人類で初めて月面を歩いた宇宙飛行士ニール・アームストロングの人間性を描く、製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ、製作、監督デイミアン・チャゼル、主演ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、ジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー、コリー・ストール、キーラン・ハインズ他共演のドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:デイミアン・チャゼル
製作
ウィク・ゴッドフリー
マーティ・ボーウェン
アイザック・クラウスナー
デイミアン・チャゼル
製作総指揮
スティーヴン・スピルバーグ
アダム・メリムズ
ジョシュ・シンガー
原作:ジェームズ・R・ハンセン
”First Man: The Life of Neil A. Armstrong”
脚本:ジョシュ・シンガー
撮影:リヌス・サンドグレン
プロダクションデザイン
ネイサン・クロウリー
キャシー・ルーカス
編集:トム・クロス
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
出演
ニール・アームストロング:ライアン・ゴズリング
ジャネット・アームストロング:クレア・フォイ
エド・ホワイト:ジェイソン・クラーク
ディーク・スレイトン:カイル・チャンドラー
バズ・オルドリン:コリー・ストール
エリオット・シー:パトリック・フュジット
デイヴ・スコット:クリストファー・アボット
ボブ・ギルルース:キーラン・ハインズ
パトリシア・ホワイト:オリヴィア・ハミルトン
ジェームズ・ラヴェル:パブロ・シュレイバー
ガス・グリソム:シェー・ウィガム
マイケル・コリンズ:ルーカス・ハース
ピート・コンラッド:イーサン・エンブリー
ジョー・ウォーカー:ブライアン・ダーシー・ジェームズ
ロジャー・チャフィー:コーリー・マイケル・スミス
クリストファー・C・クラフトJr.:J. D.エバーモア
ギュンター・ウェント:スティーブ・コールター
リチャード・F・ゴードンJr.:スカイラー・バイブル
ゴードン・クーパー:ウィリアム・グレゴリー・リー
ジョン・ヤング:チョッピー・ギロット
マリリン・シー:クリス・スワンバーグ
リック・アームストロング:ギャヴィン・ウォーレン
マーク・アームストロング:コナー・コルトン・ブロジェット
カレン・アームストロング:ルーシー・ブロック・スタッフォード
ギル・スコット=ヘロン:リオン・ブリッジズ
チャック・イェーガー:マシュー・グレイヴ
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2018年製作 141分
公開
北米:2018年10月12日
日本:2019年2月8日
製作費 $59,000,000
北米興行収入 $44,936,550
世界 $105,697,420
■ アカデミー賞 ■
第91回アカデミー賞
・受賞
視覚効果賞
・ノミネート
音響編集・録音・美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1961年。
”NASA”のテストパイロットであるニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)は、スペースプレーン”X-15”で高度14万フィートに達する。
降下を開始したアームストロングだったが、11万5000フィートで大気に跳ね返されて機体は上昇してしまう。
14万7000フィートまで上昇した機体を制御したアームストロングは、降下させることに成功し、モハーヴェ砂漠に無事着陸する。
アームストロングを迎えた同僚パイロットのジョー・ウォーカー(ブライアン・ダーシー・ジェームズ)は、彼の飛行に不満を抱く上官のチャック・イェーガー(マシュー・グレイヴ)から、飛行禁止処分にするべきだと言われる。
アームストロングと妻のジャネット(クレア・フォイ)は、脳腫瘍の治療を受ける2歳半の娘カレン(ルーシー・ブロック・スタッフォード)のことが心配でならなかった。
ウォーカーから、NASAが”ジェミニ計画”のパイロットを探していると言われたアームストロングは、カレンの病気が好転したら考えると伝える。
アームストロングら家族の願いも空しく、カレンは回復することなく亡くなる。
カレンが身につけていた名前が刻まれた小さなブレスレットを手にしながら、アームストロングは悲しむ。 葬儀後の会食会で、長男リック(ギャヴィン・ウォーレン)と遊んであげる気にならないアームストロングは、一人部屋に向かう。 カレンの病気に関する資料などを片付けたアームストロングは、娘のことを想い涙し、ブレスレットを引き出しにしまう。 気持ちの整理がついたアームストロングは、仕事に行くことをジャネットに伝えて職場に向かう。 ウォーカーから、まだ休んでいいと言われたアームストロングは、イギリス出張は中止になったことを知らされる。 前回の実験飛行の報告書を出すことを指示されたアームストロングは、飛行禁止処分であることをウォーカーに確認する。 1962年8月13日、エリントン空軍基地。 ”マーキュリー・セブン”の一人である宇宙飛行士育成部門の責任者ディーク・スレイトン(カイル・チャンドラー)に呼ばれたアームストロングは、宇宙船センターのファースト・ディレクター、ボブ・ギルルース(キーラン・ハインズ)らの面接を受ける。 様々な質問に冷静に答えるアームストロングは、娘の死が影響を与えるか訊かれ、何もないというのは難しいだろうとだけ答える。 その後、NASAからの連絡で選ばれたことを知ったアームストロングは、ジャネットから、新たな冒険の始まりだと言われる。 ヒューストン。 妊娠していたジャネットは、隣人となり挨拶に来たホワイトの妻パトリシア(オリヴィア・ハミルトン)と親しくなる。 1964年4月23日。 厳しい訓練が続く中、次男マックも生まれたアームストロングは、ジャネットとの時間も大切にする。 1965年3月18日。 ソ連の”ボスホート2号”に搭乗した宇宙飛行士アレクセイ・レオーノフが世界初の宇宙遊泳に成功するニュースを見たホワイトは、”ジェミニ4号”で初遊泳を行う予定だったために落胆する。 1965年8月21日。 スレイトンから声をかけられたアームストロングは、”グループ3”のバズ・オルドリン(コリー・ストール)とロジャー・チャフィー(コーリー・マイケル・スミス)を紹介される。 スレイトンから、”ジェミニ8号”にデイヴ・スコット(クリストファー・アボット)と共に乗ってもらうと言われたアームストロングは、”アジェナ標的機”を打ちあげて史上初のドッキングをすることを知らされる。 シーのことが気になるアームストロングは、彼には別の計画があることを知らされる。 1966年2月28日。 シーの葬儀が行われ、彼の能力不足などを指摘するオルドリンの考えに同意できないアームストロングは、カレンのことを想い出す。 帰ろうとするアームストロングは、ジャネットからまだ無理だと言われたために、一人でその場を去る。 ホワイトとパトリシアに送ってもらったジャネットは、エドワーズ空軍基地時代のある年に、4人も同僚パイロットが死亡したことを経験したニールが、最近は葬儀もなかったことを話す。 ニールがカレンの話をしたかを二人に尋ねたジャネットは、しないというパトリシアに、彼は自分にもしないと伝える。 自宅の裏庭で月を観察していたアームストロングは、現れたホワイトから、ジャネットとや子供たちと過ごすようにと言われる。 アームストロングから、ここにいるのは話がしたいからだと思うかと訊かれたホワイトは、それ以上何も言わずにその場を去る。 1966年3月16日。 ギュンター・ウェント(スティーブ・コールター)らに見守られながら、アームストロングとスコットは船内に乗り込み打ち上げの準備を始める。 打ち上げは成功し、大気圏外に達したジェミニ8号は軌道に乗る。 自宅に引かれた回線でヒューストンの交信を聴くジャネットは、夫の身を案ずる。 アジェナの位置が確認できないアームストロングは、軌道修正して目視することができる。 ヒューストンにそれを知らせたアームストロングは態勢を変更し、アジェナに接近してドッキングに成功する。 管制センターのホワイトらは、歓声をあげて喜ぶ。 その後、順調に作業を進めていたアームストロングとスコットだったが、姿勢制御できなくなり船体はが激しく回転したため、アジェナを切り離す。 西太平洋上の海軍のミサイル追跡艦(CSQ)からの報告でそれを知ったスレイトンは、ジャネットが聴いている回線を切るよう指示する。 ヒューストンから、大気圏再突入システム/RCSの推進装置を使用したかを訊かれたアームストロングは、それを作動させて船体を安定させることに成功する。 燃料残量の問題もあり、ギルルースは、直ちに着水させるよう指示する。 管制センターに向かったジャネットは、船体は安定したことをスレイトンから知らされるものの、回線を戻すことを要求する。 無理だと言われたジャネットは、記者たちに話すとスレイトン伝えて、納得せずにその場を去る。 1966年3月26日。 4月1日、任務総評。 その後、雑誌記事などを気にするニールの様子が気になるジェネットはパトリシアと話し、普通の結婚と安定性を望んでいたことを伝える。 ホワイトに誘われたアームストロングは、スコットの家で話をする。 スレイトンとグリソムから推薦され、最初の”アポロ”に乗ることをアームストロングとスコットに話したホワイトは、祝福されて、怪物のような”サターン・ロケット”について語る。 三人は月旅行の話で盛り上がり、アームストロングに久しぶりに笑顔が戻る。 ギルルースとスレイトンに呼ばれたアームストロングは、今回の任務の成功がアポロ計画を推し進めると言われ、代表してホワイトハウスに行くことを指示される。 新たな目標であるアポロ計画に取り組み始めたアームストロングは、家族との生活を楽しめるようになる。 ホワイトと話をしたアームストロングは、木にかかっていたブランコを見つめる。 カリフォルニアのジュニパーヒルズに住んでいた時にあったブランコのことを話すアームストロングは、カレンが好きだったとホワイトに伝えて家に帰る。 1967年1月27日。 ホワイトハウス。 アポロ宇宙船。 スレイトンからの連絡を受けたアームストロングは、火災事故の発生により、ホワイトら三人が死亡したことを知りショックを受ける。 騒ぎ始めるマスコミを避けるために、ホテルに戻ることを指示されたアームストロングはそれに従い、事故のニュースで内容を確認する。 1968年5月6日。 軽傷で済んだアームストロングは、計画に不安を抱くギルルースとスレイトンに、研究機による様々なデータ回収は失敗があっても有効な手段であり、これなしでは月面着陸は成功しないと伝える。 家の前の車のトランクを開けて呆然とするパトリシアに気づいたジャネットは、彼女の元に向かい声をかける。 近所の目を気にするジャネットは、パトリシアを連れて家に入る。 家に戻ったジャネットは動揺し、怪我をして戻ったニールに話しかけるものの、彼はオフィスに忘れ物をしたと言って出て行ってしまう。 その頃、宇宙計画に莫大な予算が投じられていることに対し、一部の国民から批判が集まり、集会やデモが開かれる。 ラヴェルが司令船操縦士を務める、月を周回する”アポロ8号”の組み立てが終わる。 バックアップクルーの船長アームストロングは、当初はクルーだったが、腰を痛めて今回は外れたマイケル・コリンズ(ルーカス・ハース)や、同じバックアップクルーのオルドリンらと共に組み立てを見守る。 トイレでスレイトンから話しかけられたアームストロングは、計画が順調であれば月に着陸することになる、”11号”の船長を任される。 1969年5月26日。 1969年7月5日。 代わりに質問に答えたオルドリンは、妻と自分のジュエリーを月に持って行くとユーモアをまじえて話し、月面着陸への期待を語る。 同じ質問をされたアームストロングは、できるだけ多くの燃料を積載したいと答える。 準備期間もあるミッションに向かうための身支度をするアームストロングは、子供たちと話すことを求めるジェネットに、何を言えばいいのかを問う。 それを拒むニールの態度に納得しないジャネットは声を荒れげ、戻れない可能性を訊くものの、確率は不明だと言われる。 確立など聞いていないと言うジャネットは、ゼロでないことをニールに確認する。 パトリシアと子供たちには夫そして父親はいないと言うジェネットは、同じことになるかもしれない状況で、自分から子供たちに話すことはできないと伝える。 息子たちの前で、帰れない場合の心構えをさせてほしいと言うジャネットは、自分で話すようにとニールに指示する。 息子二人と話をしたニールは、マークから、月ですることと何日いないのか訊かれる。 着陸できるか分からないと言うニールは、打ち上げは10日後で宇宙には8日、帰還後の検疫に1か月かかると答える。 検疫について訊かれたニールは、月面から病気などを持ち帰っていないかなどの予防検査だと答える。 その期間にある水泳大会を気にするマークに、それには行けないと伝えたニールは、息子に謝罪する。 他の質問を訊いたニールは、戻れるかと尋ねるリックに、ミッションを信じて戻ってくるつもりだと答える。 戻れない可能性を尋ねるリックに、ニールはそうだと伝える。 納得したジェネットは、子供たちに眠るよう指示し、マークとハグしたニールは、手を差し出すリックと握手する。 ギルルースは、アームストロングとオルドリンが月から戻れなかった場合の対応などを、スレイトンと共に確認する。 1969年7月16日、フロリダ州、ケープ・カナベラル、”ケネディ宇宙センター”。 6時30分。 13時32分。 約3時間後。 その後、切り離された司令・機械船が向きを変えて第三段ロケットに戻り、月着陸船にドッキングする。 月着陸船のチェックが始まり、アームストロングらは音楽を聴きながら飛行を続ける。 7月19日、ミッション4日目、76時間43分37秒。 7月20日、12時52分。 17時44分。 暫くするとプログラム・アラームの”1202”が鳴り、問題ないと言うヒューストンの指示に従い、アームストロングは降下を続ける。 アームストロングが同じアラームを止めた直後に”1201”も鳴ったために、オルドリンがヒューストンにそれを報告する。 降下の続行を指示されたアームストロングは、着陸目標地点に到着する。 そこには300フィートのクレーターがあり、車ほどの大きさの岩が多いため、アームストロングは半自動操縦に切り替えて別の場所を探す。 燃料計を気にしながら降下するアームストロングは、別のクレーター付近の平地を見つけて、燃料切れ寸前で着陸に成功する。 イーグルの操縦をシャットダウンしたアームストロングは、”静かの基地”到着し”鷲は舞い降りた”ことをヒューストンに伝える。 その後、アームストロングとオルドリンは、船外活動の準備を始める。 7月21日、午前2時39分39秒。 一番下の段に降りたアームストロングは、月面の状況などをヒューストンに伝える。 午前2時56分15秒。 ”人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な跳躍だ。” ”That’s one small step for [a] man, one giant leap for mankind.” その後、オルドリンも月面に降り立ち、船外活動を始めていたアームストロングと共に作業をする。 クレーター”リトル・ウエスト”に近づいたアームストロングは、家族のことを想いながら、カレンのブレスレットをその場に落とす。 船外活動を終えてイーグルに戻ったアームストロングとオルドリンは、上昇用エンジンを点火して、月周回軌道上で待つコリンズのコロンビアに向かう。 その様子は全世界に放映され、4億人の人々が見守り、人類初の月着陸成功を喜び祝った。 1969年7月27日、有人宇宙船センター。 マスコミはミッションの成功を伝え、アームストロングは、10年以内に月に到達して帰還する計画の演説(”We choose to go to the Moon”/1962年)をした際の、ケネディ大統領のテレビ映像を見つめる。 ニールに会うために家を出たジャネットは、詰めかけた報道陣の質問攻めに遭う。 簡単なコメントを残したジャネットは有人宇宙船センターに着き、スレイトンに迎えられて部屋に案内される。 面会室でニールと対面したジャネットは見つめ合い、何も語らずにガラス越しに彼と手を振れる。
...全てを見る(結末あり)
ジェミニ計画のパイロット選考に応募したアームストロングは、エリオット・シー(パトリック・フュジット)と知り合う。
シーやエド・ホワイト(ジェイソン・クラーク)、ジェームズ・ラヴェル(パブロ・シュレイバー)、ガス・グリソム(シェー・ウィガム)らと共に、アームストロングの訓練が始まる。
多軸制御訓練を受けたアームストロングは耐えきれずに意識を失い、ホワイトと交代するよう指示されるものの、教官に大丈夫だと伝えて訓練を再開する。
ホワイトとシーの家族と共に夕食会を開いたアームストロングは、NASAからの連絡でテレビを見るよう指示される。
”ジェミニ5号”の予備クルーの船長アームストロングとパイロットのシーは、ゴードン・クーパー(ウィリアム・グレゴリー・リー)とピート・コンラッド(イーサン・エンブリー)の搭乗を確認して発射台を降りる。
訪ねて来たホワイトから、”ジェミニ9-A号”の船長の予定だったシーとチャールズ・バセットの訓練機が墜落したことを知らされたアームストロングはショックを受ける。
スコットと共に”ジェミニ8号”に搭乗するアームストロングは、アジェナの打ち上げを確認する。
帰還後に記者会見が開かれ、故障はあったが、完璧な飛行とドッキングについて発表される。
記者会見での厳しい質問のことを思い出しながら、アームストロングは故障を含めた任務の報告をする。
アポロ宇宙船最終テストのため司令船に乗り込んだホワイト、グリソム、チャフィーは、各テストを開始する。
ギルルースやラヴェルらとパーティーに出席していたアームストロングは、その場の雰囲気になじめない。
配線がショートして船内は出火し、ホワイトはハッチを開けようとするものの間に合わなかった。
月着陸研究機を操縦するアームストロングは制御不能となり、墜落寸前で脱出して助かる。
二度目の月周回飛行を行い、月着陸船の性能テストを成功させた”アポロ10号”は、無事に帰還する。
司令船操縦士コリンズ、月着陸船操縦士オルドリンと共に記者会見に臨んだ船長のアームストロングは、多くを語らず、皆、任務成功を目指すとコメントする。
午前4時に起床し、スレイトンやバックアップ・クルーと共に、NASAの宇宙飛行前の伝統的な朝食である”ステーキと卵料理”を食べたアームストロング、オルドリン、コリンズは、その後、宇宙服を着用して純酸素の呼吸を始める。
多くの人々に見守られながら発射台に向かった三人は、司令船に乗り込む。
アポロ11号の打ち上げは成功し、地球周回軌道を飛行する。
エンジン噴射後に”ホーマン遷移軌道”(月遷移軌道)に投入されたアポロ11号は、地球周回軌道を離れて月に向かう。
月周回軌道に入ったアームストロングらは、間近に見える幻想的な月面を見つめる。
コリンズに声をかけたアームストロングは、戻ってくるようにと言われて、オルドリンと共に月着陸船”イーグル”に乗り込む。
司令船”コロンビア”から切り離されたイーグルは、降下を開始する。
ハッチが開けられて船内は減圧され、船外カメラの準備が整い、命綱をつけたアームストロングはラダーを降りる。
月面を左足で踏んだアームストロングは、宣言する。
*アームストロングは[a]をつけて言葉を発したつもりだったが、欠落していたという意見もあり、そうすると意味がおかしくなるので、結局は聞き取れなかったという結論になった。
無事に帰還したアームストロングは、検疫のために過ごすことになる部屋に案内される。
*(簡略ストー リー)
1962年。
”NASA”のテストパイロットであるニール・アームストロングは、幼い娘カレンの死の悲しみを乗り越え、”ジェミニ計画”の選考に選ばれ宇宙飛行士となる。
厳しい訓練に耐えたニール・アームストロングは、”ジェミニ8号”の船長として世界初のドッキングに成功する。
”アポロ計画”が始まり、最初のテストで親友である同僚のエド・ホワイトを火災事故で亡くしたニール・アームストロングは、悲しみを乗り越え、”アポロ11号”の船長として、人類初の月着陸のミッションに挑むことになる・・・。
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2005年に発表された、ジェームズ・R・ハンセンの著書”First Man: The Life of Neil A. Armstrong”を基に製作された作品。
スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を担当し、「ラ・ラ・ランド」(2016)のデイミアン・チャゼルとライアン・ゴズリングが再び組んだことで話題になった作品。
人類初となる月着陸ミッションに挑んだ宇宙飛行士ニール・アームストロングと、壮大な夢の達成のために苦難に立ち向かった男たちとその家族を描く実録ドラマ。
同じ”アポロ計画”での失敗したミッションを描く「アポロ13」(1995)とは違い、歴史的偉業にも拘わらす、ドラマチックなシーンは極力排除し、ニール・アームストロングの人間性を深く追求するドラマに仕上げた、デイミアン・チャゼルの演出手腕が見どころの作品。
ニール・アームストロングが、冷静沈着で気難しい性格であることは有名な話ではあるが、宇宙飛行士としての最高の資質を備えていたと言っていい人物を知る上で、非常に興味深い作品ではある。
宇宙開発の黎明期である当時を見事に再現したセットや、最先端技術を駆使した臨場感ある映像は素晴らしい。
”アポロ計画”と共に少年時代を過ごした者からすると、好演はしているものの、主人公を演ずるライアン・ゴズリング(カナダ人)がニール・アームストロングのイメージと合わないのが気になる。
歴史的偉業を成し遂げた人物は、アメリカ人が演じてほしかったと言う意見もある。
彼よりも、家族を守る辛い立場の妻ジャネットを演ずるクレア・フォイの演技が印象に残り、批評家や各方面から高く評価された。
第91回アカデミー賞では視覚効果賞を受賞し、音響編集、録音、美術賞にノミネートされた。
総じて評価は高かったものの、アメリカ人が最も誇りに思う偉業を描いた作品にしては興行的には振るわず、北米興行収入は約4500万ドルに終わり、全世界では1億ドルを超す、まずまずの結果を残した。
気難しい主人公のことを理解する友人であり同僚で、”アポロ計画”の最初のテスト(”アポロ1号”は事故後に正式につけられた名)で火災事故死するエド・ホワイトのジェイソン・クラーク、”マーキュリー・セブン”の一人であり、宇宙飛行士育成部門の責任者ディーク・スレイトンのカイル・チャンドラー、”アポロ11号”月着陸船パイロット、バズ・オルドリンのコリー・ストール、同じく司令船パイロット、マイケル・コリンズのルーカス・ハース、主人公の友人で同僚エリオット・シーのパトリック・フュジット、主人公と”ジェミニ8号”に同乗するデイヴ・スコットのクリストファー・アボット、宇宙船センターのファースト・ディレクター、ボブ・ギルルースのキーラン・ハインズ、エド・ホワイトの妻オリヴィア・ハミルトン、宇宙飛行士ジェームズ・ラヴェル(アポロ13号船長)のパブロ・シュレイバー、エド・ホワイトと共に火災事故死するガス・グリソムのシェー・ウィガム、同じくロジャー・チャフィーのコーリー・マイケル・スミス、宇宙飛行士ピート・コンラッドのイーサン・エンブリー、主人公の友人であるテストパイロット、ジョー・ウォーカーのブライアン・ダーシー・ジェームズ、その上官であり主人公に批判的な、人類初の音速を超えた男チャック・イェーガーのマシュー・グレイヴ、航空宇宙工学エンジニア、クリストファー・C・クラフトJr.のJ. D.エバーモア、飛行士の宇宙船搭乗をサポートする機械工学エンジニア、ギュンター・ウェントのスティーブ・コールター、宇宙飛行士リチャード・F・ゴードンJr.のスカイラー・バイブル、同じくゴードン・クーパーのィリアム・グレゴリー・リー、ジョン・ヤングのチョッピー・ギロット、エリオット・シーの妻クリス・スワンバーグ、主人公の長男ギャヴィン・ウォーレン、次男コナー・コルトン・ブロジェット、幼くして亡くなる娘ルーシー・ブロック・スタッフォード、宇宙計画反対集会に参加する詩人ギル・スコット=ヘロンのリオン・ブリッジズなどが共演している。