悪党に脅される東部から来た若き法律家に関わる牧場主の行動を描く、監督ジョン・フォード、主演ジョン・ウェイン、ジェームズ・スチュアート主演、ヴェラ・マイルズ、リー・マーヴィン共演による西部劇の傑作。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フォード
製作:ウィリス・ゴールドベック
原作:ドロシー・M・ジョンソン
脚本
ジェームズ・ワーナー・ベラ
ウィリス・ゴールドベック
撮影:ウィリアム・H・クローシア
編集:オトー・ラヴァリング
衣装デザイン:イデス・ヘッド
音楽
シリル・J・モックリッジ
アルフレッド・ニューマン
出演
ジョン・ウェイン:トム・ドニファン
ジェームズ・スチュアート:ランサム・ストダード
ヴェラ・マイルズ:ハリー・エリクソン・ストダード
リー・マーヴィン:リバティ・バランス
エドモンド・オブライエン:ダットン・ビーボディ
アンディ・ディヴァイン:リンク・アップリヤード
ウディ・ストロード:ポンピー
ジョン・クゥオーレン:ピーター・エリクソン
ジャネット・ノーラン:ノーラ・エリクソン
カールトン・ヤング:マックスウェル・スコット
ケン・マーレイ:ウィーロビー医師
リー・ヴァン・クリーフ:リース
ストローザー・マーティン:フロイド
ジョン・キャラダイン:カッシウス・スターバックル
ウィリス・ボーシェイ:ジェイソン・タリー
ジャック・ペニック:ジャック
アンナ・リー:プレスコット夫人
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1962年製作 123分
公開
北米:1962年4月22日
日本:1962年8月
製作費 $3,200,000
■ アカデミー賞 ■
第35回アカデミー賞
・ノミネート
衣装デザイン賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
かつては、鉄道も敷かれていなかった西部の町シンボーンに、上院議員ランサム・ストダード(ジェームズ・スチュアート)と妻ハリー(ヴェラ・マイルズ)が到着する。
出迎えた元連邦保安官リンク・アップリヤード(アンディ・ディヴァイン)は、ストダード上院議員との再会を喜ぶが表情は暗かった。
州全体に発行する新聞”シンボーン・スター”の編集長マックスウェル・スコット(カールトン・ヤング)は、上院議員の到着を知り、早速、取材を申し入れる。
ハリーは、その間、アップリヤードと共に町を見て回ることにする。
アップリヤードは、ある焼け焦げた家に向かい、ハリーの想いでの”サボテン・バラ”を、彼女のために掘り起こす。
ストダード上院議員は、スコット編集長らと政治談議に花を咲かせ、やがて、町を訪れた理由は葬儀だということを伝える。
それが、死亡したトム・ドニファン(ジョン・ウェイン)の葬儀だと言って、ストダードは、戻ってきたハリーの元に向かう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
法律家としてスタートを切り西部に向かった青年ランサム・ストダードが、無法者リバティ・バランスに襲われ痛めつけられてしまう。
ストダードは、運良く町でも評判の頑強な男トム・ドニファンに救われる。
回復したストダードは、法で秩序を取り戻そうとするが、ドニファンは武力で対抗するしか手がないことを強調する。
やがて、町で法律事務所を開いたストダードは、新聞社のビーボディと協力して、法と言論で悪に対抗しようとする。
二人は平行して、準州から州昇格の代表となり、バランスの怒りを買い、ついにストダードは彼と決闘することになるのだが・・・。
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ドロシー・M・ジョンソンの短編小説を基に製作された作品。
ジョン・フォード晩年の傑作西部劇であり、2007年、アメリカ議会図書館が、文化歴史また美学的見地から国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。
騎兵隊3部作の「アパッチ砦」(1948)、「黄色いリボン」(1949)、「リオ・グランデの砦」(1950)のジェームズ・ワーナー・ベラの脚本作品。
第35回アカデミー賞では、衣装デザイン賞に、イデス・ヘッドがノミネートされた。
考え方や態度は暴力的だが、強さを体全体で表すジョン・ウェインと、実直さと正義感をだけで行動し、経験不足から未熟さを露にするジェームズ・スチュアート、異なる人物像の対比で、ジョン・フォードは、強さと軟弱さの調和を見事に表現している。
郷愁を誘う象徴として登場する”サボテン・バラ”や、フォード作品には欠かせないじゃじゃ馬娘、ゴミゴミした酒場の雰囲気や、シンプルな決闘、そして、他を圧倒するジョン・ウェインの独特な雰囲気と存在感など、一時も目を離せない場面の連続だ。
シリル・J・モックリッジの勇ましい主題曲も、一度聞いたら忘れられない曲だ。
また、フォード作品「若き日のリンカン」(1939)のヒロイン、アン・ラトレッジのテーマ曲である、アルフレッド・ニューマンの美しい曲が度々登場し、ラストでも使われている。
多くのジョン・ウェインの作品の中でも、個人的には5本の指に入る、いかにも彼らしく他の俳優には真似できない迫力の場面がある。
食堂で自分のステーキをバランスにひっくり返され、それを彼に拾わせようとするシーンだ。
周囲の人々は、バランスが入店してきた時から怯えているが、あくまで本人に落とし前をつけさせようとする、ウェインの迫力は凄まじい。
アカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされ、ウェイン作品に何作も名を連ねるイデス・ヘッドの衣装も注目で、普段からお洒落なウェインの着こなしの良さは、彼女のお陰だろう。
ウェインとは、彼の遺作「ラスト・シューティスト」(1976)でも共演するジェームズ・スチュアートは、身長では負けてはいないが線が細く、ウェインに押され気味かと思いきや、2人が同じ画面に登場すると妙に釣り合いが取れていることにも気づく。
若く見えるジェームズ・スチュアートは、ウェインとは実は1歳しか違わず、本作撮影時には既に50歳を超えている。
青年役ではあるが、不自然に見えないところは役者としてさすがだ。
影の主人公、悪漢リバティ・バランスを演じたリー・マーヴィンも、ウェインとは他にも共演しているだけあり相性抜群で、ウェインよりはるかに年下にも拘らず互角に張り合っている。
*共演作「ドノバン珊瑚礁」(1963)
「捜索者」(1956)でも同じような役柄を演じている、フォードに可愛がられたヴェラ・マイルズは、主人公2人の狭間で心揺れ動く女性を好演している。
何十年も前に初めて本作を観た時に、最初は彼だと分からなかったのを思い出す、エドモンド・オブライエンの飲んだくれ編集長の怪演も光る。
その他、フォード一家の面々やウェインの前で子ども扱いされてしまう、バランスの手下リー・ヴァン・クリーフ、フォードやウェイン作品でも活躍したストローザー・マーティンなどファンには嬉しい顔ぶれだ。
特に、「駅馬車」(1939)で御者を演じた、弱腰の保安官役アンディ・ディヴァイン、なんとウェインを担いでしまう使用人のウディ・ストロードの出演も嬉しい。
食堂の夫妻ジョン・クゥオーレンとジャネット・ノーラン、編集長カールトン・ヤング、町医者のケン・マーレイ、準州評議会代表選挙候補者後見人ジョン・キャラダイン、車掌ウィリス・ボーシェイ、酒場のバーテンのジャック・ペニック、そして駅馬車の乗客アンナ・リー、とにかく、フォード、ウェイン・ファンにはたまらない配役だ。
本作でショックを受けたのは、ハリーの食堂の料理の量の多さだ。
アメリカ人は本当にあんなに食べるのだろうかと、誰もが目を疑うばかりの食事量は信じ難い。
特にそのステーキの大きさは30cm位あり、しかもアンディ・ディヴァインはそれのおかわりを要求し、更にポテトとパイも食べようとする。