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縛り首の木 The Hanging Tree (1959)

ゴールドラッシュ”に沸く町を舞台に、過去を隠す流れ者の医師と彼に救われた女性との関係を描く、監督デルマー・デイヴィス、主演ゲイリー・クーパーカール・マルデンマリア・シェルジョージ・C・スコット他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇


スタッフ キャスト
監督:デルマー・デイヴィス

製作
マーティン・ジュロー
リチャード・シェファード
原作:ドロシー・M・ジョンソン”The Hanging Tree”
脚本
ウェンデル・メイズ
ハルステッド・ウェルズ
撮影:テッド・マッコード
編集:オーウェン・マークス
音楽
マックス・スタイナー
ジェリー・リヴィングストン(主題歌)

出演
ジョセフ”ドク”フレイル:ゲイリー・クーパー
”フレンチー”プランテ:カール・マルデン
エリザベス・マーラー:マリア・シェル
ジョージ・グラブ:ジョージ・C・スコット
トム・フラウンス:カール・スウェンソン
ルーン:ベン・ピアッツァ
エドナ・フラウンス:ヴァージニア・グレッグ
ソサエティー・レッド:ジョン・ディアーケス
ワンダー:キング・ドノヴァン

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1959年製作 107分
公開
北米:1959年2月11日
日本:1959年2月20日
製作費 $1,350,000


アカデミー賞
第32回アカデミー賞

・ノミネート
歌曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1873年、モンタナ準州、黄金の道。
医師であり、ギャンブラーそしてガンマンのジョセフ”ドク”フレイル(ゲイリー・クーパー)は、”ゴールドラッシュ”に沸く町スカル・クリークに着く。

古い樫の木”絞首刑の木”の前を通り、ある売り家に向かったフレイルは、そこを金貨500ドルで買う。

水門から金を盗もうとした青年ルーン(ベン・ピアッツァ)は、山師の”フレンチー”プランテ(カール・マルデン)に撃たれる。

銃声を聴いたフレイルは、フレンチーらから逃げようとするルーンを助ける。

ルーンを治療して食事を与えたフレイルは、治療代が払えない彼に、働いて返すようにと伝える。

それを拒むルーンに摘出した弾丸を見せたフレイルは、縛り首にするには十分な証拠になると伝える。
...全てを見る(結末あり)

仕方なく納得したルーンは、部屋の掃除と診療所の宣伝を指示され、それに従うしかなかった。

ルーンを信じたフレイルは、弾丸を捨てる。

回復したルーンは診療所の宣伝を始め、雑貨店の店主トム・フラウンス(カール・スウェンソン)は、医師が友人のフレイルだということを知る。

心霊治療師ジョージ・グラブ(ジョージ・C・スコット)は、診療所ができたことを気にする。

診療を始めたフレイルは、貧しい人々に親切に接し、治療費を受け取らなかった。

診療所に現れたグラブは、病人をフレイルに診せると殺される言って妨害する。

グラブを単なる酒好きの詐欺師としか思っていないフレイルは、彼の酒瓶を奪い投げ捨て、威嚇射撃をして追い払う。

次の患者を診ようとしたフレイルは、以前会ったことがあるフレンチーを家の中に入れる。

フレイルは、信用できない男であるフレンチーに油断するなとルーンに伝える。

尻のデキモノを切開してもらったフレンチーは、激痛で叫び声をあげる。

その夜、酒場でギャンブルをしたフレイルは、ソサエティー・レッド(ジョン・ディアーケス)との採掘権を賭けた勝負を受ける。

それに勝ったフレイルは、過去に家を焼いたことを口にしたソサエティー・レッドを殴り倒す。

ソサエティー・レッドに手を貸したフレンチーは、フレイルが家を焼いたと言う話が気になる。

家に戻ったルーンもその件が気になり、家を焼いたと言われただけで人を殺しかけたフレイルの行動を疑問に思う。

日課を変えると言うフレイルは、早朝から採掘をして、その後、診療をすることをルーンに伝え、過去についての質問はあるかと彼に問う。

ないと答えたルーンは、フレイルは異常者だと言ったグラブが正しいと思う。

数日後、駅馬車が強盗に襲われて横転する。

採掘を始めたフレイルは金を見つけ、それをトムに売ろうとする。

フレイルは、駅馬車の御者が、怪我をしながら町にたどり着いたことをフレンチーから知らされる。

トムは乗客の女性の捜索を任され、ルーンもそれに加わる。

駅馬車が見つかり、内部を調べたフレンチーは、バッグなどを確認してトムに渡す。

その中の手紙から、怪我人の女性がスイス人のエリザベス・マーラー(マリア・シェル)であることが分かり、手分けをして捜索することになる。

ルーンと野営をしたトムは、彼が出血していることが気になり、フレイルと出会った時期を尋ねる。

最近だと言われたトムは、フレイルと何度か商売をしたことを話し、チャンスをつかんだものの、彼は医師の仕事にこだわっているとルーンに伝える。

”はかない”という意味のフレイルの名前は、薄幸な男に相応しいと話すトムは、本名ではなく変わった男だとルーンに伝える。

フレイルが死に急いでいるようにも思えると言うルーンは、家を焼く話をしただけで相手を殴り倒したことをトムに伝える。

フレイルが殺さなかったことを確認したトムは、豪邸に住んでいたテンプルという医師が、その場で一組の男女が死んだ後、家に火を放ったという話をする。

翌日も捜索は続き、瀕死のエリザベスを見つけたフレンチーは、彼女に水筒の水を与え、銃で合図をして仲間を呼び寄せる。

駆け付けたトムらは、酷い日焼けをしているエリザベスを担架で運ぼうとする。

町に戻ったフレンチーは、怪我人の女性を見つけたことを皆に伝えて自慢する。

それを知ったフレイルは、娼婦の治療を終えた後で向かうことをフレンチーに伝える。

エリザベスが運び込まれた小屋に着いたフレイルは、彼女の顔に潤滑油を塗ったルーンに、正しい判断だと伝える。

診察を終えたフレイルは、失明も心配されるエリザベスを清潔な場所に移す準備をして、彼女の世話をしたいと言うルーンにそれを任せる。

馬車でエリザベスを町に運んだフレイルは、トムが提供してくれた家の隣の小屋で治療をしようとする。

トムの妻エドナ(ヴァージニア・グレッグ)は、小屋で死なれては迷惑だと思うが、フレイルは、エリザベスは死なないと彼女に伝える。

ルーンと共にエリザベスを部屋に運んだフレイルは、殺された父のことを心配して取り乱す彼女を落ち着かせる。

喉の渇きで苦しんだエリザベスは、フレンチーの水筒を抱いていたが、フレイルが手を握り、その間にルーンが水筒を彼女から離す。

エリザベスの手を握り続けるフレイルは、ルーンに眠るよう指示する。

翌日、エリザベスと話したフレイルは、目のことを気にする彼女に、一時的に視力を失っていることを伝える。

父親が強盗に殺されたことを知ったエリザベスは、優しく語りかけてくれるフレイルの言葉を聞き安心する。

フレイルは、食事の用意をしたルーンに、エリザベスの世話を任せる。

買い物に来たルーンに探りを入れたエドナは、エリザベスが気になり、トムから干渉するなと言われるものの、風紀が乱れると言って彼女の様子を見に行く。

エリザベスは、凶作の年に母が死に、新天地を求めて父と共にアメリカに来て旅をしたことをフレイルとルーンに話し、2人の容姿が気になる。

冗談を言われたエリザベスは、ルーンはハンサムだと思うが、フレイルは想像がつかないと言いながら、手の感触で彼の顔を想像する。

そこに、町の婦人たちを連れたエドナが現れ、探りに来たことに気づいたフレイルは面会を断り、彼女らを追い払う。

その夜、酒場にいたフレンチーは、エリザベスが気になり小屋を覗きに行く。

呼び鈴の紐を切ったフレンチーは、自分に気づいたエリザベスに、山で助けた男だと言って、水筒を返してほしいと伝える。

エリザベスに招き入れられたフレンチーは、段を踏み外しそうになった彼女を助ける。

金で金持ちになれると言って投資を勧めるフレンチーは、資金がないと言うエリザベスに迫ろうとする。

酒場でフレンチーの様子が気になっていたフレイルがその場に戻る。

驚いたフレンチーは、水筒を取りに来たと言ってその場を去る。

エリザベスに変わりがないことを確認したフレイルは、呼び鈴を直して小屋で寝るようルーンに指示する。

町の酒場に戻ったフレンチーは、銃をバーテンダーに預けて、追ってくるフレイルを待つ。

丸腰のフレンチーに近づくフレイルは、首にかけたカミソリを外させる。

ガンベルトを鞍にかけたフレイルは、背後からフレンチーに襲われる。

自分の銃を奪おうとするフレンチーと格闘になり叩きのめしたフレイルは、今度現れたら丸腰でも殺すと言って彼を脅す。

その様子を見ていたグラブは、フレイルは悪魔だと言って、追放するべきだと考える。

ソサエティー・レッドは、フレイルが女を独り占めにするつもりだと考え、フレンチーは仕返ししようとする。

家に戻ったフレイルはルーンに責められ、彼を殴ろうとするものの思い留まる。

数日後、部屋を暗くしたフレイルは、エリザベスの目の包帯を外し、ルーンにランプを用意させて、彼女のガーゼを取り目を開けさせる。

何も見えないと言われたフレイルは、ルーンに指示してランプを移動させる。

瞳は炎の光を追っていると言われたエリザベスは、小さな光が見えるとフレイルに伝える。

明日はさらに見えるようになると伝えたフレイルは、エリザベスに感謝される。

その後、外に出られるようになったエリザベスは、駅馬車の通り過ぎる音で事件のことを思い出し、取り乱してしまう。

小屋に戻り、目が焼けるように痛いと泣きながら訴えるエリザベスは、フレイルに、外に出たら見えなくなったと伝える。

目は治っていると判断したフレイルは、事件の恐怖で見えないと思い込んでいると考え、エリザベスをもう一度、外に連れて行く。

エリザベスを町を見下ろせる崖に立たせたフレイルは、目を開けて生きようとしろと言って彼女から離れる。

フレイルがはっきりと見えたエリザベスは微笑む。

家に戻るフレイルは、ルーンから、エリザベスの目は治り自由になったと言われ、言葉を返さなかった。

その後、父の墓に向かったエリザベスは、花を手向ける。

フレイルは、自分に尽くそうとしてくれるエリザベスを避けるようになる。

自分に好意を示すエリザベスを拒むフレイルは、彼女に翌日の駅馬車に乗るよう指示する。

フレイルは、エリザベスから行き場がないと言われても、彼女を突き放す。

この町に住むと言うエリザベスに、金を諦めた者たちは去り誰もいなくなると伝えたフレイルだったが、エリザベスは、は小麦を育てて牛を飼い、家を建てて生きていくつもりだった。

何とかして金は稼ぎ治療代を払うと言うエリザベスは、フレイルの元を去る。

フレイルが例の弾丸を捨てたことを知ったルーンは、自分も自由だと確認する。

ルーンは、馬を譲るのでエリザベスと共に去るようにと言うフレイルの指示に従う。

翌朝から町の人々に挨拶して回ったエリザベスは、皆に歓迎される。

ルーンと共に雑貨店に向かったエリザベスは、捜索で世話になったトムに感謝し、金の採掘を始める資金を借りようとする。

家宝のブローチを担保にすると言われたトムは、エリザベスにそれを調べることを伝えて、外にいたフレイルにその件を話す。

ブローチが20ドルもしないものだと言われたフレイルは、いくらでも貸すようにとトムに伝え、自分が資金を出すつもりだった。

採掘の件でフレンチーに協力を求めたエリザベスは、五分五分の取り分で話をつけ、トムに立ち合ってもらい正式な契約を交わす。

その後エリザベスは、ルーンとフレンチーと共に作業を行い、といを作り水門を開けて採掘を始める。

暫くして、エリザベスらの採掘が期待外れだったとトムから知らされたフレイルは、それを気にしなかった。

ワンダー(キング・ドノヴァン)の妻の出産を済ませたフレイルは、川沿いを通り町に戻ろうとする。

採掘を初めて1月経ったフレンチーは、成果が上がらずエリザベスに不満を訴える。

通りがかったフレイルに声をかけたエリザベスは、元気そうだと言われ、ルーンのことなどを訊かれる。

フレンチーが現れたため、フレイルはルーンに声をかけてその場を去る。

採掘を諦めようとするフレンチーに侮辱されたエリザベスは、彼を殴ったために迫られる。

それを拒みショックを受けたエリザベスは、今後は町で寝泊まりすることをルーンとフレンチーに伝える。

雑貨店に向かったエリザベスは、ブローチを担保にして買い物をしようとするが、エドナから価値がないものだと言われて戸惑う。

資金はフレイルが出していることを知り、体で返していると言われたエリザベスは、エドナから1119ドル支払われている帳簿を見せられる。

商売女と言われたエリザベスはショックを受けてその場を去り、その場にいたルーンはエドナを非難する。

フレイルの元に向かったエリザベスは、金は必ず返すと言って、エドナから商売女呼ばわりされたことを伝える。

傷つける気はなかったと言うフレイルから、町を出るようにと指示されたエリザベスは、彼を非難して、ルーンと共に苦しんでいることを伝える。

いつか同じ目に遭わせると言われたフレイルは、もう遭ったと伝える。

ルーンから聞いていた、自殺した女性の話は本当だったのかと訊かれたフレイルは、その通りだと答え、妻と一緒に死んだのは自分の弟だったとエリザベスに伝える。

浮気した妻と弟が自殺し、それを知ったフレイルが屋敷に火を放ったのだった。

訳を話してほしいと言われたフレイルは、荒れた手に塗る軟膏を彼女に渡しただけだった。

その後、雨が続いて地盤が緩み、採掘現場の大木が倒れる。

木の根の金に気づいたルーンは、ついに金脈を見つけたことをエリザベスとフレンチーに知らせる。

エリザベスとルーンと共に町に戻ったフレンチーは、大金脈を見つけたことを人々に伝える。

男たちを引き連れて酒場に向かったフレンチーは、皆に酒をおごる。

金を持ち帰ったエリザベスは、留守だったフレイルに見せるとルーンに伝える。

酔った男たちが焚火を囲んで騒いでいる間、フレイルが留守だと知ったフレンチーは、ソサエティー・レッドと共にエリザベスの元に向かう。

火が広がり、トムは消火しようとする。

現れたソサエティー・レッドらが、何かを企んでいることを知ったルーンは、フレンチーがエリザベスの元に向かったことに気づく。

エリザベスを助けようとしたルーンは、ソサエティー・レッドらに押さえつけられる。

酔ったフレンチーはエリザベスに迫り、襲いかかろうとする。

グラブは町の建物に放火し、フレイルの家も燃やそうとする。

町に戻り、それを知ったフレイルは家に向かう。

フレンチーに暴行されそうになったエリザベスは、抵抗して二階に逃げる。

家に戻ったフレイルはフレンチーを突き落とし、発砲してきたために銃撃する。

外に逃げたフレンチーを射殺したフレイルは、死体を崖から突き落とす。

人殺しだと言うグラブは、フレイルを捕らえて縛り首にしようとする。

それを知ったエリザベスは、ルーンを呼び寄せる。

縛り首の木に連れて行かれたフレイルは馬車に乗せられ、グラブに首にロープをかけられる。

ルーンとその場に現れたエリザベスは、金と採掘権を渡すと言ってフレイルを助けようとする。

金に目がくらんだ男たちは、金を奪い始める。

ルーンに助けられたフレイルは、去ろうとするエリザベスを呼び止め、馬車に歩み寄った彼女との愛を確かめる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1873年、モンタナ準州
医師であり、ギャンブラーそしてガンマンのジョセフ”ドク”フレイルは、”ゴールドラッシュ”に沸く町に着く。
診療所を始めたフレイルは、銃で撃たれた青年ルーンを助け、治療費の代わりに雑用をさせる。
ある日、駅馬車が襲われて女性が行方不明になり、捜索が始まり、
山師のフレンチーが、スイス人女性のエリザベスを見つける。
エリザベスの治療をすることになったフレイルは、失明しかけた彼女に優しく接し好意を抱かれるのだが・・・。
__________

1957年に発表された、ドロシー・M・ジョンソンの小説”The Hanging Tree”を基に製作された作品。

過去を隠す流れ者の医師と、彼に救われた女性、そして、2人に関わる住人との関係を描く、主演のゲイリー・クーパーをはじめ、個性派脇役陣も注目の秀作西部劇。

折れた矢」(1950)、「決断の3時10分」(1957)、「カウボーイ」(1958)など、多くの西部劇を手掛けたデルマー・デイヴィスと、大スターのゲイリー・クーパーが組んだ作品。

様々な登場人物の個性を丹念に描く、デルマー・デイヴィスの繊細な演出が見どころの作品でもあり、ドラマを効果的に盛り上げるマックス・スタイナーの音楽なども印象に残る。

第32回アカデミー賞では、マーティ・ロビンズが歌う主題歌が歌曲賞にノミネートされた。

2年後に他界するゲイリー・クーパーの晩年の名作であり、単なる流れ者の医師には思えない、辛い過去に苦しみ生き続けながらも、風格が感じられる人物を見事に演じている。
撮影当時30歳で前年デビューしたばかりとは言え、ジョージ・C・スコットがただの脇役に見えるゲイリー・クーパーの貫禄も注目だ。

主人公らに絡む軽薄な男である山師を好演するカール・マルデン、主人公の治療を受け惹かれるようになる美しいスイス人女性のマリア・シェル、主人公を嫌う心霊治療師のジョージ・C・スコット、主人公の旧友である雑貨店の店主カール・スウェンソン、その妻ヴァージニア・グレッグ、主人公に救われて仕事を手伝う青年ベン・ピアッツァ、町の住人ジョン・ディアーケスキング・ドノヴァンなどが共演している。


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