消息を絶った深宇宙探査船を発見した救助船のクルーに襲い掛かる恐怖を描く、監督ポール・W・S・アンダーソン、主演ローレンス・フィッシュバーン、サム・ニール、ジョエリー・リチャードソン、キャスリーン・クインラン、リチャード・T・ジョーンズ、ジェイソン・アイザックス他共演のSFホラー。 |
・SF
■ スタッフ キャスト ■
監督:ポール・W・S・アンダーソン
製作
ローレンス・ゴードン
ロイド・レヴィン
ジェレミー・ボルト
製作総指揮:ニック・ジロット
脚本:フィリップ・アイズナー
撮影:エイドリアン・ビドル
編集:マーティン・ハンター
音楽
マイケル・ケイメン
オービタル
出演
ミラー船長:ローレンス・フィッシュバーン
ウィリアム”ビリー”ウィアー博士:サム・ニール
スターク:ジョエリー・リチャードソン
ピーターズ:キャスリーン・クインラン
クーパー:リチャード・T・ジョーンズ
D.J.:ジェイソン・アイザックス
スミス”スミッティ”:ショーン・パートウィー
ジャスティン:ジャック・ノーズワージー
エドモンド・コリック:ノア・ハントリー
ジョン・キルバック船長:ピーター・マリンカー
クレア・ウィアー:ホリー・チャント
アメリカ/イギリス 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1997年製作 96分
公開
北米:1997年8月15日
日本:1997年11月15日
製作費 $60,000,000
北米興行収入 $26,673,240
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
2015年、人類は初めて月面に移住した。
2032年、火星で民間の採鉱が始まる。
2040年。
超深宇宙探査船”イベント・ホライズン”が、太陽系境界線の探査のために出発する。
しかし、第8惑星”海王星”の彼方で消息を絶ち、史上最悪の事故となる。
2047年。
アメリカ航空宇宙船”ルイス&クラーク”は、極秘任務のため出発する準備を始める。
船長のミラー(ローレンス・フィッシュバーン)は、イベント・ホライズンの設計者であるウィリアム”ビリー”ウィアー博士(サム・ニール)とクルーを重力タンクに向かわせる。 ルイス&クラーク、56日目。 その場に座っているのが亡くなった妻クレア(ホリー・チャント)だったために、ウィアーは驚く・・・。 悪夢を見たウィアーは重力タンクの中で取り乱し、医師のD.J.(ジェイソン・アイザックス)と医療隊員のピーターズ(キャスリーン・クインラン)に助けられる。 救助隊員のクーパー(リチャード・T・ジョーンズ)からコーヒーを勧められたウィアーは遠慮する。 副長のスターク(ジョエリー・リチャードソン)をからかったクーパーらは、ミラーから、早く着替えて仕事をするようにと言われえる。 パイロットのスミス”スミッティ”(ショーン・パートウィー)は、2時間23分後に海王星圏内に到着することをミラーに伝える。 ウィアーをクルーに紹介したミラーは、クーパーから任務を訊かれ、ウィアーに説明してもらう。 共に旅ができたことに感謝するウィアーだったが、ミラーは、休暇は取りやめになり、この距離まで救助に来て助かった者はいないので迷惑だと率直に伝える。 今回の任務は、国家安全保障局の極秘事項だと言うウィアーは、海王星から微弱な電波を傍受し、発信源はイベント・ホライズンだということを話す。 動揺するクルーに、イベント・ホライズンは原子炉が故障して大破したというのはウソで、光速以上の航行ができる国家の機密実験船だと伝えたウィアーは、反論するクルーに答えようとする。 光速は超えずに次元に穴を開けて何光年もの彼方に瞬時に移動すると話すウィアーは、その説明を求められる。 地場を回転させて重力量子を集中させ、テンソルの法則通りに時空のひずみを拡大して特異点を形成すると話すウィアーの説明を、クルーは理解できない。 雑誌の中綴じ写真を手にしたウィアーは、両端にペンで穴を開けて合わせ、両方の点は同じ時に同じ空間に存在し、宇宙船はそのゲートを通り再び戻ると説明して、自分が開発者だと伝える。 電波から取り出した人間の声のような音を聴かせたウィアーは、D.J.からラテン語のようだと言われる。 もう一度聴いたD.J.は、”リバラテ・メ/助けてくれ”と言っているようだと皆に伝える。 その後、ルイス&クラークは海王星に到着し、イベント・ホライズンを見つける。 結合に成功し、イベント・ホライズンの内部の状況などを調べたスタークは、休眠状態でなければクルーは生存不能だとミラーに伝える。 スタークから、生命反応があるにも拘らず位置が確認できないと言われたミラーは、船内をチェックするためにドッキングチューブを接続させて、機関士のジャスティン(ジャック・ノーズワージー)らに船内に向かうよう指示する。 ウィアーも船内に向かおうとするものの、ミラーは安全確認をしてからだとと伝えて、納得しない彼にこの場で指示を出すよう協力を求める。 ミラー、ピーターズ、ジェスティンは、チューブを通ってイベント・ホライズンの内部に入り、凍結状態だと伝える。 ジャスティンを機関室に向かわせたミラーは、デッキに行くことを伝えて別れる。 爆破装置に気づいたミラーは、非常時に船を切断するために使うことを知らせるウィアーから、前部デッキを救命艇にすると言われる。 医務室は誰も使った形跡はなく、ミラーは、生命スキャンの反応もない墓場のようだと伝える。 第一隔室ドアに到着したジャスティンは、その奥が機関室だと知り通路通る。 ブリッジで血液を確認したピーターズは、室内の異変に気づかない。 冷却液が漏れて空中に浮いていることを確認したジャスティンは、安全レベルだと報告する。 飛行日誌があることをウィアーから知らされたピーターズは、そのディスクを取り出す。 そこに浮遊する死体が現れたためにピーターズは驚き、それが何かに傷つけられたように見えることをウィアーらは確認し、彼女は冷凍死体だと伝える。 生命反応スキャンをして異常に気づきながら、ジャスティンはパワーを上げる。 重力推進コアが姿を現し、ジャスティンはそれに近づくものの映像が途切れる。 ジャスティンはコアに引き込まれ、ルイス&クラークも異常事態となり、スタークらはその場から脱出しようとする。 イベント・ホライズンに向かったクーパーは、コアから出たジャスティンを助ける。 ミラーに状況を報告したスミスは、ウィアーからイベント・ホライズンに移ることを提案され、ミラーからもその指示を受ける。 ピーターズが装置のチェックを行い、船内の重力を復活させる。 船内の状況を知ろうとするミラーは、二酸化炭素のフィルターが故障しているため、ルイス&クラークから除去装置を運び込むことを考え、スタークから20時間は持つと言われる。 ルイス&クラークの損傷を調べたスミスは、船体に7mの亀裂が入っているため、修理は可能だが時間がかかることをミラーに伝えて、20時間で空気がなくなることを知る。 ジャスティンを診るD.J.は、命に別状はないが刺激に反応しないことをピーターズに伝える。 クーパーは、液体からジャスティンが現れ、その後、液体が固体のコアに変わったとミラーに伝えるものの、ウィアーは物理的に不可能だと意見する。 それに反論して興奮するクーパーを落ち着かせたミラーは、ウィアーに説明を求める。 重力のひずみにより視覚効果でクーパーが錯覚を起こしたと言うウィアーは、納得しないクーパーを黙らせたミラーに更に説明する。 ひずみについて訊かれたウィアーは、コアから重力波が瞬時に漏れれば、時空がひずんでジャスティンの姿は消えてルイス&クラークも破壊するが、それはあり得ないと伝える。 ミラーとスタークと共にコアに向かったウィアーは、ブラックホールを生み出せることを伝える。 ウィアーから危険はないと言われるものの、ミラーはこの場を封鎖するようスタークに指示する。 医療室にいたピーターズは何かを感じて警戒し、脚がただれている息子のデニーの幻覚を見て動揺し、そこにD.J.が現れる。 イベント・ホライズンの船長ジョン・キルバック(ピーター・マリンカー)らクルーが映る最後の映像をチェックしたミラーらは、叫び声を確認するものの映像にノイズが入り、ピーターズはそれを除去しようとする。 コアで異常が発生したために、ウィアーとミラーはその場に向かいチェックする。 意識が戻ったジャスティンは、D.J.に”闇”だと伝えて苦しむ。 ショートしている制御回路をチェックしようとしたウィアーは、クレアの声を聞き、彼女の幻覚を見る。 ミラーも、コアの下部の液体から現れた炎に包まれた死体を見る。 何人もが何かを目撃している中、幻覚を見ていないスミスは、ウィアーのせいだと言って彼を非難して襲い掛かる。 制止されたスミスは、ルイス&クラークを修理することをミラーから指示されてそれに従う。 生命反応があることをスタークから知らされたミラーは、幻覚とその反応の間の関係が、免疫のような防御反応と思うと言われ、それが強くなり、船に生命が宿っているという考えを聞く。 船が生きているとでも言うのかと尋ねたミラーは、そうしか考えられないと答えるスタークに、残り10時間なので助かる方法を考えるようにと指示する。 姿を消したジャスティンを捜すピーターズは、異状音が聴こえたために皆の元に向かい動揺し、D.J.は彼女を落ち着かせる。 壁を叩く音が聴こえたウィアーはドアを開けようとするが、スタークがそれを制止する。 ジャスティンが宇宙服を着ないまま減圧室に向かったことを知ったスタークらは、それを船外活動をするミラーに伝える。 クーパーに作業を続けさせたミラーは、減圧室のハッチに向かう。 ピーターズに話しかけられたジャスティンは、”あれが見せる、恐ろしいものを・・・どこからか来た、自分の中の闇だ、もう戻りたくない・・・あれを見たらもう終わりだ”と言って、制止も聞かずに減圧スイッチを入れてしまう。 苦しむジャスティンは船外に放出されるののの、ミラーが彼を受け止めて船内に戻す。 D.J.は何とかジャスティンの命を助け、4時間で二酸化炭素の危険状態になることを知ったミラーは、日誌で原因を解明するようピーターズに指示する。 スタークから、ジャスティンの”自分の中の闇”という言葉が気になると言われたミラーは、ウィアーに意見を求める。 それに答えようとしないウィアーに、ジャスティンが自殺をしようとした理由を尋ねたミラーは、まともに答えようとしない彼に、ゲートを作ると言っていたこの船の行き先を訊く。 知らないと言われたミラーは、その後、見捨てないでほしいという声を聴く。 それが事故死した部下のエドモンド・コリック(ノア・ハントリー)の声であることをD.J.に話したミラーは、船が自分の恐れや秘密を知っていると伝える。 例のラテン語の声を聴き直したと言うD.J.は、”リバラテ・メ/助けてくれ”ではなく”リバラテ・トゥテメ/己を救え”だったことをミラーに伝え、最後に”エクス・インフェリス/地獄から”だと話す。 ウィアーの話が本当なら、船は宇宙の彼方である裏の闇の世界に行ったと言うD.J.は、そこにある何かを持ち帰ったとミラーに伝える。 ルイス&クラークの修理が終わったことをスミスから知らされたミラーは、それをチェックし、船外で作業しているクーパーから、エアーが漏れているために、あと20分かかると言われる。 日誌の映像のノイズを除去したピーターズは、”リバラテ・トゥテメ、エクス・インフェリス”と言いながら自分の目をくり抜くクルーの様子を見て驚く。 それを確認したミラーは出発することを指示するが、ウィアーから任務を終えろと言われる。 任務はクルーの救出で、船が全員を殺したと言われたウィアーだったが、それを無視するミラーは船に戻り出発の準備をしようとする。 ウィアーの意見に反対するミラーは、安全圏まで向かいイベント・ホライズンにミサイル攻撃をすると伝えるものの、船からは逃れられないと言われる。 ここが家だと言うウィアーは、ミラーの警告を聞こうとしない。 コアでデニーを目撃したピーターズは、彼に近づこうとして落下死する。 その場に現れたウィアーはピーターズの死に動揺し、クレアの声を聴く。 クレアが自殺する幻覚を見たウィアーは、自分の目をくり抜こうとする。 クーパーが作業を終えたことを知ったスミスは、船内にいたウィアーがイベント・ホライズンに戻ったことをミラーに知らせる。 通路の爆破装置が外されていることに気づいたミラーは、ウィアーがルイス&クラークにそれを仕掛けたかもしれないとスミスに伝えて、脱出を指示する。 スミスは爆破装置を見つけるものの、既にカウントダウンは終わり、ルイス&クラークは爆発して、クーパーは船体の一部と共に吹き飛ばされる。 無事だったクーパーは、エアータンクを噴射してイベント・ホライズンに戻ろうとする。 ルイス&クラークが爆発してスミスとクーパーが死んだことをD.J.に伝えたミラーは、ウィアーの仕業だと言って捕らえるよう指示する。 眼球がないウィアーに襲われたD.J.は、治療台の上で殺される。 D.J.の死体を確認したミラーは、武器を手にしてウィアーを捜し、倒れていたスタークを救う。 その場にいたウィアーの姿に驚くミラーは、イベント・ホライズンは恒星の旅よりさらに遠い場所に到達し、宇宙に別の次元への穴を開けたと言われる。 カオスと真の邪悪の世界だと言うウィアーは、行きとは違い、戻った船は生きていたと伝える。 この船がいた場所に戻ろうとするウィアーは、襲い掛かってきたスタークを叩きのめしてミラーに銃を向ける。 クーパーが船外に現れ、ウィアーが銃撃したために窓が割れる。 ウィアーは船外に放出され、ワイヤーをつたって移動したミラーは、スタークを助けてハッチが閉まる。 誰かがいることに気づいたミラーとスターク警戒するが、それはクーパーだった。 重力推進を止めようとするミラーは、スタークから無理だと言われたため、通路を爆破して船を分離させようとする。 前部を救命艇にして脱出しようと考えたミラーは、追跡衛星に救助信号を発信し、重力タンクに入り救助隊を待つことを、スタークとクーパーに伝える。 通路に向かったミラーは、爆破装置をセットする。 血液が充満していることに気づいたクーパーは、それに溺れかけたスタークを助ける。 エドモンドに襲われたミラーは、姿を変えたウィアーから、船が自分を呼び戻したと言われる。 叩きのめされたミラーは、ウィアーから、ゲートが開くので皆と共に来るようにと言われるものの、爆破スイッチを入れる。 通路は爆破され、船体の前部はその場から離れ、後部は開いたゲートに吸い込まれる。 その様子をクーパーと目撃していたスタークは、ミラーのことを想う。 72日後。 タンクから出て目覚めたスタークは、クルーがウィアーだったために叫び声を上げる。 悪夢を見て取り乱すスタークを、救助隊員とクーパーが落ち着かせる。
...全てを見る(結末あり)
誰かの声で目覚めたウィアーは、重力タンクから出てコックピットに向かう。
イベント・ホライズンを発見して近づいた救助艇のクルーは船内に向かい、重力タンクのスターク、クーパー、重傷を負ったジャスティンを確認する。
*(簡略ストー リー)
2047年。
アメリカ航空宇宙船”ルイス&クラーク”は、”海王星”付近で消息を絶ち、その後、電波を発信していることが確認された新宇宙探査船”イベント・ホライズンのクルーを救う任務のために出発する。
イベント・ホライズンを発見して乗り移ったミラー船長は、船の設計者ウィアーの指示を受けながら内部を調べる。
その後、幻覚を見るクルー達は動揺し、重力推進装置であるコアとイベント・ホライズがたどった旅の秘密を知らぬまま、得体の知れない何かに襲われる・・・。
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後に「バイオハザード」シリーズをヒットさせるポール・W・S・アンダーソンが、成功した「モータル・コンバット」(1955)に続き演出した作品。
消息を絶った深宇宙探査船を発見し、異常に気づきながら、船がたどった旅の秘密を解明しようとするクルーに襲い掛かる恐怖を描くSFホラー。
探査船の名前が”イベント・ホライズ”であり、それが”事象の地平面”を意味するため、船の任務の目的などを話す設計者の解説などが実に興味深い。
それが難解であることは考え過ぎずに、”謎の物体”に生まれ変わった船内で起きる、異常現象と恐怖体験を映し出す映像を楽しむことをお勧めします。
とは言え、その理屈っぽいセリフの連続にウンザリする人々にとっては、内容も「エイリアン」(1979)の域を脱していないために物足りないかもしれない。
クルー達の個性は生かされているが、宇宙空間の映像や船内のセットなども平凡だ。
6000万ドルをかけた作品ではあるが、北米興行収入は約2700万ドルに終わった。
妥協を許さない、任務に徹する救助船”ルイス&クラーク”の船長ローレンス・フィッシュバーン、”イベント・ホライズ”の設計者であり、宇宙の果てから戻り生まれ変わった我が子のような船に戻るのが目的だったサム・ニール、救助船のクルーである副長のジョエリー・リチャードソン、医療担当者のキャスリーン・クインラン、救助隊員のリチャード・T・ジョーンズ、医師のジェイソン・アイザックス、機関士のジャック・ノーズワージー、船長が救えなかった部下の幻覚ノア・ハントリー、イベント・ホライズの船長ピーター・マリンカー、幻覚として現れる、ウィアー(サム・ニール)の自殺した妻ホリー・チャントなどが共演している。