リリー Lili (1953)

ジャコーは、女好きのマーカスには気をつけるようにとリリーに忠告する。

マーカスは、団長のコルヴィエ（ラルフ・ダムキー）がリリーに仕事をくれるかもしれないと考え、カーニバルのアクロバットの練習を見て驚く彼女を落ち着かせる。

マーカスのトレーラーに案内されたリリーは、惹かれた彼に頼るしかないため、身の回りの世話をすることを伝える。

リリーが16歳だと知ったマーカスは話を聞き、父が時計職人だったと言う彼女から、大切にしている懐中時計を見せてもらう。

リリーが芸はできそうもないことを知ったマーカスはコルヴィエと話し、彼女をウエイトレスとして雇ってもらう。

その夜コルヴィエは、リリーの仕事をする様子を気にしながら、マーカスのショーを始める。

マーカスは、アシスタントのロザリー（ザ・ザ・ガボール）と共に見事なマジックを披露し、リリーは仕事もしないでそれを見ていたために、コルヴィエに解雇されてしまう。

それをマーカスに話したリリーは、そばにいたいと言うものの相手にされず、カーニバルから去ろうとする。

行き場がなく絶望したリリーは、自殺を考える。

それを知ったポールは、人形のキャロット・トップを使ってリリーを呼び寄せる。

キャロット・トップは、大男ゴロ、狼のリナルド、バレリーナのマルガリートを紹介してリリーを励ます。

団員たちは集まり、キャロット・トップは、リリーにリクエストして”ハイリリー、ハイロー”を歌ってもらう。

それを聴いた団員たちは拍手し、ポールは満足する。

感心したジャコーはリリーに食事を与え、ポールは、仲間に加わってもらい、大人の観客を取り込みたいことを彼女に伝える。

ポールの話を聞いたリリーは、現れたマーカスに一座にいられることを話して喜んでもらう。

気難しいポールのことが気になるリリーは、有名なダンサーだった彼が第二次大戦で脚を負傷し、人形遣いになったというジャコーの話を聞く。

ジャコーとポールのトレーラーに向かい部屋を提供されたリリーは、憧れるマーカスの助手になることを想像する。

酔って戻ったポールは、ジャコーがリリーに部屋を与えたことを知る。

リリーは、自分のダンスのキャリアと人形遣いを比べ、劣等感を感じていたポールが苦しんでいることを知り、”怒れる男”と呼ぶようになる。

その後、リリーの人形との自然なやりとりは価値ある芸となり人々の心を捉え、彼女は報酬を手にする。

リリーに惹かれたポールは、人形を使って気持ちを表現することしかできず、彼女がマーカスに恋していることで嫉妬する。

リリーに拒絶されることを恐れたポールは、彼女に冷たく接し、あえて距離をおいているのだった。

ジャコーは、そんなポールの気持ちを理解していた。

マーカスがホテルと契約した話を聞いたリリーは、ロザリーも一緒だということを確認する。

リリーがマーカスに惹かれていることを知ったロザリーは、誰もが彼に惹かれ、自分も同じだと彼女に伝える。

リリーの複雑な心境は、人形たちとの芸の中で伝えられる。

ロザリーは、今後は人生が変わると言って、隠していた結婚を公表することをマーカスに伝えて、結婚指輪を彼に渡す。

リリーに話しかけられたマーカスはトレーラーに誘われ、ロザリーと旅立つことなどを話しながら彼女に迫る。

そこにポールが現れ、マーカスはその場を去る。

ポールは、マーカスに利用されていたと言って、大人になった自分を想像し、芸に熱意を注ぐようにとリリーに伝える。

リリーから、恋の何が分かるのかと訊かれたポールは気分を害し、教えてもらっても聞く気はないと言って立ち去る。

マーカスが落としていった結婚指輪を見つけたリリーは彼を追うが、引き留めたポールは彼女の頬を叩いてしまう。

興行主のアントワーヌ・トニ（ウィルトングラフ）とエンリケ（ジョージ・バクスター）と話をしたポールは、ダンサー時代の自分を知る彼らからリリーのことを訊かれる。

純粋で汚れを知らないリリーは、人形と話している時に一番の幸せを感じていると話すポールは、現れたジャコーと共に、パリの一流ホテルの興行主だっらトニらに出演を依頼される。

ジャコーから考えるべきだと言われたポールは、この芸でダンス以上の称賛が期待できると話すトニの言葉を嬉しく思う。

ポールは、口を挟んだジャコーから、リリーが出て行くこと知らされる。

マーカスと話したリリーは指輪を渡し、ロザリーと結婚していることを確認し、夢から覚めたことを伝えて別れを告げる。

リリーは、ロザリーにもマーカスと話したと言って、出て行くことを伝えて去ろうとする。

キャロット・トップに呼び止められたリリーは、自分に恋していると言う彼やゴロが一緒に行きたいことを知る。

リリーは、ポールが嫌いだから出て行くと思っているゴロとキャロット・トップに、いつも守ってくれた自分の心が読める人だと伝える。

人形を操るポールは、リリーの言葉に動揺する。

リナルドからも一緒に行きたいと言われたリリーは、彼とキャロット・トップを抱きしめ、2人が震えていることに気づく。

幕を開けたリリーは、人形を操っていたのがポールだったことを知る。

ポールから、自分なしでは契約できないと言われたリリーは、優しいキャロット・トップらと接して涙したことをばかげたことだと思い、それを操っていいただけの感情がない彼を批判する。

ポールは、自分は人形であり君たちの人生を演じ、多くの欠点を持つ者だとリリーに伝える。

ポールから、これはビジネスであり、それ以上ではないと言われたリリーは、その場を立ち去る。

歩いて郊外に向かったリリーは、等身大のキャロット・トップらとダンスすることを想像する。

ポールが現れ、人形たちは彼に姿を変えてリリーと踊る。

ポールの愛に気づき現実に戻ったリリーは、町に向かう。

カーニバルに戻ったリリーは、ポールと抱き合いキスする。

2人の姿を見つめながら、人形たちは拍手する。