名もない映画祭の功労賞を受賞することになった落ちぶれたスターの人生観を描く、製作、監督、脚本アダム・リフキン、主演バート・レイノルズ、アリエル・ウィンター、クラーク・デューク、エラー・コルトレーン、チェビー・チェイス、ニッキー・ブロンスキー、キャスリーン・ノーラン他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:アダム・リフキン
製作
ニール・マント
ゴードン・ホワイトナー
アダム・リフキン
ブライアン・カヴァラロ
製作総指揮
ブレット・トマソン
エリク・クリッツァー
脚本:アダム・リフキン
撮影:スコット・ウィニグ
編集:ダン・フレッシャー
音楽:オースティン・ウィントリー
出演
ヴィック・エドワーズ/マーティ・シェルマン:バート・レイノルズ
リル・マクドゥーガル:アリエル・ウィンター
ダグ・マクドゥーガル:クラーク・デューク
シェーン・マカヴォイ:エラー・コルトレーン
ソニー:チェビー・チェイス
フェイス・コール:ニッキー・ブロンスキー
クラウディア・シュルマン:キャスリーン・ノーラン
スチュアート・マックラー:アル=ジャレル・ノックス
ビヨルン:ジャストン・ストリート
看護師:シェリー・ワッゲナー
バディ・ブランプ:トッド・ヴィッタム
看護師エイミー:エイミー・ホーラー
美しい女性:ジェナ・シムズ
美しい女性:ケネディ・サマーズ
アメリカ 映画
配給 A24
2017年製作 103分
公開
北米:2017年3月30日
日本:2019年9月6日
北米興行収入 $14,410
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス。
かつて一世を風靡した映画スターのヴィック・エドワーズ(バート・レイノルズ)は、病気の愛犬スクワントを獣医師に診てもらい、安楽死を勧められ、その指示に従う。
気落ちして帰宅したヴィックは、物思いに耽る。
ヴィックは、杖をつきようやく歩ける状態で1人で暮らしていた。
友人のソニー(チェビー・チェイス)に会ったヴィックは、映画祭の招待状を彼に見せる。
”国際ナッシュビル映画祭”で表彰されることになったヴィックは、歴代受賞者がロバート・デ・ニーロ、ジャック・ニコルソン、クリント・イーストウッドで、旅費も負担してくれることを知る。
ソニーは出席を勧めるものの、信用できないヴィックは招待状を捨ててしまう。
スクワントの薬を捨てたヴィックは、ゴミ箱の招待状が気になり、映画祭に出席することを決める。
LAX/ロサンゼルス国際空港。 ナッシュビル。 リルの乱暴な運転でモーテルに着いたヴィックは、一流ホテルを用意すると言われていたために、空港に戻ろうとして騙されたと考える。 苦情は兄ダグ(クラーク・デューク)に言ってほしいとヴィックに伝えたリルは、その場を去る。 ソニーに電話をしたヴィックは、酷いことになったと伝えるものの、せっかく行ったので楽しむようにと言われて滞在することにする。 夜になり、リルにバーに連れて行かれたヴィックは、そこが会場だと知り驚く。 主催者のダグとシェーン・マカヴォイ(エラー・コルトレーン)、映画監督のスチュアート・マックラー(アル=ジャレル・ノックス)に迎えられたヴィックは、リルがイラストレーターだということを知る。 その場はそれなりに盛り上がり、ヴィックは、かつての栄光の日々を思い出す。 ダグは、恋人でSNS担当のフェイス・コール(ニッキー・ブロンスキー)をヴィックに紹介し、バーの奥でトークショーを始める。 地元テネシーの人気者であるヴィックは、フェイスからウイスキーをもらい、それを一気に飲む。 ヴィックは、数十人の客の前でダグのインタビューを受け、最初の作品が上映される。 ヴィックは席を離れてバーに向かい、ウイスキーを飲みながら、恋人のビヨルン(ジャストン・ストリート)と揉めていたリルに、男の扱い方について助言する。 落ちぶれた老いぼれの話をまともに聞く気がないリルは、”ナッシュビル映画祭”と勘違いしているヴィックに、デ・ニーロ、ニコルソン、イーストウッドは招待したが無視されたと伝える。 過去4回開催したが、招待に応じた間抜けは自分だけだと言われたヴィックは、返す言葉がない。 上映が終わり、ヴィックがいないことに気づいたダグは、リルから出て行ったと言われ、彼を捜しに行く。 酔っていたヴィックは馬の遊具にまたがり、ダグらにスタントマン時代の話をする。 ダグから質疑応答が始まると言われたヴィックは、彼らに支えられながらバーに戻る。 酒を飲みながら質問に答えるヴィックは、作品選びでミスをしたことを後悔するが、ダグは彼の出演作を称える。 ヴィックは、デ・ニーロ、ニコルソン、イーストウッドのことでウソをついたダグを批判する。 単なる負け犬の映画鑑賞会だと言うヴィックはダグらを侮辱し、帰ろうとしてつまずいてしまう。 ヴィックをモーテルに送ったダグらは、自分を笑い者にしていると言われるものの、ファンであり尊敬していることを伝える。 スチュアートのカメラを奪ったヴィックは、外に放り投げて壊してしまい、憤慨したダグは、招待した理由は、出演作を愛し名優だと思っているからだと伝える。 低予算で精一杯やっていると言うダグは、来てくれたことには感謝するが失望したと伝える。 迷惑だと言うヴィックは、それでも映画祭を続けるつもりのダグらを追い出してしまう。 シェーンは、気難しいヴィックにここまで梃子摺ると思わなかったと愚痴をこぼす。 酔ったヴィックは外にいた娼婦を呼ぶことができず、ベッドの上にいる美女の幻覚を見てしまう。 薬のケースを踏んだヴィックは、よろけて倒れ意識を失う。 翌朝、ダグに起こされたリルは、ヴィックの迎えに遅れていることを知って焦り、仲直りしたビヨルンに誘われるものの部屋を出る。 ヴィックの部屋に向かったリルは、帰るつもりの彼に空港に送るよう指示される。 しばらくしてヴィックは、ハイウェイを走るリルに故郷のノックスビルに向かうよう指示して眠ってしまう。 ヴィックは、出演作の自分と対話する夢を見る。 目覚めたヴィックは、若いのに人生を諦めているリルに、老いることの辛さについて話し、現状に感謝するべきであり、瞬く間に過ぎ去る時について語る。 ノックスビル。 その家の住人ジョーンズ夫人と話したヴィックは、この家で自分が育ったという噂を知る彼女の話を興味深く聞く。 リルから本人が目の前にいることを知らされたジョーンズ夫人は驚き、感激してヴィックにハグし、彼を家に招き入れる。 懐かしく思うヴィックは、母のことを思い出す。 ニーランド・スタジアム。 ダグに電話をしたリルは、ヴィックの思い出ツアーを始めたことを伝える。 リルは、ヴィックの育った家、ユダヤ人の彼が”バル・ミツワー”を受けた教会、ケーキ店になっていたビリヤード場に行き、おやつに”グー・グー・クラスター”を食べて、今はニーランド・スタジアムにいることをダグに伝える。 老人ホームに寄り、最初の妻に会うこともダグに伝えたリルは、”instagram”に写真を投稿するよう指示される。 リルからのメッセージを受けたビヨルンは、彼女を裏切り浮気していた。 ヴィックは、許可なしにスタジアムのフィールドに向かい、2年生の時の試合で、ヒザを怪我して選手生命が終わったことをリルに話し、俳優よりもフットボール選手だったことの方が価値があると考えながら、歓声を受けた当時を思いだす。 その後ヴィックは、スタジアム沿いのテネシー川に向かい、妻にプロポーズして指輪を水に落としてしまい、飛び込んだが見つからなかったことをリルに話す。 海藻で指輪を作り、ひざまずき指にはめたと言うヴィックは、喜んでくれた妻と踊り、いつかこの場に戻るのが夢だったが、それきりだとリルに伝える。 施設に着いたヴィックは心の準備ができず、車の中でリルと話す。 最初の妻クラウディアを含め5度結婚したヴィックは、彼女との間にグレースという娘がいたが亡くなったことを話し、娘のことは語りたくなかった。 施設に入ろうとしたヴィックは、面会時間を過ぎていたために入れてもらえず、ナッシュビルに戻るつもりがない彼は、モーテルに泊まることを拒む。 リルと共に一流ホテルに向かったヴィックは、フロント係から満室だと言われるものの引き下がらない。 相談された支配人は客がヴィック・エドワーズだと気づき、スイートルームをスタンダード料金で提供し、彼を知らないフロント係にレジェンドだと伝える。 部屋を見て驚いたリルは、ヴィックとの写真を撮りinstagramに投稿し、それを確認したダグらは満足する。 ビヨルンもそれを見て驚く。 ヴィックと話をしたリルは、入浴しながら彼のことをネットで調べ、instagramをチェックし、ビヨルンの投稿を見て、彼が浮気していることを知る。 それをヴィックに伝えたリルは帰ると言いだし、その場を去ろうとする。 リルを追ったヴィックはロビーで気分が悪くなり、彼女が水を取りに行っている間に姿を消す。 ヴィックを捜したリルは、行われていた結婚式のパーティーで、VIPとして紹介されて歌を披露していた彼に気づく。 それを見て嬉しくなったリルは、ヴィックと踊りながら、ビヨルンなど相手にせず自分らしく生きろと助言される。 リルは、自分に惹かれている幼馴染のシェーンと付き合うようにと言うヴィックが愛した女性は1人だけだと知る。 ヴィックは、出演作の自分と対話している姿を想像する。 翌朝、ビヨルンのメッセージだけ聴いたリルは、床に座るヴィックが立ち上がれないことに気づく。 ヴィックは、ノックスビルに来たのは、今の自分をつくってくれた故郷に別れを告げるためだと話し、リルと共に施設に向かう。 クラウディア(キャスリーン・ノーラン)と再会したヴィックは、アルツハイマーが進行している彼女に、愛しているのは君だけだと伝える。 ヴィックは、夢を追いかけて娘グレースと共に捨てたことを謝罪し、当時に戻れたら別の生き方をするとクラウディアに伝える。 有名になる前の自分を愛してくれたと言うヴィックは、裏切った自分を恥じ、グレースの自殺も自分の責任だと伝えて、クラウディアを抱きしめる。 クラウディアから、知り合いだったかしらと言われたヴィックはショックを受ける。 その頃、映画祭では最後の作品の上映が終り、ヴィックが不在のまま功労賞の授与式が行われる。 そこに現れたヴィックはダグからトロフィーを受け取り、謝罪するのは1977年以来だと言いながら、出席者に迷惑をかけたことを謝罪する。 この映画祭をバカにしていたが、素晴らしい催しだと伝えたヴィックは、自分は何を成し遂げたかという長年の疑問に直面したことを話す。 ヴィックは、映画人生について語りながら、ダグら特に率に救われたと言って、すべてを終わらせるのはまだ早いと気づいたと皆に伝える。 リルと共に施設からクラウディアを連れ出したヴィックは、プロポーズした場所で、彼女にキスして抱きしめる。 そのことを思い出しながらヴィックは、謙虚さとプライドと深い感謝を胸に秘め、テネシーに愛されたマーティ・シェルマンは、功労賞の受賞を嬉しく思い、それにふさわしい人生を送ることを約束してスピーチを終える。 シェーンは、尊敬するヴィックと行動を共にしたシェーンを羨ましく思いながら、彼女にキスされる。 その後ヴィックは、リルに空港に送ってもらい別れを告げる。 ロサンゼルスに戻ったヴィックは、荷物の中に、リルが描いてくれた自分のイラストが入っていることに気づく。 ダグのバーでは、リルの個展が開かれることになる。 ソニーと話をしたヴィックは、言われた通り、素晴らしい体験をしたことを伝える。 新しい愛犬を手に入れたヴィックは、功労賞のトロフィーを見つめながら微笑む。
到着したヴィックは、届いたチケットがエコノミークラスだと知り驚く。
...全てを見る(結末あり)
迎えの車を待っていたヴィックは、到着したリムジンではなく、迎えに来たアシスタント兼運転手リル・マクドゥーガル(アリエル・ウィンター)の壊れかけた車で市街に向かう。
*作品は”トランザム7000”(1977)
育った家に着いたヴィックは、母親のことなどをリルに話し、”マーティ・シェルマン”という本名を彼女に教える。
ヴィックは、大学時代に活躍したスタジアムを見つめる。
*”脱出”(1972)
*映し出されるのは”ガンスモーク”の一シーン。
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*(簡略ストーリー)
ロサンゼルス。
かつて一世を風靡した映画スターのヴィック・エドワーズは、名もないナッシュビルの映画祭の招待を受ける。
杖をつきながら1人で暮らす落ちぶれたスターのヴィックは、友人ソニーの意見を聞き、半信半疑でナッシュビルに向かう。
現地に着いたヴィックは、壊れかけた車で迎えに来た運転手リルと共に市街に向かい、モーテルに案内されたために驚く。
映画祭の会場であるバーに案内されたヴィックは、リルの兄である主催者の青年ダグが、単なる映画オタクだったために呆れてしまうのだが・・・。
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俳優としても活躍するアダム・リフキンが、製作、脚本を兼ねた監督作品。
カレッジ・フットボールで花形選手として活躍し、その後に映画界入りしてスタートなり、1970年代には”マネーメイキングスター”として頂点を極めたバート・レイノルズの人生そのものを振り返るような内容の作品。
作品の中ではそれとは特定されていないが、彼の出演作である「トランザム7000」(1977)や「脱出」(1972)のシーンに、老いた主人公を合成させて対話させるシーンは実に興味深い。
主演のバート・レイノルズは、ユーモアをまじえながらも、時に人生を深く語る主人公を好演している。
1970年代の彼の全盛期をリアルタイムで知る者にとっては郷愁を誘う内容であり、当時のことが懐かしく思い出される。
世の中のすべてのものを手に入れたような経験をした主人公が、最後には、自分の育った故郷に価値を求める姿などがしみじみと描かれ、かつての大スターに畏敬の念を抱き、弱小ながら彼を本気で称えようとする青年たちとの触れ合いに心打たれる。
主人公のアシスタント兼運転手であり、当初は単なる老人としか思っていなかった彼と心通じ合うようになるアリエル・ウィンター、その兄である映画祭の主催者クラーク・デューク、同じく主人公を尊敬する青年エラー・コルトレーン、主人公の友人チェビー・チェイス、主催者の恋人でSNS担当のニッキー・ブロンスキー、施設に入っている主人公の最初の妻キャスリーン・ノーラン、主催者側の映画監督アル=ジャレル・ノックス、リル(アリエル・ウィンター)の恋人ジャストン・ストリート、主人公の前に幻想として現れる美しい女性ジェナ・シムズとケネディ・サマーズなどが共演している。