007シリーズ第15作。 1966年に発表された、イアン・フレミングの短編”Octopussy”に付随する”The Living Daylights”を基に製作された作品。 冷戦下での東西情報戦に挑むMI6諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描く、製作アルバート・R・ブロッコリ、監督ジョン・グレン、主演ティモシー・ダルトン、マリアム・ダボ、ジェローン・クラッベ、ジョー・ドン・ベイカー、ジョン・リス=デイヴィス他共演のスパイ・アクション。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・グレン
製作
マイケル・G・ウィルソン
アルバート・R・ブロッコリ
原作:イアン・フレミング”The Living Daylights”
脚本
リチャード・メイボーム
マイケル・G・ウィルソン
撮影:アレック・ミルズ
編集
ジョン・グローヴァー
ピーター・デイヴィス
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
音楽:ジョン・バリー
主題歌:a-ha”The Living Daylights”
モンティ・ノーマン:ジェームズ・ボンドのテーマ
出演
ジェームズ・ボンド:ティモシー・ダルトン
カーラ・ミロヴィ:マリアム・ダボ
ブラッド・ウィティカー:ジョー・ドン・ベイカー
カムラン・シャー:アート・マリク
レオニード・プーシキン:ジョン・リス=デイヴィス
ゲオルギ・コスコフ:ジェローン・クラッベ
ネクロス:アンドレアス・ウィズニュースキー
M:ロバート・ブラウン
Q:デスモンド・リュウェリン
フレデリック・グレイ国防大臣:ジェフリー・キーン
マネーペニー:キャロライン・ブリス
アナトール・ゴーゴル将軍:ウォルター・ゴテル
サンダース:トーマス・ウィートリー
フェリックス・ライター:ジョン・テリー
イギリス/アメリカ 映画
配給 MGM/ユナイテッド・アーティスツ
1987年製作 130分
公開
北米:1987年7月31日
日本:1987年12月19日
製作費 $40,000,000
北米興行収入 $51,185,900
世界 $191,200,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
”ロック・オブ・ジブラルタル”。
特殊訓練に参加したイギリス諜報員ジェームズ・ボンド(ティモシー・ダルトン)は、参加者の002が004を殺害したことに気づく。
逃亡した002を追ったボンドは、激しい攻防の末に相手を倒す。
その後、新しい任務に就いたボンドは、東西冷戦下での亡命を希望する、ソ連の将軍ゲオルギ・コスコフ(ジェローン・クラッペ)の元に向かう。
チェコスロバキア、ブラチスラヴァ。
ボンドは、現地の諜報員サンダース(トーマス・ウィートリー)と共に、オーケストラ演奏鑑賞中のコスコフを監視する。
途中、トイレに向かったコスコフは建物から脱出し、亡命を阻止しようとしたチェリストのカーラ・ミロヴィ(マリアム・ダボ)に狙われる。 それに気づいたボンドは、カーラの銃を撃ち妨害する。 ボンドは、サンダースと共にコスコフの身柄を確保し、パイプラインのポッドに入れて西側に向かわせようとする。 コスコフ待ち構えていたQ(デスモンド・リュウェリン)は、ボンドと共に彼をポッドに入れて移送し、亡命は無事成功する。 イギリス側に保護されたコスコフは、フレデリック・グレイ国防大臣(ジェフリー・キーン)やボンドの上司M(ロバート・ブラウン)に、米英諜報員の暗殺計画の情報を提供する。 ロンドンに向かったボンドらだったが、コスコフは、殺し屋ネクロス(アンドレアス・ウィズニュースキー)に拉致されてしまう。 ボンドは、KGBを指揮するレオニード・プーシキン(ジョン・リス=デイヴィス)殺害をMに命ぜられる。 Qに”アストンマーチン・V8”を支給されたボンドは、Mの秘書マネーペニー(キャロライン・ブリス)が調べたカーラの情報を受け取り、ブラチスラヴァに向かう。 現地に着いたボンドはカーラを尾行し、彼女がプーシキンに連れ去られのを目撃する。 ボンドは、カーラが路面電車に置き去りにしたチェロ・ケースの中の銃を確認し、住所を知り彼女をアパートで待つ。 KGBに釈放されたカーラに接触したボンドは、彼女の銃の弾丸が空砲だったことに気づいていたため、狙撃は偽装で、カーラとコスコフが愛し合っていることを知る。 そして、KGBの尾行をまいたボンドは、カーラを連れてウィーンに向かう。 追跡されたボンドは、アストンマーチンの装備を駆使して検問なども突破する。 雪山で車を自爆させたボンドは、チェロ・ケースを利用して山を下り、国境を越えてオーストリア入りする。 タンジール。 実はウィティカーと通じていたコスコフは、ネクロスに拉致されたのではなく、ウィティカーの武器を使った”世界革命計画”に加担していたのだった。 カーラとウィーンに着いたボンドは、山を滑り降りた際に銃弾を受けたチェロが”ストラディヴァリウス”であり、それがコスコフから贈られたものと知り驚く。 オペラ会場でサンダースに会ったボンドは、カーラに”ストラディヴァリウス”を贈ったコスコフの金の出所を探らせる。 ボンドは、プラーター公園の大観覧のカフェでサンダースと待ち合わせる。 ボンドは、カーラのチェロがウィティカーからコスコフに渡ったことを知る。 サンダースは、カフェから出たところをネクロスに爆殺され、ボンドは、ウィティカーらがいるタンジールに向かう。 プーシキンを襲ったボンドは、彼を脅してコスコフの件を追求する。 ボンドは、公金を横領したコスコフをKGBも捜していることを知る。 同僚2人を殺されたボンドは、プーシキンに銃を向けて仇を討とうとするが、諜報員暗殺指令を否定される。 その後ボンドは、ある会場でプーシキンを殺そうとしていたネクロスの前で、彼を射殺する。 プーシキン殺害を偽装したボンドは、CIAのフェリックス・ライター(ジョン・テリー)と接触する。 カーラの元に戻ったボンドは、コスコフを追っている諜報員だということを伝えて、コスコフが祖国とイギリスを裏切ったことを知らせる。 しかし、既にコスコフと会っていたカーラはボンドの話を信じず、彼に睡眠薬を飲ませて眠らせる。 ネクロスと共に現れたコスコフは、ボンドを運び出す。 移送されるボンドは、謝罪するカーラと共に、コスコフがダイヤを運ぼうとしていることを知る。 ボンドは、Qから支給された特殊キーホルダーを手に入れるようカーラに指示する。 コスコフは、プーシキン殺害犯として当局に引き渡すことをボンドに伝える。 プーシキンの命令で、イギリス諜報部をかく乱するために亡命を偽ったことにするつもりだと、コスコフはボンドに伝える。 アフガニスタン。 ボンドは、カーラが荷物から持ち出したキーホルダーを使い、神経ガスを噴射して看守を混乱させて叩きのめして監禁する。 その場から脱出しようとしたボンドは、投獄されていたカムラン・シャー(アート・マリク)も解放する。 基地から脱出したボンドとカーラは、”ムジャーヒディーン”の副司令官だったシャーと共に、彼らのアジトへ向かう。 ボンドを罠にはめたカーラは、彼がブラチスラヴァでわざと狙撃弾を外したことを知り謝罪し、そして2人は愛し合う。 シャーらと行動を共にしたボンドは、コスコフが公金を利用して、アヘンの密売で大金を手に入れていることを知る。 カーラがボンドを追ったために、仕方なくシャーもそれに続く。 基地に戻ったボンドは、アヘンの輸送機に爆弾を仕掛けるものの、コスコフに見つかってしまう。 しかし、シャーの援護で輸送機を奪ったボンドは、ジープで追いついたカーラを車両ごと乗せて滑走路を飛び立つ。 機体に飛び乗ったネクロスに襲われたボンドは、格闘の末に彼を突き落とし、仕掛けた爆薬の時限装置を止める。 ボンドは、地上でシャーらがソ連軍に追われていることに気づき、橋に爆弾を投下して彼らを救う。 輸送機の燃料が切れ、墜落寸前にボンドとカーラはジープで脱出し、パキスタンのカラチに向かう。 タンジールに戻ったボンドはウィティカーを倒し、プーシキンと協力してコスコフを捕らえる。 ロンドンでのカーラのリサイタルは大成功で終わり、彼女は、Mから引退したKGB長官ゴーゴル将軍(ウォルター・ゴテル)を紹介され祝福される。 シャーも会場に現れて、カーラに声をかける。 ボンドの姿が見えないカーラは、落胆して楽屋に戻る。 しかし、そこには人目を避けたボンドがカーラを待っていた。 ボンドはカーラを抱きしめる。
...全てを見る(結末あり)
プーシキンは、アメリカ人の武器商人ブラッド・ウィティカー(ジョー・ドン・ベイカー)との商談をキャンセルしようとしていた。
ソ連空軍基地に到着したコスコフは、ボンドと共にカーラも拘束する。
*(簡略ストー リー)
東西冷戦下、イギリス諜報員ジェームズ・ボンドは、ソ連の将軍コスコフが亡命を望んでいることを知り、チェコスロバキアに向かう。
コスコフの亡命を阻止するために狙撃しようとしたチェリストのカーラは、ボンドにそれを妨害される。
コスコフの身柄を確保したボンドは、パイプラインのポッドにコスコフを入れて、彼を西側に移送して亡命を成功させる。
イギリス側に保護されたコスコフは、グレイ国防大臣やボンドの上司Mに、米英諜報員の暗殺計画の情報を提供するものの、彼は殺し屋ネクロスに拉致されてしまう。
KGBを指揮するプーシキン殺害をMに命ぜられたボンドは、カーラの情報を入手し、再びチェコスロバキアに向かうのだが・・・。
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4代目ボンドの起用は難航し、サム・ニールに決まりかけたのだが、プロデューサーのアルバート・R・ブロッコリが反対し、その後5代目となるピアース・ブロスナンもスケジュールが合わず、結局、ティモシー・ダルトンに決まったという経緯があり、その話題ばかりが先行した作品でもある。
彼は、第6作「女王陛下の007」(1969)の時に既に候補に上がっていたのだが、若過ぎるという理由で却下された。
新ボンドへの期待もあってか、興行収入は、前作「美しき獲物たち」(1989)を上回る約1億9100万ドルと健闘した。
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制作費 $40,000,000
北米興行収入 $51,185,900
7作続いたロジャー・ムーアが万人受けし、一つのイメージを作り上げていた直後ということで、賛否両論あったものの、ティモシー・ダルトンは、ボンド役を無難にこなしたというところだろうか。
個人的には、洗練されたルックスを含め、物腰なども雰囲気があり、適役だったと思う。
完全無欠で、さらに野生味や傲慢さが一つの魅力でもあるボンドのを期待しているファンも満足したと思う。
派手なアクションや、「ロシアより愛をこめて」(1963)を意識したスパイ劇としても見応えある。
a-haの主題歌”The Living Daylights”も印象に残るが、北米では発売されなかった。
質素で控えめな美しさが際立つ、ヒロインのマリアム・ダボ、祖国を裏切るソ連の将軍ジェローン・クラッベ、アメリカ人武器商人のジョー・ドン・ベイカー、KGBの高官ジョン・リス=デイヴィス、殺し屋のアンドレアス・ウィズニュースキー、ボンドに協力するムジャーヒディーンのリーダー役アート・マリク、Mのロバート・ブラウン、Qのデスモンド・リュウェリン、国防大臣ジェフリー・キーン、CIAのフェリックス・ライター役ジョン・テリーなどが共演している。。
ジョン・リス=デイヴィスが演ずるソ連の高官は、シリーズの常連であるウォルター・ゴテルが演ずる予定だったが、彼の病気びより変更されてしまう。
しかしゴテルは、クライマックスでお馴染み”ゴーゴル将軍”役で顔を出す。
残念ながら、これが彼の最後のシリーズ登場となった。
残念と言えば、マネーペニー役がキャロライン・ブリスに代わってしまったしまったことだ。
やはりマネーペニーはロイス・マクスウェルの役だと再認識した。