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フランクおじさん Uncle Frank (2020)

ゲイであることを家族に隠し続けていた男性の苦悩を描く、製作、監督、脚本アラン・ボール、主演ポール・ベタニーソフィア・リリスピーター・マクディッシスティーヴ・ザーンジュディ・グリアマーゴ・マーティンデイル他共演のコメディ・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト
監督:アラン・ボール

製作
ビル・ブロック
マイケル・コスティガン
ジェイ・ヴァン・ホイ
ステファニー・モイラー
ピーター・マクディッシ
アラン・ボール
製作総指揮
ボブ・オシャー
アンドリュー・ゴロヴ
クリストファー・トリカリコ
ジョシュ・ピーターズ
アイザック・エリクソン
脚本:アラン・ボール
撮影:カリッド・モタセブ
編集:ジョナサン・アルバーツ
音楽:ネイサン・バー

出演
フランク・ブレッドソー:ポール・ベタニー
フランク・ブレッドソー(少年期):コール・ドーマン
ベティ”ベス”ブレッドソー:ソフィア・リリス
ワリード”ウォリー”ナディーム:ピーター・マクディッシ
マイク・ブレッドソー:スティーヴ・ザーン
キティ・ブレッドソー:ジュディ・グリア
イヴリン・ブレッドソー:マーゴ・マーティンデイル
マック・ブレッドソー:スティーヴン・ルート
ブッチ:ロイス・スミス
ニーヴァ:ジェーン・マクニール
ボー:バージェス・ジェンキンス
ブルース:コルトン・ライアン
マーシャ:ケイティ・ブリューワー
サム・ラシター:マイケル・ペレス
ティー・ダブ:ザック・ストラム

アメリカ 映画
配給 アマゾン・スタジオ
2020年製作 95分
公開
北米:2020年11月25日
日本:2020年11月25日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1969年、夏、サウスカロライナ州、クリークヴィル
祖父マック(スティーヴン・ルート)の誕生日に家族で集まっていた14歳のベティ・ブレッドソー(ソフィア・リリス)は、伯父でニューヨーク在住の大学教授フランク(ポール・ベタニー)と話をする。

フランクから電動靴磨き機をプレゼントされたマックは、年寄り扱いされたと思い皮肉を言う。

ベティの父親である次男のマイク(スティーヴ・ザーン)と妻キティ(ジュディ・グリア)から精密ドライバーを受け取り喜ぶマックを見つめるフランクは、複雑な思いだった。

ベティは、フランクにいつも冷たい祖父の態度が気になる。

話をしても楽しい、思いやりがあり理想の大人に思えるフランクのことを祖父が人前でけなす理由が、ベティは理解できなかった。

フランクの心の傷のことを考えながら、ベティは彼と話す。

ニューヨークに遊びに行きたいことや、オールAの成績についてなどを話したベティは、共通試験で高得点を取れば、奨学金で好きな大学に行けると言うフランクに、地元の大学に行くと伝える。

どんな人間になるかは、他人ではなく自分で決めるべきであり、人生は自分次第だと言われたベティは、まず名前を変えてみたいとフランクに伝える。

”ベス”がいいと言うベティは、それをフランクに気に入ってもらう。

4年後、ニューヨーク
大学に進学するベスは、両親と共にフランクのアパートを訪ねる。

フランクの恋人シャーロットの手料理をご馳走になったマイクらは、仲の良いカップルだと思いながら、ベスの入学を祝う。

その後、大学の構内でブルース(コルトン・ライアン)と知り合ったベスは、意気投合する。
...全てを見る(結末あり)

ブルースがフランクの講義を受けることを知ったベスは、自分の伯父だと言って、紹介してほしいと頼まれる。

ベスはブルースと愛し合う寸前まで行くが、初体験だと彼に伝える。

急ぎ過ぎるべきではなく、関係を壊したくないと言ってベスを気遣うブルースは、キスだけにしておく。

その後、フランクのオフィスを訪ねたベスは、ボーイフレンドだと言ってブルースを紹介する。

部屋を出たブルースは、フランクがホームパーティーを開くことを知り、ベスに反対されるものの、それに行くことを考える。

その夜、ブルースと共にフランクのアパートに向かったベスは、ワリード”ウォリー”ナディーム(ピーター・マクディッシ)に歓迎され、彼がフランクのルームメイトであることを知る。

フランクがシャーロットと暮らしていると思っていたベスは、部屋は広く家賃が高いので、3人でシェアしていると言われて納得する。

ベッドルームでセックスしていたシャーロットを批判したウォリーは、フランクの姪が来たので、恋人役として出番があるかもしれないと伝える。

フランクの家族に会ったことでウォリーが怒っていると思ったシャーロットは、料理は自分が作ったと言う彼から、続きをするように指示される。

非常階段でマリファナを吸いバーナードと話していたフランクは、現れたブルースがベスを連れて来たことを知り、不躾な彼の態度が気になる。

フランクがゲイだと気づいていたブルースは、彼に迫ろうとするものの、相手にされず追い払われる。

カクテルを飲んでいたベスは、フランクがマリファナを吸ってキレたと話すブルースが帰ってしまい戸惑う。

気分が悪くなったベスをバスルームに連れて行ったフランクは、吐いてしまった彼女を楽にしてあげる。

現れたウォリーもブルースが気にくわなかったことを知ったフランクは、自分はゲイだとベスに告白し、ウォリーと10年も一緒に住んでいることを伝える。

ブルースの誘惑を拒んだが、諦めなかったのでキレたことをベスに伝えたフランクは、彼との交際はやめるべきだと言って寝室で休ませる。

翌朝、目覚めたベスは、朝食を作ってくれるフランクと話し、ゲイのことは家族には黙っていてほしいと言われ、起きて来たウォリーも、故郷の家族に打ち明けられないことを知る。

ウォリーは、家族に打ち明けたら自分も話すと言うフランクに、故郷のサウジアラビアでは斬首されると伝える。

母イヴリン(マーゴ・マーティンデイル)からの電話を受けたフランクは、父が心臓発作で急死したことを知り驚く。

航空券を予約しようとしたフランクは、キティと話したベスが、飛行機はダメだと言われたことを知り、車で行くべきだと言うウォリーの意見を聞き入れる。

フランクは、同行すると言うウォリーに、今回は来られては困ると伝えて理解してもらう。

フランクと出発したベスは、航空整備士のウォリーとの出会いの話を聞き、ボーイフレンドのことを訊かれてもいないと答え、まだバージンだと伝える。

ブルースとはうまくいきそうだったと言うベスに、フランクは、”急ぎ過ぎて関係を壊したくない”と話しそうな男であり、正常な男なら途中でやめたりしないと伝える。

最低な男だったということで意見が一致したフランクとベスは、ダイナーに寄り食事をする。

ベスからゲイと自覚した時期を訊かれたフランクは、他とは違うと思いながら、思春期に気づいたと答える。

女の子に興味を持ったことがないか訊かれたベスは、お泊り会でキスの練習をした経験を話す。

初体験のことを訊かれたフランクは、16歳だと答えて、相手は学校の友達だったとベスに伝える。

出発したフランクは、惹かれ合うようになったサム・ラシター(マイケル・ペレス)のことを想いながら運転する。

尾行する車に気づいたフランクは停車し、レンタカーでウォリーが追ってきたことを知り驚く。

ウォリーがカミソリとネクタイを届けに来たとことを知り呆れたフランクは、助けになりたいと言う彼に、家族には会わないようにして、葬儀にも来ないでほしいと伝える。

その日はモーテルに宿泊し、翌日、出発する際に、ベスはウォリーの車に誘われる。

ベスはウォリーと楽しい時間を過ごし、独りになったフランクは、サムのことを考える。

父は悪魔で母は天使だとフランクから聞いていると話すウォリーは、彼の姉ニーヴァ(ジェーン・マクニール)は、自分のことを知っているとベスに伝える。

父マイクのことも訊かれたベスは、保守的なところがあると答え、ウォリーの家族の話を聞き、母親を宝物のように愛していることを知る。

車が故障したために修理することにしたフランクは、預けて帰りに受け取ることになり、ウォリーの車で故郷に向かう。

3人は出発し、ベスは、ウォリーの故郷ではゲイは処刑されることを知る。

その後、実家が近づくにつれて落ち込むフランクは、気遣ってくれるウォリーに、亡くなった父には責められないが、サムのことを考えると辛いと伝える。

フランクは、父にサムとの関係を知られた時のことを想い出す。

クリークヴィルに着き、モーテルの部屋を取ったフランクは、自分を思い出したオーナーに嫌味を言われる。

10分後にチェックインしろとウォリーに指示したフランクは苛立ち、葬儀場に行く支度をすると言って、ベスと出かける。

酒店に向かい小瓶の酒を買い込んだフランクは、それを1本飲み、ウォリーには黙っていてほしいとベスに伝える。

葬儀場に着いたフランクとベスは、キティに迎えられる。

悲しみ動揺する母を気遣うフランクは、父が自分を愛し大事に思っていたと言われ、安らかに眠る父を見つめながら、マイクと話をする。

マイクは、互いに連絡し合わなかったことを話して謝罪し、フランクと抱き合う。

トイレに向かったフランクは、酒を何本も飲む。

キティは、家に戻らずモーテルに泊ると言いだしたベスのことを、マックの姉ブッチ(ロイス・スミス)に話す。

フランクと一緒だと言うベスは、ウォリーもいると口にしてしまい、同じホテルに泊まっている人だとキティに伝える。

キティはそれが気になり、ブッチから大問題だと言われたベスは、フランクから帰ると声をかけられる。

キティから、ベスがモーテルに泊ることを訊かれたフランクは、それを決めるのはベスだと伝える。

キティは仕方なく納得し、ブッチからウォリーのことを訊かれたフランクは、モーテルで会った人だと言うベスの話に合わせる。

公衆電話で母と話をしていたウォリーは、フランクとベスが帰って来たために電話を切る。

フランクが酒を飲んでいることに気づいたウォリーは、アルコール依存症を克服した彼を気遣うが、今回のことが済むまで放っておいてほしいと言われ、彼の辛い立場を理解する。

翌日マックの葬儀が行われ、フランクは、サムとは二度と会うな、従わなければ2人とも殺すと言う父から、変態呼ばわりされた時のことを想い出す。

それを苦にしたサムは、湖で自殺したのだった。

フランクの部屋に向かったウォリーは、酒瓶を見つけて中身を捨てる。

葬儀後、ニーヴァと話をしたフランクはウォリーのことを訊かれ、モーテルにいることを伝える。

皆は気にしないので連れて来るべきだと言うニーヴァに、フランクは、そのうちブッチに女性関係のことでからかわれるだろうと話す。

ブッチの髪の中にクモがいたことを話したニーヴァは、それを彼女には知らせていないとフランクに伝える。

その後フランクは、ブッチから女性関係について訊かれて適当に答え、彼女の髪にまだクモがいることを確認する。

弁護士が到着してマックの遺言書が読み上げられ、家族には遺産が遺されるが、フランクには同性愛者を暴露する言葉しか遺されていなかった。

取り乱しそうになったフランクは席を外し、ニーヴァは彼を気遣う。

それを知ったベスは、マイクの車を借りてフランクを捜しに行く。

モーテルに向かいそのことをウォリーに話したベスは、フランクは酒を飲んでたはずだと伝える。

湖に向かったフランクは、サムと別れた時のことを想い出す。

森の中で車を見つけたウォリーとベスは、湖の桟橋でフランクの服を見つける。

その後、モーテルに戻って来たフランクを責めるウォリーは、隠してあった酒を飲もうとする彼に襲いかかる。

ウォリーを変態扱いして殴ったフランクは、マックの墓に向かう。

その場にあった花を手にしたフランクは、サムの墓にそれを手向け、自分のしたことを謝罪して涙する。

フランクを見つけたウォリーは、家族はいないと言う彼に、自分がいると伝えて抱きしめる。

ウォリーに謝罪したフランクは、彼にキスして愛を確かめる。

ベスから、家に戻るようにという祖母イヴリンからの伝言を知らされたフランクは、家族には会いたくないと伝える。

どんな人間になるか決めるのは自分だと言ったことを、ベスはフランクに伝える。

あの言葉が自分の人生を変えたと言うベスは、他人が認めないとダメだと思うのはおかしいとフランクに意見し、その場を去る。

納得したフランクは、ウォリーとベスと共に家族の元に向かう。

フランクを迎えたマイクは、ウォリーのことを気にしながらも、何も問題ないと言って彼を抱きしめる。

ウォリーをマイクに紹介したフランクは、キティにも抱きしめられる。

キティはウォリーに挨拶し、ニーヴァも彼を歓迎するものの、夫のボー(バージェス・ジェンキンス)はやや戸惑う。

ブッチとも話したフランクは、イヴリンに呼ばれる。

大切な宝物であり何も変わらないと言われたフランクは、イヴリンに抱きしめられて涙する。

父がいつもそれ(遺伝)を恐れていたと言うイヴリンから、叔父のジャスパーもゲイだったことを知らされたフランクは驚く。

自分がゲイだとイヴリンが気づいていたことを知ったフランクは、ウォリーを紹介する。

ウォリーが気に入ったイヴリンは、彼と話をする。

ボーとニーヴァが話し合っている内容を聞き流しながら、フランクは、ポーチに座っているベスの元に向かう。

その後、家族は裏庭に集まり、楽しい時間を過ごす。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1973年、ニューヨーク
大学教授のフランク・ブレッドソーは、サウスカロライナから大学に進学した姪のベスに、ゲイであることを告白する。
恋人ウォリーと暮らしていたフランクは、不仲だった父マックの死を知り、ベスと共に故郷に向かうことになる。
家族にゲイであることを知られたくないフランクは、初恋の相手サムの死のことも考え苦悩し、追ってきたウォリーに助言されながら旅を続けるのだが・・・。
__________

アメリカン・ビューティー」(1999)でアカデミー脚本賞を受賞し、テレビ・シリーズ”シックス・フィート・アンダー”の製作、脚本などで知られるアラン・ボールが、製作と脚本を兼ねた監督作品。

ゲイをカミングアウトしているアラン・ボールが、上記の「アメリカン・ビューティー」と同じく同性愛について扱った作品。
過去に同性の恋人を亡くし、それを家族に秘密にしていた大学教授の苦悩を、彼の姪の目線から描くコメディ・ドラマ。

1970年代を舞台に、同性愛者として問題なく暮らせる大都会ニューヨークと、それを受け入れられない保守的な南部との考えの違いを背景に、主人公の苦悩を切実に描く、アラン・ボールの繊細な人物描写が見どころの作品。

主演のポール・ベタニーは、思春期に同棲の恋人を亡くし、その心の傷を負いながら、家族との関係もあり苦悩する男性を好演している。

主人公の姪であり、伯父と行動をともにしながら人生を学ぶソフィア・リリスアラン・ボールのパートナーであり、主人公の恋人を印象的に演ずるピーター・マクディッシ、主人公の弟スティーヴ・ザーン、その妻ジュディ・グリア、主人公の母親マーゴ・マーティンデイル、同性愛者の息子を嫌う父親スティーヴン・ルート、その姉ロイス・スミス、主人公の姉ジェーン・マクニール、その夫バージェス・ジェンキンス、ベス(ソフィア・リリス)と付き合うゲイの大学生コルトン・ライアン、主人公の少年期コール・ドーマン、彼と愛し合う少年マイケル・ペレス、ベスの従姉ケイティ・ブリューワー、その夫ザック・ストラムなどが共演している。


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