1943年に発表された、グレアム・グリーンの小説”The Ministry of Fear”を基に製作された作品。 スパイ組織の陰謀に巻き込まれた男性が真相を探ろうとする姿を描く、監督フリッツ・ラング、主演レイ・ミランド、マージョリー・レイノルズ他共演のフィルム・ノワール。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:フリッツ・ラング
製作:バディ・G・デシルヴァ
原作:グレアム・グリーン”The Ministry of Fear”
脚本:シートン・I・ミラー
撮影:ヘンリー・シャープ
編集:アーチー・マーシェク
音楽:ヴィクター・ヤング
出演
スティーヴン・ニール:レイ・ミランド
カーラ・ヒルフェ:マージョリー・レイノルズ
ウィリー・ヒルフェ/マックリン:カール・エズモンド
ベレイン夫人:ヒラリー・ブルック
プレンティス警部:パーシー・ウォーラム
コスト/トラヴァース:ダン・デュリエ
フォレスター博士:アラン・ネイピア
ジョージ・レニット:アースキン・サンフォード
マーサ・ペンティール:メアリー・フィールド
ベレイン夫人:アミンタ・ダイン
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1944年製作 87分
公開
北米:1944年12月31日
日本:1988年1月23日
■ ストーリー ■
イギリス、レンブリッジ精神病院。
午後6時、妻殺害の容疑で服役し、その後、入院していたスティーヴン・ニール(レイ・ミランド)は退院する。
駅に着いたスティーヴンは、ロンドン行きの切符を買う。
スティーヴンは、”自由国家 母の会”という女性団体が主催する慈善バザーが行われていることを知り、列車を待つ間にその場に向かう。
ケーキの重さを当てるコンテストに参加したスティーヴンは、一度チャレンジする。
その後スティーヴンは、占い師ベレイン夫人(アミンタ・ダイン)に未来を占ってもらい、ケーキの重さは4ポンド15.5オンス(2.25kg)だと言われ、もう一度、重さ当てにチャレンジする。
ケーキの重さ当てに優勝したスティーヴンは、ケーキを受け取り駅に向かおうとする。
その時、タクシーで現われた男性コスト(ダン・デュリエ)が、べレイン夫人の元に向かう。
呼び止められたスティーヴンは、ケーキの重さが間違いだったことをコンテストの主催者から知らされ、コストが当てたと言われるものの、最初の自分の重さの方が近かったと伝えて、ケーキを持ったまま駅に向かう。
到着した列車に乗ったストーニーは、現われた盲目の男性と共に出発する。
スティーヴンにケーキを勧められた男性は、スポンジの中を確認するようなおかしな食べ方をしながら、空襲が始まったことを伝える。
爆撃が始まり列車は停車し、実は盲目ではなかった男性は、スティーヴンを杖で殴り、ケーキを奪ってその場から逃げる。
男性を追ったストーニーは発砲され、爆撃が近づく。
男性は爆死し、スティーヴンは、その場で拳銃を拾い列車に戻る。
ロンドンに着いたスティーヴンは、私立探偵のジョージ・レニット(アースキン・サンフォード)を訪ね、女性団体のことを調べるために協力してもらおうとするのだが・・・。
■ 解説 評価 感想 ■
グレアム・グリーンの小説”The Ministry of Fear”(1943)を基に製作された作品。
「マン・ハント」(1941)、「死刑執行人もまた死す」(1943)のフリッツ・ラングが監督し、主演はレイ・ミランド、マージョリー・レイノルズなどが共演した作品。
スパイ組織の陰謀に巻き込まれた男性が真相を探ろうとする姿を描くフィルム・ノワール。
激戦が続く第二次大戦下に製作された、戦時のスパイ活動が描かれた作品というところが興味深い。
撮影当時(1943年7~8月)は、連合軍がヨーロッパに侵攻していなかったので、その緊迫感が伝わる内容は見ものだ。
陰謀に巻き込まれた主人公と真相解明に協力する女性とのロマンスも描かれ、フリッツ・ラングの軽快な演出が見どころのフィルム・ノワールの秀作、彼の最高傑作という声も多い。
主演のレイ・ミランドは、スパイ活動の陰謀に巻き込まれながら、真相を探ろうとする男性を好演している。
精神病院を退院した直後ということもあり、やや精神的に不安定な人物を絶妙に演じている。
主人公と惹かれ合うようになる、女性団体の幹部マージョリー・レイノルズ、その兄で、陰謀に加担していたカール・エズモンド、女性団体と関係する占い師のヒラリー・ブルック、主人公と共に事件を捜査する警部のパーシー・ウォーラム、スパイだった仕立屋のダン・デュリエ、彼と関係する精神科医のアラン・ネイピア、主人公に協力する私立探偵のアースキン・サンフォード、降霊会に参加する画家のメアリー・フィールド、主人公が慈善バザーで占ってもらう婦人アミンタ・ダインなどが共演している。