精神を病んだ3人の女性を連れた流れ者の悪党と孤独な女性の過酷な旅を描く、製作総指揮、監督、主演トミー・リー・ジョーンズ、製作リュック・ベッソン、出演ヒラリー・スワンク、グレイス・ガマー、ミランダ・オットー、ジェームズ・スペイダー、メリル・ストリープ、ジョン・リスゴー、ヘイリー・スタインフェルド、ジェシー・プレモンス、ウィリアム・フィクナー、デヴィッド・デンシック他共演の西部劇。 |
・西部劇
・トミー・リー・ジョーンズ / Tommy Lee Jones / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:トミー・リー・ジョーンズ
製作
リュック・ベッソン
ピーター・ブラント
ブライアン・ケネディ
製作総指揮
G・ヒューズ・アベル
デボラ・ドブソン・バック
マイケル・フィッツジェラルド
トミー・リー・ジョーンズ
リチャード・ロメロ
原作:グレンドン・スウォーサウト”The Homesman”
脚本
トミー・リー・ジョーンズ
キーラン・フィッツジェラルド
ウェズリー・A・オリヴァー
撮影:ロドリゴ・プリエト
編集:ロベルト・シルヴィ
音楽:マルコ・ベルトラミ
出演
ジョージ・ブリッグス:トミー・リー・ジョーンズ
メアリー・ビー・カディ:ヒラリー・スワンク
アラベラ・サワーズ:グレイス・ガマー
シオライン・ベルナップ:ミランダ・オットー
アロイシャス・ダフィー:ジェームズ・スペイダー
アルサ・カーター:メリル・ストリープ
アルフレッド・ダウド:ジョン・リスゴー
グロー・スヴェンソン:ソニア・リヒター
タバサ・ハッチンソン:ヘイリー・スタインフェルド
ネッティ・スヴェンソン:キャロライン・ラガーフェルト
幌馬車隊の男:ティム・ブレイク・ネルソン
ガーン・サワーズ:ジェシー・プレモンス
ヴェスター・ベルナップ:ウィリアム・フィクナー
トール・スヴェンソン:デヴィッド・デンシック
バスター・シェイヴァー:バリー・コービン
ボブ・ギッフェン:エヴァン・ジョーンズ
ポルヘマス夫人:ジョー・ハーヴェイ・アレン
アメリカ 映画
配給 ロードサイド・アトラクションズ
2014年製作 123分
公開
北米:2014年11月14日
日本:未公開
製作費 $16,000,000
北米興行収入 $2,429,990
世界 $3,819,420
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1854年、ネブラスカ準州、ループ。
ニューヨーク出身で31歳のメアリー・ビー・カディ(ヒラリー・スワンク)は、小さな農業コミュニティの一員だった。
堅実で経済的にも余裕があり将来を考えるメアリー・ビーは、隣人のボブ・ギッフェン(エヴァン・ジョーンズ)を夕食に招く。
夕食後にメアリー・ビーは、リサイタルだと言って、布で作った鍵盤をテーブルに敷き歌い始める。
ボブに結婚を迫ったメアリーは、東部で相手を探すつもりの彼から、地味で気取り屋だと言われて断られショックを受ける。
冬になり、コミュニティの家族の3人の妻たちが、直面した苦難のために精神的に不安定な状態になる。
シオライン・ベルナップ(ミランダ・オットー)は、疫病で牛が死に不作で飢餓の危険にさらされ、デンマークからの移民グロー・スヴェンソン(ソニア・リヒター)は、夫トール(デヴィッド・デンシック)から虐待を受け、母親ネッティ(キャロライン・ラガーフェルト)が死んだ後に精神的ダメージを受け、若いアラベラ・サワーズ(グレイス・ガマー)は、ジフテリアで3人の子供を失う。 アルフレッド・ダウド牧師(ジョン・リスゴー)と3人の話をしたメアリー・ビーは、ボブとの関係も訊かれるものの、仕事仲間だとしか答えない。 教会で会合が開かれ、ダウドは、3人の女性を精神障害者の世話をするアイオワ州ヘブロンの教会に連れて行く案を話す。 シオラインの夫ヴェスター(ウィリアム・フィクナー)はそれを断り、彼を非難するメアリー・ビーは、自分が代わりにクジを引くと言って苛立つ。 アラベラの夫ガーン(ジェシー・プレモンス)とトールとでクジを引き、自分が当たったメアリー・ビーは、ヴェスターの代わりに引いたものの、自ら旅立つことを志願する。 ポルヘマス夫人(ジョー・ハーヴェイ・アレン)らには反対されたメアリー・ビーは、女性の世話をするには自分が適任だと言って考えを変えない。 とは言うものの、広大な大地を見つめるメアリー・ビーは不安を感じる。 町に向かったメアリー・ビーは、バスター・シェイヴァー(バリー・コービン)から移送用の荷馬車を見せてもらう。 馬車を家に運ぶ途中でメアリー・ビーは、追ってきたダウドから、3人の女性達の近親者に宛てた手紙を受け取る。 その頃、トールとガーンらは、東部に向かったボブの家に立てこもった男を追いだそうとする。 法的手段で正当に手に入れたと言われたトールは、煙突から爆薬を入れる。 爆破された家から出てきたジョージ・ブリッグス(トミー・リー・ジョーンズ)は、吊るされることになる。 吊るされているブリッグスに気づいたメアリー・ビーは、何でもすると言う彼を助ける。 荷物を取りにボブの家に寄ったブリッグスは、メアリー・ビーの家に向かう。 仕事を済ませたブリッグスは、メアリー・ビーとの食事の際に頼みごとを聞き、精神を病んだ3人の女性をアイオワに連れて行くと言われ、不満を口にしながらも約束は守ると伝える。 翌日、メアリー・ビーと共に出発したブリッグスは、町に入る前に、襲われた男たちに見つかるのを避けるために荷馬車に乗る。 ブリッグスのために銃弾とウィスキーを用意したメアリー・ビーは、報酬の300ドルの銀行券をヘブロンのカーター家に送ることを彼に伝える。 それを投函せずにバッグにしまったメアリー・ビーは、サワーズ家に向かい、人形を手放さない19歳のアラベラを荷馬車に乗せる。 ガーンは、アラベラの祖母からの贈り物であるブローチをメアリー・ビーに渡し、何の感情も愛もない妻を罵る。 迎えに来たメアリー・ビーの荷馬車に暴れるグローを乗せたトールは、ブリッグスに気づき、不法侵入者だと言って銃を向ける。 トールを殴ったブリッグスは、彼を銃で狙うようメアリー・ビーに指示して出発する。 縛られていた友人シオラインの縄を外したメアリー・ビーは、母との別れを悲しむ幼い娘二人を励ます。 厳しい寒さの中で旅は始まり、ブリッグスは、死体を包んであった毛皮を手に入れる。 野営をしたブリッグスは、竜騎兵だったことをメアリー・ビーに話し、陽気に踊り始める。 翌日、ポーニー族と遭遇したブリッグスは、死を覚悟するようメアリー・ビーに伝え、相手と取引して馬を渡して逃げ延びる。 その後、シオラインがアラベラの人形を埋めようとする。 それに気づいたアラベラは憤慨し、シオラインを痛めつける。 翌朝、アラベラが姿を消したことをメアリー・ビーから知らされてブリッグスは、彼女を捜しに行く。 幌馬車隊の男(ティム・ブレイク・ネルソン)の馬に乗せられていたアラベラを見つけたブリッグスは、彼女のことを説明しても引き渡そうとしないために争いになる。 格闘となったブリッグスは首を絞められるが、アラベラが男を射殺する。 戻ったブリッグスは、そのことをメアリー・ビーに話す。 出発して暫くしたところで、11歳の少女の墓が荒らされていることに気づいたメアリー・ビーは、気の毒に思い元に戻そうとする。 ブリッグスは馬を残して先に行き、墓を元通りにしたメアリー・ビーは祈りを捧げる。 馬に乗りブリッグスを捜したメアリー・ビーは、夜になっても見つけることができない。 翌日、墓に戻ってしまったメアリー・ビーは、その後、空腹に耐えきれずに草を口にする。 その夜、野営をするブリッグスをようやく見つけたメアリー・ビーは、焚火で知らせなかった彼を非難して涙する。 朝になり落ち着いたメアリー・ビーは、布の鍵盤を持って川淵に向かいその場で歌い、ブリッグスは、そんな彼女を見つめる。 その夜、メアリー・ビーはブリッグスに結婚を申し込み、財産もあるし子供も埋めると言って将来について語る。 それを断られたメアリー・ビーは、全裸になりブリッグスに迫る。 仕方なくズボンを脱いだブリッグスは、メアリー・ビーと愛し合う。 翌朝、姿が見えないメアリー・ビーを捜したブリッグスは、彼女が森の中で首を吊っているのを見つける。 ショック受けたブリッグスは、メアリー・ビーを埋葬しながら3人の女性を責める。 3人を置いて去るつもりのブリッグスは、メアリーの遺品から報酬の銀行券を見つけて、彼女らに別れを告げて旅立つ。 川を渡るブリッグスは、追ってきたアラベラがおぼれかけたために、シオラインとグローと共に彼女を助ける。 3人と共に出発したブリッグスは、食料が底をついたので、たどり着いたホテルに宿泊しようとする。 宿泊を断られたブリッグスは、オーナーのアロイシャス・ダフィー(ジェームズ・スペイダー)と話し、今日、16人の投資家が来ることを知らされる。 納得しないブリッグスから、3日何も食べてないと言われたダフィーは、連れの女たちの様子を見る。 叫ぶグローに驚いたダフィーは、再び宿泊を断るものの、ブリッグスに銃を向けられる。 バーテンダーに背後から銃を向けられ追い払われるブリッグスは、ダフィーを罵倒して引き下がる。 その夜、女たちに食料を探してくることを伝えたブリッグスは、ホテルに戻り、裏口から侵入して火を放つ。 二階から降りてきたダフィーの足を撃ったブリッグスは、子豚の丸焼きを奪い女たちの元に戻る。 翌日、それをたらふく食べたブリッグスらは、川を渡りヘブロンに到着する。 女たちを引き取る牧師の妻アルサ・カーター(メリル・ストリープ)の家に向かったブリッグスは、彼女に歓迎される。 メアリー・ビーが熱病で死んだことをアルサに話したブリッグスは、3人と対面させる。 4人を家に招き入れたアルサは、ブリッグスに3人の名前を教えてもらい、彼女らの近親者に宛てた手紙を受け取る。 アラベラにブローチを見せたブリッグスは、何も反応しないために、それをアルサに預ける。 その場を去るブリッグスは、荷馬車とラバと馬1頭を3人に寄付することをアルサに伝える。 祈りを捧げてくれたアルサに別れを告げたブリッグスは、その場を去りホテルに向かう。 ブリッグスは、使用人の少女タバサ・ハッチンソン(ヘイリー・スタインフェルド)が裸足であることが気になる。 服を新調したブリッグスは葬儀屋に向かい、メアリー・ビーの墓標を作らせる。 タバサが16歳だと知ったブリッグスは、裸足のことをたずねるが、心配いらないと言われる。 ブリッグスは、雑貨店で女性用の靴を買う。 カードの仲間に入ろうとしたブリッグスは、300ドルの銀行券で賭けようとするが、銀行が倒産したので無効だと言われ、現金を持っていないために追い払われる。 翌日、タバサに靴を渡したブリッグスは、西に向かう若者とは結婚せず、町に留まるようアドバイスする。 ブリッグスから結婚しないかと訊かれたタバサは、いいかもと答える。 その夜、酔って渡し船に乗ったブリッグスは、墓標を置いて、その場にいたミュージシャンの演奏で歌い踊り始める。 岸にいた男にやかましいと言われたブリッグスは、発砲して罵る。 渡し船に乗っていた男が、川に墓標を蹴り落したのも知らずに、ブリッグスは歌い踊り続ける。
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■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
1854年、ネブラスカ準州、ループ。
ニューヨーク出身で31歳のメアリー・ビーは、働き者であり堅実だったが孤独な独身女性だった。
その頃、仲間の農業コミューンの3家族の妻たちが、直面した苦難のために精神的に不安定な状態になる。
牧師のダウドは、3人の世話をしてくれるアイオワのヘブロンの教会に、彼女らを連れて行くことを考える。
それに志願したメアリー・ビーは、吊るされていた流れ者の悪党ジョージ・ブリッグスを助ける代わりに、旅の同行することを約束させる。
そして、3人の女性を荷馬車に乗せたメアリー・ビーとブリッグスは、厳しい寒さの中で旅立つのだが・・・。
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1988年に発表された、グレンドン・スウォーサウトの小説”The Homesman”を基に製作された作品。
製作総指揮と主演を兼ねたトミー・リー・ジョーンズが、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」(2005)に続き自ら監督した意欲作であり、両作ともにリュック・ベッソンが製作に参加している。
「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」と同じく本作でも高い評価を得たトミー・リー・ジョーンズは、第67回カンヌ国際映画祭ではパルムドールにノミネートされた。
精神を病んだ3人の女性を連れた、流れ者の悪党と孤独な女性の過酷な旅を描く異色の西部劇であり、豪華スター競演が話題になった作品。
主演のトミー・リー・ジョーンズは、まったく計画性のない悪党が、自分とは正反対の女性との出会いにより、違う人生に足を踏み入れる予感を感じさせる男を、いつもながら深く演じている。
有能で財産もあるものの孤独に苦しみ、将来を考えることができなくなる悲しい女性を切なく演ずる、ヒラリー・スワンクの好演も見逃せない。
過酷な生活環境と悲劇により精神を病む3人の女性グレイス・ガマー、ミランダ・オットー、ソニア・リヒター、主人公の宿泊を拒むホテルのオーナー、ジェームズ・スペイダー、3人を受け入れる教会の牧師の妻メリル・ストリープ(グレイス・ガマーは娘)、町の牧師ジョン・リスゴー、主人公が出会うホテルの使用人の少女ヘイリー・スタインフェルド、グロー(ソニア・リヒター)の母親キャロライン・ラガーフェルト、主人公と争いになる幌馬車隊の男ティム・ブレイク・ネルソン、アラベラ(グレイス・ガマー)の夫ジェシー・プレモンス、シオライン(ミランダ・オットー)の夫ウィリアム・フィクナー、グローの夫デヴィッド・デンシック、メアリー・ビー(ヒラリー・スワンク)に荷馬車を提供するバリー・コービン、メアリー・ビーの求婚を断るエヴァン・ジョーンズ、町の住人ジョー・ハーヴェイ・アレンなどが共演している。