1991年に発表された、ジョン・グリシャムのベストセラー同名小説を基に製作された作品。 法律事務所に就職したエリート青年が命を狙われながら陰謀に立ち向かう姿を描く、製作、監督シドニー・ポラック、主演トム・クルーズ、ジーン・ハックマン、ジーン・トリプルホーン、ホリー・ハンター、エド・ハリス、デヴィッド・ストラザーン他共演のサスペンス。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督 シドニー・ポラック
製作総指揮 マイケル・ハウスマン
製作
シドニー・ポラック
ジョン・デイヴィス
スコット・ルーディン
脚本
ジョン・グリシャム(原作:The Firm)
デヴィッド・レイフィール
ロバート・タウン
撮影 ジョン・シール
編集 ウィリアム・スタインカンプ
音楽 デイヴ・グルーシン
出演
トム・クルーズ:ミッチ・マクディーア
ジーン・ハックマン:エイヴァリー・トラー
ジーン・トリプルホーン:アビゲイル・マクディーア
ホリー・ハンター:タミー・ヘンフィル
エド・ハリス:ウェイン・タランス
デヴィッド・ストラザーン:レイ・マクディーア
ハル・ホルブルック:オリヴァー・ランバート
ウィルフォード・ブリムリー:ウィリアム・デヴァシャー
ゲイリー・ビジー:エディ・ロマックス
トビン・ベル:デヴァシャーの手下
ポール・ソルヴィノ:トミー・モロト
ジョー・ヴィテレリ:ジョーイ・モロト
カリーナ・ロンバード:浜辺の女性
アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ/UIP
1993年製作 154分
公開
北米:1993年6月30日
日本:1993年7月24日
制作費 $42,000,000
北米興行収入 $156,976,510
世界 $270,248,370
■ アカデミー賞 ■
第66回アカデミー賞
ノミネート
助演女優(ホリー・ハンター)
作曲賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ハーバード・ロースクール。
優秀な学生ミッチ・マクディーア(トム・クルーズ)は、引く手あまたの就職先の中から破格の条件でテネシー州、メンフィスにある中規模な法律事務所に就職する。
ミッチは教師の妻アビー(ジーン・トリプルホーン)と共に、会社のパーティーに招待される。
郊外の一戸建ての家や高級車を提供され、有頂天になる自分を抑えながら、ミッチは、気の進まないアビーを説得し、二人はボストンからメンフィスへと向かう。
その後、新人のミッチには、早くも司法試験を優秀な成績で通らなければならない試練が課せられる。
ミッチはアビーの相手をしてやれずに、彼女は不満を抱き始める。
上司のエイヴァリー・トラー(ジーン・ハックマン)から、ケイマン諸島への出張に同行するよう言われたミッチは、その準備に追われて更に忙しくなる。
そんな時ミッチは、ケイマンの出張で、事務所の同僚が何人も亡くなっていることを知る。
また、見ず知らずの二人組(エド・ハリスら)がミッチに接触し、彼ついての詳しい情報と、会社の人数の割りには、社内の死亡者が多いことを言い残して立ち去る。 トラーとケイマンに向かったミッチは、死亡した同僚の内部資料と、事務所の運営の裏に、何らかの陰謀が隠されていることを察知する。 そして、ミッチは同僚の死についての疑問を抱き始める。 その夜、浜辺である女性(カリーナ・ロンバード)を助けたミッチは、罪悪感を感じながらも、彼女と結ばれてしまう。 島から戻ったミッチは、服役中の兄レイ(デヴィッド・ストラザーン)と面会し会社の一連の事情を話す。 それを聞いたレイは、私立探偵のエディ・ロマックス(ゲイリー・ビジー)をミッチに紹介する。 ミッチはロマックスに密かに会社の調査を依頼するが、事務所の警備主任ウィリアム・デヴァシャー(ウィルフォード・ブリムリー)の手下である、殺し屋(トビン・ベル)にロマックスは殺されてしまう。 ワシントンD.C.。 タランスはミッチを司法省の上司に会わせ、彼はそこで衝撃の事実を知る。 ミッチの法律事務所の黒幕はシカゴのマフィアで、その資金を、ケイマンでマネーロンダリングしているということだった。 更に、ミッチが入社時から会社に利用されていて、家も盗聴されていることも知らされる。 FBI側は、ミッチに、兄レイの釈放を条件にして、内部の情報を渡すように要求する。 しかしミッチは、弁護士の資格剥奪とマフィアの脅威を考えると、承知するわけにもいかなかった。 ミッチは、FBIの件を会社の上層部に話すと、オリヴァー・ランバート(ハル・ホルブルック)やトラーらには、心配無用だと言われるが、それを知らされたアビーは動揺する。 ロマックスの愛人だった、秘書タミー・ヘンフィル(ホリー・ハンター)は、 目の前で殺されたロマックスの復讐をしようと考えていた。 その後タミーは、ミッチに接触し協力することを伝える。 しかし、今度は会社側が、ミッチにケイマンでの彼の浮気の証拠写真を突きつけて、脅しをかけてくる。 ミッチは、ケイマンの夜のことを正直にアビーに話すが、彼女はショックのあまり、ミッチを拒絶するようになる。 そんな時、ミッチはある依頼人との取引の際、会社ぐるみで、弁護料の水増しをしていることを知る。 そしてミッチは、法に触れずに、自分の力で解決する方法を見つける。 ミッチはタミーの協力でFBIのタランスの弱みを握り、兄レイの釈放と逃亡資金調達を要求する。 アビーはミッチの元を去ろうとするが、偶然、彼の危機を知りトラーに誘われてケイマンに飛ぶ。 トラーに迫ったアビーは、彼を睡眠薬で眠らせ、タミーと協力して秘密情報ファイルを入手する。 FBIのタランスにより釈放されたレイは、タミーの夫の協力で尾行を振り切り姿を消す。 ミッチの危険を知ったタランスは、彼に逃亡するよう連絡を入れ、事務所の秘密ファイルを要求する。 ケイマンでアビーにはめられたトラーは、自分も殺される運命だと悟り自ら命を絶つ。 デヴァシャーに追われたミッチは、何とかそれを逃れて、シカゴのマフィア、モロト兄弟(ポール・ソルヴィノ/ジョー・ヴィテレリ)と接触する。 ミッチは兄弟に、会社が摘発されても手が回らない方法を提案し、考えられる最善の方法を約束して、マフィア側を納得させる。 レイは、逃亡を手助けしたタミーと意気投合して、二人で逃避行のたびに出る。 ミッチにも平穏な生活が戻り、大学では学べなかった法の尊さを実感する。 そしてミッチは、わだかまりの消えたアビーと共にボストンに戻る。
...全てを見る(結末あり)
セミナーの昼休みに、FBIのウェイン・タランス(エド・ハリス)に呼び出されたミッチは、彼が、以前話しかけてきた男だと気づき不安が募る。
*(簡略ストー リー)
ハーバード・ロースクールを優秀な成績で卒業したミッチ・マクディーアは、その待遇の良さから、メンフィスの中堅法律事務所に就職する。
激務のミッチは、妻アビーとの生活を犠牲にしなくてはならず、彼女との生活に亀裂が入り始める。
やがてミッチは、接触してきたFBIから、事務所に関する衝撃の事実を知らされる。
ミッチは、死の危険にもさらされながら、その陰謀に立ち向かっていく・・・。
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当時、ジョン・グリシャムの著書というだけで、一作数百万ドルの映画化権料が支払われて、次々と作品が製作された。
*参考著書の映画化
・「ペリカン文書」(1993)
・「依頼人」(1994)
・「評決のとき」(1996)etc.
第66回アカデミー賞では、助演女優(ホリー・ハンター)と作曲賞にノミネートされた。
北米のみで約1億5700万ドルの興行収入を上げ、全世界では約2億7000万ドルのヒットとなった。
ストーリーの面白さに加え、これだけのキャストをまとめ上げる、無駄がなくテンポのよいシドニー・ポラックの演出は目を離せない。
デイヴ・グルーシンの、小粋な音楽も印象に残る。
「レインマン」(1988)、「7月4日に生まれて」(1989)、「ア・フュー・グッドメン」(1992)と続いた、トム・クルーズの演技派への実力を認めさせた作品でもある。
これ以後「ザ・エージェント」(1996)以外は、どちらかというとアクション俳優のように変貌してしまうトム・クルーズだが、一作で数億ドルの興収が見込める彼クラスのトップスターの出演が、大作嗜好になってしまうのも仕方がないところだ。
トム・クルーズは、巨悪に呑み込まれ、犯罪者と司法の板挟みで苦悩し、自らの頭脳で窮地を克服するエリート弁護士という、複雑で難しい役所を見事に演じている。
ジーン・ハックマンの悪役は、好き嫌いは別として、貫禄と余裕で難無く演じているという感じがする。
死に際の潔さで悪行も救われ、トム・クルーズの引き立て役に徹しているところはさすがだ。
前半、やや物足りない感じがしたエド・ハリスも、後半からクライマックスにかけ、彼らしくパワー全快となっていく。
本作でアカデミー助演賞候補になり、「ピアノ・レッスン」で、同年、主演賞と共にダブルノミネートになったホリー・ハンターは、見事に主演賞を獲得する輝かしい年になった。
事務所の幹部ハル・ホルブルックや、警備主任ウィルフォード・ブリムリーの、年季の入った演技も見ものだ。
妻役ジーン・トリプルホーンは、本作では好演するものの、その後の活躍が少ないのは残念。
短い出演だが、私立探偵役のゲイリー・ビジーと、その後「グッドナイト&グッドラック」(2005)の演技なども絶賛されることになるデヴィッド・ストラザーンが、収監中のトム・クルーズの兄役で渋さを出している。
凄みのある異様な雰囲気の殺し屋トビン・ベル、その面構えが正にマフィアそのものという感じのポール・ソルヴィノとジョー・ヴィテレリなども登場する。