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デイジー・ミラー Daisy Miller (1974)

1879年に発表された、ヘンリー・ジェイムズの小説”Daisy Miller”を基に製作された作品。
奔放で美しく魅力的な女性に翻弄される男性の思惑を描く、製作、監督ピーター・ボグダノヴィッチ、主演シビル・シェパードバリー・ブラウンクロリス・リーチマンミルドレッド・ナトウィックアイリーン・ブレナン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ

製作:ピーター・ボグダノヴィッチ
原作:ヘンリー・ジェイムズDaisy Miller
脚本:フレデリック・ラファエル
撮影:アルベルト・スパニョーリ
編集:ヴァーナ・フィールズ
衣裳デザイン:ジョン・ファーニス
音楽:アンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノ

出演
デイジー・ミラー:シビル・シェパード
フレデリック・フォーサイス・ウィンターボーン:バリー・ブラウン
エルザ・ミラー:クロリス・リーチマン
コステロ夫人:ミルドレッド・ナトウィック
ウォーカー夫人:アイリーン・ブレナン
ジョヴァネリ:デュリオ・デル・プレト
ランドルフ・ミラー:ジェームズ・マクマーティ
チャールズ:ニコラス・ジョーンズ
ユージニオ:ジョージ・モーフォゲン

アメリカ 映画
配給パラマウント・ピクチャーズ
1974年製作 91分
公開
北米:1974年5月22日
日本:未公開
製作費 $2,200,000


アカデミー賞
第47回アカデミー賞

・ノミネート
衣裳デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
スイス
湖畔のホテルに宿泊していたアメリカ人の少年ランドルフ(ジェームズ・マクマーティ)は、新聞を読んでいた青年フレデリック・フォーサイス・ウィンターボーン(バリー・ブラウン)に話しかける。

フレデリックもアメリカ人だと知ったランドルフは、長くヨーロッパに住んでいる彼が伯母に会いに来たことを知る。

現れた美しい女性デイジー・ミラー(シビル・シェパード)に見とれてしまったフレデリックは、彼女がランドルフの姉だということを知る。

デイジーと話したフレデリックは、彼女がイタリアに向かうことを知り、自分は伯母をスパに連れて行くことを伝える。
...全てを見る(結末あり)

この地に社交界がないことを寂しく思うデイジーは、男性の取り巻きが多いと話し、ランドルフの世話もあるので観光もできないことを残念に思う。

ランドルフの子守りを、午後は外出しない母に頼めば出かけられると考えたデイジーは、フレデリックがこの地を案内してくれると言うので嬉しく思う。

そのことをフレデリックと約束したデイジーは、迎えに来た従僕のユージ二オ(ジョージ・モーフォゲン)とランドルフと共にその場を去る。

伯母のコステロ夫人と共にスパに向かったフレデリックは、美人だが慎みがないデイジーとは付き合うべきではないと言われ、彼女がユージニオと関係を持っていることを知らされる。

フレデリックがデイジーについて話をしているだけだと思った夫人は、既に彼女と会い二人で城に行く約束もしていることを知り呆れてしまい、恐ろしい娘だと伝える。

会ってみることを提案された夫人はそれを断り、関わるのはやめるようにと言ってフレデリックに忠告する。

そこまで世間知らずでないと言うフレデリックを恥知らずだと思う夫人は、その場を去る。

その夜、涼んでいたデイジーと話したフレデリックは、伯母によく思われていないと考える彼女が、自分から遠ざかろうとしているように感じる。

現れた母親エルザ(クロリス・リーチマン)にフレデリックを紹介したデイジーは、彼と城に行くことを伝える。

エルザと話したフレデリックは、城に同行してはどうかと伝えるものの、デイジーと二人で行くようにと言われる。

ボートに乗ることになったデイジーとフレデリックだったが、現れたユージニオとエルザと共に、彼女は部屋に戻ってしまう。

その様子を木の上から見ていたランドルフに気づいたフレデリックは、彼に声をかけてその場を去る。

翌日、湖の遊覧船に乗ったデイジーとフレデリックは城に向かう。

城の説明をしてくれるガイドにチップを渡して追い払ったフレデリックは、デイジーと二人きりになる。

二人は城の内部を見学するものの、デイジーが忙しなく歩き回るために、フレデリックは落ち着いて話ができない。

博学なフレデリックに感心したデイジーは、共に旅ができればいいと伝えて、ランドルフの先生になってほしいという考えを話す。

光栄だが他にやることがあると言われたデイジーは気分を害し、フレデリックに帰ると伝えて城を出る。

ジュネーブに向かうフレデリックが女性と会うとことが目的だと思い込むデイジーは、誤解だと言う彼の言葉を信じない。

からかわれていると思ったフレデリックは、それを否定しないデイジーから、ローマに来ることを約束してほしいと言われる。

デイジーのためだけに必ず行くことを約束したフレデリックは、船は嫌だという彼女と共に馬車でホテルに向かう。

ローマ
フレデリックからデイジーの話をされたコステロ夫人は、悪い噂ばかりの彼女が、男の取り巻きを連れて遊び回っていると伝える。

あるイタリア人と親密な関係らしいと話す夫人は、付き合いたいのなら自由だとフレデリックに伝える。

翌日、ウォーカー夫人(アイリーン・ブレナン)の屋敷のお茶会で彼女と話をしていたフレデリックは、デイジーがエルザとランドルフと共に現れたために動揺する。

フレデリックはデイジーに挨拶するものの、彼女がウォーカー夫人と話し始めたために、仕方なくエルザとランドルフの相手をする。

戻ったデイジーから、ジュネーブのことで皮肉を言われたフレデリックは、彼女がイタリア人のジョヴァネリ氏(デュリオ・デル・プレト)と公園に行く約束をしていることを知り、それが気になる。

デイジーに誘われて公園に向かったフレデリックは、ウォーカー夫人より前に自分に会いに来なかったとことで彼女に責められる。

相手には困っていないと聞いたと言われたデイジーは、社交界での交友を楽しんでいるとフレデリックに伝える。

二人はその場で人形劇を楽しみ、フレデリックは、木陰にいたジョヴァネリに声をかけようとしたデイジーに同行すると伝える。

それを無視してジョヴァネリの元に向かうデイジーを追うフレデリックは、三人で散歩することになる。

その様子を見ていたウォーカー夫人は、フレデリックを呼ぶ。

男性二人と腕を組んで歩くデイジーは正気ではないとウォーカー夫人から言われたフレデリックは、このまま付き合えば身の破滅を招くと忠告される。

娘に好き放題させる愚かな母親エルザを批判するウォーカー夫人は、デイジーを連れて周辺を回り、自分が付き添っていたことを世間に知らせる必要があることをフレデリックに伝える。

フレデリックにデイジーを連れて来させたウォーカー夫人は、馬車に乗ろうとしない彼女に世間の常識を語る。

それでも拒むデイジーは、意見を求めたフレデリックからもウォーカー夫人に従うべきだと言われたため、どう思われようが構わないと伝えてジョヴァネリと共にその場を去る。

ウォーカー夫人から、馬車に乗らないと縁を切ると言われたフレデリックは、デイジーに馬車に乗ると伝えるものの無視されてしまう。

馬車に乗ったフレデリックにウォーカー夫人は、自分で評判を下げているデイジーはあらゆる不品行をしていると言って批判する。

デイジーのためにも付き合いを断つべきだと言われたフレデリックは、彼女を気に入っているのでその気はないとウォーカー夫人に伝える。

助言はしたと言うウォーカー夫人はデイジーの元に戻りたいのなら止めないとフレデリックに伝えて、彼は馬車を降りる。

デイジーとジョヴァネリがキスする様子を見たフレデリックは、動揺しながらその場を去る。

その夜、屋敷でパーティーを開催したウォーカー夫人はエルザと話し、デイジーがジョヴァネリと一緒であるために来るのが遅れていると言われる。

それを信じないウォーカー夫人は、デイジーが現れても口をきかないつもりだった。

その後、ジョヴァネリを伴い現れたデイジーは、昼間のことなど全く気にしていない様子でウォーカー夫人に彼を紹介し、それを見ていたフレデリックは複雑な思いだった。

馬車のことを気にしていないデイジーは、ウォーカー夫人は厳し過ぎるとフレデリックに伝えて、彼から相手は自分だけにしてほしいと言われる。

その後、ジョヴァネリは見事な歌声を披露し、ウォーカー夫人は、それを聴いていないデイジーがフレデリックに近づこうとしていることに気づく。

光栄だが堅物過ぎると言うデイジーは、ジョヴァネリは説教はしないとフレデリックに伝える。

ジョヴァネリと愛し合っているのかと訊かれたデイジーは、彼はそんなことを口にしないとフレデリックに伝えて、歌い終わったジョヴァネリからお茶に誘われる。

気が利く男性だとフレデリックに伝えたデイジーは、助言をいらないと言ってその場を去る。

パーティーは終わり、ウォーカー夫人は、挨拶をしにきたデイジーを無視する。

フレデリックから厳しい態度だと言われたウォーカー夫人は、デイジーを二度と客間に入れないと伝える。

その後、毎日のようにホテルに向かいデイジーを訪ねたフレデリックだったが、彼女は不在で、その姿を見るボーイに笑われる。

教会でデイジーとジョヴァネリを見つけたフレデリックは、現れた伯母から二人の噂を知らされる。

気ままなデイジーの生き方は下品だと考える夫人は、大袈裟に考えないフレデリックに、笑い事では済まされなくなると伝える。

いつものようにホテルに向かったフレデリックは、デイジーがいると知り部屋に向かう。

ジョヴァネリと歌の練習をしていたデイジーはフレデリックを歓迎し、歌を披露する。

そこにエルザが買い物から戻り、連れて行ったランドルフの姿が見えなくなってしまったと言って嘆く。

エルザの荷物を運んであげたフレデリックは、仲がいいデイジーとジョヴァネリは婚約者同士のようだと言われたために、気落ちしてその場を去る。

知らぬ間にランドルフが戻っていたために、エルザは驚く。

その後、散歩をしていたフレデリックは、ジョヴァネリと現れたデイジーと話し、婚約したのか尋ねる。

母はそう思っていると言うデイジーは、婚約していることをフレデリックに伝える。

信じたか訊かれたフレデリックは信じると答え、デイジーから冗談だと言われる。

その夜、友人のチャールズ(ニコラス・ジョーンズ)と馬車に乗りながら話したフレデリックは、デイジーの話題になり、気が滅入ってしまったために、馬車を降りて歩いて帰ることにする。

途中、”コロッセオ”に寄ったフレデリックは、ジョヴァネリとその場にいたデイジーに気づかれる。

去ろうとしたフレデリックは、デイジーにからかわれたために彼女に近寄り、”マラリア”が流行っているので注意した方がいいと伝える。

真面目に話を聞こうとしないデイジーから、婚約の話のことを訊かれたフレデリックは、自分には関係ないことだと答える。

戸惑うデイジーは不満げな顔をしながら、馬車の様子を見て迎えに来たジョヴァネリと共にその場を去る。

1週間ローマを離れていたフレデリックは戻り、オペラを鑑賞した後にデイジーの悪い噂を耳にしながら、チャールズに声をかけられる。

明日ジュネーブに戻るつもりだとチャールズに伝えたフレデリックは、ウォーカー夫人に挨拶しようとする。

デイジーが”マラリア”にかかったことを知ったフレデリックは、それをチャールズに確認してその場を去る。

デイジーを見舞ったフレデリックは、エルザに彼女の容態を尋ねる。

高熱にうなされながらデイジーが自分のことを話し、ジョヴァネリとは婚約していないと言っていたことをフレデリックは知らされる。

デイジーが病気になって以来、連れ出したことで責められるのを恐れるジョヴァネリは近づきもしないことを、エルザはフレデリックに伝える。

数日後デイジーは亡くなり、葬儀が行われて埋葬される。

葬儀に参列したフレデリックは、ジョヴァネリから、あんな美しい女性に会ったのは初めてだと言われる。

心優しく無邪気だったとも言われたフレデリックは、夜中に”コロッセオ”に行った理由をジョヴァネリに尋ね、デイジーに頼まれたことを知る。

デイジーと自分が結婚することはあり得なかったとフレデリックに話したジョヴァネリは、その場を去る。

ユージニオに寄り添うエルザも去り、ランドルフに声をかけたフレデリックは、自分を睨みながら去って行く彼の後ろ姿を見守る。

その後、デイジーを誤解していたと伯母に話すフレデリックは、愛情を示せば受け入れられたと思うかと訊かれ、外国暮らしが長過ぎたことで過ちを犯してしまったと答える。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
スイス
湖畔のホテルに滞在する若くて美しいアメリカ人女性のデイジー・ミラーに惹かれてしまったフレデリックは、彼女に話しかける。
同じアメリカ人のデイジーと観光をする約束をしたフレデリックだったが、伯母から、悪い噂ばかりの彼女との交際は避けるべきだと忠告される。
聞く耳を持たないフレデリックは、奔放なデイジーに魅了され、イタリアに向かう彼女との再会を約束する。
ローマでデイジーと再会したフレデリックは、その場でもウォーカー夫人から付き合うべきでないと忠告される。
それを聴き入れる気になれないフレデリックは、イタリア人紳士ジョヴァネリと親密な関係だと噂のデイジーを諦めきれず、翻弄されながらも彼女に近づくのだが・・・。
__________

ラスト・ショー」(1971)、「ペーパー・ムーン」(1973)など良質な作品で実力を評価されていたピーター・ボグダノヴィッチが製作を兼ねた注目作。

ラスト・ショー」(1971)に出演して同じような役柄を好演した シビル・シェパードと、同作でアカデミー助演賞を受賞したクロリス・リーチマンが再び共演している。

また、ジョン・フォードの研究家でも知られるピーター・ボグダノヴィッチが、彼に敬意を評したのか、“フォード一家”でもある名女優ミルドレッド・ナトウィックの出演もファンには嬉しい。

若くて美しく、男性を惹きつける魅力を持つ女性の奔放な生き方と、彼女に魅了されながら翻弄される青年の複雑な思いを描く作品。

ヨーロッパに滞在するアメリカ人達の社交を描いた作品であり、長く母国を離れていたためにアメリカ人らしさを忘れた結果、判断を見誤ったと考える彼の思いが語られるラストが印象的だ。

傍目には不品行としか思えないヒロインの行動を追いながらも、その姿は常に優美そして華麗であり、ピーター・ボグダノヴィッチの不純な雰囲気を漂わせないしっとりとした演出が見どころの作品でもある。

第47回アカデミー賞では、衣裳デザイン賞にノミネートされた。

コケティッシュな魅力で男性の心を掴む、美しさが際立つヒロインを演ずるシビル・シェパード、彼女に魅力を感じて翻弄される青年を演じ本作の4年後に自殺するバリー・ブラウン、娘の行動に干渉しないやや無責任なヒロインの母親クロリス・リーチマン、ヒロインを警戒し常に青年に忠告する伯母のミルドレッド・ナトウィック、ヒロインの行いを正そうとするものの聞き入れられずに苛立ち見限る富豪夫人を印象的に演ずるアイリーン・ブレナン、ヒロインと親密な関係になるイタリア人男性のデュリオ・デル・プレト、フレデリック(バリー・ブラウン)の友人ニコラス・ジョーンズ、ヒロインの弟役で後に歌手になるジェームズ・マクマーティ、ヒロインと関係を持っているという噂がある家族の従僕ジョージ・モーフォゲンなどが共演している。


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