1941年に発表された、アガサ・クリスティの小説”白昼の悪魔”を基に製作された作品。 アドリア海の孤島で起きた殺人事件を解決しようとする名探偵エルキュール・ポアロの行動を描く、監督ガイ・ハミルトン、主演ピーター・ユスティノフ、マギー・スミス、コリン・ブレイクリー、デニス・クイリー、ロディ・マクドウォール、ジェームズ・メイソン、シルヴィア・マイルズ、ニコラス・クレイ、ジェーン・バーキン他共演のサスペンス。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ガイ・ハミルトン
製作
ジョン・ブラボーン
リチャード・グッドウィン
原作:アガサ・クリスティ”白昼の悪魔”
脚本:アンソニー・シェイファー
撮影:クリストファー・チャリス
編集:リチャード・マーデン
音楽:コール・ポーター
出演
エルキュール・ポアロ:ピーター・ユスティノフ
ダフネ・キャッスル:マギー・スミス
ホレス・ブラット卿:コリン・ブレイクリー
アリーナ・スチュアート・マーシャル:ダイアナ・リグ
ケネス・マーシャル:デニス・クイリー
リンダ・マーシャル:エミリー・ホーン
レックス・ブルースター:ロディ・マクドウォール
オーデル・ガードナー:ジェームズ・メイソン
マイラ・ガードナー:シルヴィア・マイルズ
パトリック・レッドファン:ニコラス・クレイ
クリスチン・レッドファン:ジェーン・バーキン
イギリス 映画
配給 EMI Films
1982年製作 117分
公開
イギリス:1982年3月23日
北米:1982年3月5日
日本:1982年12月4日
製作費 $10,000,000
北米興行収入 $6,110,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ヨークシャー。
ハイキングをしていた女性が死体を発見し、警察に駆け込みそれを知らせる。
現場に向かった警官は、死体の女性が”アリス・ルーバー”という既婚者で、死亡から2時間以内であることを確認する。
ロンドン。
トロージャン保険会社を訪れたベルギーの私立探偵エルキュール・ポアロ(ピーター・ユスティノフ)は、ホレス・ブラット卿(コリン・ブレイクリー)が保険をかけようとした模造ダイヤを見せられる。
大富豪のホレス卿が、なぜこんな行動したのか疑問に思う重役の依頼を受けたポアロは、調査を始める。 ホレス卿の船に向かい彼に会ったポアロは、大富豪の自分が保険会社を騙すと思うかと言われる。 ニューヨークで出会った女優と結婚することになり、”ティファニー”で宝石を買ったのだが、気が変わった彼女は宝石を持って男と逃げたと、ホレス卿はポアロに話す。 何とか宝石を取り戻したので保険をかけようとしたのだが、ホレス卿は模造品をつかまされたのだった。 その女性は、タイラニア王の愛人だったダフネ・キャッスル(マギー・スミス)の元に向かったと言うホレス卿は、彼女が、王との別れ話の際に受け取った物件を高級ホテルに改装したとポアロに話す。 一緒に来るようにと言われたポアロは、船酔いが心配なためにそれを断り、列車で現地に向かうことをホレス卿に伝える。 レストランで食事をしていたポアロは、口論しているパトリック・レッドファン(ニコラス・クレイ)と妻クリスティン(ジェーン・バーキン)のことを気にしながら、列車の手配ができたことを知らされる。 ポアロは、クリスティンが席を立った後に、パトリックが他の女性の席で親しげにしていることに気づく。 アドリア海の孤島。 ガードナー夫妻と話したダフネは、レックスから船が来たことを知らされ、アリーナ・スチュアート・マーシャル(ダイアナ・リグ)だと気づく。 女優のアリーナが再婚したと話すダフネに大ファンだと伝えたレックスは、彼女の最新作は自分たちがプロデュースしたとマイラに言われ、思い出したと伝える。 3週間でアリーナが役を降りた理由を訊いたレックスは、マイラから金の問題だと言われる。 船に乗っていたのがパトリックとクリスティンだったことに気づいたダフネは、二人を迎えに行く。 パトリックとクリスティンを歓迎したダフネは、二人が口論を始めたので気になる。 船着き場に到着したアリーナと夫のケネス・マーシャル(デニス・クイリー)、彼の娘のリンダ(エミリー・ホーン)は、ポアロも乗っていた船で島に向かう。 大砲の音に驚くポアロは、ケネスから、タイラニアの戦勝を記念した正午の号砲だと知らされる。 島に着いたポアロは、ホテルでダフネに歓迎される。 かつてのダンサー仲間だったアリーナとダフネは、互いを牽制する。 ポアロにも声をかけたダフネは、彼が有名な私立探偵だということに気づく。 夜になり、カクテルで客をもてなしたダフネは、最後に現われたアリーナにパトリックとクリスティンを紹介する。 オーデルとマイラからいい企画があると言われたアリーナは、レックスからも声をかけられる。 アリーナのブレスレットを見たポアロは、レストランでのパトリックの相手がアリーナだったことに気づく。 翌日、パトリックがいることを確認しながら、日光浴をするためにビーチに向かったアリーナは、リンダを追い払い、その場にいたレックスと話す。 準備をしていた自伝のことを話すレックスだったが、アリーナから出版を許可する気はないと言われて、苛立ちながらその場を去る。 パトリックが近づいてくるが、リンダが戻ってきたために、アリーナは彼女を再び追い払う。 人目も気にせずいちゃつくアリーナとパトリックの様子を見ながら、ポアロはクリスティンと話す。 アリーナとパトリックがボートで沖に向かう様子を気にしながら、ダフネは、ポアロにホレス卿が遅れるという連絡があったことを伝える。 戻ってきたリンダからアリーナのことを知らされたケネスは、彼女とパトリックを見つめながら考え込み、リンダに誘われて散歩に向かう。 正午になり、アリーナと戻ってきたパトリックは、連れて行かなかったことをクリスティンに謝罪するものの、彼女は何も言わずに部屋に向かう。 オーデルから台本を渡されそうになったアリーナは、引退したと言って、ケネスとリンダが自分のすべてだと伝える。 タイトルを聞いたアリーナは、オーデルから台本を受け取り、その後、日光浴をしながらそれを読む。 庭で涙するクリスティンに気づいたポアロは、彼女と話し、惨めな自分に皆が同情することが辛いと言われる。 アリーナなど取るに足らない存在であり一時的なもので、女性にとって大切なのは良心や思慮だと意見したポアロは、クリスティンから、それが男性の関心事かと訊かれる。 そう思うと答えたポアロは、パトリックはあなたを愛していると伝えて、クリスティンを散歩に誘う。 ポアロの言葉で楽しむ気になったクリスティンは、白昼に悪魔がいることなど忘れるべきだと言われる。 夕食の前に考え込むケネスと話したダフネは、アリーナとは離婚すべきだと助言し、パトリックの予約を入れたのは彼女だと伝える。 驚いたケネスが、そんなアリーナでも妻だと話す姿を見て、ダフネは同情する。 オーデルがアリーナから台本を返されたことを知り、マイラは苛立つ。 夕食に向かう支度をしていたアリーナは、ケネスがパトリックの予約のことを知っていたため、ダフネが話したと気づき憤慨する。 アリーナのことでパトリックとクリスティンが口論している声を聞きながら、ポアロは夕食に向かう。 夕食後、くつろぐアリーナは、リンダを部屋に向かわせて、ケネスのピアノ演奏で歌い始める。 翌日、クリスティンは、海水浴から戻ったリンダを写生に誘う。 泳ぐためにビーチに向かったポアロは、ペダルボートで沖に向かうアリーナから、行き先は詮索しないでほしいと言われて彼女を見送る。 アリーナのボートをみつめるオーデルは、マイラに計画を練ると伝えて出かける。 アリーナのことで悩んでいるリンダを励ましたダフネは、彼女を灯台まで散歩に誘うが、クリスティンと写生に行くと言われる。 ダフネから散歩に誘われたケネスは、届いた手紙を見て、返事を書かなくてはならないと彼女に伝える。 クリスティンと写生に行くリンダを見送ったケネスは、戻ってきたポアロにアリーナを見たか尋ねる。 知らない様子のポアロにパトリックのことも訊いたケネスだったが、そこに彼が現れる。 藪の中に潜んでいたオーデルは、クリスティンとリンダを確認する。 独りで灯台に向かうダフネは、途中、ウサギの死体を見るける。 ダフネは、はしご入江のビーチにいたアリーナを目撃する。 カモメ湾でクリスティンは写生を始め、リンダは日光浴する。 モーターボートで沖に向かおうとしたパトリックは、現れたマイラに連れて行ってほしいと言われ、仕方なく彼女を乗せて出かける。 時間を気にしたクリスティンは、リンダから12時5分前だと言われ、テニスの約束があったためにホテルに戻ろうとする。 パトリックとマイラは、到着したホレス卿の船を確認して、正午の号砲が鳴り響く はしご入り江に着いたパトリックは、アリーナと会うつもりだったことに気づいていたマイラに、独りで戻ってもらおうとする。 日光浴していたアリーナ近づいたパトリックは、彼女が死んでいると言って、殺されていることをマイラに伝えて、その場に残ってもらおうとする。 それを拒むマイラをホテルに向かわせたパトリックは、警戒しながらその場で待つ。 現場に向かったポアロは、警察と医師に連絡するようダフネに指示する。 ホテルの評判を気にするダフネから協力を求められたポアロは、洞窟の中にあったアリーナのものと思われるダイヤを見つける。 パトリックの話を聞き、死体を発見したのが正午だということを確認したポアロは、アリーナに最後に会ったのは自分であり10時20分だったので、死亡時刻はその間だと考える。 ホテルに戻ったポアロは、この事態ではこの場にいる理由がないと言うホレス卿が引き揚げようとしたため、手元に残したはずの偽ダイヤが、死体の近くにあったことを伝える。 ダイヤを見せられたホレス卿は、船ではしご入り江に行きアリーナと話したことをポアロに伝える。 口論になったが、今晩には解決すると言ったと話すホレス卿に、ポアロは、本物のダイヤの在りかは聞かなかったかと尋ねる。 聞かなかったと言われたポアロは、着替えに行くと言うパトリックに、妻を愛していた男が浮気相手を殺した例があると伝える。 自分は無関係だと言うパトリックは、着替えるために部屋に向かう。 本物のダイヤを取り戻そうとしていたホレス卿に、絞殺する理由があると伝えたポアロは、自分が殺したのなら船員が見ていたはずだと言われ、しばらく島から出ないようにと指示する。 ホレス卿から、自分ならケネスを調べると言われたポアロは、彼に話を聞くことにする。 ポアロに疑われていることが不満なケネスは、犯行があったと思われる時間の行動を訊かれ、正午過ぎまでタイプを打っていたと答える。 その時間に部屋の前を通ったが、タイプの音は聞こえなかったと言われたケネスは、時々は考え込むと言って、一時間はかかる量のタイプした用紙をポアロに見せる。 昨日タイプしたことも考えられ、今朝、打ったという証拠はないと伝えたポアロは、現われたダフネから、証拠はあると言われる。 ケネスがタイプを打っていたと証言したダフネは、ケネスを助けようとしたウソということがバレてしまう。 タイプしていたことは明らかだと、ケネスから自信を持って言われたポアロは、ダフネに、散歩のために灯台に行く途中にはしご入江を通ったはずだと尋ねる。 日光浴をするアリーナを見たと言うダフネに、帰りにビーチに向かい彼女を殺すこともできたと伝えたポアロは、反論する彼女に、ケネスとの関係について話す。 それを気にしないダフネは、犯人はホレス卿であり、彼がアリーナに怒鳴っていたのを目撃したとポアロに伝える。 船員たちの証言でホレス卿の疑いは晴れたと言うポアロは、彼とダフネの話はつじつまが合い、アリバイは証明されたと二人に伝えてその場を去る。 迷惑をかけたことで謝罪するダフネを、ケネスは気遣う。 リンダの部屋に向かおうとしたポアロは、パトリックと口論となり部屋を出てきたクリスティンを呼び止め、アリーナを嫌っていたはずの彼女に午前の行動を尋ねる。 リンダとカモメ湾に写生に行ったと興奮しながら話すクリスティンを落ち着かせたポアロは、リンダと別れて12時の号砲を確認しながらホテルに戻り、テニスの約束があったためにコートに向かったという話を聞く。 その場にはケネスとダフネ、オーデルがいたのだが、その直後にアリーナのことを聞いたと話すクリスティンは、ホッとしたのが正直な気持ちだった。 クリスティンと別れたポアロはリンダと話し、アリーナが死んだことを喜んでいる彼女から午前の話を聞く。 カモメ湾で描いたクリスティンの絵を見せてもらったポアロは、彼女と別れたのが12時5分前だと言うリンダから、聞かれたので時間を覚えていることを知らされる。 急いでホテルに戻ろうとするクリスティンから絵をもらったリンダは、崖の上から手を振る彼女以外は誰も見なかったとポアロに話す。 自分たちに話しを聞くのは筋違いだと苛立つリンダから、アリーナを嫌っていたレックスと話すべきだと言われたポアロは、彼がアリーナを崇拝していたように見えると伝える。 アリーナの自伝の下品な内容の件で、レックスが彼女とビーチで口論していたのを聞いていたリンダは、殺人で捕まれば出版も無理だとポアロに伝える。 ポアロからレックスの居場所を訊かれたダフネは、彼は犯人ではなく女性を調べるべきだと言って、皆、潔白は証明できたので、残りはクリスティンしかいないと考える。 クリスティンのアリバイはリンダが、リンダの潔白もクリスティンが証明したと言うポアロは、レックスを捜しに行く。 レックスと話したポアロは、犯行時間にどこにいたかを尋ね、ペダルボートを漕いでいたと言うレックスは、カモメ湾に着いた時に号砲が鳴り、リンダが泳いでいたと答える。 リンダに話しかけて、疲れたので一緒に漕いでほしいと言うものの断られたと話すレックスは、アリーナを殺せなかったことになるとポアロに伝える。 自分が殺されそうになったと言うレックスは、リンダと別れた10分後、崖の上から瓶が落ちてきたことを話す。 湾に行ったのはフィクションだと言うポアロは、その時間には誰にも会っていないとリンダが話したことをレックスに伝える。 憤慨したレックスは、リンダのウソを証明すると言って、ケネスと散歩する彼女に近づき、カモメ湾で自分に会ったことをポアロに話すよう指示する。 会っていないと言うリンダを責めるレックスは苛立ち、ケネスにその件を追及された彼女は、会ったことを認める。 動揺するリンダはその場を去り、ポアロはレックスのアリバイを認める。 その後、オーデルに会ったポアロは、アリバイはないが、犯行時間にはベンチで読書をしていたと言われる。 その後オーデルは部屋に戻り、テニス着に着替える支度をしている際、蛇口をひねっても水が出ないために、誰かが入浴しているのではないかと思う。 支度をしてダフネとケネスがいるコートに向かい、クリスティンは数分後に現れたと話すオーデルは、ポアロから、アリバイはないと言われる。 ホテルに戻ったポアロはダフネに呼び止められ、犯行時間に関係者がいた場所を確認しながら、レックスが犯人である理由を聞かされる。 レックスがアリーナを溺死させたという馬鹿げた説を否定したポアロは、彼がカモメ湾にいたとリンダが証言していることを伝える。 それならば誰が犯人で、全員にアリバイがあると言うダフネは、ポアロにそれを否定される。 オーデルにはアリバイはなく、それを誇っているようだと話すポアロは、ダフネからアリバイはあると言われる。 11時半の打ち合わせで従業員に小言を言っていた際に、庭で読書をするオーデルを窓から目撃したとダフネから知らされたポアロは、犯人がいないことになったためにため息をつく。 それでも死体はあるとダフネに伝えたポアロは、島を歩き回り、事件を検証しながらホテルに戻る。 カクテルを楽しむ宿泊客とダフネに重要な質問が2つあると伝えたポアロは、今朝、海に瓶を投げた者がいないか尋ねる。 いないことを確認したポアロは、12時15分に入浴した者がいるか尋ね、それも誰もいないことを確認して部屋に向かう。 その夜、保険会社の資料をチェックしたポアロは、あることが気になり、フロントに向かい宿帳を確認する。 翌朝、朝食後に全員をロビーに集めるようにとダフネに指示したポアロは、すべてが明らかになると伝える。 ダフネからヒントを求められたポアロは、これまでの聞き込みで知ったキーワードを並べ、これで解決できるはずだと伝える。 1時間後。 誰も犯人とは思えないので難解だったと言うポアロは、犯行は昨日の午前11時半から正午の間で、全員にアリバイがあると伝える。 死体はあるので誰かがウソをついていると言うポアロは、考慮の結果、クリスティンが犯人だという結論に達したと伝える。 ウソはついていないと言うクリスティンに、カモメ湾を出た時間を正午だと答えたのはウソだと指摘したポアロは、午砲を聞いてリンダに手を振ったと話したことを確認する。 しかし、その時にはレックスが湾にいたはずで、そのことをクリスティンが話さないのはおかしいと言うポアロは、彼が崖の上の”人物”を目撃してもおかしくなかったはずだと話す。 崖の上にいなかったと言われたクリスティンは、手を振り合ったことをリンダに確認し、彼女にそれを認めてもらう。 その時の午砲のことを話すポアロは、リンダから知らないと言われ、正午ではなかったからだと伝える。 リンダから、時計を見た時は12時5分前だったと言われたポアロは朝に話を戻し、朝食の際に彼女に会った時には時計をしていなかったことを話す。 その際、クリスティンはリンダの部屋に行き時計を20分進めて、戻ってきた彼女を写生に誘ったというのがポアロの推理だった。 リンダをアリバイに使う計画が進行し始めたと話すポアロだったが、パトリックから推測に過ぎないと言われる。 慌てることなく、これですべてのつじつまが合うと言うポアロは、カモメ湾のことを説明し始める。 クリスティンは、リンダに知られないように隠し持っていた時計で12時25分前であることを確認して、彼女に時間を聞いた。 リンダが海に入ろうとした隙に、クリスティンは彼女の時計の時間を戻し、水泳帽を忘れたと言って呼び戻した。 クリスティンのこの行動は、海に入るリンダに午砲を聞かせないためであり、崖に駆け上った12時20分前に手を振った時にはレックスがいなかったとポアロは語る。 当然、午砲もなく、クリスティンははしご入江に向かい、12時15分前頃に着き、パトリックを待っているアリーナを確認した。 アリーナは、そのクリスティンに気づいたとポアロは話す。 自分は高所恐怖症なので梯子は下りれないと言うクリスティンに、一昨日、自分にそのことを話したのは演技だと彼女に伝えたポアロは、パトリックが妻を擁護しても、あくまで演技だと考える。 昨日、カモメ湾の崖に行ってみたが、リンダに手を振るには崖っぷちに立つ必要があると言うポアロは、高所恐怖症でなくても目がくらむと話す。 高所恐怖症なら無理だとクリスティンに伝えたポアロは話を戻し、ビーチから逃げようとしたアリーナは、近くの洞窟に気づいたと話す。 アリーナがそこにいたことを知った理由は、その場にホレス卿が返したダイヤがあったからだとポアロは語る。 殺人現場でポアロは、ダフネがつけていた香水が、ケネスの部屋にあったものだと気づいた。 アリーナを捜したクリスティンは、隠れていた彼女が姿を現した瞬間に石で側頭部を殴った。 その瞬間に、アリーナのダイヤが洞窟の中に落ちたのだった。 クリスティンは言葉を失うが、戯言だと言うパトリックは、アリーナは絞殺だったとポアロに伝える。 手が小さいクリスティンには無理だと言うパトリックの意見に同意したポアロは、それが最大の疑問だったと伝える。 口を出したオーデルに、自分はその場にいて、絞殺されたアリーナを見ていると話すマイラにも同意したポアロは、クリスティンは殺していないと言って、殺人犯はパトリックだと伝える。 パトリックは当然それを否定し、11時半から12時まで彼と一緒にいたマイラも不可能だとポアロに伝えるが、そこがポイントだと言われる。 死体のように横たわっているが、それがチャイナ帽で顔を隠し日焼けしたクリスティンであることを確認したパトリックは、マイラを戻した後で、彼女に洞窟のアリーナと水着を着替えさせたとポアロは話す。 マイラは、色白のクリスティンと日焼けをしたアリーナを間違えるはずがないと言って反論する。 その朝、写生に行くクリスティンは肌をすべて隠す服装だったと言うポアロは、その時、肌は日焼けを装い、洞窟の中で水着に着替え、手足も日焼けしているように塗ったのは、リンダに気づかれるからだと説明する。 パトリックがはしご入江に着いたのは号砲と同時で、すべてが終わった後でクリスティンは元の服装に戻り、12時5分頃に、パトリックに別れを告げてホテルに向かった。 途中でクリスティンは、日焼け染料のビンを崖の上から海に投げ捨て、12時15分頃にホテルに戻り、浴室で染料を落とし、入浴の音はオーデルが確認していた。 そしてクリスティンは、テニス着に着替えて笑顔でコートに向かった。 見抜くのが遅れたことを謝辞したポアロは、この場に到着した時から、綿密に練られた計画は実行され、わざと聞こえるように声を出した夫婦間の口論も演技だったことを話す。 クリスティンは、事あるごとに虚弱で運動が得意でない印象を皆に与え、哀れな妻を演じた。 一方パトリックは、人目も気にせずにアリーナとの関係を見せつけ、計画を仕掛けた。 意見したパトリックは、アリーナを殺す必要がある、その動機が欠けていることを指摘し、彼女を愛していたことを認め、不倫は避難されるべきだが犯罪ではないとポアロに伝える。 興味があったのはアリーナの財産で、特に例のダイヤのはずだと言うポアロは、卑劣なペテン師であり、模造品とすり替えたとパトリックに伝える。 詐欺がバレることは分かっていたはずで、脅されていた唯一の証人を殺す必要があったと言うポアロは、洞窟で意識を回復したアリーナを気遣う振りをしながら、パトリックは彼女を絞殺したと語る。 これがアリーナ・マーシャルの殺人物語であり、犯人にとって予想外だったのは、自分がこの島にいたことだ言って、ポアロは話を締めくくる。 全く動じないパトリックとクリスティンは、証拠がないことをポアロに確認する。 これだけ話しておきながら証明できないことに呆れたダフネは、ポアロから、パトリックは正しいと言われる。 侮辱されるいわれはないと言うパトリックは席を立ち、クリスティンは、5分いただければどうやったか解いてみせるとポアロに伝えて部屋に向かう。 階段を上がったクリスティンから、殺人があった時間にどこにいたのかと訊かれたポアロは、ホレス卿に非難される。 別人のように着飾ったクリスティンと共に現れたパトリックは去ろうとするが、ダフネから宿泊料を請求される。 侮辱されたので払う必要はないと言うクリスティンだったが、パトリックは小切手で支払う。 ダフネに、アンサンブルがまったく似合わないと嫌味を言ったクリスティンは、パトリックと共に去ろうとするが、”フェリックス・ルーバー”と口にすたポアロに呼び止められる。 それが誰かと聞かれたポアロは、フェリックス・ルーバーは、亡くなったアリス・ルーバーの夫で、数か月前に絞殺死体がヨークシャーで発見されたことを伝える。 ポアロは、警察の報告書を審査するために保険会社に呼ばれ、アリスの死により夫が多額の保険金の受け取ったのだが、警察は狂人か浮浪者の犯行と断定したと話す。 唯一の容疑者である夫には完璧なアリバイがあり、自分も警察の判断に同意したと言うアポロだったが、昨夜、自問していた時に、この島の事件と類似していると思ったと伝える。 アリスの死体を発見したハイキングをしていた女性はクリスティンで、現場検証が進んでいる頃、犯人のフェリックスは列車に乗りアリバイを作っていたとポアロは話す。 重婚罪を犯していたフェリックスは、クリスティンの元に戻れると考えたと話すポアロは、宿帳にはサインしなかったフェリックスは小切手にはサインしたと言いながら、アリスの生命保険契約書にはサインしてあることを伝えてそれを取り出す。 小切手のパトリックと契約書のフェリックスは同じ筆跡だと言うポアロは、ラテン語で、ルーバーはレッドファンだと気づいたことを話す。 パトリックから、走り書きのサインと言葉遊びを真実と思うかと訊かれたポアロは、死体の発見者と喪中の男性が地元新聞の写真に写っていると伝える。 アリスとアリーナの殺人の罪で絞首刑に相応しい証拠だと言うポアロは、逮捕されるだろうと伝えて、自分を愚か者呼ばわりしたパトリックに自信を示す。 マッチに火を点けたポアロは、パトリックがくわえているパイプのことを話し、一度も火を点けてないと言ってそれを取り上げる。 パイプの中からダイヤを取り出したポアロは、それをホレス卿に渡し、次回は贈る相手に注意するようにと伝える。 ホレス卿に感謝されたポアロは得意満面の笑みで応えるが、パトリックに殴られてしまう。 ケネスとリンダに見守られながら、ダフネに介抱されたポアロは、事件を内密に処理したことで国王が喜んでいると言われ、”聖グスト好奇心旺盛賞”が授けられることを彼女から知らされる。 オーデルとマイラ、そしてレックスは、ホレス卿の船で島を離れ、拘束されてホテルのスタッフに連行される、パトリックとクリスティンが乗る船を見つめる。
...全てを見る(結末あり)
作家である演劇評論家のレックス・ブルースター(ロディ・マクドウォール)と話していたダフネは、演劇プロデューサーのオーデル・ガードナー(ジェームズ・メイソン)とマイラ(シルヴィア・マイルズ)夫妻が気になる。
集まった人々の前に姿を現したポアロは、アリーナの殺人犯を突き止めたと伝える。
*(簡略ストー リー)
ベルギーの私立探偵エルキュール・ポアロは、大富豪にも拘わらず、模造ダイヤに保険をかけようとしたホレス卿を調査することになる。
ホレス卿に会ったポアロは、女優のアリーナに送ったダイヤを取り戻したものの、それが模造品だったことを知る。
アリーナが、ダンサー仲間だったダフネが経営するアドリア海の孤島のホテルに向かうことを知ったポアロは現地に到着する。
夫のケネスとその娘リンダと共に島に着いたアリーナは、滞在していた作家のレックスや演劇プロデューサーのオーデルとマイラ夫妻と再会する。
妻クリスティンと不仲のパトリックと関係するアリーナは、ケネスや宿泊客の目も気にせずに行動を共にする。
そんなアリーナははしご入江で殺害されてしまい、ダフネに協力を求められたポアロは、事件について調べ始めるのだが・・・。
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アガサ・クリスティの小説”白昼の悪魔”を基に、”007シリーズ”で知られるガイ・ハミルトンが監督した作品。
「ナイル殺人事件」(1978)とプロデューサー、脚本、主演が同じであり、ガイ・ハミルトンは「クリスタル殺人事件」(1980)に次ぐアガサ・クリスティ作品の演出となった。
舞台はアドリア海の孤島という設定で、ロケはスペインの”マヨルカ島”で行われ、その美しい風景と共に流れるコール・ポーターの楽曲が印象的だ。
イングランドの荒野で起きる絞殺事件からは決まり、大富豪が関わるダイヤ詐欺、その調査を依頼された名探偵エルキュール・ポアロが、孤島で起きる殺人事件を解決するまでを描くサスペンス。
主人公のポアロの言動は常にユーモラスであり、恐ろしい殺人と対比する独特な雰囲気を持つキャラクターは、ピーター・ユスティノフの好演もあり十分に活かされている。
ポアロが犯人を特定し、それを宿泊客に解説する終盤の30分は、正に推理映画の醍醐味であり、それまで描写された様々なヒントと事件の関連性が描かれる演出はファンにはたまらない。
主演のピーター・ユスティノフは、いつものように飄々とした雰囲気で難事件を推理する、主人公のエルキュール・ポアロを好演している。
事件が起きるホテルのオーナー、マギー・スミス、自分が関わる模造ダイヤの調査の件でポアロに協力する大富豪のコリン・ブレイクリー、殺される人気女優を印象的に演ずるダイアナ・リグ、彼女の夫デニス・クイリー、その娘で義母を憎むエミリー・ホーン、作家である演劇評論家のロディ・マクドウォール、演劇プロデューサーのジェームズ・メイソン、その妻シルヴィア・マイルズ、殺されたアリーナと人目も気にせずに親密な関係を続ける犯人のニコラス・クレイ、その妻で夫と共に殺人計画を進めるジェーン・バーキンなどが共演している。