1974年に発表された、ウィリアム・ゴールドマンの小説”Marathon Man”を基に製作された作品。 ナチの残党の企むダイヤ密輸計画に巻き込まれる大学院生の孤独な戦いを描く、監督ジョン・シュレシンジャー、主演ダスティン・ホフマン、ローレンス・オリヴィエ、ロイ・シャイダー、ウィリアム・ディヴェイン、マルト・ケラー他共演のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・シュレシンジャー
製作
ロバート・エヴァンス
シドニー・ベッカーマン
原作:ウィリアム・ゴールドマン”Marathon Man”
脚本:ウィリアム・ゴールドマン
撮影:コンラッド・ホール
編集:ジム・クラーク
音楽:マイケル・スモール
出演
トーマス・バビントン”ベーブ”リーヴィー:ダスティン・ホフマン
クリスチャン・ゼル博士:ローレンス・オリヴィエ
ヘンリー”ドク”リーヴィー:ロイ・シャイダー
ピーター・ジェーンウェイ:ウィリアム・ディヴェイン
エルザ・オペル:マルト・ケラー
ビーゼンタール教授:フリッツ・ウィーヴァー
カール:リチャード・ブライト
エアハルト:マーク・ローレンス
リーヴィー:アレン・ジョセフ
メレンデス:ティート・ゴヤ
クラウス・ゼル:ベン・ドーヴァ
ローゼンバウム:ルー・ギルバート
ルクレール:ジャック・マラン
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1976年製作 125分
公開
北米:1976年10月8日
日本:1977年3月26日
製作費 $6,500,000
北米興行収入 $21,709,000
■ アカデミー賞 ■
第49回アカデミー賞
・ノミネート
助演男優賞(ローレンス・オリヴィエ)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
貸金庫からある物を出し、街角でそれを男に渡したドイツ人老紳士クラウス・ゼル(ベン・ドーヴァ)は、道路で車が故障して止まってしまう。
その後ろでに止った初老のユダヤ人ローゼンバウム(ルー・ギルバート)はゼルを罵り、二人は言い合いになる。
ゼルの車にぶつけたローゼンバウムは、走りだした彼の車を追う。
二人は並走しながら暴走し、前方の燃料タンク車に衝突して爆死する。
ゼルは、持っていた貸金庫の鍵を落す。
マラソン・ランナーの”アベベ・ビキラ”を崇拝する歴史学を学ぶ大学院生のトーマス・バビントン”ベーブ”リーヴィー(ダスティン・ホフマン)は、トレーニング中にその事故現場を目撃する。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
マラソン・ランナーの”アベベ・ビキラ”を崇拝する歴史学を学ぶ大学院生のトーマス・バビントン”ベーブ”リーヴィーは、兄のドクが石油会社の重役だと信じていたが、実は彼は、政府の秘密機関の局員だった。
第二次大戦中に”白い天使”と言われた、元ナチの”アウシュヴィッツ”の歯科医で、残党としてウルグアイに潜伏中のゼル博士は、兄の死を知りニューヨークに向かう。
ダイヤの密輸をしていたゼルの組織に潜入していたドクは、彼らがベーブに近づこうとしていたために警告する。
しかし、ゼルはドクを殺害してしまい、秘密を知っていると思われるベーブに襲い掛かる・・・。
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脚本を兼ねるウィリアム・ゴールドマンの小説”Marathon Man”を原作にしたベストセラーの映画化であり、監督ジョン・シュレシンジャー、当時、若手期待のダスティン・ホフマンと映画界を代表する名優であるローレンス・オリヴィエ共演のサスペンス。
ウィリアム・ゴールドマンの原作にほぼ忠実な内容も注目で、ナチの残党である歯科医が、主人公の歯の神経を刺激する拷問シーンが話題になった。
第二次大戦中、元ナチの”武装親衛隊”である”アウシュヴィッツ”の歯科医が、残党としてウルグアイに潜伏しているという設定であり、その恐怖をフラッシュバックなどで描写するわけではないが、悪魔のような人間性を感じさせ、見事な演技を見せるローレンス・オリヴィエの鋭い眼差しが強烈に印象に残る。
その歯科医、”白い天使”と言われた”クリスチャン・ゼル博士”が南米に潜伏している設定などは、「ブラジルから来た少年」(1978)に登場する、”死の天使”とその名を恐れられた、元ナチス親衛隊将校ヨーゼフ・メンゲレ博士をモデルにしていることは明らかだ。
*ヨーゼフ・メンゲレは当時も存命だった。
本作の2年後の同作では、ローレンス・オリヴィエが、ヨーゼフ・メンゲレを追うナチ・ハンターを演じている。
サスペンスとしての展開で物語に引き込み、歯科医や秘密組織の異様性を描く、ジョン・シュレシンジャーの無駄のない力強い演出も見所の作品。
第49回アカデミー賞では、助演男優賞(ローレンス・オリヴィエ)にノミネートされた。
*ローレンス・オリヴィエは、ゴールデングローブ賞では助演男優賞を受賞している。
主演のダスティン・ホフマンは、マラソン・ランナーの”アベベ・ビキラ”を崇拝する、ややストイックな性格の歴史学を学ぶ大学院生を熱演している。
犯罪とは無縁な主人公の弟とは違い、政府秘密機関の局員という身分を隠しながら行動するロイ・シャイダー、その上司である支局長のウィリアム・ディヴェイン、主人公と関係するゼル(ローレンス・オリヴィエ)の部下マルト・ケラー、主人公の恩師フリッツ・ウィーヴァー、ゼルの部下リチャード・ブライトとマーク・ローレンス、主人公の自殺した父親アレン・ジョセフ、主人公の向いのアパートの住人ティート・ゴヤ、ゼルの兄ベン・ドーヴァ、彼と言い合いになるユダヤ人のルー・ギルバート、ダイヤの運び屋ジャック・マランなどが共演している。