1996年に発表されたスティーヴン・キングの同名小説を基に製作された作品。 看守たちと殺人犯にさせられた死刑囚との触れ合いを描く、製作、脚本、監督フランク・ダラボン、トム・ハンクス、デヴィッド・モース、マイケル・クラーク・ダンカン、バリー・ペッパーらが共演する感動のファンタジー・ドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:フランク・ダラボン
製作
デヴィッド・ヴァルデス
フランク・ダラボン
原作:スティーヴン・キング
脚本:フランク・ダラボン
撮影:デヴィッド・タッターサル
編集:リチャード・フランシス=ブルース
音楽:トーマス・ニューマン
出演
トム・ハンクス:ポール・エッジコム
デヴィッド・モース:ブルータス“ブルータル”ハウエル
マイケル・クラーク・ダンカン:ジョン・コーフィ
バリー・ペッパー:ディーン・スタントン
ジェフリー・デマン:ハリー・ターウィルガー
ダグ・ハッチソン:パーシー・ウェットモア
ジェームズ・クロムウェル:ハル・ムーアズ所長
サム・ロックウェル:“ワイルド・ビル”ホアトン
マイケル・ジェッター:エデュアール“デル”ドラクロア
ボニー・ハント:ジャン・エッジコム
パトリシア・クラークソン:メリンダ・ムーアズ
ゲイリー・シニーズ:バート・ハマースミス
グラハム・グリーン:アーレン・ビターバック
ハリー・ディーン・スタントン:トゥート=トゥート
ウィリアム・サドラー:クラウス・デッターリック
ダブス・グリア:ポール・エッジコム(老人)
エヴァ・ブレント:エレイン・コネリー
ビル・マッキニー:ジャック・ヴァン・ヘイ
アメリカ 映画
配給
ワーナー・ブラザーズ/北米
ユニバーサル・ピクチャーズ・UIP/世界
1999年製作 188分
公開
北米:1999年12月10日
日本:2000年3月25日
製作費 $60,000,000
北米興行収入 $136,801,400
世界 $286,801,400
■ アカデミー賞 ■
第72回アカデミー賞
・ノミネート
作品
助演男優(マイケル・クラーク・ダンカン)
脚色・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1999年、ルイジアナ州。
老人介護ホームで暮すポール・エッジコム(ダブス・グリア)は、食堂でトーストをもらい、森の中に散歩に行くのが毎朝の日課だった。
ある日、テレビでフレッド・アステア主演の名作「トップ・ハット」を観ていたポールは、突然、涙して席を外してしまう。
60数年前のことを想い出したポールは、友人エレイン・コネリー(エヴァ・ブレント)に、その頃の話を始める。
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1935年、ルイジアナ州、コールド・マウンテン刑務所。 しかし、無能な新人看守で、州知事夫人の甥パーシー・ウェットモア(ダグ・ハッチソン)に手を焼いていた。 ある日、身長231cm、体重233キロの大男、死刑囚ジョン・コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)が、独居房に連行されてくる。 190cmを超す長身のブルータルをはるかに凌ぐ巨体のコーフィは、凶悪犯にしては、何かに怯えている様子で、ポールはそれが気になる。 ポールは、クラウス・デッターリック(ウィリアム・サドラー)の二人の幼い娘を惨殺したという、 コーフィの犯行を記した報告書を読み驚いてしまう。 刑務所長ハル・アームズ(ジェームズ・クロムウェル)が現れ、コネのあるパーシーを、ポールが追放しようとしたことで、苦情を受けていることを伝える。 ポールはアームズに、パーシーの無能さと、彼が死刑を見たがっていることを伝える。 そしてポールは、妻メリンダ(パトリシア・クラークソン)の難病のことで悩むアームズを励ます。 その夜、ポールは妻ジャン(ボニー・ハント)に、コーフィのことやメリンダ、そして自分の尿道炎のことを考えて眠れないことを伝える。 数日後、独居房にネズミが現れ、パーシーがそれを殺そうとして騒ぎを起こし、自分のコネを振りかざす彼をポールが懲らしめる。 死刑囚アーレン・ビターバック(グラハム・グリーン)の処刑のリハーサルを、雑務係トゥート=トゥート(ハリー・ディーン・スタントン)に協力させて行ったポールらは、いよいよ本番を迎える。 処刑に立ち会ったパーシーは、異常な好奇心を示して、次回は自分に直接手を下させるようポールに頼み込む。 転属願いを出しているパーシーだったが、処刑を仕切ることが叶わなければ、転勤せずに、いつまでもここに居座るとポールに言い放つ。 その後、独居房で行方不明になっていたネズミを、死刑囚エデュアール“デル”ドラクロア(マイケル・ジェッター)が、”ミスター・ジングルス”という名前を付け、 芸を仕込んで飼っていたのがわかり、ポールら看守達はそれを好意的に受け止める。 アームズに呼ばれたポールは、殺人犯“ワイルド・ビル”ホアトン(サム・ロックウェル)が、独居房に来るという報告を受ける。 憔悴したアームズを見たポールは彼を気遣い、彼の妻メリンダに脳腫瘍が見つかり、手術もできないことを知らされる。 落胆するアームズだったが、それを知らされたポールも尿道炎で苦しみ、我慢の限界に達し、医者に行く決心をする。 翌日、精神患者を装ったホアトンが、ポールの独居房に連行され、看守達の隙を見て暴れ始める。 ポールは、尿道炎の痛みをこらえながらブルータルの助けを借りて騒ぎを鎮めるが、苦痛にもがき苦しむ。 それを見たコーフィがポールを呼び寄せ、彼に接触して尿道炎の痛みを吸出してしまう。 尿道炎が完治したことを知り驚くポールは、その夜、妻のジャンと久しぶりに愛し合う。 翌日、仕事を休んだポールは、コーフィを弁護したバート・ハマースミス(ゲイリー・シニーズ)を訪ねる。 ポールは、ハマースミスに、コーフィが本当に罪を犯したと思うかを確認する。 ハマースミスは、コーフィの罪は疑いないことをポールに告げる。 数日後、手に負えないホアトンを、ポールらは拘禁室に閉じ込めてしまう。 デルの処刑のリハーサルを終えた後、ホアトンに独居房の中で恥をかかされたパーシーは、それを嘲り笑うデルに恨みを持つようになる。 その後、パーシーはデルのネズミのジングルスを踏み潰してしまうが、コーフィが再び奇跡を起こし、ネズミを生き返らせる。 ポールとブルータルは、デルの処刑を任せる代わりに、その後に転属願いを出すようパーシーに脅しをかける。 そしてデルの死刑執行の日、看守達は彼との別れを惜しみ処刑場へ向かう。 デルに恥をかかされたパーシーは処刑を仕切り、死を前にした彼に心無い言葉をかける。 さらにパーシーは、感電死させるためのスポンジに水を含ませずに、仕返しとしてデルを焼き殺してしまう。 焼け焦げたデルの死体を前に、ブルータルはパーシーに殴りかかり、アームズはポールらの失態を非難する。 数日後、ジャンと、アームズの妻メリンダの見舞いに行ったポールは、その後、看守達を自宅に招き食事をする。 ポールは、メリンダを助けるために、コーフィを彼女の元に連れて行き、奇跡を起こさせることを考え、看守達の協力を得ようとする。 ホアトンを睡眠薬で眠らせたポールらは、パーシーを監禁してコーフィを連れ出そうとする。 コーフィは、一瞬目を覚ましたホアトンに腕をつかまれ、彼がとんでもない悪事を犯したことを知る。 ポールらは、コーフィを連れ出しアームズの家に向かい、彼はメリンダの体から病気を吸出してしまう。 奇跡は起きて病魔は去り、見違える美しさを取り戻したメリンダを前に、アームズは喜びの涙を流し泣き崩れる。 メリンダはコーフィに感謝し、自分の身につけていたペンダントを渡す。 コーフィはメリンダの病気を吸い込んだまま、ポールらに支えられながら独居房に戻る。 ポールらは、拘禁室に閉じ込めていたパーシーを脅して拘束を解くが、コーフィが彼にメリンダの病気を吹き込んでしまう。 呆然とするパーシーは、彼を挑発するホアトンを射殺し、その後、病気を吐き出す。 コーフィは、ホアトンがデッターリックの二人の娘殺しの犯人だと知りパーシーに殺させたことを、贈り物を与えると言って、ポールの手を取り彼に伝える。 その後、完全に正気を失ったパーシーは、精神病院行きとなる。 処刑の日が迫り、ポールはコーフィの無実を知り、彼の心を救おうとする。 しかし、コーフィは、これ以上この世の中のおぞましい行いを見たくないと自ら死を切望する。 最後の望みを聞かれたコーフィは、活動写真を観たいことを伝え、フレッド・アステアの「トップ・ハット」を鑑賞して、看守達と共に天国のような気分を味わう。 コーフィの処刑の日、ポールら看守達は彼を処刑場に連行し、ディーンはその場で涙してしまう。 暗闇を怖がるコーフィは頭巾を被ることを拒み、ポールは、電気椅子に電流を流す命令を、一瞬ためらってしまう。 ポールはコーフィに握手を求め、そして係官ジャック・ヴァン・ヘイ(ビル・マッキニー)に、電流のスイッチを入れさせる。 そして、看守達はコーフィの遺体に別れを告げる。 1999年、介護ホーム。 エレインはそれらの話を信じるが、64年前の1935年当時に、既に成人した子供がいたというポールの年齢に疑問を持つ。 ポールは笑みを浮かべながら、エレインを散歩の目的地の森の中の小屋に案内する。 そしてポールは、エレインに独居房で姿をくらましたネズミの”ミスター・ジングルス”の存在を知らせて、彼女に曲芸を見せる。 コーフィから与えられたパワーで、ポールとその後に現れたジングルスは永遠の命を授けられたのだった。 現在108歳のポールは、コーフィを処刑した罪で、自分は、愛する者や友人の死を見届け続けなくてはならないことを悟っていた。 そのつぐないの日々を送るポールは、未だに死への道”グリーンマイル”を歩けずにいる。
通称”グリーンマイル”と呼ばれる、Eブロックの死刑囚独居房の看守主任だったポール(トム・ハンクス)には、ブルータス“ブルータル”ハウエル(デヴィッド・モース)やディーン・スタントン(バリー・ペッパー)、そして、ハリー・ターウィルガー(ジェフリー・デマン)ら頼れる部下がいた。
...全てを見る(結末あり)
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ポールは、それが自分やブルータルにとっても最後の処刑だったことをエレインに語る。
*(簡略ストー リー)
”グリーンマイル”と言われる死刑囚独居房の看守主任ポール・エッジコムの元に、残虐な少女殺人犯ジョン・コーフィが連行されて来る。
その巨体に似合わず怯えるコーフィの姿を気にしながら、看守達と職務を続けるポールだった。
コーフィが、凶悪な殺人犯に思えないポールは、自分が苦しむ尿道炎を治し、死んだネズミを生き返らせる、コーフィの起こす奇跡を、目の当たりにするのだが・・・。
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スティーヴン・キングの同名小説は刊行時に、ストーリーの結末を知られてしまうのを嫌い、毎月1冊ずつ6ヶ月続けて発行された。
第72回アカデミー賞では、作品賞をはじめ、物語のキーパーソンとなるマイケル・クラーク・ダンカンが助演賞、他、脚色、録音賞にノミネートされた。
北米で約1億3700万ドルの興行収入を記録し、全世界では約2億8700万ドルのヒットとなった。
スティーヴン・キングとは「ショーシャンクの空に」(1994)でもコンビを組んだフランク・ダラボンが、製作、監督、脚本を担当した作品。
規則で縛られ、単調な毎日を送る刑務所内で起きる数々のエピソードを興味深く描き、冒頭の謎が解ける、クライマックスまでのメリハリの効いた巧みな演出で、3時間を超える作品は全く飽きがこない。
派手さのない看守達のキャラクターが、バランスよく描写されていて、その脇を固める実力派揃いの共演者の演技も見所だ。
「ショーシャンクの空に」(1994)と同じく、トーマス・ニューマンの音楽も、感動を効果的に盛上げる。
尿道炎に苦しむ看守主任を演ずるトム・ハンクスは、自分や病に苦しむ者を救ってくれた死刑囚の無実を知りながら、刑を執行しなければならない辛い立場の人物を、抑え気味に落ち着いた雰囲気で好演している。
長身で、人情味もある同僚デヴィッド・モースの役柄が、実に頼もしく好感度が高い。
世の中の悪行が見えてしまい、終始苦しんでいる、野獣のようなマイケル・クラーク・ダンカンの、内に秘める優しさと、死刑執行を前に、看守らの好意で「トップ・ハット」(1935)を見せられた際の安堵の表情は忘れ難い。
実際は、デヴィッド・モースと同じ身長(196cm)の彼は30cm以上背を高く見せている。
老いた主人公を演ずる82歳のダブス・グリアの好演も印象的だが、若い頃の彼がトム・ハンクスに似ているのは偶然だったのだろうか。
コーフィ(M・C・ダンカン)の処刑時に涙する若い看守バリー・ペッパー、F・ダラボン作品の常連で看守のジェフリー・デマン、知事夫人のコネだけを頼る無能な看守ダグ・ハッチソン、妻の病気に悩む刑務所長のジェームズ・クロムウェル、コーフィに罪を負わせた少女殺人犯サム・ロックウェル、ネズミに芸を教え、刑執行で焼き殺されてしまうマイケル・ジェッター、主人公の献身的な妻ボニー・ハント、コーフィに不治の病を取り除かれて回復する刑務所長夫人パトリシア・クラークソン、コーフィの弁護はしたが、彼の有罪は疑わないゲイリー・シニーズ、死刑囚グラハム・グリーンと独居房雑務役のハリー・ディーン・スタントン、キング、タラボンコンビ3作に出演する、殺害された少女の父親役ウィリアム・サドラー、年老いた主人公の良き話し相手エヴァ・ブレント、電気椅子のスイッチを入れる係官ビル・マッキニーなどが共演している。