牧場主になる夢を叶えようとする青年の野望と恋を描く、監督リチャード・フライシャー、主演ドン・マレー、リチャード・イーガン、リー・レミック、パトリシア・オーウェンズ、スチュアート・ホイットマン、アルバート・デッカー他共演の西部劇。 |
・西部劇
■ スタッフ キャスト ■
監督:リチャード・フライシャー
製作:デヴィッド・ワイスバート
原作:A・B・ガスリーJr.”These Thousand Hills”
脚本:アルフレッド・ヘイズ
撮影:チャールズ・G・クラーク
編集:ヒュー・S・ファウラー
音楽:リー・ハーライン
出演
アルバート・ギャラティン”ラット”エヴァンス:ドン・マレー
イエフ:リチャード・イーガン
キャリー:リー・レミック
ジョイス:パトリシア・オーウェンズ
トム・ピン:スチュアート・ホイットマン
コンラッド連邦保安官:アルバート・デッカー
ラム・バトラー:ハロルド・J・ストーン
アイク・カーマイケル:ロイヤル・ダノ
ジェン:ジーン・ウイルズ
ゴッドウィン:ロバート・アドラー
マクリーン::スティーブ・ダレル
カード・プレイヤー:ジョージ・デノーマンド
スウィード:ジョン・エッパー
ホワイティ:ダグラス・ファウリー
ブライス:フレッド・グラハム
写真家:A・キャメロン・グラント
フランク・チェノー:トム・グリーンウェイ
ダンスホール・ガール:アイリーン・ジェームズ
レストランの常連客:ケナー・G・ケンプ
ストレイン:ジェス・カークパトリック
ジェイコブ・スミス:ファジー・ナイト
ファティ/バーテンダー:フランク・クレイグ
リトル・ランナー:フランク・ラヴィア
探鉱者:セオドア・レーマン
ブラザー・ヴァン:ネルソン・リー
ミス・フラン:バーバラ・モリソン
自警団員:ゾン・マレー
ウェイター、ハッピー:ケン・レナード
クルーピア:ジェフリー・セイア
客:キャップ・ソマーズ
牛飼い:トム・スティール
ハーディガーディワゴンの男:ブリック・サリバン
レストランの常連客:ハル・タガート
客:ガイ・ティーグ
リンク・ゴーラム:ネッド・ウィーバー
牛飼い:テッド・ホワイト
フレンチー:ベン・ライト
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1959年製作 96分
公開
北米:1959年5月6日
日本:1959年5月16日
製作費 $1,645,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
アルバート・ギャラティン”ラット”エヴァンス(ドン・マレー)は、破産した牧場主の父の元を離れ、フォート・ブロックに牛を移動させるラム・バトラー(ハロルド・J・ストーン)に雇われる。
バトラーから野生馬シュガーを慣らしたら譲ると言われたラットは、それを見事に乗りこなし、荒馬乗りと牛飼いを任される。
牧童トム・ピン(スチュアート・ホイットマン)と仲良くなったラットは、牧場を手に入れて必ず成功すると彼に話す。
ワイオミング州。
フォート・ブロックに着いたバトラーらは酒場に向かい、現れた牧場主のイエフ(リチャード・イーガン)から、馬を競わせる提案をされる。
ラットがシュガーに乗ってレースをすることになり、皆が金を賭ける。
イエフ側の先住民と共にスタートしたラットは、並走している際に毛布を被せられ、落馬してしまう。
バトラーはイエフを非難し、その場は騒ぎとなるが、コンラッド連邦保安官(アルバート・デッカー)が現れ、ラットの勝ちを認める。
その夜、トムとラットは、酒場の女ジェン(ジーン・ウイルズ)とキャリー(リー・レミック)と共に楽しむ。 イエフから今後のことを訊かれたトムとラットは、仲間とは別れて町に残ると答える。 キャリーを送ったラットは、トムと共にオオカミ狩りをすることを話す。 部屋に向かい着替えて戻ったキャリーは、ラットが帰ったことに気づく。 翌日ラットは、町を去るバトラーに別れを告げる。 酒を飲み、日が暮れてキャリーを訪ねたラットは、一日中待っていたと言う彼女にキスする。 昨夜、帰った理由を訊かれたラットは、薪小屋で女の子と2人きりになったことで、父親に殴られた子供時代の話しをして、キャリーも同じような経験をしたことを知る。 2か月が経ち、ラットはトムと共に山小屋でオオカミ狩りをしていた。 トムはそんな生活が嫌になり、ラットと口論の末にフォート・ブロックに戻ろうとして小屋を出る。 翌日ラットは、レースで争った先住民にシュガーを奪われそうになり、抵抗したために仲間に撃たれてしまう。 戻ったトムが先住民を追い払い、重傷を負ったラットをフォート・ブロックに運ぼうとする。 ラットは、小屋に残したオオカミの毛皮を諦めるしかなかった。 フォート・ブロックに戻ったトムは、ラットが怪我をしたことを酒場の皆に知らせる。 その後ラットは、キャリーの看病のおかげで回復するものの、彼女の世話になっていることでプライドが傷つき、牧場を手に入れられないために焦る。 コンラッドが経営する銀行に向かったラットは、牧場を買うための融資を頼むものの、担保などがないために断られる。 ラットは、その場にいたコンラッドの姪ジョイス(パトリシア・オーウェンズ)に声をかけられるが、苛立ちながらその場を去る。 酔っていたラットから融資を受けられなった話を聞いたキャリーは、自分が貯めた2000ドル以上を彼に貸そうとする。 ラットは、その金を元手にした牧場経営の計画をコンラッドに話し、融資してもらえることになる。 コンラッドは、野心家が女で身を亡ぼした話をラットにして、ジョイスと共にその場を去る。 トムと共に共同経営をすることにしたラットは、仲間のアイク・カーマイケル(ロイヤル・ダノ)やホワイティ(ダグラス・ファウリー)を呼ぶことにする。 ラットは、低地で干し草を栽培して冬場を乗り切り、他の牧場主たちが苦労する中、順調に経営を続けた。 そんなラットは、コンラッドとの関係を深めるに連れて、ジョイスが気になる存在となり、キャリーを避けるようになる。 ジェンと結婚することをラットに話したトムは、彼女を侮辱した彼を殴り倒す。 憤慨したトムは、キャリーの金で成り上がったと言ってラットを罵倒し、共同経営を解消すると伝えてその場を去る。 コンラッドとジョイス、ブラザー・ヴァン(ネルソン・リー)、弁護士のリンク・ゴーラム(ネッド・ウィーバー)らと食事をしたラットは、教育委員に立候補して政界入りすることを提案される。 その頃、ラットと約束していたキャリーは、彼のためにケーキを用意していたが、そこにイエフが現れる。 キャリーは、ラットがコンラッドとジョイスらと食事をしていることを知る。 イエフにキスされ迫られたキャリーは、ナイフを手にして拒む。 ナイフを奪い、ケーキのラットの文字を消したイエフは立ち去る。 夕食後にジョイスを送ったラットは、また会えるか尋ね、自分の評判が良ければ会える、いつでも訪ねてほしいと言われて別れる。 キャリーの家に向かい話をしたラットは、食事をしたコンラッドから、教育委員会に入ることを勧められたと伝える。 金を貸してくれたキャリーに感謝はしたラットは、自分は邪魔者だと言う彼女に、それが自分の望みかもしれないと伝える。 ラットは、興奮しながら話すキャリーに追い出される。 その後、ラットとジョイスは結婚し、何不自由ない暮らしを始めて、やがて子供が生まれ、コンラッドの推薦で上院議員に立候補する。 キャリーは、イエフの愛人に戻っていた。 ある夜ラットは、訪ねて来たイエフと牧場主のフランク・チェノー(トム・グリーンウェイ)から馬泥棒の話を聞き、自警団に誘われる。 気が進まないラットだったが、イエフは多くの票をまとめられると言われ、仕方なく承知する。 翌朝、自警団は出発し、牧場主たちは山中の隠れ家にいた馬泥棒に攻撃を仕掛ける。 馬泥棒は降伏し、ラットは、そのうちの1人がトムだったために驚く。 逃げた1人は射殺され、トムに犯人だと認めさせたトムは、保安官に引き渡そうとする。 トムは、銃を向けるイエフが、最初から犯人を引き渡す気がなかったことを知る。 吊るされそうになったトムは抵抗するものの痛めつけられ、何とか彼を救おうとしたラットは、イエフに殴り倒される。 トムは吊るされ、アイクがロープを撃って助けようとする。 フランクはトムの首が折れていることを確認して、皆と共にその場を去る。 ラットは、後悔しながらアイクと共に山を下りて自宅に戻る。 ラットから狩りに行っていたと言われたジョイスは、扉の下にあったキャリーからの手紙を彼に渡す。 助けを求める内容だったために出かけようとしたラットは、キャリーとの関係を気にするジョイスが引き止めるために、5年前に牧場の資金を貸してくれた相手だと伝える。 ラットは、行けば自分も家を出ると言うジョイスに、キャリーとの関係は過ぎたことだが、今日、自分のしてきたことが間違っていたことに気づいたので、恩がある彼女の元に向かうと伝えてその場を去る。 キャリーの家で使用人のハッピー(ケン・レナード)に迎えられたラットは、手紙を書いたのが彼だということを知る。 山から戻ったイエフともめたキャリーは殴られ、その後、部屋に閉じこもっていることを知ったラットは、腫れあがった彼女の顔を見て怒りがこみ上げる。 酒場に向かおうとしたラットはコンラッドに制止され、救う価値がないキャリーのことは金で解決しろと言われるものの、それを断る。 ラットは、酒場でポーカーをしていたイエフと格闘になり、店を飛び出た2人は、泥だらけになりながら殴り合う。 鞍のライフルを手にしてラットに向けたイエフは、キャリーに射殺される。 戻ったラットに謝罪したジョイスは、理解するために努力すと伝える。 キャリーの裁判で証言するつもりのラットは、正しい行いだと言うジョイスの気持ちを知り、彼女と共に家に入る。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストーリー)
破産した父の牧場を離れたアルバート・ギャラティン”ラット”エヴァンスは、フォート・ブロックに牛を運ぶバトラーに雇われ、牧童のトムと仲良くなる。
フォート・ブロックに着いたラットはトムと共に町に残り、オオカミ狩りをして、牧場を買うために資金を貯めようとする。
酒場の女キャリーと出会ったラットは、彼女との親交を深める。
その後、トムと共にオオカミ狩りを始めたラットは先住民に襲われ、負傷して町に戻り、キャリーの看病で回復する。
牧場を手に入れようとするラットは、コンラッドの銀行で融資を断られてしまう。
焦るラットは、キャリーが貯めた金を借りて、それを元手にコンラッドから融資を受け、念願の牧場を手に入れて、トムと共に経営を始めるのだが・・・。
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1956年に発表された、A・B・ガスリーJr.の小説”These Thousand Hills”を基に製作された作品。
牧場主になる夢を叶えようとする青年の野望と恋を描く西部劇。
B級映画からメジャー作品の監督となっていたリチャード・フライシャーが、前年のカーク・ダグラス主演の大作「ヴァイキング」(1958)に続き監督した作品。
牧場経営を夢見る青年が、周囲に影響されて野望を膨らませ、政治家にまでになる展開となり、やがて、裏切りなどにより友人恋人を傷つけたことに気づいた、一人の人間の成長を鋭い視点で描く、リチャード・フライシャーの演出手腕が見どころの異色の西部劇に仕上がっている。
リー・ハーラインの勇壮な音楽も印象に残る。
デビュー作「バス停留所」(1956)の好演で一躍、期待のスターとなった主演のドン・マレーは、実直な牧童から、野望を抱き成り上がり、様々な経験をしながら成長していく主人公を熱演している。
主人公らを騙す悪徳牧場主のリチャード・イーガン、主人公と惹かれ合う酒場の女を好演する美しいリー・レミック、主人公と結婚する銀行の頭取の姪パトリシア・オーウェンズ、主人公の友人である牧童のスチュアート・ホイットマン、主人公を支援する銀行の頭取も兼ねる連邦保安官のアルバート・デッカー、主人公が世話になる牧場主のハロルド・J・ストーン、主人公の仲間ロイヤル・ダノ、ダグラス・ファウリー、酒場の女ジーン・ウイルズ、イエフ(リチャード・イーガン)の手下スティーブ・ダレル、自警団を組織するトム・グリーンウェイ、聖職者のネルソン・リー、弁護士のネッド・ウィーバー、他エドモンド・コッブ、ジョージ・デノーマンド、フレッド・グラハム、ファジー・ナイト、トム・スティール、テッド・ホワイト、ベン・ライトなどが共演している。