サイトアイコン That's Movie Talk!

モーガンズ・クリークの奇跡 The Miracle of Morgan’s Creek (1944)

真面目で気弱な青年が記憶がないまま結婚してしまった心を寄せる女性のために奮闘する姿を描く、製作、監督、脚本プレストン・スタージェス、主演エディ・ブラッケンベティ・ハットンダイアナ・リンウィリアム・デマレスト他共演のスクリューボール・コメディ

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト
監督:プレストン・スタージェス

製作:プレストン・スタージェス
脚本:プレストン・スタージェス
撮影:ジョン・F・サイツ
編集:スチュアート・ギルモア
音楽
レオ・シューケン
チャールズ・ブラッドショウ

出演
ノーヴァル・ジョーンズ:エディ・ブラッケン
トゥルーディ・コッケンロッカー:ベティ・ハットン
エミー・コッケンロッカー:ダイアナ・リン
コッケンロッカー巡査:ウィリアム・デマレスト
治安判事:ポーター・ホール
トゥアーク:エモリー・パーネル
ジョンソン:アル・ブリッジ
ラファティ:ジュリアス・タンネン
新聞社編集長:ヴィクター・ポテル
マクギンティ知事:ブライアン・ドンレヴィ
マイヤー医師:トーベン・マイヤー
ボス:エイキム・タミロフ
アドルフ・ヒトラー:ボビー・ワトソン

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1944年製作 99分
公開
北米:1944年1月19日
日本:未公開


アカデミー賞
第17回アカデミー賞

・ノミネート
脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
田舎町モーガンズ・クリークの新聞社編集長(ヴィクター・ポテル)からの電話を受けたマクギンティ知事(ブライアン・ドンレヴィ)は、ある知らせを受けて驚き、補佐(エイキム・タミロフ)と共に詳しい内容を聞く。
__________

モーガンズ・クリーク。
元兵士である巡査のコッケンロッカー(ウィリアム・デマレスト)に声をかけた新兵は、女の子を探していることを伝える。

コッケンロッカーに追い払われた新兵たちは、ある女性から、女の子を探しているのなら、巡査には娘がいて、ラファティ音楽店で働いていると言われてその場に向かう。

新兵から出征パーティーに誘われたコッケンロッカーの娘トゥルーディ(ベティ・ハットン)は、行くことを約束する。

トゥルーディに惹かれている真面目で気弱な銀行員のノーヴァル・ジョーンズ(エディ・ブラッケン)は、彼女を映画に誘うものの、出征パーティーに行くと言われたために諦める。
...全てを見る(結末あり)

残留組のノーヴァルは、パーティーに誘ってくれたトゥルーディに、軍服がないことを伝え、志願したが検査で落ちたと言いながら嘆き立ち去る。

その夜、兵士が出征前に結婚を焦っているという新聞記事を読んでいたコッケンロッカーは、下の娘エミー(ダイアナ・リン)から、トゥルーディが出征パーティーに行くことを知らされる。

トゥルーディの外出を許可しないコッケンロッカーは、亡くなった妻も同じ意見のはずだと言って、パーティーに行くことを諦めさせる。

トゥルーディからの電話を受けたノーヴァルは、彼女と映画に行くことになり喜び興奮する。

迎えに来たノーヴァルと出かけるトゥルーディのことを疑うコッケンロッカーは、彼女のことが気になる。

パーティーが中止になったことにしていたトゥルーディは、命を落とすかもしれない兵士たちのために、何かしてあげたいとノーヴァルに伝える。

トゥルーディから協力を求められたノーヴァルは車を貸すことになり、迎えに来ると言う彼女と別れて仕方なく一人で映画館に入る。

会場に向かったトゥルーディは、兵士達と共にパーティーを楽しみ大いに盛り上がる。

映画が終わりトゥルーディを待っていたノーヴァルは、その場で眠ってしまう。

夜が明けて車で映画館に向かったトゥルーディは、昨夜のことをほとんど覚えていなかった。

朝帰りでトゥルーディを送っていくことになったノーヴァルは、戸惑いながら運転を代わり、車からは”結婚しました”という看板が落ちる。

家に着いたノーヴァルは、憤慨するコッケンロッカーに殴られそうになるが、トゥルーディとエミーが父を制止する。

昨夜のことが思い出せないトゥルーディは、エミーにその件を話し、誰かが結婚しようと言ったような気がする。

結婚指輪をしていることに気づいたトゥルーディは驚き、相手のことを考え、名前に”Z”が付いていた”ラツキワツキー”か”ズィツキウィツキー”だったことを思い出す。

エミーから結婚した場所を探せばいいと言われたトゥルーディだったが、偽名を使ったことも思い出す。

その後、マイヤー医師(トーベン・マイヤー)の診察を受けたトゥルーディは、妊娠したことを知ってショックを受ける。

エミーと共にジョンソン弁護士(アル・ブリッジ)の元に向かったトゥルーディとエミーは、偽名でも結婚は成立すると言われたために戸惑う。

問題は父のことなのだが、誰かと結婚することをエミーから提案されたトゥルーディは、あの日の朝、一緒に戻ったノーヴァルが適役だと言われ、彼を自宅に招待する。

食事の後でトゥルーディと話をしたノーヴァルは、彼女が結婚を望んでいることを知り驚き、興奮しながらプロポーズする。

優しいノーヴァルを騙すことになるトゥルーディは悩み、仕方なくあの夜、結婚したことを話す。

驚くノーヴァルに、相手の名前に”Z”がついていることしか思い出せないと話すトゥルーディは、結婚したのは確実で、その証拠に妊娠したことを知らせたため、彼は卒倒しそうになる。

ノーヴァルを利用することはできないと言うトゥルーディに、このままでは人々から軽蔑され、惨めになるだけだと伝えたエミーは、すべてをノーヴァルに話したことを知り嘆く。

翌日ノーヴァルは、銀行の支店長のトゥアーク(エモリー・パーネル)から、朝帰りしたことが噂になっていると言われ、銀行員としての自覚を持つようにと注意される。

ランチに出かけたトゥアークは、交通整理をするコッケンロッカーに話しかけ、トゥルーディが結婚するという噂を聞いたと伝える。

その日の夕方、ノーヴァルから、結婚すればすべて解決すると言われたトゥルーディは、死ぬことを含めて今後のことを考える。

トゥルーディと家に着いたノーヴァルは、拳銃の手入れをするコッケンロッカーから結婚の予定を訊かれて戸惑う。

結婚に賛成すると言うコッケンロッカーは、ノーヴァルに協力することを伝える。

拳銃を暴発させたコッケンロッカーに励まされたノーヴァルは、動揺しながらトゥルーディの元に向かう。

既に町中で噂となり、結婚するかすべてを話すしかないと言うノーヴァルは、重婚罪を恐れるトゥルーディに、いい方法が閃いたと伝えてその場を去る。

指輪を手に入れたノーヴァルは、仕立屋で古い軍服を借りる。

その夜、トゥルーディを迎えに行ったノーヴァルは、コッケンロッカーには映画に行くと言って、彼女と共に出かける。

数十キロ離れた町の治安判事の元に向かうノーヴァルとトゥルーディは、”ラツキワツキー”の名前で結婚し、その後離婚して本名で結婚するという計画を実行しようとする。

現地に着き、借りた軍服を着たノーヴァルは、トゥルーディと共にモーテルを経営する治安判事(ポーター・ホール)に会う。

ノーヴァルは”イグナツ・ラツキワツキー”という偽名を使い、証人の立会いの下でトゥルーディとの結婚の誓いを立てる。

ところが、ノーヴァルは本名で署名してしまい、判事に銃を向けられ、誘拐犯として逮捕されてしまう。

ノーヴァルとトゥルーディが、警官の連行されて戻って来たために驚いたコッケンロッカーは、治安判事らから話を聞く。

その場に呼ばれた弁護士のジョンソンはノーヴァルの罪を認め、トゥルーディは、治安判事の元で起きたことと、朝帰りの時に結婚していたことをコッケンロッカーに話す。

ジョンソンから、自分の留置場にノーヴァルを収監することを提案されたコッケンロッカーはそれに従う。

治安判事から、二人は結婚の他にも問題を抱えていると言われたコッケンロッカーは、式の前に警察を呼んだことにすれば、結婚は無効になることを知る。

コッケンロッカーに感謝された判事は、費用の2ドルを返し、結婚証明書を破る。

問題を起こしたトゥルーディを叱るコッケンロッカーは、結婚は無効になったことを伝える。

ところが、トゥルーディの妊娠を知ったコッケンロッカー驚き、それを承知で協力したノーヴァルが重罪に問われるために、彼を気の毒に思う。

エミーからノーヴァルを逃がしてほしいと言われたコッケンロッカーは、できるはずがないと伝えて留置場に向かう。

ノーヴァルと話したコッケンロッカーは、覚悟を決めて行動した彼を評価し、逃がしてやれないと言いながらも逃亡させようとする。

正直で真面目なノーヴァルが逃げようとしないために苦労するコッケンロッカーは、トゥルーディとエミーが現れたことに気づく。

トゥルーディから逃げてほしいと言われるものの、その気になれないノーヴァルは、”ラツキワツキー”を探すためならどこにでも行くと彼女に伝える。

金が必要なノーヴァルは、コッケンロッカーと共に銀行に向かい、自分の債権を置いて代わりに金庫の現金を借りようといする。

金庫を開けたノーヴァルは、トゥルーディに別れを告げて車で走り去る。

留置場に戻ったトゥルーディとエミーは、コッケンロッカーを縛って殴り気絶させる。
__________

その後の経過を編集長に尋ねるマクギンティ知事は、二人が結婚したかは不明であり、ノーヴァルが町に戻ったことを知る。
__________

クリスマス。
コッケンロッカーは解雇され、家族が半年前に家を出たことをジョンソンから知らされたノーヴァルは、困っているはずのトゥルーディを捜そうとする。

ノーヴァルは、ラファティからトゥルーディの居場所を教えてもらえることになるが、トゥアークに気づかれ銃を向けられる。

コッケンロッカーの家族の元に向かったラファティは、戻ったノーヴァルが逮捕されたことを、出産を控えるトゥルーディに知らせる。

コッケンロッカーは、ノーヴァルのことで話し合いが行われていた消防署にラファティと共に向かい、銀行強盗の件で殴ったトゥアークと揉める。

車で待っていたエミーから、トゥルーディが産気づいたことを知らされたコッケンロッカーは、トゥアークを殴って病院に向かう。

男の子が生まれ、双子たと分かったコッケンロッカーは、結局、6つ子だったために驚き気絶してしまう。

全員男の子の6つ子誕生は大ニュースとなり、マクギンティ知事は、ノーヴァルの告訴の取り下げ、銀行強盗や治安判事の件を丸く収めることにして、彼を大佐に任命する。

6つ子のニュースは全世界に配信され、カナダはそれを疑い、憤慨したムッソリーニは辞任する。

知事は、トゥルーディの最初の結婚を無効にする。

ニュースを知ったヒトラーボビー・ワトソン)は憤慨し、全部隊の数え直しを要求する。

署長になったコッケンロッカーはノーヴァルを釈放し、軍服を渡して病院に向かわせる。

トゥルーディを気遣うノーヴァルは、自分たちが結婚したことと愛を確かめる。

子供を見に行くノーヴァルは、男か女の子かをエミーに尋ねる。

6つ子だと知ったノーヴァルは驚きながらトゥルーディの元に戻り、皆は彼を落ち着かせる。

ノーヴァルは、シェイクスピアが言うように幸せになった。

”あるものは偉大な者として生まれ、偉業を成し遂げ、そしてあるものは偉業を押し付けられる。”


解説 評価 感想

(簡略ストー リー)
田舎町モーガンズ・クリークで暮らす銀行員のノーヴァル・ジョーンズは、惹かれているトゥルーディが出征パーティーに参加したいことを知り協力する。
父コッケンロッカーにパーティーを許可してもらえないトゥルーディは、ノーヴァルと映画に行くと言って出かける。
ノーヴァルと別れパーティーに参加したトゥルーディは、大いに楽しみ翌朝、戻るのだが、記憶がまったくなかった。
自分が結婚して妊娠してしまったことを知ったトゥルーディ戸惑い、ノーヴァルと妹のエミーに協力してもらい解決策を探るのだが・・・。
__________

製作、脚本を兼ねるプレストン・スタージェスの監督作品であり、得意とするスクリューボール・コメディの快作として絶賛された。
プレストン・スタージェスは、第17回アカデミー賞で脚本賞にノミネートされた。

2001年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

作品のテーマとなる”奇跡”が分からないまま物語は進行し、主人公の危機を救い運命を決める出来事が描かれるクライマックスの大騒動に至る、綿密に練られたプレストン・スタージェスの脚本と演出は圧巻だ。

プレストン・スタージェスの期待に応え、コメディアンとしての完璧な演技で主人公を演ずるエディ・ブラッケンと、彼の協力で幸せを掴むベティ・ハットンの好演も光る。

騒動に巻き込まれながら姉(ベティ・ハットン)に協力するダイアナ・リン、二人の娘に手を焼く町の巡査を、人間味あふれる演技で熱演するウィリアム・デマレスト、主人公二人の結婚に関わる治安判事のポーター・ホール、主人公の上司である銀行の支店長エモリー・パーネル、弁護士のアル・ブリッジ、ヒロインが勤める音楽店のオーナー、ジュリアス・タンネン、新聞社編集長のヴィクター・ポテル、州知事のブライアン・ドンレヴィ、その補佐エイキム・タミロフ、ヒロインの主治医トーベン・マイヤーアドルフ・ヒトラーボビー・ワトソンなどが共演している。


モバイルバージョンを終了