カリブ海でイングランド船を襲う海賊の討伐を命ぜられた海賊の活躍を描く、監督ヘンリー・キング、主演タイロン・パワー、モーリン・オハラ、レアード・クリーガー、トーマス・ミッチェル、ジョージ・サンダース、アンソニー・クイン他共演のアクション・アドベンチャー。 |
・アンソニー・クイン / Anthony Quinn / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ヘンリー・キング
製作:ロバート・バスラー
原作:ラファエル・サバティーニ”The Black Swan”
脚本
ベン・ヘクト
シートン・I・ミラー
撮影:レオン・シャムロイ
編集:バーバラ・マクリーン
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演
ジェイミー・ウェアリング:タイロン・パワー
マーガレット・デンビー:モーリン・オハラ
ヘンリー・モーガン:レアード・クリーガー
トム・ブルー:トーマス・ミッチェル
ビリー・リーチ:ジョージ・サンダース
ウォーガン:アンソニー・クイン
デンビー卿:ジョージ・ザッコ
ドン・ミゲル:フォーチュニオ・ボナノヴァ
ロジャー・イングラム:エドワード・アシュレイ
枢機卿:アーサー・シールズ
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1942年製作 85分
公開
北米:1942年12月4日
日本:1950年6月23日
製作費 $1,493,800
北米興行収入 $1,012,600
■ アカデミー賞 ■
第15回アカデミー賞
・受賞
撮影賞(カラー)
・ノミネート
特殊効果・ドラマ音楽賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
17世紀、カリブ海。
海賊のジェイミー・ウェアリング(タイロン・パワー)は、ビリー・リーチ(ジョージ・サンダース)と共にある町を襲い金品を略奪する。
悪名高き海賊ヘンリー・モーガン(レアード・クリーガー)が、来週、死刑になることを考えていたジェイミーは、スペイン兵に襲われて捕らえられる。
ドン・ミゲル(フォーチュニオ・ボナノヴァ)に拘束されて拷問を受けたジェイミーは、モーガン(レアード・クリーガー)の居場所を訊かれてもまともに答えない。
憤慨したドン・ミゲルだったが、押し入って来たジェイミーの仲間トム・ブルー(トーマス・ミッチェル)に剣を向けられる。
解放されたジェイミーは、ドン・ミゲルを拷問しようとするものの、そこにジャマイカ総督のデンビー卿が現れる。 スペインと手を組みモーガンを絞首刑にする気のデンビーを責めるジェイミーだったが、イングランドとスペインは和平条約を結んだと言われる。 納得しないジェイミーは、デンビーを相手にせず追い払いマラカイボに向かおうとする。 そこに、デンビーの娘マーガレット(モーリン・オハラ)が現れ、彼女に惹かれたジェイミーは言い寄るものの、唇を噛まれてしまう。 マーガレットを殴り倒したジェイミーは、彼女を連れ去ろうとする。 そこにモーガンが現れたために驚くジェイミーは、国王チャールズ2世の恩赦により、彼が釈放されたことを知る。 ジェイミーに話があると伝えたモーガンは、酒場に皆を集めるようトムに指示する。 酒場にいたリーチは、モーガンが国王のスパイだと考えるものの、それに反論するジェイミーと剣を交える。 二人を制止したモーガンは、自分に従うかを皆に確認し、新しい総督から恩赦と100エーカーの土地が与えられることを伝える。 自分がジャマイカ総督になったことを知らせたモーガンは、あくまでスパイだと疑うリーチに対し、それを否定する。 私掠船は禁止され、イングランドは今後、植民地の発展により帝国への道を目指すとモーガンは皆に伝える。 それに納得しないリーチは、部下のウォーガン(アンソニー・クイン)と共にマラカイボに向かう考えを変えない。 すべての私掠船と海賊を海に沈めるつもりのモーガンは、1か月以内にイングランド海域から出て行くよう、自分に従う気のない者に指示する。 自分の船”ブラック・スワン”は国王のスパイには従わないと言うリーチは、マラカイボに向かう仲間を募る。 同行しようとしたジェイミーを制止したモーガンは、総督の右腕にすると彼に伝える。 ポート・ロイヤル。 デンビーに会うものの、自分を毛嫌いする彼から職務を受け継ぐモーガンは、ジェイミーとトムに好きな部屋を使わせる。 マーガレットの部屋を使うことにしたジェイミーは、そこに落ちていたペンダントに、ロジャーの絵が入っていることに気づく。 翌日、モーガンは議会で正式に総督に任命され、紳士的にマーガレットに接したジェイミーはペンダントを渡す。 ジェイミーから自分への思いを伝えられたマーガレットは彼を殴ってしまい、現れたロジャーに助けを求める。 剣を抜いたロジャーだったが、ジェイミーはそれを払いのけて、彼を殴り倒す。 こんな男を愛するなら大バカ者だとマーガレットに伝えたジェイミーは、いずれどちらかを選ぶことになると伝えてその場を去る。 その夜、女を連れて部屋に入って来たトムを追い払ったジェイミーは、マーガレットのことを想いながら眠る。 翌日、乗馬中に出くわしたマーガレットが落馬したために、彼女を助けたジェイミーは休ませようとする。 迷惑に思われながらもマーガレットを気遣うジェイミーは、身の上を訊かれて話をする。 石を拾ってジェイミーを殴り、その場から逃れたマーガレットは、通りがかったロジャーの馬に乗せてもらう。 その夜、リーチの船に向かったロジャーは、イングランドの宝船の情報を伝えて、略奪の取り分を要求する。 船を襲ったリーチは、乗員を殺して宝を奪う。 情報を流したとデンビーに疑われたモーガンは、ジェイミーらを海賊退治のために出航させようとして、リーチらがいると思われるトルトゥーガ島に向かわせる。 ロジャーは、その情報をリーチに伝えるようとする。 叔母の遺産を相続することになったロジャーは、今後は何不自由なく暮らせることをマーガレットに伝える。 トルトゥーガ島。 その後、モーガンの海賊対策の失敗はデンビーから非難され、ロジャーは、派遣されたジェイミーらがグルではないかとまで考える。 総督の弾劾を求める決議案の提出を求めるデンビーらの意見を退けようとしたモーガンは、戻って来たジェイミーから報告を受ける。 何も得るものはなかったとモーガンに伝えたジェイミーは、何者かがリーチに情報を流したと考える。 疑われたデンビーとロジャーから証拠を求められたジェイミーは、補給が終わり次第、出発し、リーチを見つけて必ずそれを証明してみせると伝える。 使者として認められれば、自分が国王に報告すると言うロジャーは、花嫁となるマーガレットと共に2日後に祖国に向かうことを伝えて彼女に寄り添う。 ロジャーから、弾劾のための勅令を持ち帰ると言われたモーガンは憤慨し、ジェイミーと共に退席する。 マーガレットの結婚を阻止する考えのジェイミーだったが、今晩中に出航するようにとモーガンに指示される。 しかし、マーガレットの元に向かったジェイミーは、彼女に愛を告げてロジャーとの結婚を諦めさせようとする。 話をまともに聞こうとしないマーガレットを、トムと共に強引に連れ去ったジェイミーは船に向かう。 リーチに情報を流している者がいることをマーガレットに話したジェイミーは、それがデンビーかロジャーだと考える。 海上でブラック・スワンともう一隻を発見したジェイミーは、二隻に合図を送り安心させて、味方がいるマラカイボに向かおうとする。 甲板に現れたマーガレットに、モーガンを裏切ったとリーチに思わせるしかないと伝えたジェイミーは、それが真実ではないかと言われたため、彼女を船室に閉じ込める。 リーチを呼んだジェイミーは、一緒にマラカイボに行くことを伝えて、政治家になったモーガンにはついて行く気がしなくなったと言って、彼を信用させようとする。 ウォーガンから、議会で自分達を討伐すると宣言したはずだと言われたジェイミーは、リーチからもポート・ロイヤルに戻った理由を訊かれて、妻を迎えに行ったと答える。 それを信じようとしないリーチらに、ジェイミーは、前総督の娘だと言ってマーガレットを紹介する。 手を組むことに同意したリーチから、自分の船に乗ることが条件だと言われたジェイミーは、それを承知する。 マラカイボではなく船を襲う考えのリーチに従うことになったジェイミーは、マーガレットがいる部屋に向かう。 リーチを信用させることに協力してくれたマーガレットに感謝したジェイミーは、ハンモックで寝ようとする。 物音に気づいたジェイミーはマーガレットのベッドに入り、現れたリーチに仲が良さそうに見せる。 結婚祝いだと言って花嫁用の服を持参したリーチは、ジェイミーがズボンを履いていることとハンモックに気づく。 マラカイボ。 総督の地位を取り戻すには、ジェイミーとリーチを捕らえてマーガレットを救うしかないと言うモーガンは、海岸を見張るよう指示する。 マラカイボに味方の船が二隻いることをマーガレットに話したジェイミーは、それを盗み聞きしたリーチに拘束される。 ジェイミーの船に向かったリーチは、トムらを捕らえて閉じ込める。 港に近づくジェイミーの船が攻撃を始めたため、モーガンは反撃する。 拘束を逃れたジョイミーは海に飛び込み、舵を壊して船を操縦不能にする。 船は岸に突っ込み、甲板に上がったジェイミーは、トムらを逃がす。 リーチと剣を交えたジェイミーは、傷を負いながらも相手を倒す。 ジェイミーの負傷を知ったモーガンは、彼がした無礼をマーガレットに謝罪し、処刑することを約束する。 トムから、ジェイミーは罪を犯していないと言われたモーガンは納得しない。 さらわれたのではなく、自分の意志で来たと言うマーガレットの言葉を正気とは思えないモーガンは、ジャマイカに戻ろうとする。 総督職は自分には向かないとトムに伝えたモーガンは、自分ならカリブ海を手に入れられると言われる。 治療をしたジェイミーが甲板に向かったために、おとなしくしているようにと指示したマーガレットは、互いの愛を確かめる。 その様子を見ていたモーガンは、これで海賊も見納めだとトムに伝える。
...全てを見る(結末あり)
ジェイミーとトムと共に総督官邸に向かったモーガンは、デンビーの部下ロジャー・イングラム(エドワード・アシュレイ)に迎えられる。
数隻で港に近づいたジェイミーだったが、リーチがいないことを知り、トムを上陸させて情報を得ようとする。
その場に現れたモーガンは、マーガレットを連れ去ったジェイミーが裏切ったと言って、市民に襲われて逃げてきたことを仲間達に伝える。
■ 解説 評価 感想 ■
*(簡略ストー リー)
17世紀、イングランド国王チャールズ2世の恩赦で死刑を免れた悪名高き海賊ヘンリー・モーガンは、ジャマイカ総督に任命されカリブ海の海賊討伐を始める。
仲間の海賊ジェイミー・ウェアリングを補佐にして、イングランドの宝船を襲う海賊の討伐を命じたモーガンだったが、その情報が漏れてしまう。
前総督デンビーの部下ロジャーの策略で、その情報が海賊のリーチに伝わり、彼らは宝船を襲い財宝を略奪する。
情報が漏れていると考えたジェイミーは一旦、引き返すものの、モーガンから再び海賊の捜索を命ぜられる。
そんなジェイミーは、デンビーの娘マーガレットに惹かれていたために、ロジャーとの結婚を控えた彼女を強引に連れ去り出航するのだが・・・。
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1932年に発表された、ラファエル・サバティーニの小説”The Black Swan”を基に製作された作品。
歴史小説で知られるラファエル・サバティーニの原作を基に、監督ヘンリー・キング、彼のお気に入りのスター、タイロン・パワー主演、モーリン・オハラ共演による海洋冒険活劇。
イングランド国王チャールズ2世の恩赦により、死刑を免れジャマイカ総督に任命された、悪名高き海賊ヘンリー・モーガンの物語を中心に、彼の仲間である海賊の争いが描かれた作品。
当時は、ヨーロッパでは第二次大戦が激化し、真珠湾攻撃が行われ日米開戦して間もないころに製作された作品であることに注目したい。
この時代に、ユーモアを交えた娯楽の要素満載のこのような映画が多く作られていた、アメリカの国力を感じさせれれる作品である。
第15回アカデミー賞で撮影賞(カラー)を受賞したレオン・シャムロイによる美しい映像、海戦の迫力を伝える特殊効果、軽快且つ勇壮でもあるアルフレッド・ニューマンの音楽なども素晴らしい、見応えある作品に仕上がっている。
*アカデミー賞では、特殊効果、ドラマ音楽賞にもノミネートされた。
主演のタイロン・パワーは、豪放磊落、勇猛果敢な海賊を見事に演じ、荒くれ者の中で一際輝くモーリン・オハラの美しさも際立つ。
二人が夫婦役を演じ、タイロン・パワーの演技力が高く評価されたジョン・フォードの名作「長い灰色の線」(1955)が忘れられない。
悪名高き海賊でありながら、イングランド国王チャールズ2世の恩赦によりジャマイカ総督に任命されたヘンリー・モーガンを豪快に演ずるレアード・クリーガー、主人公の部下である酔いどれの海賊を愉快に演ずるトーマス・ミッチェル、ヘンリー・モーガンの考えに従わずに略奪を続ける海賊のジョージ・サンダース、その部下アンソニー・クイン、ヒロインの父親である前ジャマイカ総督ジョージ・ザッコ、その部下で、海賊に情報を流すヒロインの恋人エドワード・アシュレイ、スペインの役人フォーチュニオ・ボナノヴァ、司教役のアーサー・シールズなどが共演している。