コメディアン志望の青年が願望実現のために常軌を逸した売り込み作戦を実行する姿を描く、製作アーノン・ミルチャン、監督マーティン・スコセッシ、主演ロバート・デ・ニーロ、ジェリー・ルイス、ダイアン・アボット、サンドラ・バーンハード他共演のブラック・コメディ。 |
・コメディ
・ジェリー・ルイス Jerry Lewis / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・スコセッシ
製作:アーノン・ミルチャン
製作総指揮:ロバート・グリーンハット
脚本:ポール・D・ジマーマン
撮影:フレッド・シュラー
編集:セルマ・スクーンメイカー
音楽:ロビー・ロバートソン
出演
ルパート・パプキン:ロバート・デ・ニーロ
ジェリー・ラングフォード:ジェリー・ルイス
リタ・キーン:ダイアン・アボット
マーシャ:サンドラ・バーンハード
キャシー・ロング:シェリー・ハック
本人:トニー・ランドール
本人:エド・ハーリヒー
バート・トーマス:フレデリック・デ・コルドヴァ
受付係:マーゴ・ウィンクラー
ジョノ:キム・チャン
番組ディレクター:マーティン・スコセッシ
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1982年製作 109分
公開
北米:1983年2月18日
日本:1984年5月19日
製作費 $19,000,000
北米興行収入 $2,536,240
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク。
テレビのトーク・ショーの人気者ジェリー・ラングフォード(ジェリー・ルイス)は、自分の番組でエド・ハーリヒーに紹介される。
その日の放送を終えたジェリーは、ファンが集まる中、車に向かう。
ジェリーを尊敬するコメディアン志望のルパート・パプキン(ロバート・デ・ニーロ)は、人ごみをかき分けて、ビルから出て来たジェリーに近づく。
もみくちゃにされながら車に乗り込んだジェリーは、車内にいた熱狂的なファンのマーシャ(サンドラ・バーンハード)に抱きつかれ、ルパートが彼を助ける。
マーシャは追い出され、ジェリーと共に車に乗り込んだルパートは、自分を売り込んで彼にアドバイスを求める。 芸を見てもらい意見を聞きたいと言われたジェリーは、事務所に電話をしてくれれば、秘書のキャシー・ロング(シェリー・ハック)が対応するとルパートに伝える。 アパートの前で車を降りたジェリーは、ルパートから感謝されて別れる。 帰宅したルパートは、友人となったジェリーを上回る人気コメディアンになり、彼から頼みごとの相談を受けていることを想像する。 それを聞いた母親は、夜中に何をしているのかルパートに尋ねる。 部屋に戻ってくつろいでいたジェリーは、マーシャからの電話を受けて驚き、車に手紙を置いてきたと言われる。 番号をどこで知ったとマーシャに尋ねたジェリーは、電話を切ってしまう。 あるバーに向かったルパートは、高校時代の同級生であるバーテンダーのリタ・キーン(ダイアン・アボット)に話しかけ、彼女を誘い食事に向かう。 好きな俳優を訊かれたリタは”マリリン・モンロー”だと答え、サイン長を出したルパートは、彼女のサインをリタに見せる。 その他にもある名だたるスターのサインを見せたルパートは、特別だと言って自分のサインのページを破り、数週間で価値が出ると言ってリタに渡す。 数時間前に会ったジェリー・ラングフォードがサポートしてくれると話すルパートは、彼の番組に出演して一夜で有名になることをリタに伝える。 その後はハリウッドに進出して、別荘やペントハウスに住むと言うルパートのはしゃぐ姿を見たリタは、それ以上、付き合う気にはなれない。 リタをアパートに送ったルパートは、コーヒーでも飲んでいくかと言われるものの、下心はないと伝える。 ルパートの考えが理解できないリタは、愛しているので生活を変えてあげたいと言われ、戸惑いながら部屋に向かう。 翌日ルパートは、”ライザ・ミネリ”とジェリーのパネルの間に座り、いつものように一人でジョークを言って楽しむが、母から、早くバスに乗らなければ遅れると言われる。 タイムズスクエア。 電話がかかってこないためにジェリーの事務所に向かったルパートは、受付係(マーゴ・ウィンクラー)に面会のことを伝えるものの、秘書に連絡しても約束がないと言われる。 直接、秘書と電話で話したルパートは、待つようにと言われる。 現れたプロデューサーの助手であるキャシーと話したルパートは、出演先が決まったら担当者を見に行かせると言われ、ジェリーの話と違うと伝える。 芸を録音したテープを送ってほしいと言われたルパートは、直ぐに送るとキャシーに伝えてその場を去る。 ビルから出てきたルパートに話しかけたマーシャは、ジェリーにした行為を非難されたため、自分のお陰でジェリーと話せたと言って反論する。 二人は口論になり、恩をあだで返したと言われたルパートは、金銭的には恵まれたいるマーシャから900ドルを受け取る。 マーシャから、現金はジェリーに渡してほしいと言われたルパートはその場を去る。 帰宅したルパートは、ジェリーに渡すテープを録音する。 翌日もジェリーの事務所に向かい、テープをキャシーに渡したルパートは、その場で待つと伝えるものの、明日の4時に感想を教えてもらうことで納得する。 ルパートは、ジェリーに芸を絶賛されて認められ、週末、別荘に招待されて、女性を同伴して訪ねることを伝える様子を想像する。 アパートから徒歩で事務所に向かうジェリーは、マーシャに尾行されるもののそれを逃れる。 マーシャは、ジェリーの事務所に向かうルパートを目撃する。 受付係にジェリーに会いたいと伝えたルパートは、キャシーが来るのを待ちながら、ジェリーの番組に出演していることを想像する。 ゲストで登場した恩師である校長が、結婚式が専門の治安判事だったために、ルパートとリタはその場で結婚式を挙げる。 現れたキャシーから才能は認められたルパートは、もう少し時間をかけてキャリアを積むようにと率直に意見される。 それがジェリーの意見でないことを知ったルパートは、キャシーから、クラブにでも出演したら必ず見に行くと言われる。 帰ろうとしないルパートは、その場は待合室ではないと受付係に言われ、現れた警備員に追い払われる。 ビルの外に向かいサンドイッチを食べていたルパートは、その場にいたマーシャから、ジェリーに手紙を渡してくれたか訊かれる。 ジェリーは外出中だと伝えたルパートは、マーシャからビルに入るのを見たと言われ、再び事務所に向かう。 受付係を無視したルパートはジェリーを捜し、警備員に追われて捕まりビルの外に放り出される。 マーシャに非難されたルパートは、警備員に送ってもらっただけだと言って、週末に別荘に招待されたことを伝える。 週末になり、リタと共にジェリーの別荘に向かったルパートは、執事のジョノ(キム・チャン)に迎えられる。 別荘に勝手に入り込んだルパートは、ジェリーがゴルフに行っていることを知り、帰ってほしいと言うジョノの言葉を無視する。 ゴルフ場のジェリーに電話をしたジョノは、ルパートが来ていることを伝える。 戻ってきたジェリーにリタを紹介したルパートは、好き勝手なことを話す。 逮捕されたいのかと言われたルパートは、テープを置いて一旦、帰り出直すとジェリーに伝える。 ジェリーに出て行けと言われているとルパートに伝えたリタは、その場を去ろうとする。 知人だと言われたから来ただけであり、自分は無関係だとジェリーに伝えたリタは出て行く。 電話しろと言ったはずだとジェリーに伝えたルパートは、追い払う口実だったことを知る。 憤慨したルパートは、50倍努力して、50倍有名になると言い放ち、その場を去る。 その後、マーシャと共に誘拐したジェリーを彼女の家に連れて行ったルパートは、テレビ・ショーのプロデューサーであるバート・トーマス(フレデリック・デ・コルドヴァ)に電話をさせる。 キャシーと打ち合わせをしていたバートは、ジェリーから、”キング”を今夜の番組の最初のゲストに使うようにと言われる。 テープを聞かなかった理由を訊かれたジェリーは、今から事務所に行って聞こうとルパートに伝える。 そんな手に乗る気はないジェリーは、話してばかりいることをマーシャから批判される。 再びテープを聞かなかった理由を尋ねたルパートは、番組を持てば分かると言われ、ジェリーは、ストレスの連続で正常ではいられなくなると伝える。 ジェリーに謝罪されたルパートは、悩みを持つ普通の人間だと話すジェリーから、告訴はしないと言われる。 マーシャはジェリーを黙らせ、銃が怖いので親しげに話しているだけだとルパートに伝える。 皆、自分に従うと言うジェリーは逮捕はさせないことを約束するものの、ルパートは彼をテープで椅子に拘束する。 皆と話し合いをしたバートは、FBIのゲリティから、録画をして放映までの間に態度を決めつつジェリーを救出することを提案されるが、弁護士が事態を重く見て意見する。 家を出て町の公衆電話からバートに電話をしたルパートは、番組がアメリカ中に放送されたらジェリーを返すことを伝える。 ドレスを着てムードを高めて雰囲気づくりをしたマーシャは、常に心配して考えていることをジェリーに伝え、愛を告げて彼を誘う。 スタジオに侵入したルパートは、その場にいたキャシーに自分が”キング”だと伝える。 マーシャは、歌いながらジェリーに迫る。 ゲリティに尋問されたルパートは、ジェリーの居場所を訊かれるものの死んだと答える。 バートに会ったルパートは電話で話したことを伝えて、ジェリーのハンカチを渡す。 自分を番組で紹介する文章も渡したルパートは、バートから台本はあるかと訊かれたために、ないと答える。 ワイセツな言葉は話さないことを約束したルパートは、ジェリーを誘拐したことを確認するゲリティに、それを認める。 ジェリーの居場所への案内を拒んだために、ルパートは法的に逮捕され、メイクをするために楽屋に向かう。 出演者のトニー・ランドールは、台本作家が局により銃殺刑になったという、意味不明な台本をそのまま読むようにとバートに指示されて戸惑い、それをディレクター(マーティン・スコセッシ)にも確認する。 今夜は好きなことをすると興奮しながら話すマーシャは、ジェリーの前でドレスを脱ぐ。 エド・ハーリヒーの司会で”ジェリー・ラングフォード・ショー”の録画は始り、登場したトニー・ランドールは、最初のゲストである”キング・オブ・コメディ”のルパート・パプキンを紹介する。 ジェリーは、迫るマーシャにテープを切ってほしいと伝える。 芸を終えてゲリティに再び尋問されたルパートは、放送時間なので、あるところへ行って用事を済ませたらジェリーを返すと伝えるものの、逮捕されているので居場所を吐かせると言われる。 ショーの放送時間が迫り、ルパートはゲリティと共にバーに向かう。 拘束を解かれたジェリーは銃を奪うが、それがおもちゃだったことを知り、マーシャを殴り倒してその場から逃れる。 マーシャは、下着のままでジェリーを追う。 バーに入ったルパートはテレビのチャンネルを変えて、約束通り自分が出演したことをリタに知らせる。 ジェリーは、街角のショーウィンドウのテレビにルパートが映っていることを確認する。 大いに受けた自分を誇らしく思うルパートは、ゲリティと部下に一杯おごると伝える。 ジェリーの居場所に向かうと言われたルパートは、ゲリティらに連れて行かれる。 前代未聞のデビューとなったルパートのテレビ出演は話題になり、一夜にして全米に知れ渡る。 番組を見た人数は8700万人に上り、ルパートは時の人となる。 懲役6年の刑が言い渡されたルパートはジェリーとは友人だと話し、刑務所で自伝を書き、ある出版社が100万ドルを超える金額で出版権を手に入れた。 2年9か月で仮出所したルパートの自伝はベストセラーとなり、映画化も決定した。 獄中で芸を磨いたルパートは、各方面からの出演交渉を受けて、芸能界に復帰することになる。 そして、”キング・オブ・コメディ”のルパート・パプキンは、テレビカメラの前に登場する。
...全てを見る(結末あり)
公衆電話からジェリーの事務所に電話をかけたルパートはつなげてもらえず、番号を教えてその場で長時間待つ。
__________
__________
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク。
コメディアン志望のルパート・パプキンは、尊敬する人気コメディアンのジェリー・ラングフォードに近づき話をする。
追い払う口実で事務所に電話をするようにと伝えたジェリーだったが、ルパートはチャンスをもらえたと思い込み、ジェリーの事務所に向かい面会しようとする。
その後、ジェリーに会えずに事務所側からも相手にされないルパートは、ジェリーの熱狂的なファンである友人のマーシャと共にある計画を実行する。
マーシャとジェリーを誘拐したルパートは、彼をこうそくして脅し、番組に出演させる約束をさせるのだが・・・。
__________
既に名コンビとなっていたマーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロに、大スターであるコメディアンのジェリー・ルイスを加えて描く注目の作品。
撮影当時まだ30代のマーティン・スコセッシの活きのよさが感じられる作品で、願望実現のために常軌を逸した売り込み作戦を実行するコメディアン志望の青年の奇妙な行動と共に、大都会ニューヨークを狂気の世界のように描いたシニカル・コメディの秀作。
製作費1900万ドルに対して興行的には成功した作品とは言えないが、批評家の評価は高く、マーティン・スコセッシは、第36回カンヌ国際映画祭でパルムドールにノミネートされた。
「ゴッドファーザーPARTII」(1974)、「レイジング・ブル」(1980)でオスカーを受賞し、既にハリウッドの実力派スターとなっていたロバート・デ・ニーロが、偏執狂的な主人公を怪演して見事な演技を見せてくれる。
かつてのドタバタ的なイメージはなく落ち着いた雰囲気があり、主人公に付きまとわれる人気コメディアンを好演する、大スターのジェリー・ルイスの出演が嬉しい。
人気コメディアンの熱狂的なファンであり、主人公二人の大物を圧倒するような強烈な個性で印象的な演技を見せるサンドラ・バーンハード、主人公が惹かれる女性ダイアン・アボット、プロデューサー(フレデリック・デ・コルドヴァ)のアシスタントで主人公に対応するシェリー・ハック、本人役でトニー・ランドールとエド・ハーリヒー、受付係のマーゴ・ウィンクラー(アーウィン・ウィンクラーの妻)、ジェリーの別荘の執事キム・チャン、そして、マーティン・スコセッシが番組ディレクター役で出演している。