その後、目覚めたサルーは、グドゥが戻ってこないためにホームで寂しい思いをしながら、目の前の給水塔を眺める。
止まっている列車に乗ったサルーは、グドゥを捜すものの再び眠ってしまい、目覚めた時には車両は動き出していた。
列車から出ることができず、誰も助けてくれないサルーは、その場で過ごすしかなかった。
コルカタ(カンドワから東へ1600km)。
停車した列車から降りたサルーは、グドゥや母親を捜しながら”ガネストレイ”に帰りたいと人々にヒンディー語で話しかける。
ベンガル語が話せないために、誰も助けてもらえず相手にもれないサルーは、ある少女の後を追い通路で集まっている子供達に気づく。
少年から段ボールを差し出されたサルーは、その場で眠ってしまう。
暫くすると男達が現れ、子供達は連れ去られてしまい、サルーは何とか逃げてハウラー橋に向かう。
その付近で一晩過ごしたサルーは、駅に戻り段ボールを持って街をさ迷う。
線路を歩いていたサルーは、地元の女性ヌーレ(タニシュタ・チャテルジー)から声を掛けられ、迷子だと伝える。
サルーを気の毒に思ったヌーレは、空腹だと言う彼をアパートに連れて行く。
食事を食べるサルーが、母親の仕事である石運びをすることを知ったヌーレは、ジュースも飲ませてあげる。
サルーの体も洗ってあげたヌーレは、知人のラーマという男性が助けてくれると言って、明日、来ることを伝える。
自分の家を捜せるか訊かれたヌーレは、母親のところに連れて行ってくれると言って、サルーを安心させて眠らせる。
翌朝、現れたラーマ(ナワーズッディーン・シッディーキー)から、ある場所に向かいその後、母親を捜そうと言われたサルーは、今夜、迎えに来る彼を警戒する。
ヌーレのことも疑ったサルーはアパートから逃げ出す。
その後サルーは、母を想いながら野宿して過ごす。
2か月後。
路上生活を続けるサルーは、拾ったスプーンを手にしながら、レストランで食事をする青年を見つめる。
サルーが気になった青年は彼を警察に連れて行き、警官に事情を話す。
”ガネストレイ”と言うだけのサルーは母親の名前も伝えることができず、孤児院に入れられることになる。
数か月が過ぎ、孤児に里親を探すサロジ・スード(ディープティ・ナヴァル)に会ったサルーは、家を捜すために何度も新聞に記事を出したことを知らされる。
手がかりはないと言うスードは、息子として迎えたいと言う家族がオーストラリアにいることをサルーに伝える。
ジョン・ブライアリー(デビッド・ウェナム)とスー(ニコール・キッドマン)夫妻やタスマニアの家の写真を見せられたサルーは、スードから二人の写真を渡され、この施設にいてはだめだと言われる。
その場を去るサルーから、本当に母親を捜したか訊かれたスードは、懸命に捜したと答える。
仲良しのアミタから、オーストラリアはいいところで運がいいと言われたサルーは、彼女の手を握り締める。
サルーら里親の元に向かう子供達のために、スードはテーブルマナーを教える。
付き添いのスワルミナと共に飛行機に乗ったサルーは旅立つ。
1987年、オーストラリア、タスマニア、ホバート。
サルーと対面したジョンとスーは感激し、彼を連れて家に向かう。
興奮を抑えながら帰宅したスーは、サルーに家の中を案内する。
サルーと共に食事をしたジョンとスーは、楽しい時間を過ごす。
夜になり、サルーを入浴させたスーは、辛い思いをした彼の心中を察しながら、いつかすべてを話してほしいと伝える。
1年後。
ヨットも所有するジョンとスーと共に何不自由ない生活を続けるサルーは、同じインドから来た弟マントッシュを迎えることになる。
ところが、心を閉ざすマントッシュは、自虐行為の発作を度々起こし、ジョンとスーは苦悩する。
それを苦に涙するスーを励ますサルーは、母を抱きしめる。
20年後。
成長したサルー(デーヴ・パテール)は、ホテル経営を学ぶためにメルボルンの大学に進学することになっていた。
レストランでサルーの門出を祝うスーとジョンは、自分達に幸せを与えてくれた彼に感謝する。
姿を現さないマントッシュのグラスを下げようとするウエイター(ベンジャミン・リグビー)を制止したスーは、来ないと言い諦めるサルーを説得する。
クスリに溺れ自堕落な生活をするマントッシュに会いに行ったサルーは、食事に行かなかったことを謝罪される。
サルーから、母親をこれ以上、悲しませるなと言われたマントッシュは、それが苦で家を出たと伝える。
2008年、メルボルン。
学生生活を始めたサルーは、女子学生のルーシー(ルーニー・マーラ)の存在が気になり、二人は互いに意識し始める。
インド出身の学友プラマ(パラビ・シャーダ)やバラッと(サチン・ジョアブ)らのパーティーに招かれたサルーとルーシーは、楽しい時間を過ごす。
キッチンにビールを取りに行ったサルーは、その場にあったジャレビ(揚げ菓子)に気づき、それを口にしながらグドゥのことを思い出す。
出身はコルカタだと皆に話していたサルーは、故郷はそこではなく実は自分は迷子だったとルーシーとバラットに伝える。
そのことを話したサルーは、数日、列車に乗りコルカタに着いたのだが、住んでいた町は”ガネストレイ”としか覚えていなかった。
幼い時の記憶も曖昧なサルーは、駅の近くに給水塔があったことしか思い出せない。
給水塔がある駅は無数にあるのだが、プラマは、”Google Earth”なら捜せるかもしれないと考える。
当時の列車の速度を調べて、乗っていた時間を掛ければおおよその距離が分かると言うバラットは、その範囲で給水塔のある駅を捜すことを提案する。
この話は終わりにしたいと言うサルーは、親が捜しただろうかと訊かれ、母は文盲だと伝える。
母の仕事を訊かれたサルーは、石を運んでいたと答える。
帰り道で、ルーシーの母親が4年前に亡くなったことを知ったサルーは、彼女を気の毒に思う。
化学療法を拒んだ母に父は腹を立てていると言うルーシーは、残りの人生をどう生きたいか母は知っていたとサルーに話す。
母が恋しいと言うルーシーからGoogle Earthの件をどう思うか訊かれたサルーは、真剣には答えない。
ルーシーと愛し合ったサルーは、彼女の寝顔を見ながら母のこと想う。
パソコンに向かったサルーは、Google Earthでコルカタを検索し、ハウラー橋を確認する。
列車の速度を調べたサルーは、乗っていた時間を掛けて約1200kmの距離を割り出し、その半径で円を描いてみるものの、諦めてルーシーの元に戻る。
2010年、タスマニア、ホバート。
その後も故郷を調べていたサルーは、ルーシーには平静を装いながら、家族のことを想い苦悩する。
スーと話したルーシーは、サルーとマントッシュについて語る彼女から、幸せな母親だと言われる。
家族と食事をしたサルーは、ルーシーから例の件を話してみることを提案され、スーが興味を持つものの、その気になれなかった。
サルーから兄弟ではないと言われたマントッシュが、フォークの柄で自分の額を叩き始めたために、ジョンが静止して落ち着かせようとするものの彼は取り乱す。
ジョンから謝罪するようにと言われたサルーだったが、マントッシュのスーへの態度が許せないと伝える。
何も答えないスーは、動揺しながら席を外す。
その後、ベッドに入りルーシーに謝罪したサルーは、自分を必死に捜したはずのグドゥのことを想う。
殻に閉じこもるサルーの気持ちを理解したいルーシーだったが、家族が毎日、自分を捜していることを思い苦悩する彼から、その気持ちが25年続くことが理解できるか問われる。
何不自由ない生活に吐き気がすると言うサルーは、自分の無事を家族に知らせたいことをルーシーに伝える。
協力したいと言われたサルーだったが、自分の幸せをつかむようにとルーシーに伝えてその場を去る。
仕事を辞めて、詳細なデータを基に故郷を捜し始めたサルーは、一人で苦しむ。
訪ねてきたジョンからスーの具合が悪いと言われたサルーは、マントッシュが姿を消したことを心配した心労だということを知らされる。
ニューヨークに行っていたルーシーと街で出くわしたサルーは、彼女と浜辺で話をしをする。
ルーシーの資金集めが達成できたことを知ったサルーは喜び、スーの具合を気にする彼女に、実母を捜すのはの裏切りだと伝える。
そのように考える人ではないので支えてあげるべきだと、サルーはルーシーに助言される。
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スイカを手に入れて家に帰ろうとしたサルーは、バイクに気づかずに衝突してしまう。
額を傷つけただけの軽傷だったサルーは、走って家に帰る。
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その傷に触れれるルーシーから、家族が引っ越している可能性があっても探し続けるのかと訊かれたサルーは、世界は変わっても自分は捜すと答える。
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家に戻ったグドゥは、怪我をしたサルーを介抱する母から、弟の面倒を見なかったことを非難される。
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スーに会ったサルーは、エビ獲り船で働くマントッシュは、稼ぎをすべてクスリ代にしてしまっていることを知らされる。
サルーから、自分に実の子がいればよかった、過去がある身の子を引き取った結果こうなったと言われたスーは、子供は持てたと彼に伝える。
産まずに二人の養子をもらうことをジョンと決めていたあと言うスーは、結婚したのも彼と同じ考えだったからだとサルーに伝える。
子供を産むよりも、不幸な子供を助ける方が意義があると言うスーは、それで苦しむのはどうでもいいことであり、自分の生きる道はこれしかなかったと話す。
12歳の時に幻覚を見たスーは、神経を病んでいたのかもしれないと思った。
アルコール依存症のために性格が歪み抑制が利かない父を見ると、家の裏の畑を眺めながら、地面が自分をのみ込んでくれればいいと考えたと、スーはサルーに話す。
その時、強い電気ショックを受けた際に、気づくと畑の向こうに茶色い肌の子供がいて、その子がそばに来た時に、生まれて初めて喜びを感じたスーは、それに導かれていけば悪いことは起こらないと確信した。
その瞬間に自分は未来を見ていたと言うスーは、それ故に、この家族の幸せにも確信が持てたとサルーに伝える。
先の見えない今は迷っていると話すスーから、力になってほしいと言われたサルーは、彼女の手を握り締める。
マントッシュの元に向かったサルーは、眠いっている彼に謝罪する。
家に戻り故郷捜しを諦めかけたサルーは、Google Earthを起動して、捜索範囲から更に離れた山岳部のある地点が気になり、そこから線路をたどる。
ある駅の給水塔を確認したサルーは、そこまでの道のりを考えながら、”ガネッシュ・タライ”という町がガネストレイ”だったことに気づく。
いつも走って帰った記憶が甦ったサルーは、ついに自分の家を見つける。
ルーシーの家に向かったサルーは、家を見つけたことを知らせる。
喜ぶルーシーと抱き合うサルーは、帰るまで待っていてほしいと伝える。
そのことをスーにも知らせたサルーは、苦しむ姿を見たくなかったが話したかったと伝えて、立派になった息子を母親に見せたいと言われ、その場にいたジョンと共に抱き合う。
2012年、カンドワ。
故郷に戻ったサルーは、記憶をたどりながら歩いて家を捜す。
家を見つけたサルーだったが、その場にはヤギしかいなかった。
通りにいた女性と男性に、ここに住んでいたと伝えて子供時代の写真を見せたサルーは、家族のことを話す。
男性は何も語らずにその場を去り、暫くしてサルーを呼び寄せた彼は離れた場所に連れて行く。
現れた女性が母カムラだと気づいたサルーは、涙する彼女と抱き合い謝罪する。
サルーのスイカの傷を確認したカムラは、グドゥのことを訊かれる。
男性からグドゥは天に召されたと言われたサルーは、悲しみ涙する。
成長した妹シェキラとの再会も喜ぶサルーは、彼女とカムラと共に抱き合い、集まった人々に祝福される。
育ててくれたことに感謝するサルーからの知らせを受けたスーは、ジョンと共に幸せを感じる。
かつて遊んだ線路に向かったサルーは、グドゥのことを想う。
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25年間、行方が分からなかったサルー・ブライアリーは、2012年2月12日にガニッシュ・タライに戻った。
彼が無人の列車に乗った夜、兄グドゥは別の列車に撥ねられて死亡した。
母カラムは、サルーの帰りを信じて遠くには引っ越さなかった。
息子が戻った時、”雷に打たれようで、海のように深い幸せを感じた”とカラムは語る。
5歳だったサルーは、自分の名前も間違えていた。
実名は”シェルゥ”で、その意味は”ライオン”。
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2013年、ガネッシュ・タライ。
サルーと共に彼の故郷を訪れたスーは、彼の母カラムに歓迎される。
毎年、インドで行方不明になる子供は8万人以上いる。