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剃刀の刃 The Razor’s Edge (1984)

1944年に発表された、ウィリアム・サマセット・モームの小説”The Razor’s Edge”を基に製作された作品。
戦争で心に傷を負った青年が様々な経験を得て人生を見つめ直す姿を描く、監督、脚本ジョン・バイラム、脚本、主演ビル・マーレイテレサ・ラッセルキャサリン・ヒックスデンホルム・エリオットジェームズ・キーチ他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ジョン・バイラム

製作
ハリー・ベン
ロバート・P・マルクッチ
製作総指揮:ロブ・コーエン
原作:ウィリアム・サマセット・モームThe Razor’s Edge
脚本
ジョン・バイラム
ビル・マーレイ
撮影:ピーター・ハンナン
編集:ピーター・ボイル
音楽:ジャック・ニッチェ

出演
ラリー・ダレル:ビル・マーレイ
ソフィー・マクドナルド:テレサ・ラッセル
イザベル・ブラッドリー:キャサリン・ヒックス
エリオット・テンプルトン:デンホルム・エリオット
グレイ・マチューリン:ジェームズ・キーチ
マッケンジー:ピーター・ヴォーン
ピードモント:ブライアン・ドイル=マレー
ルイーザ・ブラッドリー:フェイス・ブルック
ラーズ:サイード・ジャフリー
ダグ・ヴァン・アレン:リチャード・オールドフィールド
ジョセフ:アンドレ・マランヌ
マチューリン:ブルース・ボア

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1984年製作 129分
公開
北米:1984年10月19日
日本:未公開
製作費 $13,000,000
北米興行収入 $6,551,990


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1917年、イリノイ州、シカゴ近郊、レイクフォレスト
アメリカは第一次世界大戦に参戦していなかったものの、医療奉仕団は戦地に向かうことになり、フェアが開催される。

グレイ・マチューリン(ジェームズ・キーチ)とラリー・ダレル(ビル・マーレイ)は、救急医療車の運転手に志願しする。

ラリーは、キスして1ドルの寄付を集めていた恋人イザベル・ブラッドリー(キャサリン・ヒックス)に襲いかかり、強引にキスしてしまう。

母ルイーザ(フェイス・ブルック)と伯父のエリオット・テンプルトン(デンホルム・エリオット)の話に加わったイザベルとラリーは、親友のソフィー・マクドナルド(テレサ・ラッセル)と夫のボブが現れたために喜ぶ。
...全てを見る(結末あり)

夜になり、幼馴染のラリーとソフィーは、かつては結婚すると思っていたことなどを話し、皆と共に花火を見て過ごす。

戦地に着いたラリーとグレイは、同僚になるマルコムと指揮官のピードモント(ブライアン・ドイル=マレー)に迎られ、非戦闘員でありながら銃を渡される。

そこに豪華な車両に乗ったハーバード大学のダグ・ヴァン・アレン(リチャード・オールドフィールド)とライアンが現れ、ピードモントは、場違いな2人を見て驚く。

3台で出発したピードモントは途中で休息し、アレンとライアンの車のライトと窓を割り泥をかける。

それを見たラリーも、自分の車の窓を銃撃する。

戦場に着いたピードモントは負傷者を乗せて、止まらずに走るようラリーらに指示して出発する。

指示に従わずに途中で止まったアレンとライアンの車は、爆撃を受けて大破する。

その後ラリーは、イザベルを思いながら、過酷な状況で日々を送る。

アメリカも参戦したある日、ピードモントらは敵に襲われる。

ラリーを助けようとしたピードモントは殺され、現れた味方が敵を撃退する。

終戦を迎え、グレイと帰国したラリーは、生存者としての罪悪感に苦しみ、人生が変わってしまったことに気づく。

ラリーは、株式仲買人としてグレイの父(ブルース・ボア)の下で働くことも考えた。

イザベルとの結婚を延期したラリーは、彼女を失望させてしまう。

ボブとの結婚生活を続けるソフィーは、息子も生まれていた。

結婚延期を母ルイーザに話したイザベルは、1人になりたいと言うラリーはパリに行く予定だと伝える。

パリ在住のエリオットは、アメリカ人は独身の内にパリを経験しておくべきだと言ってラリーの気持ちを理解し、それで結婚に対する不安も解消されるはずだとイザベルに伝える。

エリオットは、ラリーの面倒を見ることをイザベルに約束し、船も手配して彼を旅立たせる。

数か月後、パリ
ルイーザと共にエリオットに歓迎されたイザベルは、豪華な屋敷は自分に譲るつもりだと言う伯父の話を聞く。

エリオットは、ラリーは優雅な暮らしの誘いも断り、安宿で質素に生活していることをイザベルはに話す。

ラリーと再会したイザベルは楽しい時を過ごし、彼が普段は読書をしながら、市場で魚の箱詰めの仕事をしていることを知る。

帰国してマチューリンの仕事をするつもりがないラリーは、なんとか生活はできると言って、結婚することをイザベルに提案する。

イザベルは、そんな生活ができるはずがないと言ってラリーを批判し、指輪を返す。

今の自分に満足していると言うラリーは、優雅な生活をして人生を無駄にしたくないとイザベルに伝え、彼女と共にアパートに向かう。

その場で一夜を過ごしたイザベルは、生活環境の悪さに驚き屋敷に戻る。

屋敷を訪ねたラリーは、エリオットから、イザベルがルイーザと帰国したことを知らされて苛立つ。

その後、イザベルはグレイと結婚し、ソフィーはラリーのことが気になる。

炭鉱でも働くラリーは、親しくなったマッケンジー(ピーター・ヴォーン)から、インドの魅力を教えてもらう。

マッケンジーから”ウパニシャッド”を借りたラリーは、インドに行くことを勧められる。

その頃、事故に遭ったソフィーはボブと息子を亡くし、イザベルはグレイと共に病院に向かう。

見舞いに来てくれたイザベルに事故のことを話すソフィーは、神の思し召しだと言う看護師の言葉を聞いて取り乱してしまう。

インド
現地に到着したラリーは、ラーズ(サイード・ジャフリー)と知り合い、彼と共に山岳地帯の仏教の僧院に向かい、ラマに歓迎される。

一方、大恐慌の影響を受けたマチューリンは財産を失って自殺し、グレイはショックを受けて精神的に不安定になる。

ラリーは、ラマの勧めで本を持参して山に向かう。

雪山で一人瞑想するラリーは、薪の代わりに書物を燃やし、山並みを見つめながら心の平穏を得る。

僧院に戻ったラリーは下山する決心をして、ラマから、”救いの道は、剃刀の刃を渡るが如く険しい”という言葉を授かり旅立つ。

パリに戻ったラリーは、執事のジョセフ(アンドレ・マランヌ)と市場で買い物をしていたエリオットに出くわす。

ラリーは、生活が破綻して失業中のグレイが、イザベルと娘たちと共に屋敷で暮らしていることをエリオットから知らされる。

屋敷を訪ねたラリーは、イザベルと娘たちに迎えられる。

ラリーは、精神を病み頭痛で苦しむグレイの心を癒す。

回復したグレイはイザベルと出かけられるようになり、ラリー3人でダンスを楽しむ。

クラブでソフィーに再会したラリーは、別人のような彼女に驚き、ボブと息子が事故死したことを知る。

酒に溺れアヘンを吸い売春婦となったソフィーのヒモ、ココが現れ、ラリーは彼を相手にせずソフィーを連れ出す。

ラリーとソフィーは、帰ろうとするグレイとイザベルと共に車に乗り、アパートの途中まで送ってもらう。

ラリーの部屋で一夜を過ごしたソフィーは、翌朝、帰ろうとするが、部屋の壁塗りを手伝わされる。

その後、ラリーとの生活を楽しむソフィーは、アヘンをやめて禁酒する。

ある日ラリーとソフィーは、グレイとイザベルが待つ、エリオットがセッティングした食事に招待されてレストランに向かう。

ウェイターに勧められた”ズブロッカ”を皆で飲もうとするエリオットだったが、ソフィーは遠慮する。

ラリーとソフィーが結婚することを知ったイザベルは驚き、グレイとエリオットは2人を祝福する。

イザベルは、結婚祝いだと言ってソフィーにドレスをプレゼントしようとする。

イザベルと屋敷に向かったソフィーは、彼女が未だにラリーを愛していると考える。

それを認めたイザベルは、ラリーと一緒に暮らしても支えになれるとも思えないとソフィーに伝える。

贅沢な暮らしを選びラリーを捨てたイザベルを批判したソフィーは、愛する夫と息子を失った自分は、もう一度やり直したいとイザベルに伝える。

酒と薬漬けではラリーの重荷になるだけだと言われたソフィーは、イザベルが電話で呼ばれた間、ボブと息子の写真を見ながら動揺する。

子供を歯医者に連れて行くことになったイザベルは、戻ったら買い物に出かけるとソフィーに伝える。

イザベルは、エリオットが持ち帰ったズブロッカを、お茶と共にソフィーに出すようジョセフに指示して出かける。

その夜、戻らないソフィーを捜すラリーは、アヘン窟でココと一緒の彼女を見つける。

帰ろうと言われたソフィーは、この場が家だとラリーに伝えて断る。

ココらに襲われたラリーは痛めつけられ、外に放り出される。

翌朝、アパートで目覚めたラリーは、現れた警官と共に遺体安置所に向かう。

ラリーは、喉を切られて殺され川に捨てられていたソフィーの遺体を確認し、警官から関係を訊かれて婚約者だと答え、彼女にキスする。

その後ラリーは、心臓発作でエリオットが倒れたという連絡を受けて屋敷を訪ねる。

ジョセフは、エリオットがノブマリ王女の晩餐会の招待を心待ちにしていたことをラリーに話す。

ラリーは、その場にあった封筒を招待状に見せかけよう考え、悲しむイザベルと話をする。

ソフィーがココらに殺されたことをイザベルに話したラリーは、ソフィーが禁酒を破った理由を知りたがる。

ラリーに責められたイザベルは、いずれソフィーに失望させられたと伝える。

愛していると言われたラリーは、結果的にソフィーを殺したと言えるイザベルを非難する。

グレイに呼ばれたイザベルはエリオットの元に向かい、ラリーは、ノブマリ王女の仮装舞踏会の招待状を受け取ったことをエリオットに伝える。

欠席する返事を書くと言い残し、エリオットは息を引き取る。

ラリーは悲しむイザベルに、ピードモントの死は一生の借りで、自分は生かされたことに報い入る義務があり、ソフィーに対する気持ちがそれに値すると伝える。

ラリーから、せべてこれで終わりだと言われたイザベルは、子供たちの部屋に向かう。

グレイとの友情を確認したラリーは、ジョセフに故郷に戻ることを伝える。

ジョセフに故郷を訊かれたラリーはアメリカだと答え、その場を去る。


解説 評価 感想

*(簡略ストーリー)
1917年、イリノイ州、シカゴ近郊、レイクフォレスト
アメリカは第一次世界大戦に参戦していなかったものの、ラリー・ダレルと親友のグレイは、医療奉仕団として戦地に向かうことになる。
恋人イザベルや、かつて惹かれ合っていたソフィーらとの時間を過ごし、ラリーとグレイは戦地に向かう。
終戦で帰国したラリーは、生存者としての罪悪感に苦しみ、イザベルとの結婚を延期して、人生を見つめ直すために1人でパリに向かうのだが・・・。
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ウィリアム・サマセット・モームの小説”The Razor’s Edge”を基に製作された作品で、1946年公開の「剃刀の刃」に続く二度目の映画化。

脚本家として活躍していたジョン・バイラムが、「ボーイ・ワンダーの孤独」(1975)、”Heart Beat”(1980)に続き監督した。

ジョン・バイラムは、本作でも主演のビル・マーレイと共同で脚本を担当しているが、撮影スタジオ探しに苦労し、ダン・エイクロイドが手を貸しコロンビア・ピクチャーズの協力を得られ、それと引き換えにビル・マーレイが、亡くなった主演を演じる予定だったジョン・ベルーシの代役として「ゴーストバスターズ」(1984)の出演を受けたという経緯がある。

第一次大戦大恐慌時代を舞台にしたドラマなのだが、主人公を演ずるビル・マーレイのコメディアンとしての才能を活かし、彼自身の脚本により随所に挿入される、ユーモラスなシーンなどが注目だ。

主演のビル・マーレイは、戦争体験により心に傷を負い、人生を見つめ直すために様々な体験をする青年を熱演している。

かつて主人公と愛し合い、他の男性との結婚後も彼に思いを寄せるテレサ・ラッセル、彼女の友人でもある主人公の婚約者キャサリン・ヒックス、別人となった主人公を諦めた彼女と結婚するジェームズ・キーチ、イザベル(キャサリン・ヒックス)の伯父でパリ在住の富豪デンホルム・エリオット、主人公にインド行きを勧める炭鉱夫のピーター・ヴォーン、戦場で主人公を助けて死亡する医療班の指揮官ブライアン・ドイル=マレービル・マーレイの実兄)、イザベルの母親フェイス・ブルック、主人公がインドで出会う男性サイード・ジャフリー、主人公と共に医療班として行動し戦死するリチャード・オールドフィールド、エリオット(デンホルム・エリオット)の執事アンドレ・マランヌ、グレイ(ジェームズ・キーチ)の父親ブルース・ボアなどが共演している。


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