サイトアイコン That's Movie Talk!

グリフターズ/詐欺師たち The Grifters (1990)

1963年に発表された、ジム・トンプスンの小説”The Grifters”を基に製作された作品。
母と息子そしてその恋人3人の詐欺師のそれぞれの思惑と絡み合う関係を描く、製作マーティン・スコセッシ、監督スティーヴン・フリアーズ、主演ジョン・キューザックアンジェリカ・ヒューストンアネット・ベニングパット・ヒングル他共演の犯罪ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:スティーヴン・フリアーズ

製作
マーティン・スコセッシ
ロバート・A・ハリス
ジム・ペインター
製作総指揮:バーバラ・デ・フィーナ
原作:ジム・トンプスンThe Grifters
脚本:ドナルド・E・ウェストレイク
撮影:オリヴァー・ステイプルトン
編集:ミック・オーズリー
音楽:エルマー・バーンスタイン

出演
ロイ・ディロン:ジョン・キューザック
リリー・ディロン:アンジェリカ・ヒューストン
マイラ・ラングトリー:アネット・ベニング
ボーボー・ジャステス:パット・ヒングル
シムズ:ヘンリー・ジョーンズ
グロスター・ヘビング:チャールズ・ネイピア
コール:J・T・ウォルシュ
ピアソン警部補:ザンダー・バークレー
ジョー:ゲイラード・サーテイン
宝石商:スティーヴン・トボロウスキー
ポール:ポール・アデルスタイン
フレッシュマン:ジェレミー・ピヴェン
スプーニー:グレゴリー・スポーレダー
カッグス:スティーヴ・ブシェミ
モーテルの受付:フランセス・ベイ
リリー・ディロン(少女期):ジュリエット・ランドー
オープニングの語り:マーティン・スコセッシ

アメリカ 映画
配給 ミラマックス
1990年製作 110分
公開
北米:1990年12月5日
日本:1991年9月14日
北米興行収入 $13,446,770


アカデミー賞
第63回アカデミー賞

・ノミネート
監督
主演女優(アンジェリカ・ヒューストン
助演女優(アネット・ベニング
脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
詐欺師のリリー・ディロン(アンジェリカ・ヒューストン)は競馬場に向かう。

ロサンゼルス
同じく詐欺師であるリリーの息子ロイ(ジョン・キューザック)は、バーでバーテンダーに20ドルを見せてビールを頼み、10ドルにすり替えて10ドルの釣りを受け取りその場を去る。

次のレースでリリーは、二回に分けて単勝で同じ馬に賭ける。

別のバーでも同じ手口を使ったロイは、バーテンダーに詐欺を見破られて腹部を殴られてしまう。

宝石店に向かったロイの恋人マイラ・ラングトリー(アネット・ベニング)は、店主(スティーヴン・トボロウスキー)から、持参した宝石のダイヤが偽物だと言われたため、色仕掛けで彼に迫る。
...全てを見る(結末あり)

気分が悪くなったロイは、通りがかった警官に声を掛けられるが、食あたりだと伝える。

組織のボス、ボーボー・ジャステス(パット・ヒングル)の指示通りに稼いだリリーは、自分が儲けた分を車のトランクに隠す。

連絡したリリーは、カリフォルニアラホヤに行くよう指示され、ロサンゼルスに寄ることを伝える。

体調を崩しながらアパートに戻ったロイは、詐欺を教わったミンツのことを思い出し、現れたマイラと愛し合う。

その後、管理人のシムズ(ヘンリー・ジョーンズ)の電話で起こされたロイは、母親が来ていると言われて、通すようにと伝える。

家出して以来8年ぶりにリリーに会ったロイは、気分が悪くなる。

心配するリリーに、二日前に腹部を打ったと伝えたロイは、彼女が手配した救急車で病院に運ばれる。

気が付いたロイは、駆け付けたマイラから腹部が内出血していたことを知らされる。

リリーが医師と救急車を手配してくれたことを知ったロイは、自分は望まれない子供であり、母は14歳で産んだとマイラに話す。

ラホヤの競馬場に向かう用があるリリーはその場を去り、マイラはロイを気遣う。

渋滞にはまり競馬場に遅れたリリーは、指示されていた大穴を逃してしまう。

病院に戻ったリリーは看護師のリリーを呼び、退院後も看護に雇うことをロイに伝える。

マイラを恋人と認めたくないリリーが、自分の相手をさせるために雇ったと、ロイはキャロルに正直に話す。

動揺するキャロルはその場を去り、不満を訴えるロイに憤慨したリリーは、部屋から出ていく。

マイラに電話をしたロイは、留守だった彼女に、ラホヤのビーチで過ごそうというメッセージに残す。

帰宅したマイラは、家主のジョー(ゲイラード・サーテイン)から家賃を請求されたために体で払う。

退院したロイはアパートに戻り、心配かけたことをシムズに謝罪する。

競馬場の駐車場で待っていたボーボーから声を掛けられたリリーは、ホテルに送るよう指示される。

レースは逃していなかったものの、大穴にも拘らず1万ドルしか勝てなかったことでボーボーに納得してもらえないリリーは、息子が入院したために仕方なかったことを伝える。

ホテルに着いたボーボーはリリーの腹部を殴り、オレンジをタオルに包ませ、それで彼女を殴ろうとして脅す。

オレンジを捨てたボーボーは、リリーを押さえつけて葉巻で右手の甲を焼く。

リリーに稼ぎをくすねているのか尋ねて、たまに少しだけと言う彼女に1万ドルを渡して帰す。

絵の額の裏に大金を隠していたロイは、札束を手にしてマイラと共に電車でラホヤに向かう。

途中、水兵(ポール・アデルスタイン/ジェレミー・ピヴェン/グレゴリー・スポーレダー)らを相手に賭けをしたロイは、サイコロに細工して彼らを騙して金を奪う。

その様子を、マイラは興味深く見ていた。

ラホヤ
ロイと食事をしたマイラは、水兵を相手にイカサマで稼いでいたことを話し、セールスマンではないのは分かっていると伝える。

自分と同じペテン師だと言うマイラは、ロイの腕を一流だと見込んで、組んで大きく稼ぐことを提案する。
__________

大物詐欺師のコール(J・T・ウォルシュ)と組んでいたマイラは、南西部のリッチな企業家グロスター・ヘビング(チャールズ・ネイピア)に目を付けて、株のディーラー装う彼にグロスターを紹介する。

二人の前で大金を見せたコールはグロスターを信用させて、違法だと前置きして、東京市場とニューヨーク市場の間の情報をハッキングすることを話す。

東京からニューヨークに届く前に入手した情報を基に7秒の間に取引を完結させると言うコールの話を信用したグロスターは、大金を用意する。

何万ドルもの現金を手に入れた直後に、捜査官が踏み込む芝居を準備していたコールは、手入れをマイラのせいにして彼女を射殺したように見せかけて、それに焦るグロスターはその場から逃れる。
__________

その後、コールが精神障害で施設に入ったことを、ロイはマイラから知らされる。

ダイナーにいたリリーは、絡んできた男を叩きのめす。

ホテルに戻ったロイだったが、マイラは別の部屋に入ってしまう。

暫くしてロイに電話をしたマイラは、全裸で彼の部屋に向かい、からかったことを伝えて彼と愛し合う。

翌日、拳銃を用意していたリリーは、現れたロイから、治療費だと言われて4000ドルを渡される。

それを受取ろうとしないリリーは、その場にあった拳銃のことを訊かれて、護身用だと答える。

リリーの手の火傷に気づき気にするロイは、仕事のことを訊かれて、イカサマだけしているが相棒もいないのでいつでもやめられると話す。

ロイのことを心配するリリーは、仕事を済ませたらボルチモアに帰ることを伝える。

外で監視していたマイラは、ロイではなくリリーを尾行する。

競馬場に向かったマイラは、リリーが稼いだ金をくすねていることを知る。

帰りの電車の中で競馬場に行ったことをロイに話したマイラは、リリーは見かけてただけで、彼女のことを東部の人間に話したと伝える。

組まないことをマイラに伝えたロイは、リリーのせいかと訊かれ、彼女は関係なく、17歳の時に家を出て以来、母親の世話になったことはないと答える。

ロサンゼルス
アパートに戻ったロイは、現れたマイラから、タルサにいる仲間からいいカモがいるという連絡があったと言われる。

自分が1万ドルは何とかするので2万用意してほしいと言われたロイは、そんな大金は持っていないと伝えて断る。

現金を持っていることは知っていると言うマイラに、人とは組まないと伝えたロイは、その理由を訊かれ、君が怖いからだと伝える。

結局は破滅した同じような女を知っているので巻き添えはごめんだとマイラに伝えたロイは、リリーと組みたいのが本音ではないかと言われる。

侮辱するマイラを殴り倒したロイは、組まないと言って彼女を追い払う。

リリーに電話をしたロイは、話したいことがあるので今夜、会いに行くことを伝える。

電話を受けたリリーは、ボーボーに金を隠していることがバレたことを知らされ、その場から逃げる。

マイラは、リリーの行動を監視していた。

二人の男達がリリーの部屋を調べて出ていった後、ロイが到着する。

リリーがいないことを知ったロイは苛立つ。

フェニックス
モーテル着いたリリーは受付の老女(フランセス・ベイ)に歓迎され、道路沿いでない部屋をとる。

それを確認したマイラは、老女にリリーと間違われながら同じように部屋をとる。

拳銃を手にしたリリーは、ベッドに入る。

部屋に入ったマイラは、奪った合鍵を確認する。

リリーの部屋に向かったマイラは、眠っている彼女に襲い掛かる。

フェニックスに着いたロイは、地元警察のピアース警部補(ザンダー・バークレー)に迎えられ、リリーの車の中に大金があったことを知らされる。

リリーが自殺したとは考えられないロイだったが、ピアースから、拳銃自殺だったと言われる。

遺体を確認したロイは、拳銃を口にくわえて撃ったために顔の判別がつかず、右手の火傷の跡がないことを確認するものの、ピアースには母親だと伝える。

ロイのアパートに向かったリリーは、シムズにはマイラと間違われながら部屋に向かう。

絵の額に隠されていた現金をブリーフケースに詰めていたリリーは、ロイが現れたために驚き、ボーボーに追われることを恐れる。

リリーを落ち着かせたロイは、”母親”の遺体を確認してきたと言って彼女の話を聞く。

動揺しながら、マイラに襲われて殺したことを話したリリーは、ボーボーと警察に追われると考えて自殺に見せかたとロイに話す。

完璧だと言われたリリーは、これで足が洗えると伝えるものの、現金は渡さないつもりのロイに、逃亡のために必要だと伝える。

殺されると言うリリーは、ロイから所持金を訊かれて数ドルだと答える。

サンフランシスコセントルイスに行ってやり直すようにと言われたリリーは、就職することを提案するロイに無理だと伝える。

自分も足を洗うと言うロイは、ボーボーから逃げるために現金がいるという考えを変えないリリーに、それを渡す気はない。

落ち着いて話したリリーは、二度命を救ったので今回は自分を助けてほしいと言いながら現金が必要だと伝えるものの、それを拒まれる。

今、生き方を変えなければ年をとっても変わらない、いつかは力になると言われたリリーは、もし自分が母親でなかったら迫りたいのではないかと訊かれる。

なんでもするので現金が欲しいと言うリリーはロイを誘惑し、それを拒む彼をブリーフケースで殴る。

水を飲もうとしていたロイは 、割れたグラスが首に刺さり出血して倒れる。

泣き崩れたリリーだったが、床に散らばった現金をかき集めて、手に着いた血を洗い流して部屋を出る。

ロイの車に乗ったリリーは、その場から走り去る。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ロサンゼルス
25歳の詐欺師ロイ・ディロンは、14歳で自分を産んだ母で同じく詐欺師のリリーの元から家出して一人暮らしをしていた。
ケチなイカサマで日銭を稼いでいたロイは、色仕掛けで男達を騙すマイラと付き合っていた。
組織のボスのボーボーの指示で、競馬場でノミ行為をしていたリリーは、ラホヤに向かう途中でロイの元に向かう。
騙そうとしたバーテンダーに殴られたことで体調を崩したロイは、訪ねて来たリリーと8年ぶりに再会するものの病院に運ばれる。
無事だったロイは、自分を気遣うマイラを嫌うリリーの行動が気になる。
ロイの件でボーボーの指示に従わなかったリリーは、大穴で大金を逃したことで制裁を受け、儲けから現金をくすねていたたてめに怯える日々を過ごし、足を洗うことを考える。
一方ロイは、かつて大物詐欺師と派手に稼いでいたマイラから、一緒に組むことを提案されるのだが・・・。
__________

スタンリー・キューブリック作品「現金に体を張れ」(1956)や「突撃」(1957)の脚本にも参加したジム・トンプスンの原作を基に、「マイ・ビューティフル・ランドレット」(1985)や「危険な関係」(1988)など話題作を手掛けていたスティーヴン・フリアーズが監督した作品。

詐欺師である母子と、二人に絡む息子の恋人である同じく詐欺師の女の、それぞれの思惑と絡み合う関係を描く犯罪ドラマ。

常に危ない橋を渡る詐欺師達が、目まぐるしく変わる状況に対処しながらとる行動と運命を、スティーヴン・フリアーズネオノワールとして描く快作に仕上がっている。

上記のように、現代劇でありながら、街の様子やファッションなどを含め、かつてのハードボイルド映画のように進行していく、どこか古風な雰囲気が映画ファンを楽しませてくれる。

第63回アカデミー賞では、監督、主演女優(アンジェリカ・ヒューストン)、 助演女優(アネット・ベニング)、 脚色賞にノミネートされた。

若手とは言え既にキャリアを重ねていたジョン・キューザックは、その日暮らしに近いケチな詐欺師を好演し、母親である詐欺師をクールに演じるアンジェリカ・ヒューストンの雰囲気ある演技が光る。

色仕掛けで男を騙すロイ(ジョン・キューザック)の恋人をユーモアを交えて熱演するアネット・ベニング、リリー(アンジェリカ・ヒューストン)に指示を出す組織のボス、パット・ヒングル、ロイのアパートの管理人ヘンリー・ジョーンズ、詐欺師のアネット・ベニングJ・T・ウォルシュに騙される富豪チャールズ・ネイピア、マイラ(アネット・ベニング)に誘惑される家主のゲイラード・サーテイン、同じく宝石商のスティーヴン・トボロウスキー、ロイに騙される水兵ポール・アデルスタインジェレミー・ピヴェングレゴリー・スポーレダー、モーテルの受付の老女フランセス・ベイ、他スティーヴ・ブシェミジュリエット・ランドーが端役出演し、マーティン・スコセッシがオープニングの声で登場する。


モバイルバージョンを終了