007シリーズ第7作。 1956年に発表された、イアン・フレミング原作のシリーズ第4作”Diamonds Are Forever”を基に製作された作品。 国際的犯罪組織スペクターによるダイヤモンドを使った宇宙兵器の攻撃を阻止しようとするMI6諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描く、製作ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ、監督ガイ・ハミルトン、主演ショーン・コネリー、ジル・セント・ジョン、チャールズ・グレイ他共演のスパイ・アクション。 |
・ショーン・コネリー / Sean Connery 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:ガイ・ハミルトン
製作
アルバート・ R・ブロッコリ
ハリー・サルツマン
原作:イアン・フレミング
脚本:トム・マンキーウィッツ
撮影:テッド・ムーア
編集
バート・ベイツ
ジョン・W・ホームズ
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
音楽
ジョン・バリー
モンティ・ノーマン:ジェームズ・ボンドのテーマ
主題歌:シャーリー・バッシー”Diamonds Are Forever”
出演
ジェームズ・ボンド:ショーン・コネリー
ティファニー・ケイス:ジル・セント・ジョン
エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド:チャールズ・グレイ
プレンティ・オトゥール:ラナ・ウッド
ウィラード・ホワイト:ジミー・ディーン
サクスビー:ブルース・キャボット
ミスター・ウィント:ブルース・グローヴァー
ミスター・キッド:パター・スミス
フェリクス・ライター:ノーマン・バートン
M:バーナード・リー
Q:デスモンド・リュウェリン
マネーペニー:ロイス・マクスウェル
シェイディ・トリー:レナード・バー
ウィスラー夫人:マーガレット・レイシー
ピーター・フランクス:ジョー・ロビンソン
ドナルド・マンガー卿:ローレンス・ナイスミス
葬儀社の従業員:マーク・ローレンス
イギリス 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1971年製作 119分
公開
イギリス:1971年12月30日
北米:1971年12月17日
日本:1971年12月25日
製作費 $7,200,000
北米興行収入 $43,819,550
世界 $116,000,000
■ アカデミー賞 ■
第44回アカデミー賞
・ノミネート
録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
イギリス諜報員ジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)は、”スペクター”のリーダーである宿敵のエルンスト・スタヴロ・ブロフェルド(チャールズ・グレイ)の抹殺に成功する。
その頃、大量のダイヤモンドが正規ルートを通さずに何者かの手に渡り、それに関る謎の2人組ミスター・ウィント(ブルース・グローヴァー)とミスター・キッド(パター・スミス)が各地で行動していた。
上司M(バーナード・リー)に呼び出された休暇中のボンドは、そのダイヤが運ばれるルートを探るために、オランダに向かうことになる。
入国管理官に扮したMの秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)からパスポートを渡されたボンドは、オランダに入国してアムステルダムに到着する。
ボンドは、ダイヤの運び屋”ピーター・フランクス”に扮して、仲介者のティファニー・ケイス(ジル・セント・ジョン)に接触する。 ティファニーはボンドの指紋で身元を確認するが、彼は、Q(デスモンド・リュウェリン)から支給されていたフランクスの指紋を指につけていたために正体がばれずに済む。 しかし、フランクス(ジョー・ロビンソン)本人がティファニーを訪ね、ボンドは彼に襲いかかり、格闘の末に殺害する。 フランクスを自分に見せかけたボンドは、彼の遺体を利用してダイヤをロサンゼルスに運ぼうとする。 ボンドらが乗り込んだ旅客機には、ミスター・ウィントとミスター・キッドが乗り込んでいた。 ロサンゼルス。 葬儀社に着いたボンドは、遺体を火葬して壺に入ったダイヤを受け取る。 その後、ボンドはミスター・ウィントとミスター・キッドに襲われ、棺に入れられて焼却されそうになる。 ダイヤが偽物と分かり焼却を免れたボンドは、取引の準備をするためにラスベガスに向かう。 ダイヤを奪おうとしたのが、芸人のシェイディ・トゥリー(レナード・バー)だと知ったボンドは、彼に探りを入れようとするものの、既にミスター・ウィントとキッドに殺害されていた。 カジノの支配人サクスビー(ブルース・キャボット)は、運び屋に扮しているボンドを監視する。 その頃、ボンドは、ルーレットで大金を稼ぎ、プレンティ・オトゥール(ラナ・ウッド)という若い女性と知り合う。 プレンティを部屋に招いたボンドは、葬儀社の従業員らに襲われ、彼女は窓からプールに投げ落とされる。 ボンドが男たちを追い払うと、寝室にはティファニーが待ち構えていた。 ティファニーはボンドと愛し合い、彼からダイヤの在り処を聞き出して、山分けして逃亡することを提案する。 それに同意したボンドは、ティファニーにダイヤを渡して泳がし、ライターと共に彼女の行動を監視しようとする。 ステファニーは、カーニバルの会場の水風船のスペースに向かうよう指示され、景品のぬいぐるみを受け取り、姿を消してしまう。 その後、家に戻ったステファニーは、ボンドがいたために驚き、自分の身代わりでプレンティが殺されていることを知る。 ボンドはティファニーを脅し、指示を出している人物を突き止めようとする。 ティファニーからダイヤの場所を聞き出したボンドは、それを何者かが運び、サクスビー受け取るのを確認する。 ボンドは、ガソリンスタンドに寄ったサクスビーが、ある男性と運転を代わったことを確認し、ステファニーに協力させて、その車に乗り込む。 実業家のウィラード・ホワイト(ジミー・ディーン)の研究所に着いたボンドは内部に侵入する。 車を運転していたのはレーザー屈折の世界有数の専門家であるメッツ博士で、ボンドは、職員に扮して、博士の研究室に向かい、その場にあったダイヤやあるカセットテープを気にしながら追い出される。 侵入者だと気づかれたボンドは、訓練に使われていた月面車を奪い、研究所から脱出する。 ラスベガスに戻ったボンドとティファニーは、警官に追われるものの、それをかわして、ホワイトの所有するホテル”ホワイト・ハウス”に向かう。 2人は最高級スイートでくつろぎ、その後ボンドは最上階のホワイトのオフィスに侵入する。 気づかれたボンドは、そこで、殺したはずの宿敵ブロフェルド(チャールズ・グレイ)に迎えられる。 殺したのは替え玉であり、ブロフェルドは、ホワイトに成りすましてある計画を企んでいた。 眠らされたボンドは、ミスター・ウィントとキッドに連れ出され、石油パイプラインに埋められてしまう。 そこから何とか脱出したボンドは、派遣されたQの協力で、声をサクスビーに変え、ブロフェルドからホワイトの居場所を聞き出す。 ライターらと郊外の別荘に向かったボンドは、2人の女性に襲われる。 ボンドは、彼女らを懲らしめてホワイトの居場所を知り、ライターらと共に救出する。 その場に現れたサクスビーはボンドらに発砲するが、射殺されてしまう。 その頃ブロフェルドは、計画を急いでカジノでティファニーを捕らえ、変装してホテルから抜け出す。 ブロフェルドの計画は、ダイヤを利用したレーザー光線兵器で、人工衛星を使い、地球上のあらゆるところを攻撃し、世界を危機に陥れようとするものだった。 人工衛星は予定通り打ち上げられ、そこから発射されたレーザー光線で、各地の軍事基地などが破壊される。 ボンドは、ホワイトの事業とは関係ない”バハ・カリフォルニア”にある石油プラットフォームから、ブロフェルドが人工衛星を操作していることに気付く。 現場に到着したボンドは捕らえられ、その場にティファニーがいることを確認する。 ボンドは、人工衛星を制御するためのテープと摩り替えようとしていたものを、ブロフェルドに奪われてしまう。 ティファニーが、そのテープを奪い返しボンドに渡す。 そしてボンドは、ブロフェルドからワシントンD.C.を攻撃する計画を知らされ、隙を見てテープを本物と摩り替える。 本物のテープをボンドから渡されたティファニーは、勘違いして再びそれを元に戻してしまう。 ライターとホワイトがヘリコプター攻撃を開始し、ティファニーがテープを入れ替えようとするが、それをブロフェルドが制止する。 監禁されたボンドは脱出し、潜水艇に乗り込んだブロフェルドの逃亡を妨害する。 ブロフェルドと共に指令室は破壊され、人工衛星によるレーザー攻撃は回避される。 その後、航路で帰国することになったボンドとティファニーは、食事を運ぶボーイに扮したミスター・ウィントとキッドに襲われものの、2人を倒す。 ボンドは、ダイヤをどう取り戻すか尋ねるティファニーと共に、夜空に輝く衛星を見つめる。
...全てを見る(結末あり)
ボンドは、空港で待機していたCIAのフェリクス・ライター(ノーマン・バートン)の協力を得て、迎えに来た葬儀社の従業員(マーク・ローレンス)らと共に霊柩車で出発する。
*(簡略ストー リー)
イギリス諜報員ジェームズ・ボンドは、”スペクター”のリーダーである宿敵ブロフェルドの抹殺に成功する。
その頃、大量のダイヤモンドが正規のルートを通さず何者かの手に渡っていたため、上司Mに呼び出されたボンドは、ダイヤが運ばれるルートを探るべくオランダに向かう。
アムステルダム入りしたボンドはダイヤの運び屋に扮して、仲介者のティファニーに接触する。
現れた運び屋を殺したボンドは、ダイヤを男の遺体に隠して、ティファニーと共にアメリカに運ぶのだが・・・。
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ジョージ・レーゼンビーがボンドを演じた「女王陛下の007」(1969)が不評だったために、ショーン・コネリーが復帰した6作目の作品で、彼はこれで役を降りることになる。
しかし、「サンダーボール作戦」(1965)のリメイクであるシリーズ番外版の「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(1983)で、彼はもう一度だけボンドを演じることになる。
「ゴールドフィンガー」(1964)を大ヒットさせたガイ・ハミルトンの、アメリカを舞台にしたダイナミックな演出が見ものだ。
同じく「ゴールドフィンガー」に続き、主題歌をシャーリー・バッシーが歌い、ダイヤモンドの怪しげな魅力を感じさせる名曲としてヒットした。
第44回アカデミー賞では、録音賞にノミネートされた。
前2作で急降下した興行成績は、同年の世界No.1となるヒットを記録し、見事にシリーズの人気を復活させることになる。
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北米興行収入 $43,819,550
世界 $116,000,000
アポロ計画で人類が月に到達した後ということもあり、月面車も登場し、宇宙兵器も斬新で、ラスベガスのカーチェイスなど見所も多い作品に仕上がっている。
40歳になったばかりのショーン・コネリーだが、一気に老け込んでしまった感じが気になる。
よく言えば、渋さが増して貫禄もでてきているとも言えるのだが・・・。
「黄金銃を持つ男」(1974)のブリット・エクランドが演じた”グッドナイト”を思い起こさせる、少々ドジな役柄のジル・セント・ジョンは、憎めないキャラクターを好演している。
珍しく登場場面が多い宿敵ブロフェルド役チャールズ・グレイは、「007は二度死ぬ」(1967)では、ボンドの協力者を演じていた。
ブロフェルドに捕らえられていた若き実業家ジミー・ディーン(ハワード・ヒューズがモデル)、その部下でブロフェルドに加担するカジノの支配人役で、本作が遺作となるベテランのブルース・キャボット、CIAのフェリクス・ライター役ノーマン・バートン、ボンドに近寄ったために殺されてしまう、ナタリー・ ウッドの妹ラナ・ウッド、そして、異様な雰囲気の2人組みの殺し屋を怪演するブルース・グローヴァーとパター・スミス、Mのバーナード・リー、Qのデスモンド・リュウェリン、入国管理官に扮しているマネーペニーのロイス・マクスウェルらレギュラーも顔を揃え、ダイヤモンドの密輸業者の教師マーガレット・レイシー、同じく、ボンドが扮するダイヤの密輸業者ジョー・ロビンソン、ダイヤの専門家ローレンス・ナイスミスなどが共演している。
ドラマの中で、ボンドがホテルのパンフレットを見ている時に、サミー・デイヴィスJr.の写真が出てくる。
実は、彼が出演しているラスベガスのショーのシーンが登場する予定だったが、後にカットされてしまった。