセクシャルであることをカミングアウトしているので、それを承知でいるとなおさら興味深く観れる。


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