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THE PROMISE/君への誓い The Promise (2016)

オスマン帝国による”アルメニア人虐殺”を描く、監督、脚本テリー・ジョージ、主演オスカー・アイザックシャルロット・ルボンクリスチャン・ベールショーレ・アグダシュルーラデ・シェルベッジア他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(歴史劇)


スタッフ キャスト
監督:テリー・ジョージ
製作
エリック・エスライリアン
マイク・メダヴォイ
ウィリアム・ホーバーグ
脚本
テリー・ジョージ
ロビン・スウィコード
撮影:ハビエル・アギーレサロベ
編集:スティーヴン・ローゼンブラム
音楽:ガブリエル・ヤレド

出演
ミカエル・ボゴシアン:オスカー・アイザック
アナ・ケサリアン:シャルロット・ルボン
クリストファー”クリス”マイヤーズ:クリスチャン・ベール
アントレアシアン神父:ダニエル・ヒメネス・カチョ
マルタ・ボゴシアン:ショーレ・アグダシュルー
スティーヴン:ラデ・シェルベッジア
ハルト:アベル・フォルク
メリル牧師:アンドリュー・ターベット
マラル:アンジェラ・サラフィアン
アリ大尉:アーミン・アミリ
エムレ・オーアン:マーワン・ケンザリ
メスロブ・ボゴシアン:イガル・ノール
エリック・ボゴシアン:ガレン・ボヤジアン
ヴァルタン・ボゴシアン:ケヴォルク・マリキャン
ムスタファ:ヌーマン・アジャル
セルグ:ローマン・ミティチャン
ルイ・ダルテージュ・デ・フルネ提督:ジャン・レノ
ガリン:トム・ホランダー
フランス軍大尉:ジャン・クロード・リケブール
ヘンリー・モーゲンソウジェームズ・クロムウェル
レナ・ボゴシアン:アリシア・ボラチェロ
ブラッド:マイケル・スタール=デヴィッド
マザール:オスマン・ソイカット
ドイツの援助隊員:マルクス・オーバーハウザー
ヨーロッパの学生:スコット・グリーンリーズ
タラート・パシャ:アーロン・ニール
コミタス:シュノルク・サルグシアン
メフメット:マルコ・カーン

アメリカ 映画
配給 オープン・ロード・フィルムズ
2016年製作 134分
公開
北米:2017年4月21日
日本:2018年2月3日
製作費 $90,000,000
北米興行収入 $8,224,290
世界 $12,448,680


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
第一次大戦前夜、崩壊寸前となったかつての大国オスマン帝国で、アッシリア人、ギリシャ人、アルメニア人は共存のバランスを取っていた。

1914年、南アナトリア、シルン。
アルメニア人である代々続く薬剤師のミカエル・ボゴシアン(オスカー・アイザック)は、コンスタンティノープルで医療を学ぶのが夢だった。

しかし、学費が足りなかったミカエルは、資産家の娘マラル(アンジェラ・サラフィアン)と婚約し、彼女の持参金を学費にしようとする。

その祝宴が開かれる当日、ミカエルは母親のマルタ(ショーレ・アグダシュルー)から、婚約することが本心か訊かれ、そのつもりだと答える。

父ヴァルタン(ケヴォルク・マリキャン)から、いとこのメスロブ(イガル・ノール)に世話になるようにと言われたミカエルは、マラルの父親ハルト(アベル・フォルク)から、持参金の金貨400枚を受け取る。

マラルと話をしたミカエルは、通常は3年かかるところを2年で卒業することを伝えて旅立つ。
...全てを見る(結末あり)

コンスタンティノープル
商人として成功しているメスロブに歓迎されたミカエルは、彼の屋敷に向かい妻レナ(アリシア・ボラチェロ)や娘イェヴァを紹介される。

ミカエルは、パリから戻った家庭教師のアナ・ケサリアン(シャルロット・ルボン)のこともメスロブから知らされる。

早速、医学大学に通い始めたミカエルは、政府高官の息子エムレ・オーアン(マーワン・ケンザリ)と知り合う。

屋敷に戻ったミカエルはアナに挨拶し、彼女が画家を目指していることを知る。

その後、エレムと親交を深めたミカエルは、アナから、恋人である”AP通信”のアメリカ人ジャーナリスト、クリストファー”クリス”マイヤーズ(クリスチャン・ベール)を紹介される。

クリスは、知人だったエレムとの再会を喜びアナを紹介し、4人はクラブに向かい楽しむ。

数日後、ミカエルとアナそしてクリスはエレムの誕生パーティーに招待される。

アナと様々な話をしたミカエルは、借金で苦労した彼女の父親が自殺したことを知る。

その後、酒に酔ったクリスが、招待客のドイツ兵士を侮辱して揉め事を起こし、気分を害したアナはその場を去る。

ホテルに戻ったクリスは、持論を曲げないもののアナに謝罪する。

1914年10月29日。
オスマン帝国は参戦し、ミカエルは徴兵検査を受け、医学生であるために兵役を免除されるはずだったものの認められない。

免除されたエレムが係官に金を渡し、父の名前を出してミカエルを救う。

その後、クリスは惨事が起きているコンヤに向かうことになり、アルメニア人であるアナに危険だと伝えて出かける。

エレムは、アルメニア人を助けたことで父と恩師から批判されるものの、正しい行いだと信じる。

アナのことが気になる存在となったミカエルは、メスロブから、クリスとうまくいっていない彼女と付き合うことを勧められるものの、婚約しているマラルの持参金で勉強できていると伝える。

メスロブから、持参金に上乗せして支援すると言われたミカエルだったが、約束は破れないと伝える。

コンヤに向かうクリスは、迫害を受けるアルメニア人が容赦なく殺される現場を目撃する。

コンスタンティノープル市内も混乱し、アナと教会から戻るミカエルは、暴動を起こす者と争いになり負傷し、ホテルの主人に匿ってもらう。

部屋を提供されたミカエルとアナは、互いを求め合う。

アナと愛し合い一夜を過ごしたミカエルは、クリスと話し合うと言う彼女と共にホテルに向かう。

クリスに責められたアナだったが、メスロブの屋敷が襲われたことを知り、ミカエルと共にその場を去る。

レナから、メスロブが反逆罪で逮捕され刑務所に入れられたことを知らされたミカエルは、金貨を持ち出してエレムに助けを求める。

エレムと共に刑務所に向かったミカエルは、係官に金貨を渡すものの逮捕されてしまう。

その場にいた父に呼ばれたエレムは、家族の名誉のために兵役に就くことを指示される。

アナは、ミカエルが戻らないために、レナや子供たちを連れてホテルに向かい、クリスに彼女らを紹介する。

レナを歓迎したクリスは、アナの表情を見てすべてを察する。

6か月後、アナトリアトロス山脈
重労働を課せられたいたミカエルは、元道路建設隊のガリン(トム・ホランダー)の協力で、その場から脱走する。

通過した貨物車に飛び乗ったミカエルは、それが捕らえられたアルメニア人の移送列車だと気づき、扉を開けようとするものの川に落ちてしまう。

ある民家にたどり着き、夫妻に世話になったミカエルは、シルンに向かうものの、村のアルメニア人は迫害されていた。

家に戻ったミカエルは、ヴァルタンとマルタとの再会を喜ぶものの、すべてを奪われたことを知る。

翌朝、マラルに起こされたミカエルは、ハルトから、山の小屋に向かい結婚することを指示される。

複雑な心境のミカエルは、好きな女性がいるのでマラルとは結婚できないことをマルタに伝える。

マルタに説得されたミカエルは、小屋に向かいマラルと結婚し、新生活を始める。

マラルからコンスタンティノープルのことを訊かれたミカエルは、その素晴らしさを語りながら”別の世界”だと答える。

オスマン帝国南部、プロテスタント系布教本部。
アナと共に到着したクリスは、メリル牧師(アンドリュー・ターベット)に迎えられ、大使館からの書簡と救援基金を持参したことを伝えて喜ばれる。

クリスは、孤児を国外に脱出させる手助けをすることをメリルに伝えて、港に向かうことになる。

しかしクリスは、アナの要望で、レナを連れてシルンに向かうことにする。

マルタらに迎えられたレナは、助けてくれたアナとクリスを紹介する。

アナがミカエルの友人だと知ったマルタは、息子は死んだと伝える。

動揺するアナは、レナとイェヴァらのことをマルタに任せてその場を去る。

ミカエルは、体調不良のマラルから、子供ができたかもしれないと言われて喜ぶ。

布教本部を訪ねたマザール(オスマン・ソイカット)は、早急に子供たちを逃がすようメリルに指示し、クリスには国外退去を命ずる。

具合が悪いマラルを実家に連れて行ったミカエルは、その場にレナがいたために驚き、メスロブは戻っていないことを知る。

ミカエルは、レナらがアナたちに連れて来られ、自分が死んだことになっていることを知り動揺する。

マルタから山に戻るようにと言われたミカエルは、皆に危険が迫っていると伝えて逃げることを考える。

布教本部に向かったミカエルはアナと再会し、クリスは、二人が抱き合う姿を見つめる。

レナから国外に脱出する方法があると聞いていたミカエルは、家族も逃がしたいことをアナに伝える。

ミカエルから妻がいると言われたアナは、出会った時に既に婚約者がいたことを知りショックを受けて立ち去る。

アナから、ミカエルの家族を救いたいと言われたクリスは、子供たちを連れてバセクに向けて出発する。

途中、銃声に気づいたミカエルはクリスと様子を見に行き、実家の馬と共に、レナが連れ去られる様子を目撃して動揺する。

付近では多くの人々が殺され、父とマラルの遺体を確認したミカエルは泣き崩れる。

ミカエルは息があったマルタを、クリスは母レナを捜すイェヴァを助ける。

兵士に見つかったクリスとミカエルは馬車に戻り、アナと子供たちと共に逃げる。

おとりになったクリスは、兵士にアメリカ人記者だと伝えるものの捕らえられる。

何とか逃げ延びたアナは、怯えるイェヴァを落ち着かせながら、ミカエルから、レナら家族は皆、死んだことを知らされる。

拘束されたクリスは、地区司令官にスパイと断定される。

移動するバセクの村長スティーヴン(ラデ・シェルベッジア)と農民に出くわしたミカエルとアナは、メリルから話を聞いていたアントレアシアン神父(ダニエル・ヒメネス・カチョ)に会い行動を共にする。

コンスタンティノープル、セリミエ兵舎。
連行されたクリスは、会いに来たエレムに助けを求め、記事を否定する書面への署名を拒む。

砂漠に向かうつもりがない村長は、村人を説得して戦うことを考え、ミカエルは、このままでは虐殺されることを皆に伝える。

それが現実だと言う村長は、モーセ山に避難して戦おうとする。

内務省。
アメリカ大使ヘンリー・モーゲンソウジェームズ・クロムウェル)は、タラート・パシャ大臣(アーロン・ニール)に会い、クリスがスパイである証拠となる記事を見せられるものの、移送と偽るアルメニア人虐殺を非難し、それを記者として伝えようとしただけだと主張する。

クリスの釈放を要請するモーゲンソウは、危害を加えればアメリカへの攻撃とみなすと伝えてその場を去る。

村長は、山の中腹に向かい、その場を拠点として戦いに備える。

アナの手当てを受けたマルタは、彼女がミカエルが愛した女性であることを確認し、自分がマラルと結婚させたことを伝える。

釈放されたクリスは、モーゲンソウからマルタに追放されることを知らされる。

通報があり助けたことも知ったクリスは、アントレアシアン神父に連絡して、アナと子供たちが着いたか調べてほしいとモーゲンソウに伝え、感謝して別れる。

司令官に呼ばれたエレムは、モーゲンソウに通報した文章を読まされ、反逆罪により処刑される。

軍が迫り、兵士の警告を無視する村長らは、犠牲者を出しながら勇敢に戦う。

銃をうまく扱えなかったミカエルは、負傷者の手当てをする。

モーセ山の抵抗を知った司令官は、援軍を向かわせる。

マルタ
クリスは、出撃するフランス艦隊の司令官ルイ・ダルテージュ・デ・フルネ提督(ジャン・レノ)に同行の許可を求め、アメリカの参戦を望むなら現状を知らせるべきだと言って説得する。

村長らは海岸を見下ろす場所に移動し、アナは、マルタが息を引き取ったことに気づく。

母を埋葬したミカエルは、家族がイェヴァと自分だけになったことをアナに話しながら、誰も生き返らないが復讐したいと伝える。

生き残ることが復讐だと言われたミカエルは、アナを抱きしめる。

到着した増強部隊の攻撃が始まり、フランス艦も海岸に近づき、村長は人々を海岸に向かわせる。

フルネ提督は救命船を海岸に向かわせ、クリスも同行する。

海岸に着いたクリスはアナと子供たちを見つけて、ミカエルが後方にいることを知る。

クリスに再会したミカエルは、アナと子供たちを救命船に乗せて軍艦に向かう。

クリスは、ミカエルとアナが抱き合う姿を見つめる。

砲撃を受けた船は転覆し、子供たちを助けようとするクリスとミカエルは海に飛び込む。

イェヴァを助けようとしたミカエルは、アナを救うことができなかった。

クリスは、イェヴァを抱いて軍艦に乗船したミカエルにアナのこと尋ね、彼女が助からなかったことを知り悲しむ。

その後、エジプトの難民キャンプに着いたミカエルは、イェヴァと子供たちと共にアメリカに向かう。

クリスは、”スペイン内戦”取材中の1938年に亡くなった。

1942年、マサチューセッツ州、ウォータータウン
イェヴァを養子にして育てたミカエルは、医大を卒業後に開業した。

日本軍が真珠湾を攻撃してイェヴァは婦人部隊に入り、海兵隊中尉と恋に落ちて結婚することになる。

孤児たちも招待したイェヴァの結婚式でスピーチするミカエルは、両親やアナに祝ってもらいたかったと思っている娘に、彼らはここにいると伝える。

ミカエルは、出席者の家族も全員ここにいる、生きていると語る。
__________

1915年9月12日、フランス海軍は4000人以上のアルメニア人をモーセ山から救出した。

20世紀初の大量虐殺で、150万人のアルメニア人が虐殺された。

トルコ政府は、この罪を今日まで認めていない。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1914年、オスマン帝国、南アナトリア、シルン。
アルメニア人の薬剤師ミカエル・ボゴシアンは、資産家の娘マラルと婚約し、その持参金でコンスタンティノープルに向かい医療を学ぶことになる。
コンスタンティノープルの商人で、父のいとこメスロブに世話になったミカエルは、美しい家庭教師のアナに出会う。
高官の息子エレムと大学で親しくなったミカエルは、彼の友人でもあるアナの恋人で”AP通信”の記者クリスを紹介される。
その後、移送と偽る軍によるアルメニア人の迫害が始まり、逮捕されたメスロブを助けようとしたミカエルだったが、捕らえられて労働キャンプに送られてしまう・・・。
__________

ホテル・ルワンダ」(2004)でアカデミー脚本賞にノミネートされたテリー・ジョージが、本作でも脚本を兼ねて監督した作品。

19世紀末から20世紀初頭にかけてオスマン帝国が行った、アルメニア人の強制移住および虐殺事件を基に製作された作品。

エンディングでも紹介されるが、20世紀初の大量虐殺を描いた作品であるために残虐非道な内容やシーンが多く、鑑賞するのに覚悟がいる作品でもある。

同じく明記される、この事件をトルコ政府が認めていないため、現地での撮影はできず、ロケはスペインなどで行われた。

主演のオスカー・アイザックは、激動の時代を生き抜くアルメニア人青年を好演している。

主人公を愛するようになるアルメニア人の家庭教師シャルロット・ルボン、彼女の恋人である”AP通信”の記者クリスチャン・ベール、彼らの脱出に協力する神父ダニエル・ヒメネス・カチョ、主人公の両親ショーレ・アグダシュルーケヴォルク・マリキャン、主人公らと共に戦う村の村長ラデ・シェルベッジア、主人公の婚約者で妻になるアンジェラ・サラフィアン、その父親アベル・フォルク、宣教師の牧師アンドリュー・ターベット、主人公の友人であり学友で高官の息子マーワン・ケンザリアルメニア人救出に向かうフランス海軍ルイ・ダルテージュ・デ・フルネ提督のジャン・レノ、アメリカ大使ヘンリー・モーゲンソウジェームズ・クロムウェル、主人公のおじイガル・ノール、その妻アリシア・ボラチェロ、主人公らの協力者ヌーマン・アジャル、重労働キャンプで主人公の脱走に協力するトム・ホランダーフランス軍大尉のジャン・クロード・リケブール、他、ガレン・ボヤジアンローマン・ミティチャンマイケル・スタール=デヴィッドオスマン・ソイカットマルコ・カーンなどが共演している。


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