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ゼロの未来 The Zero Theorem (2013)

コンピューターに支配される世界で謎の定理を解析するプログラマーの生きる意味を追及しようとする姿を描く、監督テリー・ギリアム、主演クリストフ・ヴァルツメラニー・ティエリーデヴィッド・シューリスルーカス・ヘッジズマット・デイモンティルダ・スウィントンベン・ウィショー他共演のSFドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF

マット・デイモン / Matt Damon 作品一覧


スタッフ キャスト
監督:テリー・ギリアム

製作
ニコラス・シャルティエ
ディーン・ザナック
製作総指揮:パトリック・ニュウォール
脚本:パット・ラッシン
撮影:ニコラ・ペコリーニ
編集:ミック・オーズリー
音楽:ジョージ・フェントン

出演
コーエン・レス:クリストフ・ヴァルツ
ベインズリー:メラニー・ティエリー
ジョビー:デヴィッド・シューリス
ボブ:ルーカス・ヘッジズ
マネージメント:マット・デイモン
シュリンク=ロム博士:ティルダ・スウィントン
医師:サンジーヴ・バスカー
医師:ピーター・ストーメア
医師:ベン・ウィショー
ピザガール:ダナ・ロゴス
クローン:エミール・ホスティナ
クローン:パヴリク・ネメス
路上コマーシャル:グウェンドリン・クリスティー
路上コマーシャル:ルパート・フレンド
路上コマーシャル:レイ・クーパー
路上コマーシャル:リリー・コール

イギリス/ルーマニア/フランス 映画
配給 Stage 6 Films
2013年製作 106分
公開
イギリス:2014年3月14日
北米:2014年9月19日
日本:2015年5月16日
製作費 $8,500,000
北米興行収入 $257,710
世界 $1,486,510


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
近未来。
世界は”マンコム”社のコンピューターに支配されていた。

マンコムの潜在意識リサーチ部に在籍する、自分のことを複数形で呼ぶエキセントリックなプログラマー、コーエン・レス(クリストフ・ヴァルツ)は、監視されながら”エンティティ解析”を続け、一度だけかかってきたことがある、”人生の意味を教えてくれる”電話を待っていた。

社交性もないコーエンは、その電話のために教会だった自宅での勤務を希望していた。

出社したコーエンは、上司のジョビー(デヴィッド・シューリス)と話し、労働不能休暇を申請する。

会社専属の医師1・2・3(サンジーヴ・バスカー/ピーター・ストーメア/ベン・ウィショー)は、コーエンは正常だと判断して申請を却下し、精神科の診察を受けるよう指示する。

それを知ったジョビーは、社長のマネージメント(マット・デイモン)に会せると言って、パーティーに出席することをコーエンに勧める。
...全てを見る(結末あり)

家で電話を待つので無理だと言うコーエンだったが、指示に従い会場に向かう。

トラの衣装を着たジョビーに迎えられたコーエンは、マネージメントが現れるのを待つ。

風変わりな女性ベインズリー(メラニー・ティエリー)に声をかけられたコーエンは居場所に困り、物置のような部屋に入り落ち着こうとする。

その場にマネージメントがいることに気づき驚いたコーエンは、無駄な時間を過ごしたくないと言って、自宅勤務なら効率は2倍になり、人生の意味を教えてくれる電話にも出られると伝える。

マネージメントから異常だと言われたコーエンはその場を去り、帰ろうとするものの、ジョビーに引き止められる。

ジョビーから食べさせられたオリーブがのどに詰まったコーエンは、それを吐き出させてくれたベインズリーと話す。

その後、自宅勤務を許可されたコーエンは、ジョビーから、マネージメントが”ゼロの定理”を証明できる者を探していると言われ、それに選ばれたことを知らされる。

その定理が利用される装置”ニューラル・ネット・マンクライヴ”にコーエンを案内したジョビーは、マネージメントの”頭脳”の中枢だと話しながら、ハードウェアのプロであるボブ(ルーカス・ヘッジズ)を紹介する。

ジョビーからソフトウェアを渡されたコーエンは、家に戻り仕事を始める。

その後、数か月が過ぎても解析できないコーエンは精神的に疲れ果て、シュリンク=ロム博士(ティルダ・スウィントン)のセラピーを受ける。

シュリンク=ロムから、恐怖や喜びについて訊かれたコーエンは何も感じないと答え、何の解決にもならないために戸惑う。

ブラックホールの悪夢を見るようになり、仕事のがストレスが溜まる一方のコーエンは苛立ち、パソコンをハンマーで叩き壊してしまう。

調査に来たジョビーはパソコンを直し、ゼロの定理を証明できないと言うコーエンに、力になる友人が必要だと伝える。

その夜、眠っていたコーエンは、ナースのコスチュームで現れたベインズリーを招き入れる。

話しかけてきたシュリンク=ロムに侮辱されたベインズリーはアクセスを切り、セックスはしないとコーエンに伝える。

人生の意味を教えてくれる電話がかかってきた時のことを話すコーエンは、興奮して受話器を落としたために会話が途絶えたとベインズリーに伝える。

それで電話を待っていると話すコーエンは、ベインズリーから勧誘の電話だったのだと言われ、本当だと信じていると伝える。

納得したベインズリーは、力になると言ってその場を去る。

翌日、ボブが現れ、入ってきたクローン(エミール・ホスティナ/パヴリク・ネメス)から、ボブを届けたと言われて戸惑う。

ボブを迎えに来ると言うクローンはその場を去り、コーエンは、ボブがマネージメントの息子で、父親から協力するよう指示されて来たことを知る。

パソコンを操作し監視カメラを切ったボブは、父に支配されていることをコーエンに伝える。

ジョビー、そして雇われているコールガールのベインズリーも同じだと言われたコーエンは、それを信じようとしない。

その後ベインズリーは、神経末端に作用し脳のシナプスと同期できるコスチューム姿で、コーエンに仮装空間でセックスできるバーチャルリアリティ・スーツを渡してその場を去る。

コーエンに定理の証明をさせようとするボブは、父に電話をさせると彼に伝える。

そこにピザ配達の女性(ダナ・ロゴス)が現れ、それを受け取って食べたボブは、迎えに来たクローンと共にその場を去る。

スーツを着てみたコーエンは、ベインズリーのサイトにアクセスしする。

コーエンは、仮想空間の夕暮れを迎えたビーチで、ベインズリーと楽しい時間を過ごそうとするが、海中に沈んでしまう。

ベインズリーに助けられたコーエンは、意識が戻り彼女とキスする。

翌日、シュリンク=ロムと話したコーエンは、マネージメントがボブに電話のことを依頼したのだが、若い彼には荷が重すぎると思うと伝える。

ボブは天才少年なので問題ないと言われたコーエンは、アクセスを切る。

その後ボブは、シュリンク=ロムも父が操っているので、プログラムを書き換えたとコーエンに伝える。

父に気に入られているので定理の証明をするべきだと言うボブは、”選らばれし者”だとコーエンに伝える。

ボブは、定理は、”ビッグクランチ”理論によって生命が無意味であることを証明しようとしている、やがて宇宙はブラックホールに飲み込まれて消えるとコーエンに伝える。

それを信じないコーエンは、マネージメントがボブに定理の証明をさせようとしたが、自分の仕事ではないと思った彼は、それを断ったことを知る。

ボブが去った後、スーツを着てベインズリーのサイトにアクセスしたコーエンは、邪魔するシュリンク=ロムを無視する。

ビーチでベインズリーと楽しむコーエンは、別のところに連れて行ってほしいと言われ、想像を働かせてブラックホールに向かう。

全裸の二人はブラックホールに吸い込まれ、ビーチで意識が戻ったコーエンは、彼女から求められて愛を伝える。

ベインズリーに迫り、マネージメントのことを忘れようとしたコーエンは、現実に戻ってしまう。

その後、定理の解析を進めたボブは、コーエンのスーツを持ち去ってしまう。

コーエンはベインズリーのサイトにログイン出来なくなり、ボブから改良したスーツを渡される。

電話は空想だとコーエンに伝えたボブは、シュリンク=ロムに妄想だと言わせて納得させようとする。

電話は魂からかかってくると言うボブは、そこに接続するようコーエンに指示しスーツを利用することを勧める。

そこにベインズリーが現れ、謝罪す彼女は、ジョビーに協力を求められたことをコーエンに伝える。

ボブに挨拶したベインズリーは、仮想空間のことを話し、コーエンに惹かれていることを伝える。

ベインズリーの謝罪を受け入れたコーエンは、別の愛情の対象ををマネージメントが用意するだろうと伝える。

荷物は車に積んであると言うベインズリーは、コーエンに一緒に来てくれるか尋ねる。

それを拒むコーエンを、現実の島に行きたいと言って誘ったベインズリーは、その気になれない様子である彼の元を去る。

気分転換が必要だと考えるボブと外出したコーエンは、恋愛、結婚、そして離婚を経験したことを話し、ベインズリーと別れたのは間違いだと言う彼にからかわれる。

家に戻ったボブは気分が悪くなり、コーエンは、高熱がでた彼を水風呂に入れて介抱する。

意識を失ったボブをバスタブから出す際、鏡を割ったコーエンは、カメラに気づく。

ボブをソファに寝かせたコーエンは、家中の監視カメラを壊し、入り口を塞ぐ。

その後、入り口を破って押し入ってきたクローンは、ボブを運び出す。

夜になり、現れたジョビーは、今回の件でクビになったと言いながらコーエンを非難し罵倒する。

ボブが改良したスーツを着たコーエンは、接続した瞬間に感電してしまう。

ニューラル・ネット・マンクライヴにいることに気づいたコーエンは、その場にいたマネージメントから、ボブが慢性疾患のために入院していることを知らされる。

マネージメントに本物か仮想か尋ねたコーエンは、どうでもいいことで、自分は崇高な者でなく、真実を求める普通の人間だと言う彼の話を聞く。

真実は何かを問うコーエンに、ブラックホールを指差し、封じ込められたカオスだと答えたマネージメントは、定理は証明できたと言う彼に、データを解析中だと伝える。

すべて無だと証明したい理由を問われたマネージメントは、マンコムの目的は無秩序に秩序をもたらすことであり、何らかの形で意味を見つけ、それを売ることだと説明する。

マネージメントから、自分の考えと正反対の考えを持ち、電話が人生の意味を教えると信じ続けたために選んだのであり、無意味な人生を送ったと言われたコーエンは、不要な存在になったことを知らされる。

利用されたコーエンは憤慨し、その場の装置を壊し、目の前に現れたブラックホールに身を投じる。

全裸で仮想ビーチに立つコーエンはビーチボールで遊び、夕陽を手に取り弾ませ、それが沈む海を眺める。

暫くすると、ベインズリーがコーエンを呼びながら笑う声が聴こえる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
近未来。
世界は”マンコム”社のコンピューターに支配されていた。
マンコムのプログラマーで、自分を複数形で呼ぶコーエン・レスは、”人生の意味を教えてくれる”電話を待ち続けていた。
そのためコーエンは、上司ジョビーに自宅勤務を希望し、パーティーで会った社長マネージメントとも話し、何とかそれが認められる。
マネージメントが探していた”ゼロの定理”を証明する者に選ばれたコーエンは、その解析を始める。
その後、解析が一行に進まないために焦るコーエンは、マネージメントの息子である天才少年ボブや、魅力的な女性ベインズリーと出会い親交を深めるのだが・・・。
__________

コンピューターに支配される世界で、謎の定理を解析する風変わりなプログラマーの、生きる意味を追及しようとする姿を描くSFドラマ。

2009年に製作開始が決まっていたものの、「Dr.パルナサスの鏡」(2009)の主演ヒース・レジャー急死により、監督のテリー・ギリアムがその対処のために企画から離れたため中断され、結局、撮影は2012年に行われた経緯がある。

近未来のコンピューターで支配された世界が舞台という設定に新鮮味はなく、テリー・ギリアムの独特の世界観は伝わるものの、大袈裟な奇想天外な内容を望むファンを失望させ、魅力的なキャスティングも活かせず、批評家、一般の評価もかなり低い結果となった。

北米ではわずか63館での公開となり、1か月で上映は打ち切られ、興行的にも大失敗した作品でもある。

風変わりな悩めるプログラマーを熱演するクリストフ・ヴァルツ、彼の心を癒す奔放な女性メラニー・ティエリー、主人公の上司デヴィッド・シューリス、主人公と親交を深める天才少年を印象的に演ずるルーカス・ヘッジズ、その父親であるマンコム社の社長マット・デイモン、主人公のセラピストであるティルダ・スウィントン、主人公を診察する医師のサンジーヴ・バスカーピーター・ストーメアベン・ウィショー、ビザの配達員ダナ・ロゴス、少年を主人公の元に送り迎えするクローンのエミール・ホスティナとパヴリク・ネメス、路上コマーシャルとして登場するグウェンドリン・クリスティールパート・フレンドレイ・クーパーリリー・コールなどが共演している。


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