オーストリアの作曲家ヨハン・シュトラウス2世の半生を描く、監督ジュリアン・デュヴィヴィエ、主演ルイーゼ・ライナー、フェルナン・グラヴェ、ミリザ・コルジャス他共演のミュージカル・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督
ジュリアン・デュヴィヴィエ
ヴィクター・フレミング(クレジットなし)
ジョセフ・フォン・スタンバーグ(クレジットなし)
製作:バーナード・H・ハイマン
原作:ゴットフリード・ラインハルト
脚本
サミュエル・ホッフェンスタイン
ウォルター・ライシュ
ヴィッキイ・バウム(クレジットなし)
撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
編集:トム・ヘルド
音楽
アルトゥール・ガットマン
ディミトリ・ティオムキン
ポール・マーカート
出演
ポルディ・ヴォーゲルフーバー:ルイーゼ・ライナー
ヨハン・シュトラウス2世:フェルナン・グラヴェ
カーラ・ドナー:ミリザ・コルジャス
ジュリアス・ホフバウアー:ヒュー・ハーバート
ホーエンフリート伯爵:ライオネル・アトウィル
キンツェル:クルト・ボウワ
デュドルマン:レオニード・キンスキー
チェリスト:アル・シーン
ホフバウアー夫人:ミナ・ゴンベル
シュトラウス夫人:アルマ・クルーガー
ヴォーゲルフーバー:バート・ローチ
ヴォーゲルフーバー夫人:グレタ・マイヤー
フランツ・ヨーゼフ1世:ヘンリー・ハル
ヴェルトハイマー:シグ・ルーマン
シラー:ジョージ・ヒューストン
ドーマイヤー:ハーマン・ビング
御者:クリスチャン・ラブ
アメリカ 映画
配給 MGM
1938年製作 104分
公開
北米:1938年11月4日
日本:1939年5月
製作費 $2,260,000
■ アカデミー賞 ■
第11回アカデミー賞
・受賞
撮影賞(白黒)
・ノミネート
助演女優賞(ミリザ・コルジャス)
編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
19世紀、オーストリア帝国、ウィーン。
作曲に没頭する銀行員のヨハン・シュトラウス2世(フェルナン・グラヴェ)は、仕事中にワルツを作曲していたことが上司のヴェルトハイマー(シグ・ルーマン)に見つかり、解雇されてしまう。
パン屋の娘である恋人ポルディ・ヴォーゲルフーバー(ルイーゼ・ライナー)の店に向かったシュトラウスは、彼女の両親(バート・ローチ/グレタ・マイヤー)に歓迎される。
ポルディに銀行をクビになったことを話したシュトラウスは、彼女に励まされながらオーケストラを作る考えを伝える。
その場で働くキンツェル(クルト・ボウワ)を誘ったシュトラウスは、デュドルマン(レオニード・キンスキー)らに声をかける。 オーケストラを結成したシュトラウスは、カジノで演奏するものの、母親(アルマ・クルーガー)とポルディの家族以外は客はまばらだった。 演奏を終えたシュトラウスを励ますオーナーのドーマイヤー(ハーマン・ビング)は、現れたシラー(ジョージ・ヒューストン)に演奏は終わったことを伝える。 シラーが帝国オペラの第一テナーだと知っても断ったドーマイヤーだったが、彼に同行した人気オペラ歌手カーラ・ドナー(ミリザ・コルジャス)の要望を受けて、シュトラウスに演奏をさせる。 ”芸術家の生活”を演奏するシュトラウスが気に入ったカーラは、彼を宮殿に招くようシラーに指示してその場を去る。 シュトラウスがカーラを意識する様子が、ポルディは気になる。 窓を開けたドーマイヤーは、演奏を人々に聴かせる。 人々はカジノに押し寄せ、シュトラウスとオーケストラは、一夜にしてその存在を知られることになる。 シラーと共に宮殿に向かったシュトラウスは、音楽出版者ジュリアス・ホフバウアー(ヒュー・ハーバート)を紹介される。 シュトラウスがカーラに招待されたことを知ったホフバウアーは、彼女には気をつけた方がいいと言って忠告する。 シュトラウスが楽譜を持参していることを確認したカーラは、彼の演奏で歌い始める。 歌い終えたカーラは、満足してシュトラウスを別室に誘い、自分の虜となった彼にキスする。 そこに、愛人であるホーエンフリート伯爵(ライオネル・アトウィル)が現れ、カーラはシュトラウスを紹介する。 カーラにネックレスを贈ったホーエンフリートが、自分に金を払おうとしたため、気分を害したシュトラウスはその場を去る。 ポルディが外で待っていたことを知ったシュトラウスは、自分を心配する彼女の気持ちを理解し愛を確かめる。 その後、シュトラウスとポルディは、皆に祝福されながら結婚し、訪れたホフバウアーを歓迎する。 婚約祝いで契約書を持参したと言うホフバウアーは、年間1000グルデンを提示する。 一曲1000グルデンを要求したシュトラウスは、ホフバウアーを納得させて6曲分の楽譜を渡す。 次々と発表されるシュトラウスの曲を、ウィーン市民は愛した。 その頃、革命のための市民活動も活発化し、シュトラウスもそれに参加した。 人々と共に宮殿に押し掛けたシュトラウスは、囲まれたカーラを助けて中に入り、ホーエンフリートと話す。 その場に現れたフランツ・ヨーゼフ(ヘンリー・ハル)が皇族とも知らずに侮辱したシュトラウスは、逮捕されてしまう。 雨の中、カーラと共に連行されるシュトラウスは、キンツェルとデュドルマンに騒ぎを起こさせて、その隙に逃亡する。 馬車を止めたシュトラウスは、御者(クリスチャン・ラブ)から革命が始まったことを知らされる。 街中が危険だと知った二人は、ウィーンの森なら安全だと言う御者の馬車でその場に向かう。 夜が明けて二人は目覚め、馬車に揺られるシュトラウスは曲(ウィーンの森の物語)をイメージ、それを聴きながら、カーラは御者のハーモニカに合わせて歌う。 ”ウィーンの森の物語”は発表され、二人で過ごした森のことを思いだしながら、シュトラウスとカーラの関係は再燃する。 結婚していることで戸惑うシュトラウスだったが、カーラへの思いを断ち切ることができない。 御者から、革命が終わり新皇帝が誕生し憲法も制定されたことを知らされたシュトラウスは、解放されたキンツェルらと共に喜ぶ。 迎えに来たホーエンフリートの元に向かったカーラは、シュトラウスのことを気にしながら馬車に乗りその場を去る。 人々の前で演奏したシュトラウスは、皇帝の肖像が刺繍された旗を見て、宮殿で侮辱した男性が新皇帝フランツ・ヨーゼフ1世だと知り驚く。 その後、順調に作曲を続けるシュトラウスだったが、神経質になる。 自分を遠ざけているようにも思えるシュトラウスの態度が気になるポルディは、妻として敬ってほしいと彼に伝える。 ポルディに謝罪したシュトラウスは、気分を一新するためにウィーンを離れることを提案し、そのことをホフバウアーやキンツェルらに知らせる。 納得しないホフバウアーに新曲”One Day When We Were Young”を披露するシュトラウスは、自らそれを歌う。 その場にカーラが現れ、ポルディは、それが彼女のための曲であることに気づく。 帝国劇場から演奏の依頼があったことをカーラから知らされたシュトラウスは、団員が喜ぶ姿を見ながら、妻のポルディを彼女に紹介する。 シュトラウスは依頼を断るものの、カーラから説得してほしいと言われたポルディは、彼に残るべきだと伝える。 帝国オペラが開かれ、劇場に向かう気になれなかったポルディは、ホーエンフリートの訪問を受ける。 ホーエンフリートからカーラを愛していると言われたポルディは、シュトラウスと彼女の関係が街の噂になっていることを知らされる。 カーラは気性が荒く問題があると言うホーエンフリートは、シュトラウスのことを諦めるべきではないとポルディに伝える。 夫のために耐えるつもりだったと話すポルディは、シュトラウスを守りたければ戦うべきだとホーエンフリートに助言され、その気持ちを理解して彼を見送る。 劇場に向かう気になったポルディは興奮し、義母に手伝ってもらい支度をする。 拳銃を手にしたポルディは、劇場に向かう。 舞台を終えたシュトラウスとカーラは、ブダペストに向かうことを約束する。 カーラは、楽屋にいたポルディに、シュトラウスと旅立つ予定であり愛し合っていることを伝える。 ポルディから、自由な身なので自分のことは心配しないよう夫に伝えてほしいと言われたカーラは戸惑う。 そこにシュトラウスが現れ、去ろうとするポルディに気を遣うカーラは、彼女はすべてを知っているとシュトラウスに伝えて、支度をするために別室に向かう。 シュトラウスを激励したポルディは、皆が現れたために、彼の旅立ちを喜ぶふりをしてその場を去るものの、劇場を出て一人涙する。 ドナウ川に着いたシュトラウスは、ポルディを想っている自分の気持ちを理解しているカーラから、別れを告げられる。 船に乗ったカーラは、自分のための曲”One Day When We Were Young”を演奏する楽団に合わせてシュトラウスを見つめながら歌う。 ドナウ川で夜を明かしたシュトラウスは、曲(美しく青きドナウ)をイメージする。 43年後、帝国宮殿。 ポルディと共にホーエンフリートと話したシュトラウスは、その後、皇帝と再会する。 かつて”マヌケ”と言われたことを当然だと思う皇帝は、今や”ウィーンの王”となったシュトラウスを民衆の前に案内する。 宮殿前広場の人々や仲間たちの歓声を受けたシュトラウスは、カーラの歌声を想いだす。 シュトラウスは、手を振るポルディと民衆に応える。
...全てを見る(結末あり)
ホーエンフリートから、シュトラウスが来たことを知らされた皇帝フランツ・ヨーゼフ1世は、彼を迎える準備をする。
*(簡略ストー リー)
19世紀、オーストリア帝国、ウィーン。
ワルツの作曲に没頭する銀行員のヨハン・シュトラウス2世は解雇されてしまい、恋人ポルディに自分のオーケストラを結成する考えを伝える。
それを実現させてポルディと結婚したシュトラウスは、人気オペラ歌手カーラに気に入られ、やがて彼女の虜になり愛し合うようになるのだが・・・。
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オーストリアの作曲家ヨハン・シュトラウス2世の半生を描くミュージカル・ドラマ。
本格的に音楽活動を始めたシュトラウスの数年間の出来事が描かれているのだが、その間に彼の殆どの代表曲が発表される内容になっている(このことは冒頭で明記されている)。
特に、主人公が”ウィーンの森”で曲が閃き、”ウィーンの森の物語”をイメージするシーンは有名だ。
事実とは違うシーンが多い物語なのだが、シュトラウスの人間性や素晴らしい作曲の数々を楽しめる内容と共に、彼が夫婦の関係や恋に苦悩する姿や、ユーモアをまじえたヒューマニズムも深く描く、ジュリアン・デュヴィヴィエの演出が見どころの作品。
*尚、ヴィクター・フレミングとジョセフ・フォン・スタンバーグも、クレジットなしで演出に加わっている。
第11回アカデミー賞では撮影賞(白黒)を受賞し、助演女優賞(ミリザ・コルジャス)、編集賞にノミネートされた。
「巨星ジーグフェルド」(1936)と「大地」(1937)で2年連続でアカデミー主演賞を受賞したルイーゼ・ライナーは、夫ヨハン・シュトラウス2世の幸せを願いながら、一歩引き献身的に尽くす、辛い立場でもある妻を見事に演じている。
庶民派の才能豊かな作曲家として描かれているヨハン・シュトラウス2世を、人間味ある演技で好演するフェルナン・グラヴェ、彼と愛し合うオペラ歌手を存在感ある演技で演じ、その歌唱力も存分の披露してくれるミリザ・コルジャス、その愛人である伯爵のライオネル・アトウィル、シュトラウスをサポートする音楽編集者のヒュー・ハーバート、その妻ミナ・ゴンベル、シュトラウスの友人である楽団員クルト・ボウワ、レオニード・キンスキー、アル・シーン、シュトラウスの母親アルマ・クルーガー、ポルディ(ルイーゼ・ライナー)の両親バート・ローチとグレタ・マイヤー、皇帝フランツ・ヨーゼフ1世のヘンリー・ハル、シュトラウスを解雇する銀行家シグ・ルーマン、帝国オペラ歌手のジョージ・ヒューストン、カジノのオーナー、ハーマン・ビング、シュトラウスとカーラを”ウィーンの森”に案内する馬車の御者クリスチャン・ラブなどが共演している。