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欲望の谷 The Violent Men (1955)

土地を奪おうとする大牧場主に対抗する元軍人の戦いを描く、監督ルドルフ・マテ、主演グレン・フォードバーバラ・スタンウィックエドワード・G・ロビンソンダイアン・フォスターブライアン・キース他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇


スタッフ キャスト
監督:ルドルフ・マテ

製作:ルイス・J・ラックミル
原作:ドナルド・ハミルトンSmoky Valley
脚本:ハリー・クライナー
撮影
バーネット・ガフィ
W・ハワード・グリーン
編集:ジェローム・トムズ
音楽:マックス・スタイナー

出演
ジョン・パリッシュ:グレン・フォード
マーサ・ウィルキソン:バーバラ・スタンウィック
ルー・ウィルキソン:エドワード・G・ロビンソン
ジュディス・ウィルキソン:ダイアン・フォスター
コール・ウィルキソン:ブライアン・キース
キャロライン・ヴェイル:メイ・ウィン
ウェイド・マットロック:リチャード・ジャッケル
ジム・マクラウド:ワーナー・アンダーソン
バド・ヒンケルマン:ウィリアム・ピップス
テックス・ヒンケルマン:バジル・ルイズダール
エレナ:リタ・ミラン
マグルーダー保安官補:ジェームズ・ウェスターフィールド
デローザ:ジャック・ケリー
マーティン・ケナー保安官:ウィリス・ボーシェイ
パデュー:ハリー・シャノン
牧童:リチャード・ファーンズワース

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1955年製作 96分
公開
北米:1955年1月26日
日本:1955年2月8日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
町に向かった牧場主のジョン・パリッシュ(グレン・フォード)は、マーティン・ケナー保安官(ウィリス・ボーシェイ)に声をかける。

そこに、アンカー牧場の牧場主ルー・ウィルキソン(エドワード・G・ロビンソン)の部下ウェイド・マットロック(リチャード・ジャッケル)らが現れ、パリッシュをからかう。

北軍騎兵隊将校だったパリッシュだったが、ウェイドらの挑発に乗らなかった。

ウェイドに話しかけられたエレナ(リタ・ミラン)は、ルーの弟コール(ブライアン・キース)のことは気にするものの、彼らを相手にしない。

戦争で負った肺の古傷をクロウェル医師に診てもらったパリッシュは、ルーが土地を狙っていると言う彼に、自分は静養するために西部に来ただけだと伝える。

傷は心配ないことを知ったパリッシュは、キャロライン・ヴェイル(メイ・ウィン)と結婚して東部に戻るつもりだった。
...全てを見る(結末あり)

逃げるつもりかと言われたパリッシュは、揉め事に巻き込まれるつもりはないとクロウェルに伝える。

酒場にいたウェイドは、ルーの悪口を言ったマホーニーを痛めつける。

それを制止しようとしたパリッシュは、丸腰なので関わるなと言うケナーの指示に従う。

ウェイドに警告して銃を奪ったケナーは、背後から撃たれて死亡する。

マグルーダー保安官補(ジェームズ・ウェスターフィールド)が現れ、目撃者を捜すものの、パリッシュを含めて誰も名乗らなかった。

ヴェイル家に向かったパリッシュは、昼間のことを話し納得できないとキャロラインと彼女の両親に伝える。

パリッシュは、土地を売れば結婚して東部に行けると言われるものの、ルーとは取引しないとキャロラインに伝える。

帰ろうとするパリッシュを追ったキャロラインは、ルーと話し合うようべきだと言って彼を説得する。

家に戻ったキャロラインは、酔って現れたジョージに迫られるものの、それを拒み追い返す。

翌日、ジム・マクラウド(ワーナー・アンダーソン)やバド・ヒンケルマン(ウィリアム・ピップス)ら牧童を呼んだパリッシュは、牧場をルーに売ることを話し、トラブルは起こさないようにと伝える。

アンカー牧場に向かおうとしたパリッシュは、訪ねて来た隣人のパデュー(ハリー・シャノン)と息子ハンクと話をする。

かつて瀕死の自分の面倒を見てくれたパデューに恩があるパリッシュは、土地を売るなと言われるものの、従う気はなかった。

ルーに長男を殺されたパデューは、今後も死ぬまで戦うとパリッシュに伝える。

パデューは、ルーと取引しようとするパリッシュを批判してその場を去り、ハンクは彼を臆病者呼ばわりする。

パリッシュは銃を持たずにアンカー牧場に向かい、ルーの娘ジュディス(ダイアン・フォスター)と話す。

ルーの妻マーサ(バーバラ・スタンウィック)に迎えられたパリッシュは、歩行困難で松葉杖を使うルーが、コールに付き添われて現れたために挨拶する。

ルーは、死んだケナーの話をするパリッシュに、背後から撃ったウェイドは牧場から追い出したと伝える。

ルーから牧場の買値1万5000ドルを提示されたパリッシュは、24時間以内の返事を求められてその場を去る。

ジュディスのことが気になるルーは、ここを嫌っている彼女を、東部の寄宿学校に入れようとしているマーサの考えを知る。

コールと関係を持っていたマーサは、メキシコ女のエレナと会っている彼を批判する。

コールは、パデューとパリッシュを追い出し谷を手に入れれば、ルーは自分を追い出すと考えるが、そうはさせないと言うマーサは、エレナを追い払うよう彼に指示する。

マーサはジュディスと話をするものの、親子の溝は埋まらない。

牧場に戻ったパリッシュは、ルーの提示額をジムに話し、キャロラインに約束したので、その金額で売ることを伝える。

パリッシュは、アンカーの者たちがパデューの牧場に向かい、バドらもその場に向かったことを知り、様子を見に行くことにする。

バドはウェイドらに痛めつけられて銃撃され、その場に着いたパリッシュらが彼を助けようとする。

瀕死のバドは、ルーが追い出したはずのウェイドが犯人だとパリッシュに話し、息を引き取る。

パリッシュは、ジムらと共にバドの遺体を町に運び、保安官になったマグルーダーに犯人の逮捕を要求する。

ルーと組んでいるマグルーダーは、ウェイドが一晩中、酒場にいたという証言があるとパリッシュらに伝え、リンチを禁じてその場を去る。

納得いかない牧童を説得するパリッシュは、行動を起こせば相手の思うツボだと言って、退却したと見せかけて奇襲をかける準備をする。

牧童らはそれに従い町を去り、バドの拳銃を手にしたパリッシュは酒場に向かう。

パリッシュは穏やかにバドの件をウェイドに話し、自首するよう勧める。

笑い始めたウェイドを殴ったパリッシュは、発砲した彼を射殺する。

ウェイドの銃も手にしたパリッシュは、男たちを威嚇しながらその場を去る。

翌日、パリッシュはアンカー牧場に向かい、ジュディスと昨夜のことを話す。

パリッシュは、屋敷から現れたルーに、追い出したと言っていたウェイドの銃を渡し、少ない金額を提示してバドを殺した卑劣な行為を批判する。

殺害を命じたことを否定するルーは、牧場を売る気はなく追い出せないと言うパリッシュに、自分は谷を手に入れる権利があると伝える。

バドにも生きる権利はあったと言うパリッシュは、これからも隣人だが、土地を守るためなら戦う考えがあり、そうなれば後悔すると伝えてその場を去る。

揉め事を起こさせないために、ウェイドを追い出す指示に従わなかったコールを責めるルーは、兄弟で争っても解決しないと言うマーサの話を聞き入れる。

ルーからパリッシュを追い出すよう指示されたコールは、それに従う。

ジュディスは、あくまで谷を手に入れようとする両親の考えを理解しようとしない。

牧場に戻ったパリッシュは、待っていたキャロラインに、ルーとの取り引きはなくなり、戦いは避けられないと伝える。

パリッシュは、訪ねて来たバドの父テックス(バジル・ルイズダール)にキャロラインを紹介する。

バドを救えなかったことをテックスに謝罪したパリッシュは、息子が世話になったことで感謝してくれた彼に、バドのガンベルトと拳銃を渡す。

テックスに持っていてほしいと言われたパリッシュは、それを譲り受けて、戦いの際は2人の息子が手を貸すと申し出てくれた彼に、覚えおくと伝える。

パリッシュの考えを理解できないキャロラインは、指輪を置いてその場を去る。

その後パリッシュは、コールらが牧場に現れるのを予測して、ジムらと共に丘の上に向かい、軍隊の戦術で待ち伏せる。

現れたコールらは建物に火を放ち、パリッシュは、放火魔なら戦えるとジムに伝える。

パリッシュらは、戻ろうとするコールらに攻撃を仕掛けて撃退する。

牧場に戻ったコールは、8人を失ったことをルーに責められる。

出て行けと言われたコールをかばうマーサだったが、ジュディスが必要ない男だと意見し、彼と母の関係をルーに話そうとする。

ルーから口出しするなと言われたジュディスは、その場を去る。

パリッシュの元に向かったジュディスは、戦う意味がないと考える父は希望額を払うと伝える。

無駄な死を見ていられないと言うジュディスだったが、パリッシュは彼女の話を聞こうとしない。

マーサは、コールがエレナと共にダラスに向かうことを知り、ジュディスが自分たちのことに気づいていると言われても、ルーには話さないと考える。

愛を証明するために一緒に来るかと訊かれたマーサは、ジュディスのことがあるので無理だと答える。

自分だけを求めているエレナと旅立つと言うコールは、マーサの話を聞かずに立ち去る。

その頃パリッシュらは、ルーの馬と牛を暴走させて牧童を引きつけ、その隙にアンカー牧場に向かい火を放つ。

マーサは、逃げ遅れたルーの松葉杖を投げ捨て、彼を見捨てて屋敷から避難する。

町に向かったマーサは、エレナと一緒にいたコールに、ルーが死んだことを伝える。

エレナを部屋から出したコールは、パリッシュが放火したことを知り、マーサから、一から一緒にやり直せると言われて考え直す。

翌朝、牧場に戻ったジュディスは、屋敷から何とか脱出したルーが無事だったことを知る。

マーサに見捨てられたことは話さなかったルーは、彼女とコールは町にいるはずだと言って、2人の関係に気づいていたことをジュディスに伝る。

マグルーダーを呼んだマーサは、牧場を再建することを伝えて、パリッシュを捕らえることを含めた、そのための協力を求める。

捜索隊を編成したマグルーダーは、コールをリーダーにしてパリッシュらを捜し始める。

コールを引き止めるものの無視されたエレナは、マーサと話し合い、彼を愛していることを伝えるものの追い払われる。

捜索隊は、パリッシュの協力者になりそうな者たちの家を焼き殺害する。

テックスの家に向かったパリッシュは、その場にいたルーとジュディスと話をする。

捜索隊のことを伝えたパリッシュは、谷のことだけに執着して、考えを誤ったと言うルーの話を聞く。

パデューが襲われそうだと知ったパリッシュは、その場に向かおうと考え、テックスと息子たちの協力を得て、ルーとジュディスも同行させる。

焼き討ちを続けて牧場に戻っていたコールは、マーサを迎える。

パリッシュは、戦いは無意味だと言うジュディスの意見を聞き入れず、コールを殺せば誰も戦わなくなると彼女に伝える。

パリッシュとジュディスと共に牧場に戻ったルーを見て驚くマグルーダーは、捜索隊を解散して帰れと指示され、それに従う。

コールと対決したパリッシュは彼を倒す。

マーサは死んだコールに駆け寄り、ジュディスと共に現れたルーを見て驚く。

その場から逃げようとしたマーサは、エレナに射殺される。

その後パリッシュは、ジュディスから、アンカー牧場を任せたいと言うルーの考えを知らされるものの、自分の牧場を再建すると伝えて馬で走り去ろうとする。

ジュディスの元に戻ったパリッシュは、微笑みながら、ルーは自分の牧場を手に入れると言っていたと伝えて、彼女と共に走り去る。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
北軍騎兵隊将校だったジョン・パリッシュは、古傷の静養のために西部で暮らしていた。
傷が癒えたパリッシュは、婚約者のキャロラインと結婚して東部に戻るために、一帯を手に入れようとしている牧場主のルーに、土地を売ることを決める。
揉め事を嫌い、ルーの卑劣な方法を見過ごしていたパリッシュは、自分を追い払うために牧童を殺されたことで激怒し、戦う決心をするのだが・・・。
__________

1955年に発表された、ドナルド・ハミルトンの小説”Smoky Valley”を基に製作された作品。

大牧場主に土地を奪われそうになった元軍人の戦いを描く西部劇。

あらゆる分野で話題作を手掛けたルドルフ・マテの快作であり、善と悪の単純な争いの中で見せる、複雑な人間関係や人々の心情を繊細に描く、彼の演出手腕が見どころの作品。

主演のグレン・フォードをはじめ、バーバラ・スタンウィックエドワード・G・ロビンソンなど、脇を固める実力派スター豪華競演も注目だ。

シネマスコープの大画面を活かした、スケール感がある美しい映像や、緊張感を伝えるマックス・スタイナーの音楽も印象に残る。

主演のグレン・フォードは、まだ30代ということもあり若々しく、元軍将校という役柄で、洞察力もあり部下に頼られる牧場主を熱演している。

単なる牧場主の妻として終わらない、魔性の女的な役柄が適役のバーバラ・スタンウィック、土地に執着するだけであり、極悪人としては描かれていないところが興味深い、牧場主エドワード・G・ロビンソンの好演も光る。

戦いを嫌い無駄な死に疑問を持つ牧場主の娘ダイアン・フォスター、牧場主の弟であり殺し屋的な存在のブライアン・キース、主人公の婚約者メイ・ウィン、牧場牛に雇われる男リチャード・ジャッケル、主人公に雇われる牧童ワーナー・アンダーソンウィリアム・ピップス、その父親バジル・ルイズダール、コール(ブライアン・キース)を愛する女リタ・ミラン、牧場主と手を組む保安官補ジェームズ・ウェスターフィールド、牧童のジャック・ケリー、殺される保安官のウィリス・ボーシェイ、牧場主と戦う主人公の隣人ハリー・シャノン、そして牧童役でリチャード・ファーンズワースなどが共演している。


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