007シリーズの記念すべき第1作。 1958年に発表された、イアン・フレミング原作のシリーズ第6作”Dr. No”を基に製作された作品。 イギリス秘密情報部(MI6)の諜報員”007”ジェームズ・ボンドの活躍を描く、製作ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ、監督テレンス・ヤング、主演ショーン・コネリー、ジョセフ・ワイズマン、ウルスラ・アンドレス、バーナード・リー他共演のスパイ・アクションの秀作。 |
・ショーン・コネリー / Sean Connery 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:テレンス・ヤング
製作
ハリー・サルツマン
アルバート・R・ブロッコリ
原作:イアン・フレミング”Dr. No”
脚色
リチャード・メイボーム
ジョアンナ・ハーウッド
バークレイ・マーサー
撮影:テッド・ムーア
編集:ピーター・ハント
美術:ケン・アダム
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
音楽
モンティ・ノーマン
ジョン・ バリー(クレジットなし)
出演
ジェームズ・ボンド:ショーン・コネリー
ハニー・ライダー:ウルスラ・アンドレス
ドクター・ジュリアス・ノオ:ジョセフ・ワイズマン
フェリクス・ライター:ジャック・ロード
M:バーナード・リー
クォレル:ジョン・キッツミラー
R・J・デント教授:アンソニー・ドーソン
ターロー:ゼナ・マーシャル
シルヴィア・トレンチ:ユーニス・ゲイソン
マネーペニー:ロイス・マクスウェル
ブースロイド少佐(Q):ピーター・バートン
イギリス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1962年製作 110分
公開
イギリス:1962年10月5日
北米:1963年5月8日
日本:1963年6月8日
製作費 $1,100,000
北米興行収入 $16,067,035
世界 $59,600,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ジャマイカ。
イギリス秘密情報部(MI6)支局長と秘書が何者かに暗殺される。
ロンドン、MI6本部。
ジャマイカとの連絡がつかなくなり、それが報告される。
クラブにいた諜報員”007”ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)は、シルビア・トレンチ(ユーニス・ゲイソン)とバカラを楽しんでいたものの、本部に呼ばれる。
ボンドは、シルヴィアと明日、会う約束をして別れる。
MI6本部。 Mから、ジャマイカ支局長と秘書の行方不明に関する説明を受けたボンドは、その調査のため現地に向かうことになる。 支局の任務は、アメリカ当局からの要請を受けて、ケープカナベラルから発射されるロケットの軌道を妨害する電波発信地をつきとめることだった。 ボンドは、携帯している拳銃”ベレッタM1915”の殺傷力が低いことを、装備品担当のブースロイド少佐/Q(ピーター・バートン)から指摘される。 Mは”00は殺しのライセンスの証”だということを強調し、”ワルサーPPK”の携帯を命ずる。 渋々それを承知してたボンドは、”ベレッタ”も持ち去ろうとするものの、Mは、それを置いていくよう指示する。 Mは、マネーペニーにもボンドは急いでいると伝える。 部屋に戻ったボンドは、その場にシルヴィアがいたために驚き、出発の予定があるために時間がないと伝えるものの、彼女と愛し合う。 そしてボンドは、CIAのフェリクス・ライター(ジャック・ロード)と接触するために、ジャマイカのキングストンに向かう。 パラセオーズ空港(現ノーマン・マンレー国際空港)。 総督官邸に電話をしたボンドは、迎えを送っていないことを確認し、警戒しながら男の車に乗る。 ボンドを監視していた男(ジャック・ロード)は、彼が乗った車を追う。 スピードを上げる男から尾行されていることを知らされたボンドは、わき道に入るよう指示する。 ボンドは、男を締め上げて誰の命令か聞き出そうとするが、男は服毒自殺をしてしまう。 総督官邸に向かったボンドは、その後、支局長が失踪する直前まで一緒だったという、地質学者デント教授(アンソニー・ドーソン)に会う。 ボンドは、支局長が連日のように、漁師クォレル(ジョン・キッツミラー)と共に沖へ魚釣りに出ていたことを知る。 クォレルの元に向かったボンドは、話を聞こうとするものの、逆に襲われてしまう。 反撃したボンドは、空港から彼をつけていた男に銃を突きつけられてしまう。 しかし、その男はCIAのライターであり、ボンドは、クォレルが協力者だったことを知る。 ボンドは、”クラブ・キー”という島を所有するボーキサイトの採掘業者で、謎の中国人ドクター・ノオ(ジョセフ・ワイズマン)の存在を、クォレルから知らされる。 支局長がクラブ・キーから持ち帰った岩を、デントに分析依頼していたことを知ったボンドは、彼に探りを入れる。 しかしデントは、それがただの岩だったことをボンドに伝える。 ドクター・ノオと通じているデントは、ボンドが接触してきたことを報告し、毒グモでボンドを殺害するよう指示される。 ホテルに戻ったボンドは、部屋に何者かが侵入したことを確認して眠りにつく。 その後、毒グモに気づいたボンドは、危機一髪のところでクモを殺す。 翌日、総督官邸の秘書ターロー(ゼナ・マーシャル)の行動を疑ったボンドは、彼女を誘い様子を見ようとする。 イギリスから”ガイガー・カウンター”を取り寄せたボンドは、クォレルと共に支局長が”クラブ・キー”から採取した岩を運んだ船を調べ、放射線反応を確認する。 ボンドは、支局長の岩を調べたデントが、それをただの岩だと言ったことを思い出して彼を疑う。 ”クラブ・キー”に向かおうとしたボンドは、クォレルから、島には竜がいると言われる。 その後、ホテルに戻ったボンドは、ターローに呼び出され、彼女を迎えに行くことになる。 ボンドは不審車の追跡に気づき、それをかわす。 不審者車は崖から落ちて大破し、ボンドはターローの家に到着する。 ターローは、殺されたはずのボンドの姿を見て驚く。 電話を受けたターローは、ボンドを2時間ほど引き止めることを伝える。 ターローの考えを見抜いているボンドは、彼女と愛し合った後、食事に出かけようとする。 車を呼んだボンドは、車内にいた警官にターローを引き渡し連行させる。 ボンドは、何者かが現れるのを待ち伏せして、家に忍び込んだデントを殺害する。 その後ボンドは、ライターとクォレルを伴いラブ・キーに向かう。 途中ライターと別れたボンドは、クォレルと共にボートで島に向かう。 島に上陸したボンドは、翌朝、貝を拾いに来ていたハニー・ライダー(ウルスラ・アンドレス)と出会う。 高速艇が偵察に現れ、ボンドらは身を隠し、ハニーのボートが銃撃されてしまう。 ハニーとクォレルは、竜がいると言って恐れるが、ボンドは信用しない。 犬を連れて現れた追ってから逃れたボンドらは、危険地帯に向かう。 夜を待ったボンドは、動物学者だったハニーの父親が、この島でドクター・ノオに殺されたという話を聞く。 そして、夜になって現れた”竜”は、火炎放射器を装備した装甲車だということが分かり、ボンドとクォレルは銃で攻撃する。 クォレルが火炎放射器で焼き殺され、ボンドとハニーは捕らえられてしまう。 海底施設に連れて行かれたボンドとハニーは、放射能に汚染された衣服を脱がされ、体を洗われる。 2人は手厚い持て成しを受けるが、睡眠薬入りのコーヒーで眠らされる。 ハニーと共にドクター・ノオの夕食に招かれたボンドは、彼と対面する。 食堂に向かうボンドは、盗まれた”ウェリントン公爵の肖像画”がその場にあることに気づく。 ドクター・ノオから様々な話を聞いたボンド、既に当局の手が回り、施設の包囲準備が進んでいることを伝える。 ボンドの脅しに動じないドクター・ノオは、世界征服を目的とする犯罪組織”スペクター”の一員だということをボンドに伝える。 東西両陣営に恨みを持つドクター・ノオは、殺さなかったのは、味方に引き入れるためだとボンドに伝える。 ドクター・ノオは管制室に向かい、ボンドは彼の部下に痛めつけられて監禁される。 通気口から脱出して、管制室に忍び込んだボンドは、停止していた原子炉を作動させて、ロケットの妨害電波発信を阻止しようとする。 ドクター・ノオはボンドに襲い掛かるものの、原子炉に落ちて命を落とす。 ハニーを救い出したボンドは、原子炉の爆発寸前で島を脱出する。 その後ボンドとハニーは、ボートのエンジンが壊れて漂流する。 救助に来たライターは、ボンドのボートを曳航する。 しかし、ボンドはロープをほどいてしまい、ハニーと愛し合う。
本部長M(バーナード・リー)の秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)といつものように言葉を交わしたボンドは、奥の部屋に向かう。
...全てを見る(結末あり)
到着したボンドは、総督官邸から依頼されたという迎えの男を不審に思う。
*(簡略ストー リー)
ジャマイカのイギリス秘密情報部(MI6)支局長と秘書が何者かに暗殺される。
ロンドンの本部に諜報員”007”ジェームズ・ボンドが呼び出され、本部長Mの命令で、調査のため現地に向かう。
支局の任務は、アメリカ当局からの要請で、ケープカナベラルから発射されるロケットの軌道を妨害する、電波発信地を突き止めることだった。
キングストンに到着したボンドは、支局長が失踪する直前まで一緒だったという、地質学者デント教授に会う。
ボンドは、支局長が連日のように漁師クォレルと沖へ魚釣りに出ていたことを知る。
CIAのライターと接触したボンドは、彼の協力を得て、”クラブ・キー”という島を所有する謎の中国人ドクター・ノオの周辺を探るのだが・・・。
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スパイ劇にアクションの要素を取り入れた娯楽作であり、MI6諜報員”ジェームズ・ボンド”の魅力が世界中の人々の心を捉えた、映画史上に残るシリーズの記念すべき第一作。
*日本初公開時の邦題は「007は殺しの番号」。
本作は大ヒットし、同年の世界興行収入第2位となる約6000万ドルを稼ぎ出した。
*1位「アラビアのロレンス」(1962)/約7000万ドル
純粋なスパイ劇の面白さに加え、ボンドの人間性の描写やアクション、お色気などを盛り込んだ、テレンス・ヤングのメリハリのある軽快な演出は見応え十分。
今回は、後に話題になる秘密兵器及びボンドカーも登場しないが、それらしき物ということで、殺しのライセンスを持つ諜報員ボンドが携帯させられる、サイレンサー付き”ワルサーPPK”(32口径)が登場する。
クライマックスの、ミニチュア基地の作りがやや気になるが、当時の技術を考えれば致し方ないところだろう。
終盤、ドクター・ノオの海底施設にあった絵画、ゴヤの”ウェリントン公爵の肖像画”をボンドが気にするシーンがある。
これは、本作の公開前年、実際にロンドンのナショナルギャラリーから盗まれている。
犯人がドクター・ノオだった?というジョークなども、実に洒落ている。
オープニングは、”ジェームズ・ボンドのテーマ”が使われ、当初、音楽担当はモンティ・ノーマンだったが、ジョン・ バリーが編曲し、映画史に残る名曲となった。
32歳とは思えない、貫禄と男臭さを感じさせる主演のショーン・コネリーは、イギリス紳士と言うより、浅黒い肌のややエキゾチックな雰囲気であり、まだスリムな長身(188cm)の彼の魅力は出色だ。
上映から1時間半しないと登場しない、謎の中国人ジョセフ・ワイズマンの神秘的な悪役も、第一作目にして、シリーズ屈指の異彩を放つ仇役となっている。
結局、彼の出演は正味10分弱で、その後半は放射能防御スーツを着ているので、実際に顔が見えている時間は、夕食にボンドとハニーを招いた約6分半のみとなっている。
わずか数分の出演で、これだけ印象に残る悪役を演じられるのには驚きだ。
初代ボンドガール、ウルスラ・アンドレスがビキニで登場するシーンなども、当時はかなり話題となり、健康的な美女を魅力的に演じている。
「ダイヤルMを廻せ!」(1954)の殺人犯アンソニー・ドーソンは、後に、スペクターの顔を見せないブロフェルド役で登場することにもなる。
*
「ロシアより愛をこめて」(1963)
「サンダーボール作戦」(1965)
その後テレビで活躍するジャック・ロードが、ボンドの協力者として、CIAのフェリクス・ライター役で登場する。
今後レギュラーとなるMのバーナード・リー 、マネーペニー役のロイス・マクスウェル、今回のQは、装備品の担当官としてピーター・バートンが演じ、次回作「ロシアより愛をこめて」(1963)より、デスモンド・ リュウェリンが演じ、シリーズで重要な役割を演じることになる。
他、地元の漁師で協力者のジョン・キッツミラー、総督秘書ゼナ・マーシャル、ボンドと関係を持ち、次回作でも恋人として登場するユーニス・ゲイソンなどが共演している。