1925年に発表された、サマセット・モームの小説”The Painted Veil”を基に製作された作品。 (3度目の映画化) 妻の不貞を許せない細菌学者の”復讐”に近い仕打ちと夫婦関係の修復を描く、製作総指揮、監督ジョン・カラン、製作、主演エドワード・ノートン、ナオミ・ワッツ、共演トビー・ジョーンズ、ダイアナ・リグ、リーヴ・シュレイバー、アンソニー・ウォン他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・カラン
製作
エドワード・ノートン
ナオミ・ワッツ
サラ・コレトン
ジャン=フランソワ・フォンリュー
ボブ・ヤーリ
製作総指揮
マーク・ゴードン
ロバート・カッツ
ジョン・カラン
ロン・ナイスワーナー
原作:サマセット・モーム”The Painted Veil”
脚本:ロン・ナイスワーナー
撮影:スチュアート・ドライバーグ
編集:アレクサンドル・デ・フランチェスキ
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演
ウォルター・フェイン:エドワード・ノートン
キティ・ガースティン・フェイン:ナオミ・ワッツ
ワディントン:トビー・ジョーンズ
修道院長:ダイアナ・リグ
チャールズ・タウンゼント:リーヴ・シュレイバー
ドロシー・タウンゼント:ジュリエット・ハウランド
ユー大佐:アンソニー・ウォン
ガースティン:アラン・デヴィッド
ウー・リエン:シア・ユイ
アメリカ 映画
配給 ワーナー・インディペンデント・ピクチャーズ
2006年製作 125分
公開
北米:2006年12月20日
日本:未公開
製作費 $19,400,000
北米興行収入 $8,060,490
世界 $26,522,840
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1925年、中国。
細菌学者のウォルター・フェイン(エドワード・ノートン)は、妻のキティ(ナオミ・ワッツ)と共に、奥地の田舎町メイ・タン・フーに向かう。
真面目で社交性もないウォルターとの関係に疑問を抱き、上海で問題も起きたキティは、彼と出会った時のことを考える。
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ロンドン。
パーティーでウォルターと知り合ったキティは、彼が上海の研究所の主任研究員であることを父親(アラン・デヴィッド)から知らされ、両親と結婚についてなどを話す。
上流階級で何不自由なく育ち気ままに生きるキティは、人生を縛られることを嫌い、両親の助言も快く思わない。
訪ねて来たウォルターから、父親に呼ばれたと言われたキティは、彼からプレゼントを受け取り二人で出かける。 ようやく迎えが到着し、ウォルターとキティは、カゴに乗って目的地に向かう。 ロンドン。 うまく愛情を表現できないウォルターは本気だと言って、直に中国に戻るので率直に離したと伝える。 即答できないと伝えようとしたキティだったが、ウォルターから、全力で幸せにすると言われ、知り合ったばかりだったために動揺する。 帰宅したキティは、母が電話の相手に、自分の結婚のことは諦めているという話を聞いてしまう。 上海。 副領事のチャールズ・タウンゼント(リーヴ・シュレイバー)と妻ドロシー(ジュリエット・ハウランド)からディナーに誘われたことをキティに伝えたウォルターは、一度、会ったことがある夫人に良い印象を持っていないと言われる。 誘いを受けることにしたウォルターとキティは、チャールズとドロシーと共に京劇を楽しむ。 その後、チャールズと不倫関係になったキティは、ウォルターに知られたと思う。 メイ・タン・フーに向かうキティは、よそよそしいウォルターの態度を気にする。 上海。 同行を拒むキティに、嫌なら離婚を申請することを伝えたウォルターは、自分をバカにする気かと言いながら、原因は不貞行為だと伝える。 離婚の際にチャールズの名前も出すと言われたキティは謝罪し、事を荒立てないでほしいので、円満に離婚させてほしいとウォルターに伝えて理解を求める。 恋に落ちたチャールズから求婚されていると言うキティは、ウォルターから同行するか離婚かを問われ、自分に愛がないと知りながれ結婚したのなら同罪だと伝える。 それならば考えがあると伝えたウォルターは、あることをキティに提案する。 チャールズの元に向かい、ウォルターにバレていたために離婚されると伝えたキティは、不貞を認めたことを話す。 ウォルターから、円満な離婚は認めるが、ドロシーが離婚に応じ自分達が結婚するという条件を出されたとチャールズに伝えたキティは、妻は巻き込めないと言われる。 チャールズから、ドロシーが承知するはずもなく、立場上無理な話だと言われたキティは、ウォルターは離婚する気などなく、始めから見抜いていたと伝えてその場を去る。 メイ・タン・フーに着いたウォルターとキティは、粗末な家で暮らすことになる。 その夜キティは、ウォルターから食事に招かれたと言う副弁務官のワディントン(トビー・ジョーンズ)と話す。 共産軍のユー大佐(アンソニー・ウォン)に協力を求めることを考えるウォルターだったが、ワディントンから、彼はイギリス人を嫌い、この地も情勢が不安定なのは一緒だと言われる。 この場の住民は、コレラではなく国民党軍に殺される可能性があると言うワディントンは、自分は任地なので仕方がないが、ウォルターが志願したことには驚いていた。 コレラの死についてウォルターに尋ねたキティは、激痛を伴い、脱水症状となり36時間で死ぬと言われる。 翌朝、町の見回りに出かけるウォルターは、ユー大佐の配慮で兵士サン・チンが警備することをキティに伝えて、異国人に対する危険を知らせる。 ユー大佐と町を見回ったウォルターは、検査が終わるまで井戸を封鎖しようとする。 医師ウー・リエン(シア・ユイ)と共に患者を見て回ったウォルターは、その様子に驚く。 チャールズのことが忘れられないキティは、彼に手紙を書きワディントンの元に向かい、彼が現地の女性ワン・ツィーと一緒にいることに気づく。 上海に手紙を出したいと伝えたキティは、コレラを恐れた郵便配達人が町に近づかないと言われる。 出張する知人に頼むと言って手紙を受け取ったワディントンは、知人のチャールズ宛だと知り、彼には浮気癖があったとキティに伝える。 手紙を渡すのをやめたキティは、家に戻りそれを破いてしまい、悔し涙を流す。 息が詰まるような生活にウンザリするキティは、自分に無関心なウォルターに反発する。 その後、感染源が井戸だと分かったウォルターは、それを封鎖したために人々から非難される。 我慢の限界に達したキティは、ワディントンの元に向かうものの、留守だったために戻ろうとする。 コレラで死んだ老人に近づこうとしたキティは、戻ってきたワディントンに止められる。 この地は女性がくる場所ではないと言うワディントンは、ウォルターが妻を連れてくると知って驚いたが、二人が愛し合っていないことに気づいたと伝える。 その夜、ウォルターから、修道院長(ダイアナ・リグ)が会いたがっていると言われたキティは、ワディントンに案内されて彼女を訪ねる。 修道院長に歓迎されたキティは信仰について訊かれ、イングランド国教会には属しているが、熱心な信者ではないことを正直に話す。 修道院と孤児院を案内されたキティは、診療室もあることを知り、修道院長から、コレラ患者が増える一方であり、ウォルターは献身的に尽くしていると言われる。 その夜、関係を改善しようとしたキティは、ウォルターと話し合おうとするものの相手にされない。 自分を嫌う理由を尋ねたキティは、ウォルターから、君を愛した自分自身が嫌いだと言われ、傷ついて涙する。 ウォルターは、そんなキティが気になる。 その後、修道院長を訪ねたキティは、協力を申し出て手伝いをすることになる。 患者の遺体の埋葬地の川の下流から菌が検出されたことを知ったウォルターは、川での水遊びを禁止させるようユー大佐に指示する。 水の供給は800m上流にするしかないと言うウォルターは、遺体も即日、埋葬するようユー大佐に要請する。 キティが修道院を手伝っていることを知ったウォルターは驚く。 ウォルターは、遺体を即、埋葬する件で町の人々から理解を得られない。 キティと話したウォルターは、西洋人の女性が町を歩いては危険だと伝える。 口出ししないでほしいと言うキティは、町の水の供給源を止めたと話すウォルターに、今後どうするか尋ねる。 分からないと言うウォルターに、自分も修道院では役立たずだと話すキティは、無力という共通点ができたと彼に伝える。 遺体の埋葬地よりも上流から町に水を引くことを考えたウォルターは、それをユー大佐に話して、将軍に協力を求めるものの、それを断られる。 しかし、ユー大佐に説得された将軍は、兵士を派遣させる。 町に戻ったウォルターは、子供達にピアノを弾くキティが喜ばれていることを知る。 その夜、ウォルターと話したキティは、率直な考えを語り合い、わずかではあるが歩み寄ることができる。 人々の反感は次第に強まり、修道院を閉鎖したユー大佐は、西洋人は外出しないようにとウォルターに忠告する。 キティが修道院から家に戻ったことを知ったウォルターは、人々に襲われそうになっていた彼女を救おうとする。 揉み合いになったウォルターだったが、護衛兵のサン・チンが発砲して人々を威嚇し、三人はその場から逃げる。 ウォルターを訪ねて来たワディントンと、ワン・ツィーのことなどを話したキティは、二人の深い愛を知る。 その後、ウォルターとキティは愛し合う。 翌朝、ウォルターから、町に行かない方がいいと言われたキティは、サン・チンと共に散歩に出かける。 川にいたウォルターと話したキティは、上流の水車から町の中心まで水を引く竹で作った水路の説明を受ける。 楽しい時間を過ごしたキティは、ウォルターと心触れ合うようになる。 修道院で倒れて気を失ったキティは、修道院長から、妊娠したことを知らされる。 戸惑いながらそれをウォルターに知らせたキティは、誰の子か分からないと伝えて謝罪する。 構わないと言うウォルターは、キティを抱きしめる。 その後、水路は完成して人々は喜ぶが、ウォルターは、コレラが広がったために避難してきた村人のことをユー大佐から知らされる。 ウォルターとユー大佐は、避難民が町に入るのことを阻止することができない。 町は混乱して修道院は封鎖され、ウォルターは避難民を山すそに収容して治療する。 ワディントンから、ウォルターが発病したことを知らされたキティは、難民キャンプに向かう。 ベッドに横たわるウォルターから、病状は悪化するために覚悟するようにと言われる。 ユー大佐から、生理食塩水が足りないことを知らされたワディントンは、補給要請はしたが間に合わないと言われる。 キティに許してほしいと言い残したウォルターは、息を引き取る。 ウォルターを埋葬したキティは、ワディントンに別れを告げて町を去り帰国する。 数年後、ロンドン。 ウォルターに声をかけたチャールズだったが、キティは多くを語らずにその場を去ろうとする。 チャールズから、ロンドンには3日間滞在すると言われたキティだったが、彼に別れを告げてその場を去る。 ウォルターから、チャールズのことを誰かと訊かれたキティは、ただの知り合いだと答える。
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...全てを見る(結末あり)
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細菌学者だと言うウォルターから、いきなり結婚を申し込まれたキティは戸惑う。
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家に着いたウォルターとキティは、新婚生活を始めるものの、ウォルターが仕事ばかりしているために、キティは退屈してしまう。
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ウォルターから話があると言われたキティは、長江沿いの内陸の小さな町メイ・タン・フーでコレラが発生したため、現地で働くことに志願したと言われる。
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息子ウォルターと共に花屋を出たキティは、帰国していたチャールズに再会する。
*(簡略ストー リー)
1925年、中国、上海。
細菌学者のウォルター・フェインは、上流階級の令嬢キティと結婚して新婚生活を始める。
仕事に没頭するウォルターに相手にされないキティは、副領事のチャールズと浮気してしまう。
それを知ったウォルターは、すべてを明らかにした離婚か、奥地のコレラ感染地帯赴任への同行をキティに迫る。
仕方なく同行に同意したキティは、ウォルターと共に奥地の町に向かい、副弁務官のワディントンに歓迎される。
コレラの感染源を突き止めるために研究に専念するウォルターは、”復讐”にも近い態度でキティに接し、彼女の相手をしようともしないのだが・・・。
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1934年に公開された、グレタ・ガルボとハーバート・マーシャル共演の”The Painted Veil”、エリノア・パーカーとビル・トラヴァース共演の1957年の”The Seventh Sin”に続く三度目の映画化。
妻の不貞に対する”復讐”のため、危険を顧みずコレラ感染地帯に赴任した細菌学者の行動と、夫婦関係の修復を描くドラマ。
脚本家のジョン・カランが製作総指揮も担当し、彼の作品である「夫以外の選択肢」(2004)の出演者のナオミ・ワッツ、後に「ストーン」(2010)に出演するエドワード・ノートンと組み、それぞれが製作にも加わった作品。
”復讐”に近い感情で、死の覚悟もいるコレラ感染地帯に赴任する細菌学者のとった行動は無謀ではあるが、現地では研究者として誠心誠意、人々に尽くす姿なども丁寧に描かれた作品。
その結果、相容れない考えの妻との関係が次第に心通い合うようになる様子が、繊細且つ自然に描かれている。
主演のエドワード・ノートンは、生真面目で仕事以外のことに興味を示さない人物であり、妻の不貞を許さずに大胆な行動に出るが、結果的にはそれにより人間性を取り戻していく細菌学者を深く演じている。
物語の主人公とも言えるナオミ・ワッツは、夫に不貞を責められ過酷な環境に置かれながらも、次第に成長していく女性を好演している。
主人公らの世話役として親交を深める現地の副弁務官トビー・ジョーンズ、修道院長のダイアナ・リグ、ヒロインと不倫関係になる上海の副領事リーヴ・シュレイバー(この時期ナオミ・ワッツと交際を始めていた)、その妻ジュリエット・ハウランド、共産軍の大佐アンソニー・ウォン、ヒロインの父親アラン・デヴィッド、現地の医師シア・ユイなどが共演している。