町の名士から保安官を任された青年の成長を描く、監督テッド・テズラフ、主演パトリック・ウェイン、イヴォンヌ・クレイグ、デニス・ホッパー、ダン・オハーリー、ケン・カーティス他共演の西部劇。 |
・西部劇
■ スタッフ キャスト ■
監督:テッド・テズラフ
製作:パトリック・フォード
原作:ジョン・リーズ
脚本:ノーマン・S・ホール
撮影
ウィントン・C・ホック
ヘンリー・シャープ
編集:トム・マカドゥー
音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演
ジム・エリソン保安官:パトリック・ウェイン
エレナ・デ・ラ・マドリッド:イヴォンヌ・クレイグ
ハットフィールド・カーンズ:デニス・ホッパー
ミラード・アイシャム判事:ダン・オハーリー
ドン・ロベルト・デ・ラ・マドリッド:ロベルト・デ・ラ・マドリード
ベン・ストラウド連邦保安官補:クリフ・ケッチャム
リー・ハーン:ケン・カーティス
サンティアゴ保安官補:ペドロ・ゴンザレス・ゴンザレス
レイノルズ:クリフ・ライオンズ
サリヴァン/ケリー:エド・スウィーニー
ヴァスケロ:ジョン・キハダ
ミゲル:ミゲル・コマチョ
チャーリー・ヒギンズ裁判書記官:トム・タイナー
フランシスコ・キローガ:カルロス・ロメロ
放浪者:エディ・フアレグイ
楽団員:ザ・マリアッチス・ロス・レイエス・デ・チャパラ
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1959年製作 89分
公開
北米:1959年5月1日
日本:未公開
■ アカデミー賞 ■
第32回アカデミー賞
・ノミネート
歌曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1848年、米墨戦争直後のカリフォルニア。
アメリカ人のガンマン、ハットフィールド・カーンズ(デニス・ホッパー)は、メキシコ人のフランシスコ・キローガ(カルロス・ロメロ)を射殺する。
保安官のジム・エリソン(パトリック・ウェイン)は、殺すしかなかったと言うカーンズを逮捕し、保安官補のサンティアゴ(ペドロ・ゴンザレス・ゴンザレス)にキローガの死体を片付けさせる。
裁判のために町に着いたミラード・アイシャム判事(ダン・オハーリー)は、同行したベン・ストラウド連邦保安官補(クリフ・ケッチャム)から、お尋ね者のリー・ハーン(ケン・カーティス)がいることを知らされる。
判事から逮捕しない理由を訊かれたストラウドは、全員を逮捕していたら巨大な留置場が必要だと答える。
エリソンはアイシャムに挨拶し、町の名士ドン・ロベルト・デ・ラ・マドリッド(ロベルト・デ・ラ・マドリード)に保安官に指名されたことを伝える。
エリソンが政府に任命されたいないことを知ったアイシャムは、被告が留置されている場所を確認し、バッジも拳銃も持たない彼に法の執行ができるとは思えない。
法廷の準備が進む皮はぎ小屋に案内されたアイシャムは、相応しい場所でなく、掃除をしていないオフィスもすぐに使えない状況を知り、頼りないエリソンやサンティアゴのことが心配になる。
町に着いたドン・ロベルトの娘エレナ(イヴォンヌ・クレイグ)は、雇っている牧童の飲酒を取り締まるよう恋人のエリソンに伝える。 アイシャムは、メキシコ人に対し使用人のように接するエリソンの態度が気になる。 陪審員の手配をエリソンとストラウドに任せたアイシャムは、サンティアゴの案内で宿舎に向かう。 ストラウドから、陪審員12人を集めることができるか訊かれたエリソンは、エレナの誕生日パーティーで人選することを伝える。 その夜、エレナの誕生日パーティーは始まり、ストラウドとエリソンは、男たちに声をかけて陪審員を集める。 2人は、チャーリー・ヒギンズ(トム・タイナー)に裁判の書記官を依頼し、レイノルズ(クリフ・ライオンズ)に陪審員を頼む。 エリソンは、恋人のエレナにお祝いを言って、彼女をダンスに誘い踊る。 翌日、開廷したアイシャム判事は、検事に任命したストラウドに、エリソンの証言をさせる。 アイシャムはエリソンが元海兵隊員であることを確認し、ストラウドが、キローガ殺害の現場を見たかを彼に問う。 それを認めたエリソンは、カーンズがキローガを撃ったことを証言し、カーンズは、先に銃を抜かれたと発言してアイシャムに注意される。 エリソンは、カーンズが正当防衛だったと言ったことを伝える。 カーンズはメキシコ人を嫌い、いつも挑発していたと言うエリソンは、キローガを3発撃って殺した彼を逮捕したことを伝える。 アイシャムに反対尋問を求められたカーンズは、エリソンが言った通りだと伝える。 証言を求められたカーンズは、キローガと飲んでいて揉めたために決闘することになり、それで外に出たことを話す。 ストラウドは、キローガを挑発したかカーンズに尋ね、彼が他に4人殺したことを確認し、その時も相手を怒らせたのではないかと問う。 正当防衛だと言い張るカーンズは、キローガを殺したかを訊かれ、それを認める。 証人として呼ばれたトリヴァーは、ストラウドから状況を訊かれ、カーンズがキローガを容赦なく殺したことを話す。 アイシャムは、付け加えることがないことをカーンズに確認し、ストラウドは、侮辱された男が銃を抜かないわけがないと陪審員に伝える。 最終弁論をアイシャムから求められたカーンズは、正当防衛だと言うだけだった。 意見を述べるアイシャムは、悪意を持ち人を殺すのが殺人であることを忘れずに評決を出すことを陪審員に伝える。 早撃ちに自信があるカーンズが、相手を挑発して殺したとしたら殺人罪であり、正当防衛を認めるなら釈放すべきで、そうでなければ被告は有罪となると、アイシャムは付け加える。 陪審員は評議に入ろうとするが、リーらは彼らを脅す。 その場を鎮めたアイシャムは、陪審員を警護するようエリソンに指示する。 エリソンと留置場に向かうカーンズは、メキシコ人たちに睨まれる。 現れたドン・ロベルトは、エリソンから裁判の状況を聞き、アイシャムに挨拶して昼食を用意したことを伝え、ストラウドを紹介される。 エリソンは、外で楽団と騒いでいるリーらを静かにさせるようアイシャムに指示される。 それに反発するリーは、エリソンに殴りかかり格闘になるものの、叩きのめされる。 アイシャムの元に戻ったエリソンは、カーンズを監視するための助手を指名することを指示される。 酒場に向かったエリソンは、リーにカーンズの見張りを任せようとする。 カーンズを見張っていたストラウドは、エリソンがリーを助手にしたため、アイシャムに知れるとまずいことになると伝る。 エレナが来たことを知ったエリソンは、裁判に興味を持つ彼女に、危険だと伝えて留置場に戻る。 ドン・ロベルトは、今回の裁判はアメリカの正義が試される重要なものであり、陪審員は同胞に厳しい判決を下せると思うかをアイシャムに問う。 判断しかねるが陪審員は公平だと言うアイシャムは、カーンズの仲間の存在が評決に影響しないかを心配するドン・ロベルトに、武装したメキシコ人も同じだと伝える。 ドン・ロベルトは、かつては絶対的な力を持っていた自分だが、今では単なる雇用主だとアイシャムに伝える。 酒場の悪党が迷惑をかけていると言われたドン・ロベルトは、新しい町には若者が必要だとアイシャムに伝えて、アメリカ側は、時代の流れに従っただけだという意見を述べる。 酒場にいたサリヴァン(エド・スウィーニー)らは、馬に乗り発砲して騒ぎ始め、陪審員に圧力をかけようとする。 エレナを心配するエリソンは、帰ろうとしない彼女を留置場に連れて行く。 エリソンに連れて来られたエレナを冷やかすカーンズは、2人が去った後でリーと話し、逃がしてもメキシコ人に襲われると言われ、納得するしかなかった。 現れたストラウドは、酒場の様子を見て来るとエリソンに伝え、アイシャムが呼んでいることを伝える。 酒場に向かったストラウドは、お尋ね者のケリーとして知られているサリヴァンに銃を向けて脅し、その場の男たちを牽制する。 アイシャムは、判決時に同席してほしいとドン・ロベルトに伝えて、それを了承してもらう。 その場に現れたエリソンは、陪審長に審議の計画を聞くようアイシャムに指示される。 アイシャムは、陪審員は空腹なので審議は終わるだろうと言うエリソンの考えを聞き呆れてしまう。 リーは、町が危険であることをエレナに伝え、エリソンを連れ出すよう指示する。 審議が終わったことを知ったエリソンは、危険が迫っていると言うエレナに、大丈夫だと伝えて留置場に向かう。 サリヴァンらは行動を起こす準備をして、郊外にいた武装するメキシコ人たちも合図を待つ。 カーンズはエリソンとリーと共に法廷に戻り、ストラウドは、現れたサリヴァンらに、騒ぎは起こすなと言って警告する。 アイシャムはドン・ロベルトと共に着席し、エリソンがリーを助手に指名したことを知る。 エリソンを呼んだアイシャムは、逃亡犯を指名した愚かな行為を批判し、リーを解任するよう指示する。 ストラウドは、前科がある法律家がまともに仕事をしている例はあると言って、エリソンの選択を支持する。 その場での解任はさせないことにしたアイシャムは、何か起きたら責任を取らせるとエリソンに伝る。 町にいたメキシコ人も法廷に入り、準備ができたアイシャムは陪審員を呼ぶ。 陪審長のレイノルズは、有罪をアイシャムに伝える。 サリヴァンらが席を立ち一触即発になり、その場を鎮めたエリソンは、アイシャムから、皆の銃を預かるよう指示される。 判決の前に発言を許されたカーンズは、正当防衛だったと伝える。 アイシャムは、懲役25年の刑をカーンズに言い渡す。 新制度への移動期間であるため、生涯、銃の所持と触れることを禁じる条件に従えば執行猶予を与える、従わなければ政府に追われると、アイシャムはカーンズに伝える。 リーの銃を奪い殴り倒したカーンズは、エリソンにストラウドの銃を借りて外に出るよう指示する。 カーンズは通りに向かい、任せてほしいとストラウドに伝えたエリソンは、銃を受け取らずに裏口から外に出る。 カーンズは、エリソンが隠れていると思い発砲する。 エリソンはエレンがいる留置場に向かい、ライフルに弾を込める。 エレンに隠れているよう指示したエリソンは、馬に乗って逃げようとするカーンズを銃撃する。 カーンズの死を確認したエリソンは、それをアイシャムに伝る。 アイシャムは、アメリカの正義が貫かれたことをドン・ロベルトに伝える。 エレナがエリソンに駆け寄り、アイシャムは、彼を正式に保安官に任命する。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1848年、米墨戦争直後のカリフォルニア。
アメリカ人のガンマン、カーンズがメキシコ人を殺す。
町の名士ドン・ロベルトに保安官に指名されている元海兵隊員の青年ジム・エリソンは、カーンズを逮捕する。
正当防衛を主張するカーンズは、到着したアイシャム判事の下で裁かれることになる。
アイシャムは、エリソンが政府に任命された保安官でないことを知り、頼りない彼と共に、メキシコ側の出方を警戒しながら裁判の準備をするのだが・・・。
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サイレント時代から活躍して、撮影監督としてキャロル・ロンバード作品の10作を手掛けたことで知られるテッド・テズラフが監督した、彼にとっては引退作品。
町の名士に保安官を任された未熟な青年の成長を描く西部劇。
ジョン・フォード及び父ジョン・ウェインの作品などに子役時代から出演していたパトリック・ウェインが、撮影当時18才で初めて主演した作品でもある。
米墨戦争直後にアメリカ合衆国になった町が舞台であり、メキシコ側との様々な問題が背景に描かれている。
その町の治安を守る、正式には政府の任命を受けていない若輩者の保安官が、殺人事件の裁判を通して、様々な問題を解決しながら職務を果たそうと努力し、その結果、正式に判事に法の執行官として認められるろいう、気の利いた結末がいい。
本作の前月に公開された「リオ・ブラボー」(1959)でも音楽を担当したディミトリ・ティオムキンの、いかにも彼らしい楽曲が印象に残る。
ネッド・ワシントンが作詞してランディ・スパークスが歌ったStrange Are the Ways of Love”は、第32回アカデミー賞で歌曲賞にノミネートされた。
21歳のデニス・ホッパーが殺人罪で裁かれる悪党を好演し、ジョン・フォード及びジョン・ウェイン作品の常連で、お尋ね者をいい味で演ずるケン・カーティスや、同じく陪審員長役のクリフ・ライオンズらの出演はファンには嬉しいばかりだ。
後者2人は、少年時代から自分の息子のように可愛がっているパトリック・ウェインを応援しているようにも思える。
クリフ・ライオンズとパトリック・ウェインは、「捜索者」(1956)では軍人の親子役を演じている。
時代が変わり難しい情勢下の町で法の番人を任され、若輩者と思われながらも職務を果たす保安官を熱演するパトリック・ウェイン、その恋人である町の名士の娘イヴォンヌ・クレイグ、メキシコ人を殺して裁かれるガンマンのデニス・ホッパー、彼を裁く判事のダン・オハーリー、判事の補佐を務め検事も兼任す連邦保安官補クリフ・ケッチャム、町の名士であるメキシコ人ロベルト・デ・ラ・マドリード、お尋ね者ながら主人公が助手に指名するケン・カーティス、保安官補のペドロ・ゴンザレス・ゴンザレス、陪審員長のクリフ・ライオンズ、メキシコ人を嫌うお尋ね者エド・スウィーニー、裁判所書記官に任命されるトム・タイナー、冒頭で殺されるメキシコ人のカルロス・ロメロ、放浪者のエディ・フアレグイ、楽団員のザ・マリアッチス・ロス・レイエス・デ・チャパラなどが共演している。