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ラストエンペラー The Last Emperor (1987)

清朝最後の皇帝で後に日本の傀儡政権下の満州国皇帝となる愛新覚羅溥儀の生涯を描く、監督、脚本ベルナルド・ベルトルッチ、主演ジョン・ローンジョアン・チェンピーター・オトゥール他共演による歴史劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(歴史劇)


スタッフ キャスト ■
監督:ベルナルド・ベルトルッチ

製作:ジェレミー・トーマス
脚本
ベルナルド・ベルトルッチ

マーク・ペプロー
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
編集:ガブリエラ・クリスティアーニ
美術・装置
フェルディナンド・スカーフィオッティ

ブルーノ・シアーリ
オスヴァルド・デシデッリ
衣装デザイン:ジェームス・アチソン
音楽
坂本龍一

デイヴィッド・バーン
蘇聡

出演
ジョン・ローン愛新覚羅溥儀

ジョアン・チェン婉容
ヴィヴィアン・ウー文繍
ピーター・オトゥールレジナルド・ジョンストン
ビクター・ウォン陳宝琛
デニス・ダン:大李
イェード・ゴー:アーモ
ケイリー=ヒロユキ・タガワ張謙和

イン・ルオ・チェン:戦犯管理センター所長
リック・ヤング:戦犯管理センター尋問官
マギー・ハン川島芳子

リサ・ルー西太后
スーン・ファイケイ:隆裕皇太后
バシル・パオ醇親王

ファン・グァン:溥傑
チェン・シューヤン:嵯峨浩
ユー・シホン:鄭孝胥
シェン・シュー:張景恵
リー・フーシェン:韓雲階
ヤン・パオツォン:袁世凱
坂本龍一甘粕正彦
高松英郎菱刈隆
立花ハジメ:通訳
生田朗:医師

イタリア/中国/イギリス 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1987年製作 163分(218:延長版)
公開
イタリア:1987年10月23日
イギリス:1988年2月26日
北米:1987年11月20日
日本:1988年1月23日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $43,984,200


アカデミー賞 ■
第60回アカデミー賞

・受賞
作品・監督・撮影・脚色・編集・録音
衣裳デザイン・美術・作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1950年、満州、中ソ国境。
多数の中国人戦犯が連行される中に、清朝最後の皇帝である”愛新覚羅溥儀”(ジョン・ローン)もいた。

自分の身分に気づき平伏す戦犯を見て、溥儀はトイレで手首を切り命を絶とうとする。

それに気づいた戦犯管理センター所長(イン・ルオ・チェン)は、溥儀に”ドアを開けろ!”と叫ぶ。
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1908年。
まだ2歳の溥儀は実母から離され、清朝の実権を握る西太后(リサ・ルー)から皇帝即位の指名を受ける。
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...全てを見る(結末あり)

その瞬間、溥儀の脳裏には、様々な過去が過ぎり、意識が朦朧とするが、センター所長はトイレに押し入り彼を救い、裁きを受ける責任があることを伝える。
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張謙和(ケイリー=ヒロユキ・タガワ)ら、何人もの宦官に世話をされながら、紫禁城から一歩も出ることを許されずに生活する溥儀の、心の支えは乳母のアーモ(イェード・ゴー)だった。

少年に成長した溥儀は、離れ離れに暮らしていた弟の溥傑紫禁城に迎え入れ、共に生活することになり、7年ぶりに母とも再会する。
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戦犯管理センターに着いた溥儀は、弟の溥傑(ファン・グァン)と同じ部屋で寄り添い、召使の大李(デニス・ダン)が身の回りの世話をすることになる。

ここは学校だという係官に、学習をせよと命ぜられた溥儀は、与えられた書物の朗読を始める。
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辛亥革命によって、共和制に変わった中国では既に清朝は滅び、溥儀は、自分が紫禁城内だけの皇帝だということを、教育係の陳宝琛(ビクター・ウォン)から知らされ、アーモとも引き離されてしまう。

1919年。
イギリス人のレジナルド・ジョンストン(ピーター・オトゥール)が、溥儀の家庭教師として招かれ、紫禁城に迎えられる。

溥儀は、学問に加え、西洋の近代文化をジョンストンから学び、彼と親交を深めていく。

そんなある日、母がアヘンの塊を飲み自殺したことを知った溥儀は、ジョンストンから贈られた自転車で紫禁城内を駆け抜けて外の様子を見ようとするが、門は閉められてしまう。

その後、溥儀は屋根に上り悲しみを訴えるが、視界がぼけて倒れてしまう。

ジョンストン溥儀を助け、検査の結果、彼は眼鏡をかけなければ失明する可能性も出てくる。

やがて、溥儀は17歳の婉容(ジョアン・チェン)を皇后に、そして12歳の文繍(ヴィヴィアン・ウー)を第2妃に迎える。
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戦犯管理センター。
溥儀は、所長が見守る中、尋問官(リック・ヤング)の厳しい質問を受け、全てを改革したかったことや、日本との関係を語り始める。
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溥儀は、紫禁城内での改革を進めるため、自ら弁髪を切り落とし、宦官が、宮中保管庫内の物を盗み出し、売りさばいていることなどを調べようとする。

そんな時、詳細目録を作るよう命じていた保管倉庫が、火事で全焼してしまい、溥儀は、宦官達全員を排除することを考える。

1924年10月。
中華民国の軍人、馮玉祥孫岳が起こした、第二次奉直戦争に伴うクーデターで、溥儀紫禁城から追放されることになる。

ジョンストンの計らいで、溥儀ら一行はイギリス大使館に保護されることになる。

そして、溥儀は即位以来、初めて紫禁城を離れる。

しかし、内政干渉になるというイギリス政府の見解で、協力を拒否された溥儀は、日本公使からの受け入れで、日本軍の駐屯する租界地の天津で暮らすことになる。

蒋介石率いる国民党上海を制圧した頃、溥儀関東軍の特務工作員の甘粕正彦(坂本龍一)と接触し、日本公使館に保護される。

今や第二妃の意味も消えうせた文繍は、溥儀に離婚を迫り彼の元を去る。

その後、日本のスパイ川島芳子(マギー・ハン)が現れ、国民党軍が、満州の皇族の墓を荒らしていることなどを、いとこの溥儀に知らせる。

1931年、天津
溥儀溥傑と共に、帰国する長年世話になったジョンストンに別れを告げる。
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戦犯管理センター。
ジョンストンの著書での、自分が自由意志で満州に行ったという文章を溥儀は否定する。

所長はそれを重要だと受け止め、召使の大李の告白文と一致しないことを、尋問官は興奮しながら溥儀に追求する。

所長は尋問官を落ち着かせようとするが、彼の家族は満州で生き埋めにされ殺されたと語り、それが溥儀らの責任だと主張して退席する。
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溥儀は、自分なしでは満州国建国はありえないと、婉容陳宝琛の反対意見に耳を貸さず満州に向かう。

1934年3月1日。
そして溥儀は、国際的に非難を受けている日本の傀儡政府の皇帝に、周囲の反対を押し切り即位してしまう。

関東軍司令官、陸軍大将菱刈隆(高松英郎)は、溥儀の即位を歓迎する。

溥傑と日本人の夫人嵯峨浩(チェン・シューヤン)夫妻が仲むつまじいのに対し、川島芳子からアヘンを教わり中毒となっていた婉容溥儀の仲は冷え切っていた。
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戦犯管理センター。
大李の世話なしでは、身の回りのことが出来ない溥儀の様子を見た所長は、彼を別房に移動させる。

一族と離れて暮したことがない溥儀は、戸惑いを隠せない。
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1935年。
溥儀が日本訪問から帰ると、予想通り実権は日本軍に奪われてしまう。

婉容は運転手の子供を身ごもってしまうが、溥儀は後継者が生まれることで、自分の立場を優位にしようとする。

しかし、甘粕はその父親が誰かを知っていたため、溥儀は日本側に屈服するしかなくなる。

その後、生まれた子供は始末され、婉容溥儀の元から引き離される。

1937年12月、南京が陥落し主要都市を制圧した日本軍は、1941年12月7日、真珠湾攻撃を皮切りに太平洋戦争に突入するが、1945年8月15日、日本は無条件降伏する。

終戦を知り甘粕は自決し、溥儀は、廃人同然で戻った婉容に声もかけられなかった。

溥儀は、日本に脱出するため長春の飛行場に向うものの、ソ連軍に捕らえられてしまう。

1959年。
センターで、事実の告白と再教育を強いられていた溥儀は、10年の時を過ごしていた。

溥儀は、全ての罪が自分にあるという告白書にサインして、特別恩赦により釈放されることになり、所長から温かい言葉をかけられる。

1967年、北京
文化大革命の嵐が吹き荒れる中、庭師になった溥儀は、街角で、戦犯管理センターの所長が、犯罪者としてさらし者になっていることに気づき彼を助けようとするが、紅衛兵に阻止される。

時代の変化を実感した溥儀は、かつて自分が暮らしていた紫禁城に向かう。

玉座に座ろうとした溥儀は、守衛の子供にそれを制止されたため、皇帝だった証拠である、かつて飼っていたコウロギを見つけて彼に渡す。

そして、少年が振り向くと、溥儀は姿を消していた。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
中国清朝の実権を握る西太后から皇帝に指名された、わずか2歳の愛新覚羅溥儀は、親元から引き離されて、紫禁城から一歩も出ることを許されずに、多くの宦官達に囲まれた生活を送ることになる。
やがて成長した溥儀は、辛亥革命によって共和制になった国情の中、紫禁城内だけの皇帝となってしまう。
イギリス人教師ジョンストンを招き、親交を深めた溥儀だったが、孤独な生活は尚も続く。
その後、溥儀は17歳の婉容を皇后に迎え、クーデターにより紫禁城を追われ、租界地の天津で暮らすことになる。
やがて、時代は変わり、日本軍の勢力が強まり、溥儀満州国建国に意欲を燃やすのだが、彼は日本の傀儡政府の皇帝として、利用されることになる・・・。
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史上初となる、中国政府全面協力による紫禁城ロケなどが話題を呼び、全編に渡る、ベルナルド・ベルトルッチの見事な映像美が絶賛された作品。

色彩感覚、華麗な衣装など、まるで美術絵画を見ているような映像は、驚くばかりだ。

日本人にとって身近な題材を扱ったことや、音楽を担当した坂本龍一が、アカデミー作曲賞を受賞したことなどでも大いに話題を呼んだ。

第60回アカデミー賞では作品賞をはじめ9部門でノミネートされ、その全てを受賞する、1958年の「恋の手ほどき」以来となる快挙を成し遂げた。
・受賞
作品・監督・撮影・脚色・編集・録音・衣裳デザイン・美術・作曲賞

本作をきっかけに、中国の近代史に興味を持ち始めた人も多かったはずだ。

主演のジョン・ローンは、本作では青年期から晩年までの溥儀の生涯を熱演するものの、その後は低迷し活躍の場が少ないのは残念だ。

皇后にはなるが、溥儀と共に紫禁城を追われ、アヘンに溺れ廃人となるジョアン・チェン、彼の出演で作品に重厚さが加わった、イギリス人教師レジナルド・ジョンストン役のピーター・オトゥール、教育係ビクター・ウォン、召使デニス・ダン宦官役のケイリー=ヒロユキ・タガワ、戦犯管理センター所長イン・ルオ・チェン、 尋問官リック・ヤング川島芳子役の マギー・ハン関東軍司令官菱刈隆高松英郎などが共演している。

流れるような美しく素晴らしい主題曲など音楽を担当し、見事なパフォーマンスを見せてくれた坂本龍一だが、重要人物である甘粕正彦を演じるには余りにも未熟な演技で、残念ながら見るに耐えない完全なミスキャストと言える。


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