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地球最後の日 When Worlds Collide (1951)

1933年に発表された、エドウィン・バーマーフィリップ・ワイリーのSF小説”地球最後の日”を基に製作された作品。
遊星の衝突が迫る地球の危機を描く、監督ルドルフ・マテ、主演リチャード・デアバーバラ・ラッシュピーター・ハンセンジョン・ホイトラリー・キーティング他共演のSFドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト
監督:ルドルフ・マテ

製作:ジョージ・パル
原作
エドウィン・バルマー
フィリップ・ワイリー
原作
地球最後の日
エドウィン・バーマー
フィリップ・ワイリー
脚本:シドニー・ボーム
撮影
ジョン・F・サイツ
W・ハワード・グリーン
特殊効果:ゴードン・ジェニングス
編集:アーサー・P・シュミット
音楽:リース・スティーヴンス

出演
デヴィッド・ランドール:リチャード・デア
ジョイス・ヘンドロン:バーバラ・ラッシュ
トニー・ドレイク医師:ピーター・ハンセン
シドニー・スタントン:ジョン・ホイト
コール・ヘンドロン博士:ラリー・キーティング
ジュリー・カミングス:レイチェル・エイムズ
ジョージ・フライ博士:スティーブン・チェイス
ハロルド・フェリス:フランク・キャディ
エメリー・ブロンソン博士:ヘイデン・ローク
オッティンジャー博士:サンドロ・ギグリオ
ドノヴァン:ジェームズ・シーイ
暴徒:カーク・アリン
暴徒:スチュアート・ホイットマン
税関主任検査官:ジョン・リッジリー
アメリカ大統領/ナレーター:ポール・フリーズ
ポール:アート・ギルモア

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1951年製作 83分
公開
北米:1951年11月15日
日本:1952年4月10日
製作費 $936,000


アカデミー賞
第24回アカデミー賞

・受賞
特殊効果賞
・ノミネート
撮影賞(カラー)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
腐敗し堕落した人間を見た神は、人類を絶滅させる決断をした・・・。
__________

南アフリカ
天文学者のエメリー・ブロンソン博士(ヘイデン・ローク)は、2つの天体が2週間で160万キロ移動したことに気づく。

ブロンソンは、そのデータと写真をコール・ヘンドロン博士(ラリー・キーティング)に届けるために、パイロットのデヴィッド・ランドール(リチャード・デア)に渡す。

ランドールは、鍵がかけられたボックスを受け取り手錠でつなぎ、航空機でニューヨークに向かう。

途中ランドールは、センチネル紙の記者ドノヴァン(ジェームズ・シーイ)からの電報を受け、独占取材に5000ドル払うという連絡を受ける。

ニューヨーク
現地に着いたランドールは、ヘンドロン博士の娘ジョイス(バーバラ・ラッシュ)の指示を受けた税関主任検査官(ジョン・リッジリー)から、パスポートの提示を求められる。
...全てを見る(結末あり)

主任からジョイスを紹介されたランドールは、美しい彼女に惹かれてしまう。

そこに現れたドノヴァンは、謝礼を7500ドルに引き上げるものの、ランドールは取材を断り、ジョイスと共にその場を去る。

タクシーで父の元に向かうジョイスは、ブロンソンの写真が世界の終りにつながる可能性をランドールに話す。

観測所に到着したジョイスは、その場にいた恋人トニー・ドレイク医師(ピーター・ハンセン)にランドールを紹介する。

トニーは、ランドールから世界の終末の話を聞き驚く。

ヘンドロンに迎えられたランドールは、理事が集まる部屋に案内される。

ボックスを開けたヘンドロンは、ブロンソンの手紙とデータをチェックし、早速、解析を始める。

ブロンソンが発見した、地球の12倍の大きさの惑星ベラスと衛星ザイラのことが分かり、ヘンドロンはさらに解析を続ける。

ザイラは地球と同じ大きさで、生命が維持できる可能性があった。

2つの星は太陽系に侵入し、ブロンソンの予測ではベラスが地球を破壊すると皆に話すヘンドロンは、1年で到達すると考える。

ベラスとザイラの接近が地球環境に悪影響をもたらし、最終的には衝突するという結論に達する。

ランドールを伴いトニーと食事をしたジョイスは、結婚を迫るトニーの話を聞きながら、ランドールのことが気になる。

トニーが席を外した間に、ランドールは、ジョイスに彼との結婚のことを尋ね、自分も候補に入れてほしいと伝える。

国連本部
ヘンドロンは、到着したブロンソンと共に会議に出席し、世界の終焉が8ヵ月の8月12日だと発表し、ベラスが地球に衝突する予測を伝える。

各国の代表者はその発言を信じることができず、ザイラに移り住める可能性を語るヘンドロンの話にも耳を傾けようとしない。

オッティンジャー博士(サンドロ・ギグリオ)は、ブロンソンの写真とデータを精査した結果、多額の費用を費やし警戒す必要はないという考えを語り、地球の終焉を否定する。

報道では、地球終焉説と否定する意見の両論が伝えられた。

ワシントンD.C.
議会にも説明はしたヘンドロンは、人道主義者である観測所の理事たちの協力を得られることになる。

その後ヘンドロンは、トニーとの結婚のことでジョイスから相談され、ランドールの出現で迷っている彼女の考えを知る。

ヘンドロンは、結婚は保留するべきだと言って、ランドールが留まる口実を作るとジョイスに伝える。

その後ヘンドロンは、工科大学の学部長ジョージ・フライ博士(スティーブン・チェイス)と共に、訪ねて来た車椅子の実業家シドニー・スタントン(ジョン・ホイト)と話をする。

アシスタントのハロルド・フェリス(フランク・キャディ)を部屋から出したスタントンは、自分だ助かりたいだけだと言いながら、搭乗者を決めることを条件に出資しようとするが、ヘンドロンは、自分に選ぶ権利はないと伝える。

自分の命だけを守れと言われたスタントンは仕方なく納得し、ロケットを建造するよう指示する。

山頂の実験施設でロケットの建造が始まり、滑走路を利用した打ち上げが予定される。

エンジニアが選抜され、ヘンドロンの助手となったランドールは、ジョイスと共に彼らを指導することになる。

プロジェクトには600人の男女が従事し、最終的には約40人が選ばれ、動物や物資と共に搭乗することになっていた。

トニーも医師として参加していたが、ジョイスのよそよそしい態度が気になる。

スタントンは施設を訪れ、世間が関心を寄せるプロジェクトのことを話し、ロケットを奪おうとする行動を警戒するよう、ヘンドロンとフライに警告する。

その頃、世界の人々は、7月に地球に接近するザイラの影響で被害を受けることを知る。

ランドールは、自分のようなパイロットは新世界には必要ないので、1人でも多くの人が助かるべきだとジョイスに話す。

他国でも独自の宇宙船が建造される中、戒厳令が発令され、沿岸部の人々の避難が始まる。

そして、ザイラが最接近する日となり、その影響で大地震、火山噴火、大津波が発生し、世界中を混乱に陥れる。

施設も被害を受け、ロケットが滑走路から落ちる危険性があるため、ランドールらはそれを阻止しようとする。

作業中にクレーンが倒壊して、ブロンソンを含む数名が死亡する。

その後、ランドールとトニーは、いがみ合いながら医療物資と食料を被害地にヘリコプターで運ぶ。

物資を投下した2人は、水没した家の屋根にいる少年を発見し、助けようとする。

屋根に下りたランドールは、少年をヘリに乗せるものの、トニーは飛び去ってしまう。

暫くするとヘリは戻り、ランドールを乗せたトニーは、一瞬、去ろうと思ったと言って苦笑いする。

ベラス衝突まで11日。
ヘンドロンは、ロケットに搭乗する44人を選ぶことを皆に伝える。

まず、スタントンとフライ、自分とジョイス、トニー、ランドール、そして救われた少年の名を呼んだヘンドロンは、発射の直前に知らせる選抜方法を話し、くじ引きを始める。

ランドールは、自分には資格がないと考えて搭乗するつもりがないため、クジを引くフリをする。

ランドールの気持ちを察するヘンドロンは、ジョイスのためを思い彼を説得するものの、考えは変わらなかった。

ベラス衝突の日が近づき、食料、薬、マイクロフィルム化された本、機材、動物などがロケットに積み込まれ、予定より遅れている発射準備が急ピッチで行われる。

トニーは、操縦士のフライの心臓に問題があることをランドールに話し、副操縦士が必要だと言って、搭乗するよう彼を説得する。

正当な理由を得られたランドールは、搭乗する決心をしてジョイスの元に向かい、トニーはその様子を映像で確認する。

ランドールのことでジョイスに感謝されたトニーは、少年が可愛がるメス犬の体重を量り、ニワトリ2羽の代わりに乗せることにする。

搭乗者リストが発表され、外れてしまったジュリー・カミングス(レイチェル・エイムズ)は、搭乗できる恋人エディの前で泣き崩れる。

積載量の問題を解決するため、スタントンは搭乗員を減らすことをヘンドロンに提案するが、そのことで2人は口論になる。

ジュリーと別れたくないエディは搭乗を辞退し、それを知ったフェリスは、ヘンドロンらに銃を向けて当たりくじを手に入れようとする。

7年間スタントンに付き添い彼を憎んでいたフェリスは、責任者のヘンドロンに搭乗させろと言って迫る。

スタントンは隠し持っていた銃でフェリスを射殺し、正当防衛だと言って、暴徒が同じ様なことを起こす可能性を指摘する。

ヘンドロンは、エディと共に乗れることをジュリーに伝えるようランドールに指示する。

ベラスは接近し、ヘンドロンは皆をロケットに乗り込ませる。

発射が迫り、くじ引きで負けた者たちは暴動を起こし、スタントンが用意てあった武器を奪い、ロケットに乗り込もうとする。

スタントンと外で待機していたヘンドロンはそれに気づき、発射を早めようとする。

燃料消費を抑えようと考えたヘンドロンは、スタントンを道連れにして残ろうとする。

スタントンは車椅子から立ち上がるが、ロケットは滑走路を移動し始める。

ロケットの発射は成功し、ベラスは地球に衝突する。

搭乗者は、Gフォースの影響で意識を失う。

引力圏を脱して意識が戻ったランドールは、操縦していたフライに身体的異常がないことを知り、トニーがウソをついていたことに気づく。

ザイラに接近したロケットは、エンジン全開で着陸態勢に入る。

操縦を代わったランドールは、燃料が尽きたところで無事に着陸に成功する。

搭乗員は喜び、ハッチを開けたランドールは空気があることを確認する。

少年のメス犬が子供を産んだことを知ったランドールとジョイスは、皆と共にタラップを降りて地上に向かう。

新世界での最初の日が始まる。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
遊星ベラスと衛星ザイラの異常な移動に気づいた天文学者ブロンソンは、そのデータと写真を、ニューヨークのヘンドロン博士に渡すようパイロットのデヴィッド・ランドールに指示する。
現地に着いたランドールは、ヘンドロンの娘ジョイスに迎られ、美しい彼女に惹かれてしまう。
ランドールからデータと写真を受け取ったヘンドロンは、その解析の結果、8か月後に遊星接近で地球が影響を受け、最終的にはベラスが衝突するという結論に達する。
国連でその件を発表するものの、各国代表に信じてもらえないヘンドロンは、観測所の理事や実業家のスタントンの協力を得て、”ノアの方舟”のような脱出ロケットの建造を開始するのだが・・・。
__________

エドウィン・バーマーフィリップ・ワイリーのSF小説”地球最後の日”を基に製作されたSF映画。

撮影監督として知られるルドルフ・マテの映像センスが注目の作品でもある、。

製作のジョージ・パルは、「月世界征服」(1950)に続いた本作、「宇宙戦争」、(1953)、「宇宙征服」(1955)が宇宙映画四部作と言われている。

遊星の衝突が迫る地球の危機に対処するべく、”ノアの方舟”のようなロケットを建造した脱出計画を描く大規模なストーリーなのだが、関係者の些細な人間関係なども描かれている内容は、今観ても実に興味深い。

巨大な滑走路を利用した発射方法やその映像、当時の技術を最大限に活かした特殊効果は高く評価され、第24回アカデミー賞では特殊効果賞を受賞し、撮影賞(カラー)にもノミネートされた。
ただ、衛星ザイラに無事到着した人類の前に広がる新天地の光景が、アドバイザーを兼ねた著名な画家チェスリー・ボーンステルによるものなのだが、突然、現実とは思えないデザイン画であるために残念だ。

遊び人のような雰囲気で登場するものの、人道的な考えを持つ人間味のある役柄を熱演するパイロットのリチャード・デア、彼と惹かれ合う科学者の娘で、当時のジェフリー・ハンター夫人バーバラ・ラッシュ、恋人だった彼女を主人公に譲る医師のピーター・ハンセン、ヒロインの父親である、地球の危機を救おうとする科学者ラリー・キーティング、彼に出資するものの、自分の命を第一に考える実業家ジョン・ホイト、プロジェクトの従事者で、恋人と共に新世界に向かうレイチェル・エイムズ、プロジェクトのリーダーでもある科学者スティーブン・チェイス、出資者の実業家を恨むアシスタントのフランク・キャディ、遊星の地球衝突を予測する天文学者ヘイデン・ローク、地球の危機に懐疑的な科学者サンドロ・ギグリオ、主人公を取材しようとする記者ジェームズ・シーイ、ロケットに乗り込もうとする暴徒のカーク・アリンと端役出演のスチュアート・ホイットマン、税関主任検査官のジョン・リッジリー、アメリカ大統領とナレーターのポール・フリーズ、他アート・ギルモアなどが共演している。


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